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第2章 巫女は聖なる盃を掲げ
指先に触れた硬いもの
しおりを挟む「あのぉ、すみませんが。私はこの人とは何の関わりも関係もない、まったくのアカの他人ですよ。私がこの人の飲み食いしたお金を、何故払わなくてはいけないのですか?それに、多分私、お金持ってないです(キリッ)」
「はぁ?何ドヤ顔して金がないとか言ってんのさ、ちょっとあんた」
大きなめん玉で鋭く睨まれた。
「食い逃げしようって気じゃないよね?」
「いやー、そうじゃないです。だって、私は食べても飲んでもないですし、そもそも未成年じゃないですか?私、見えません?私は高校生です」
「ちょっと、あんまり舐めた態度とると、子供だって、容赦しないよ!いいから、ポケットのものを全部出すんだよ!」
ポケットの中全部出せって、それはカツアゲとかで使う言葉じゃん??まさか、一生のうちで言われる場面に遭遇するとは。
「おらっ!さっさっと出しな!」
ひーーーー!怖いよーーーーー!
私はお姉さまの迫力にあっさりひるんだ。
そして、自分の身なりを初めて確かめた。
驚いたことに、か、やっぱり、なのか、着ていたのは、侍女①の衣装だった。
「ポケットですね、ちょっと……」
そんなの付いてたかな……?
「!!!」
付いていました。目視しました。黒いベストの両脇にひとつずつ、ちゃんとありました。
問題はそこにお金なんかが入っているはずがないってことなの。
携帯だって入らない大きさで、お財布なんかもっと入るわけがないし、入れた記憶もない、からね。
「あっ、あるかな?あるといいなぁ、2ドラクマ……」
私は恐る恐るポケットに手を入れてみる。
あれ?これは、ひょっとすると、ひょっとするかもよ。指先に何が硬いものが触れているじゃないですか?
その硬いものを取り出してみた。
「なんだ、ちゃんとあるじゃないか、2ドラクマ貰うよ。さっさと、お兄さん店から出して」
お姉さんは私の掌から銀色のやつをふたつ取ると、爽やかな笑みを残し去っていった。
私は掌に残されたそれを見つめた。
銀色のおはじきみたいな形のものが数個ある。念のため反対側のポケットも探ってみた。
そこには、銀色よりも小さな金色の粒が数十個入っていた。
「これって金かな」
だとしたら、私は凄くお金持ちじゃないですか?凄くないですか?!
やぁ、ほんとに都合の良い夢だな。
本物の訳がない、現実ではないんだ。
よく、あるよね。これ、夢だわーって途中から薄々わかってて見てる、夢。きっと、それ。
ふっ、と顔を上げると、店のお姉さんと目があった。
ああ、出ていけって、ことだよね。
この酔いつぶれている見ず知らずの人を連れて。
作業用BGM ONEUS―VALKYRIE
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