文化祭劇の脚本が異世界に繋がっちゃって、モブキャラのまんま、イケメン王子の前にブッ飛ばされたんだけど?!

蟻の背中

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第2章 巫女は聖なる盃を掲げ

あっどうも、通りすがりの馬鹿です……

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「忘れ物だよ!」

店のお姉さんが私に何かを押し付けた。
それは確かに見覚えのある物だった。

「なんで……」

それは劇の小道具で使っていたランプだ。
青いトルコ石の飾りがついた銀色のランプ。
もちろん銀製、ではなくてメッキ。所々剥げて下地の鉄が見えている。

「ゴミを置いていくんじゃないよ、まったくほら、持って帰んな!」

ゴミって失礼だな、確かシミズの私物だったはず。でもなんでこれがここに?
私の付属品として一緒に来ちゃったの?

「すみません、ありがとうございます」

私はランプを受けとると、しげしげとそれを眺めた。

「随分古ぼけたランプだな、形も独特だ」

ユージンが不思議そうに見ている。

「 ああ、これはわざと古ぼけた感を出すために、靴ズミをぬってるんだよ」
「わざと古く見せる?何故?」
「その方が、雰囲気出るって、シミズが……友達が」

私はユージンにランプを見せた。

「ふーん。面白い考えだな」

ユージンは興味深そうにじっくりと見ている。

「ユージン、なんだろう」

私は何気に眺めた通りの向こう側を指差した。
人が集まり何か騒がしい。

「どうせ、喧嘩か何かだろう。気にするな」

彼は興味なさそうに答えた。
人垣の隙間から荷馬車が止まっているのが見えた。その前で兵士に捕まっている子供の姿も。
子供は10歳くらい?頭や顔から血を流してボロボロ。

「ツキ、行かない方がいい」

その場所へ行こうとした私の手首をユージンが掴んだ。

「でも、あんな子供に!」

酷いじゃん!!

私はユージンの手を振りほどき、人垣へと突っ込んでいった。

「よりによって献上品を盗むなんて」
「知らなかったんだろう」
「運が悪かったな」

そんな声が聞こえたけど、意味なんかわからなかった。

気付けば、私、少年の首に今にも下ろされそうになっている刃を間近で見ている。

「なんだお前!」

2メートルくらいありそうなごっついゴリラみたいな兵士に怒鳴られた。
うわーっめっちゃデカい……こんなデカい人、間近でみたことないわ……迫力あるな……

はっ!!

私は誰?ここは何処ーーーーーー。

人ってよくあるじゃない、やってしまってから、あー、もっと考えてから行動するべきだったよなぁーーーー、って反省すること。
今、まさに、それよ!!それ!!!

「邪魔をするならお前も死罪だ!」

ええええええ!

し、ざ、いっ!!  

首、切られんの???





作業用BGM  ATEEZ―HALAHALA
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