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第3章 略奪溺愛とか重すぎるので、逃げ出させていただきます!しかし回り込まれてしまった!
第12話 大抵の場合、王太子の傍にいるブリっ子清楚ビッチには、ロクでもない本命の男がいる。
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卒業パーティーの行われていた迎賓館を出てたララミーは、エントランスの前で車が来るのを待っていた。
「ああ、港の海軍基地に向かう」
ララミーは臣下にわざわざ線を伸ばさせた電話機で、港にある海軍基地の司令官と通話していた。
『陛下御自らですか?!しかし何の歓待のご用意もしておりませ…』
「歓待などどうでもよい。そんなことより船だ。足の速い蒸騎戦輸送船を中隊分用意しろ。とにかく至急だ。いいね?」
『空母ではなくてですか?』
「ことは一刻を争う。疑問を挟まないで手を動かせ。いいな?」
『りょ、了解いたしました!すぐに手配します!』
そして電話を切った時にちょうど車がやってきた。豪奢なリムジン。護衛として周囲には装甲車と腕利きの兵士たちが乗るバイクが展開していた。ララミーはリムジンに乗り込み、出発しようとした時だった。
「待って陛下!あたしをおいてかないで!!」
走ってきたマルルーチェがリムジンのドアを開けて車の中に入ってきた。そしてララミーの隣にちょこんと座った。マルルーチェは少し息を切らして肩を上下に揺らしていた。ララミーが運転手に合図を出し、車は出発した。
「いったいどうしたんだね?そんなに急いで」
「だって。だって陛下が…」
マルルーチェは顔を少し赤くし、ララミーの頬に手を当てる。そしてそのまま深く口づけした。
「だって陛下がお可哀そうで…ジョゼーファのせいで王太子殿下がお亡くなりなられたのですから…きっと悲しんでいると思って…それで…」
唇を離したマルルーチェはララミーの膝の上に乗った。ララミーの体に自慢の胸を押し付けるようにしなだれかかる様はまるで超一流の花魁のような艶やかさがあった。だがマルルーチェの持つ色香をララミーは鼻で嗤って受け流す。
「くだらん。息子ならいくらでもいる。一人死んだくらいどうということもない。それよりだ。さっきの婚約破棄!あれは傑作だったな!あはは!いやーあれは出し物としてはよかったぞ!本当にな!!ははは!」
ララミーは先ほどの婚約破棄騒動を思い出して心底楽しそうに笑っている。それを見てマルルーチェは唇を尖らせる。
「酷いよ陛下!あたしあの時の陛下のお言葉めっちゃ傷ついたんですよ!陛下のご命令通り王太子とジョゼーファを学園で不仲に追い込んだのに、陛下ったら王太子のあのキモいアドリブに乗っかっちゃって!」
「ああ。すまないね。だけどあの場でカーティスと君の結婚話に水差したらそれこそジョゼーファが漬け込んできたはずだぞ。そうしたらお前とカーティスは今頃国外追放されていたかもしれん!政治は水ものだからな、くく、おっと」
マルルーチェはララミーの唇を再び奪う。今度は舌も絡めるようなより激しいものだった。運転手がルームミラー越しにそれを見て顔を赤らめるくらいに。
「んっちゅ、ぷはっ。もう陛下!あたしのキモチ全然わかってないの!いくらお芝居でも好きな人に他の男と結婚しても構わないなって言われたら泣いちゃうよ。あたしが愛してるのは陛下だけなのに…」
マルルーチェはララミーの首に絡みついて甘える。
「ふむ。そうかそうか」
だがララミーの反応は芳しくない。さらりと受け流してしまう。
「陛下。ララミー様。ねぇ。さっきなんでジョゼーファにあんなこと言ったの?」
「なんのことかな?」
「命を授けてくれって…新しい命ならあたしだってララミー様にあげられるよ!ジョゼーファにそんなことさせる必要なんてないよ!あたしがいるの!王子でも姫でも!何人だって産んであげます!」
