文化祭劇の脚本が異世界に繋がっちゃって、モブキャラのまんま、イケメン王子の前にブッ飛ばされたんだけど?!

蟻の背中

文字の大きさ
上 下
4 / 117
第1章 異世界への扉

滅入りまくりの新学期

しおりを挟む


「頑張れよ」
「え?」
「丸谷に最高の役、思いついたから」
「役って、……文化祭の劇?」
「まぁ、楽しみにしてろ」

シミズはニヤッと笑って去っていった。
何なんだ?あの不適な笑いは?
頑張れっていうから、勉強のことかと思ったら、劇の話なの。

やっぱり、シミズって掴めないやつ。
確かに顔の良さは認めるけど、、、
何考えてるのかわからないっていう女子の評価は、あながち間違ってないな。


そうこうしている間に、高校最後の夏休みが終わった。

ハルキ先輩の彼女がいる教室。
そして親友のいない教室。

教室に入ると、ハナはもう席に座っていて、物言いたげな顔で私を見ていた。
そんなハナを完全に無視して、私は自分の席に座った。

もう、どうやったって、もとには戻れない。
どうしたって、腹がたって、気持ちがざわつく。言いたいことがあるなら、さっさっと言ってくれればいいのに、私から話すことなんか何もないんだから。

久しぶりに顔を見たら、またあの日の悔しさや悲しさや惨めさが甦ってきた。
思わず携帯を放り投げた、あの日の夜の気持ち。なるべく考えないようにしてたのに。


「ほら、丸谷! ぼさっとしないで、そこ持って、端の方」
シミズの低い声で、はっと我にかえった。
「ああ、はい」
私は足元にある、黒い模造紙の端を持ち上げた。横に3枚繋げた模造紙はやたらと長い。

そう、世間の時はいつのまにか流れ、今は全校生徒が文化祭の準備に忙しかった。

『不思議の国の千一夜~ほんとうにあった怖い夜伽』

という劇のタイトルが、銀色の文字で描かれている。シミズの脚本は怪談ファンタジー劇とやらだそうだ。


粗筋を簡単に話せば、
ある国の暴君に、無理矢理連れてこられたお姫様が、殺されないために毎夜怪談話を聞かせて、その100日後に何かが起こるというストーリー。


主役のお姫様がクラス投票でハナになった。


私も、シミズの宣言どうりキャストの一人になっていた。

役決めの時「 シミズ推薦枠」という謎の決め方によって。
とはいえ、たった一言だった。
台詞……。
それも、名前もついてないモブキャラ。

別に期待してた訳じゃないけど、いや、ちょっと期待してたのかも、がっかりしたのは否めなかったもん。

仕方ないか、私ってそういう存在だもんね。




作業用BGM  (G)I-DLE  OH MY GOD
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

オーバーゲート

JUN
ファンタジー
 迷宮と呼ばれるものを通じて地球に魔力が流れ込み、生活が一変してから半世紀。人工魔素実験の暴走事故で大きな犠牲が出、その首謀者の子供である鳴海は、人に恨まれながら生きていた――とされているが、真実は違う。迷宮を囲い込んだ門の内側で、汚名をそそぎ、両親を取り戻すため、鳴海は今日も探索に打ち込む。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

都合のいい女は卒業です。

火野村志紀
恋愛
伯爵令嬢サラサは、王太子ライオットと婚約していた。 しかしライオットが神官の娘であるオフィーリアと恋に落ちたことで、事態は急転する。 治癒魔法の使い手で聖女と呼ばれるオフィーリアと、魔力を一切持たない『非保持者』のサラサ。 どちらが王家に必要とされているかは明白だった。 「すまない。オフィーリアに正妃の座を譲ってくれないだろうか」 だから、そう言われてもサラサは大人しく引き下がることにした。 しかし「君は側妃にでもなればいい」と言われた瞬間、何かがプツンと切れる音がした。 この男には今まで散々苦労をかけられてきたし、屈辱も味わってきた。 それでも必死に尽くしてきたのに、どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのか。 だからサラサは満面の笑みを浮かべながら、はっきりと告げた。 「ご遠慮しますわ、ライオット殿下」

《完》わたしの刺繍が必要?無能は要らないって追い出したのは貴方達でしょう?

桐生桜月姫
恋愛
『無能はいらない』 魔力を持っていないという理由で婚約破棄されて従姉妹に婚約者を取られたアイーシャは、実は特別な力を持っていた!? 大好きな刺繍でわたしを愛してくれる国と国民を守ります。 無能はいらないのでしょう?わたしを捨てた貴方達を救う義理はわたしにはございません!! ******************* 毎朝7時更新です。

処理中です...