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第2章 巫女は聖なる盃を掲げ
2ドラクマってなんですかっ!?
しおりを挟むピカっ!百万ボルトの電流が放たれた!?
って、本気で思って感電死の恐怖が頭を過って、恐ろしさにギュっと身が縮んだわけだけど……感電って痛いかな?
……でも、いつまでたっても、幸いなことに何も痛いことは起こらないみたいだ。
「あれ?」
何度か瞬きをする。
そこにはあるはずの景色、つまりお客さんや先輩の姿や、あれやこれらが一切合切消えていた。
代わりに私の前には見知らぬ、本当に知らない「外人さん」が座っていらっしゃるのだ。
(おっ?あら?おやっ、んんん???これはいったいどういうことかな?)
向かい合って座っている……は正確じゃないか。
正しくはテーブルに突っ伏して寝ている男の人を向かいの席に座った私が見下ろしているってことだ。
長い睫毛だな。片側だけ見える顔。瞼の縁にびっしりと生える睫毛の量と長さにただ感心する。金髪の方は睫毛もやはり金髪なのだな。
なんてことをぼんやりと考えた。
「ちょっとお兄さん、酔いつぶれちゃってんの?店、混んできたから、寝るなら外で寝てくんない?」
抜群にナイスなバディの方、(外国の)お姉さんが、私の前にぬっと手を突き出した。
「えっ?……はい」
私はほぼ何も考えずに、彼女の掌へ条件反射的に自分の掌をのせた。
「いやいやいやいや、手をのせてどうすんのさ?2ドラクマ。このテーブルの飲み代だよ」
お姉さんの口角がクッと吊り上がる。同時に目尻も。
「えっと、なんのことか。そのわたし英語、そうだ、アイドントスピークイングリッシュ!」
英語は本当に苦手だ。受験でも英語が一番足を引っ張っている。
「もう、早くして!忙がしいんだから」
あれっ、でも、これって英語じゃないな、バっリバリの日本語だったわ。
「あのぉ、ドラク……エ?って……?」
ゲームのことかな?何故今、ゲームが欲しい?テーブルの飲み代って……
ところで、私はどうしてここにいるんだっけ?
「あんた、外国の人?ドラクマ、銀貨2枚だよ」
「外国の人って、笑っちゃう」
そっちが外国の人じゃん。
それに銀貨2枚って、わけわからんのだが。
「何が可笑しいんだよ?麦酒6杯、葡萄酒2本、合わせてきっかり2ドラクマっ!」
「ドラクエじゃなくて、ドラクマか。銀貨ってもしかしてお金のこと?」
「そうそう、お金を払ってちょうだいよ」
麦酒に葡萄酒……目の前の男の人は確かに酒瓶らしきものを抱いて寝ている。
私はあらためて、辺りを見回した。
ここは小さなテントの下である。
5、6席のテーブルがある。
ほんと。確かに料理屋さんぽい。
様々な外見をした外国の人達が料理をつまみ、大きな声で話しながら飲んでいる。
全体的にテンション高めな方々ばかりだ。
目の前には、まだ開けていないワイン(多分)の瓶が立っている。
「あのぉ、すみませんが……」
作業用BGM ROCKET PUNCH―BOUNCY
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