ララミーの手を握り、彼の青い瞳をマルルーチェは真剣に見詰めていた。
「もうカーティスさまもいません。ジョゼーファだって排除できた。ララミー様。あたし正式にララミー様の奥さんになりたいの」
「何を言うかと思えば。まったく…。ふぅ」
まったくマルルーチェの事に興味も関心も無さそうなララミーの顔は酷く冷たいものだった。マルルーチェは顔を伏せる。
「なんでジョゼーファ何ですか?あの女何なんですか?!カーティスの婚約者が悪い女だから排除するってあたしに言ったじゃないですか!!嘘だったんですね!あたしそれを信じてたから、カーティス達おこちゃま男子たちを煽ったんですよ!なのになんなんですかあの女!本物の悪党じゃないですか!悪役令嬢なんて渾名をくれてやったのはあたしだけど、それ以上の悪党ですよ…」
「ああ、最高の悪党だったね!実に愉快だった。面白い女だったよジョゼーファは!」
「面白い女?!…だめですよ。ララミー様。あいつはだめ!絶対だめ!あたし、ララミー様が他の女にいくら愛を囁こうとも、いくら抱いてもかまいません!でもジョゼーファだけはだめ!だめなの!」
マルルーチェは涙をポロポロと流しながら続ける。
「あたしあいつが怖いです…あいつ意味わかんない。誰か強い男の女でもないくせになんであんなに堂々としてられるの?あんなに沢山の人に見られてるのに品も作らずに胸を張れるのかがわかんない。あんなの女の子じゃないよ。ねぇララミー様、あたしの方があいつよりずっとずっと可愛いでしょ?そうでしょ?」
「そうだね。君の方がずっと愛らしい女の子だろうね」
「ねぇララミー様。あたしは皆が可愛いっていう女の子だよ。皆があたしにキスしたいって、皆があたしを抱きたがってる。でもあたしを抱けるのもキスできるのもララミー様だけなんだよ。あたしの全部を知ってるのはあなただけなの…」
マルルーチェは頬を赤く上気させララミーの頬にこすりつける。至近距離から二人は見つめ合う。
「ねぇこのまま何処かで2人っきりになりたいです。いっぱいいっぱいいつもよりずっとずっと激しく可愛がってほしいんです」
「だけど私には仕事があるんだ。戦争しないといけないんだよね」
「戦争なんかよりあたしの体の方がずっと愉しいでしょ?ララミー様いつも戦争の後はあたしをいっぱい抱きたがるくせに」
「それは断絶だ。男女の違いだね。戦争の後に女を抱くのは別の行為ではなく連続した行為だ。それに君は自分を騙してる」
「騙してなんかないよ。ララミー様あたしの体にいつも溺れてるもの」
「君も溺れてるんだよ、私の事にね。私も少し反省してるんだ。君はまだ処女だったのに、あんなところで初めて抱いてしまったのはよくなかった」
マルルーチェの艶やかな顔は一瞬にして冷たい能面のようなものになってしまう。
「その顔素敵だよマルルーチェ。認めたくないんだろう?本当は好きなんだろう?戦争で沢山の人間を死に追いやってきたばかりの私に君はいつも濡れてる。人でなし。残酷な女。気持ちいいんだろ?多くの人間の生き死にを決められる私に抱かれると、自分も強くなったように感じられる」
「そんなことない。ないです」
「じゃあ今すぐここで抱かれたいかね?それとも私が戦って帰ってきてから抱かれたい?どちらがいい?」
「あたしは…別にどちらでも…ララミー様がしたいようにしてくれれば」
「じゃあ、君も戦場に連れて行ってあげよう。そこで抱いてあげる」
「え?戦場?」
「ああ、戦場だよ。君と私が初めて出会ったあの城の時のような凄惨な戦場だ。これからジョゼーファと戦争するんだ」
「ジョゼーファと?あのジョゼーファと?!」
マルルーチェは目を厳しく細める。だけど同時に何処か甘いニュアンスを瞳には残していた。
「私は彼女を本気で殺しにいく。生き残れるかどうかはジョゼーファの天命次第だ。君は私の隣で見届けろ」
