文化祭劇の脚本が異世界に繋がっちゃって、モブキャラのまんま、イケメン王子の前にブッ飛ばされたんだけど?!

蟻の背中

文字の大きさ
上 下
26 / 117
第2章 巫女は聖なる盃を掲げ

あっどうも、通りすがりの馬鹿です……

しおりを挟む



「忘れ物だよ!」

店のお姉さんが私に何かを押し付けた。
それは確かに見覚えのある物だった。

「なんで……」

それは劇の小道具で使っていたランプだ。
青いトルコ石の飾りがついた銀色のランプ。
もちろん銀製、ではなくてメッキ。所々剥げて下地の鉄が見えている。

「ゴミを置いていくんじゃないよ、まったくほら、持って帰んな!」

ゴミって失礼だな、確かシミズの私物だったはず。でもなんでこれがここに?
私の付属品として一緒に来ちゃったの?

「すみません、ありがとうございます」

私はランプを受けとると、しげしげとそれを眺めた。

「随分古ぼけたランプだな、形も独特だ」

ユージンが不思議そうに見ている。

「 ああ、これはわざと古ぼけた感を出すために、靴ズミをぬってるんだよ」
「わざと古く見せる?何故?」
「その方が、雰囲気出るって、シミズが……友達が」

私はユージンにランプを見せた。

「ふーん。面白い考えだな」

ユージンは興味深そうにじっくりと見ている。

「ユージン、なんだろう」

私は何気に眺めた通りの向こう側を指差した。
人が集まり何か騒がしい。

「どうせ、喧嘩か何かだろう。気にするな」

彼は興味なさそうに答えた。
人垣の隙間から荷馬車が止まっているのが見えた。その前で兵士に捕まっている子供の姿も。
子供は10歳くらい?頭や顔から血を流してボロボロ。

「ツキ、行かない方がいい」

その場所へ行こうとした私の手首をユージンが掴んだ。

「でも、あんな子供に!」

酷いじゃん!!

私はユージンの手を振りほどき、人垣へと突っ込んでいった。

「よりによって献上品を盗むなんて」
「知らなかったんだろう」
「運が悪かったな」

そんな声が聞こえたけど、意味なんかわからなかった。

気付けば、私、少年の首に今にも下ろされそうになっている刃を間近で見ている。

「なんだお前!」

2メートルくらいありそうなごっついゴリラみたいな兵士に怒鳴られた。
うわーっめっちゃデカい……こんなデカい人、間近でみたことないわ……迫力あるな……

はっ!!

私は誰?ここは何処ーーーーーー。

人ってよくあるじゃない、やってしまってから、あー、もっと考えてから行動するべきだったよなぁーーーー、って反省すること。
今、まさに、それよ!!それ!!!

「邪魔をするならお前も死罪だ!」

ええええええ!

し、ざ、いっ!!  

首、切られんの???





作業用BGM  ATEEZ―HALAHALA
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

転生騎士団長の歩き方

Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】  たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。 【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。   【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?  ※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。

【完結】悪役令嬢が可愛すぎる!!

佐倉穂波
ファンタジー
 ある日、自分が恋愛小説のヒロインに転生していることに気がついたアイラ。  学園に入学すると、悪役令嬢であるはずのプリシラが、小説とは全く違う性格をしており、「もしかして、同姓同名の子が居るのでは?」と思ったアイラだったが…….。 三話完結。 ヒロインが悪役令嬢を「可愛い!」と萌えているだけの物語。 2023.10.15 プリシラ視点投稿。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

都合のいい女は卒業です。

火野村志紀
恋愛
伯爵令嬢サラサは、王太子ライオットと婚約していた。 しかしライオットが神官の娘であるオフィーリアと恋に落ちたことで、事態は急転する。 治癒魔法の使い手で聖女と呼ばれるオフィーリアと、魔力を一切持たない『非保持者』のサラサ。 どちらが王家に必要とされているかは明白だった。 「すまない。オフィーリアに正妃の座を譲ってくれないだろうか」 だから、そう言われてもサラサは大人しく引き下がることにした。 しかし「君は側妃にでもなればいい」と言われた瞬間、何かがプツンと切れる音がした。 この男には今まで散々苦労をかけられてきたし、屈辱も味わってきた。 それでも必死に尽くしてきたのに、どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのか。 だからサラサは満面の笑みを浮かべながら、はっきりと告げた。 「ご遠慮しますわ、ライオット殿下」

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

処理中です...