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第2章 巫女は聖なる盃を掲げ
酔っぱらいの戯言でも……
しおりを挟むこの場合、もし私だけが外に出たら、あのお姉さんが追いかけてきて、えらい文句言われるんだろうな。
夢だとしても、それはとても面倒そうだ。
「あのぉ、もしもし?」
私は仕方なく酒瓶を抱えて寝ている男の人に声をかけた。
「ねぇ、お兄さん?」
トントンと軽く肩を叩いてみるが、まったくぴくりとも動かない。
「もしもし!」
トントントントントントントントン!
まったく反応なし。
「ああ、もう。お兄さんてば!!起きてよ!お店の人が外に出て欲しいって言ってるの!」
もう、しょうがない。私は遠慮なしに、ガンガン男の人の肩を揺すった。
「ああ」
男の人、ようやく顔を上げた。
「お店の人がもう、外に出て欲しいって……」
「……いつのまにか寝ちゃったな」
男の人は、ぐっと両手を上げて背中を伸ばした。私は彼の顔を見てびっくりした。
今まで隠れていた方の目が、大きな傷で塞がれていたから。
「君は?えーと、誰だっけ?」
そう、それよね。そんな風に聞かれても、何て答えるべき?言葉に詰まる。
もしかしたら、この人が私の何かしらの事情を知っているかもしれない、なんてちょっとだけ、うっすら期待してなかったわけでもない。
この感じだと、やっぱり初対面か。
そうして、はっきりしたことがある。
私がここに何故いるのか、は、さておき。
(つまり、私が見ている夢の話だから、私がいることは必然ということで、故に確たる理由はいらないという前提)
なので、彼の飲み代を払う必要はなかったということだ。
そんなことをチマっと考えながらも、私は彼の瞳に見惚れていた。
だって、とっても綺麗なんだもん。
吸い込まれそうな、神秘的な海の色。
「ええと、名前はツキです」
後れ馳せながら答える。
他にどのように言うべきかわからず、とりあえず名を名乗った。
初対面なら、これがセオリーよね?
「ツキ?」
「お月さまのツキ」
「ああ、夜の女神か……」
男の人は頬杖をつき、目を細めた。
夜の女神?!ちょっ、ナニそれっ!
なんて―――――――――ぇ
素敵な言い回しじゃないの!!
酔っぱらいの戯言だと分かっていても、キュンと胸が高鳴りましたよ。こんの風に言われたの生まれて初めてなんだもん。
潜在意識と大きな願望が見せる夢って素晴らしいわ。
「俺は、ユージン」
「よろしく……ユージン」
客観的に見ればよ、髪の毛はボサボサだし、無精髭もあるし、酔っぱらってるから顔も赤いし、なんか服もただの袖なし襟なしシャツで、つまり格好は馬鹿ダサいわけ。
だけど、基本の顔が抜群に良いって気付いちゃった。
俗に言う、顔天才ってやつだわ。
「やっとお目覚め?」
作業用BGM APRIL―LALALILALA
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