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第1章 異世界への扉
滅入りまくりの新学期
しおりを挟む「頑張れよ」
「え?」
「丸谷に最高の役、思いついたから」
「役って、……文化祭の劇?」
「まぁ、楽しみにしてろ」
シミズはニヤッと笑って去っていった。
何なんだ?あの不適な笑いは?
頑張れっていうから、勉強のことかと思ったら、劇の話なの。
やっぱり、シミズって掴めないやつ。
確かに顔の良さは認めるけど、、、
何考えてるのかわからないっていう女子の評価は、あながち間違ってないな。
そうこうしている間に、高校最後の夏休みが終わった。
ハルキ先輩の彼女がいる教室。
そして親友のいない教室。
教室に入ると、ハナはもう席に座っていて、物言いたげな顔で私を見ていた。
そんなハナを完全に無視して、私は自分の席に座った。
もう、どうやったって、もとには戻れない。
どうしたって、腹がたって、気持ちがざわつく。言いたいことがあるなら、さっさっと言ってくれればいいのに、私から話すことなんか何もないんだから。
久しぶりに顔を見たら、またあの日の悔しさや悲しさや惨めさが甦ってきた。
思わず携帯を放り投げた、あの日の夜の気持ち。なるべく考えないようにしてたのに。
「ほら、丸谷! ぼさっとしないで、そこ持って、端の方」
シミズの低い声で、はっと我にかえった。
「ああ、はい」
私は足元にある、黒い模造紙の端を持ち上げた。横に3枚繋げた模造紙はやたらと長い。
そう、世間の時はいつのまにか流れ、今は全校生徒が文化祭の準備に忙しかった。
『不思議の国の千一夜~ほんとうにあった怖い夜伽』
という劇のタイトルが、銀色の文字で描かれている。シミズの脚本は怪談ファンタジー劇とやらだそうだ。
粗筋を簡単に話せば、
ある国の暴君に、無理矢理連れてこられたお姫様が、殺されないために毎夜怪談話を聞かせて、その100日後に何かが起こるというストーリー。
主役のお姫様がクラス投票でハナになった。
私も、シミズの宣言どうりキャストの一人になっていた。
役決めの時「 シミズ推薦枠」という謎の決め方によって。
とはいえ、たった一言だった。
台詞……。
それも、名前もついてないモブキャラ。
別に期待してた訳じゃないけど、いや、ちょっと期待してたのかも、がっかりしたのは否めなかったもん。
仕方ないか、私ってそういう存在だもんね。
作業用BGM (G)I-DLE OH MY GOD
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