「…はぁい。見届けます。あの魔女が死ぬ無様なさまを必ず見届けます!」
ララミーとマルルーチェは額を重ねる。
「可愛いよマルルーチェ。愉しみだね」
「はい。きっと凄くすごく乱れちゃう。でもあたしのこと嫌いにならないでね、ララミー様」
2人の唇が重なる。残酷なる運命の時まで。あと少し。
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「待って陛下!あたしをおいてかないで!!」
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「いったいどうしたんだね?そんなに急いで」
「だって。だって陛下が…」
マルルーチェは顔を少し赤くし、ララミーの頬に手を当てる。そしてそのまま深く口づけした。
「だって陛下がお可哀そうで…ジョゼーファのせいで王太子殿下がお亡くなりなられたのですから…きっと悲しんでいると思って…それで…」
唇を離したマルルーチェはララミーの膝の上に乗った。ララミーの体に自慢の胸を押し付けるようにしなだれかかる様はまるで超一流の花魁のような艶やかさがあった。だがマルルーチェの持つ色香をララミーは鼻で嗤って受け流す。
「くだらん。息子ならいくらでもいる。一人死んだくらいどうということもない。それよりだ。さっきの婚約破棄!あれは傑作だったな!あはは!いやーあれは出し物としてはよかったぞ!本当にな!!ははは!」
ララミーは先ほどの婚約破棄騒動を思い出して心底楽しそうに笑っている。それを見てマルルーチェは唇を尖らせる。
「酷いよ陛下!あたしあの時の陛下のお言葉めっちゃ傷ついたんですよ!陛下のご命令通り王太子とジョゼーファを学園で不仲に追い込んだのに、陛下ったら王太子のあのキモいアドリブに乗っかっちゃって!」
「ああ。すまないね。だけどあの場でカーティスと君の結婚話に水差したらそれこそジョゼーファが漬け込んできたはずだぞ。そうしたらお前とカーティスは今頃国外追放されていたかもしれん!政治は水ものだからな、くく、おっと」
マルルーチェはララミーの唇を再び奪う。今度は舌も絡めるようなより激しいものだった。運転手がルームミラー越しにそれを見て顔を赤らめるくらいに。
「んっちゅ、ぷはっ。もう陛下!あたしのキモチ全然わかってないの!いくらお芝居でも好きな人に他の男と結婚しても構わないなって言われたら泣いちゃうよ。あたしが愛してるのは陛下だけなのに…」
マルルーチェはララミーの首に絡みついて甘える。
「ふむ。そうかそうか」
だがララミーの反応は芳しくない。さらりと受け流してしまう。
「陛下。ララミー様。ねぇ。さっきなんでジョゼーファにあんなこと言ったの?」
「なんのことかな?」
「命を授けてくれって…新しい命ならあたしだってララミー様にあげられるよ!ジョゼーファにそんなことさせる必要なんてないよ!あたしがいるの!王子でも姫でも!何人だって産んであげます!」
ララミーの手を握り、彼の青い瞳をマルルーチェは真剣に見詰めていた。
「もうカーティスさまもいません。ジョゼーファだって排除できた。ララミー様。あたし正式にララミー様の奥さんになりたいの」
「何を言うかと思えば。まったく…。ふぅ」
まったくマルルーチェの事に興味も関心も無さそうなララミーの顔は酷く冷たいものだった。マルルーチェは顔を伏せる。
「なんでジョゼーファ何ですか?あの女何なんですか?!カーティスの婚約者が悪い女だから排除するってあたしに言ったじゃないですか!!嘘だったんですね!あたしそれを信じてたから、カーティス達おこちゃま男子たちを煽ったんですよ!なのになんなんですかあの女!本物の悪党じゃないですか!悪役令嬢なんて渾名をくれてやったのはあたしだけど、それ以上の悪党ですよ…」
「ああ、最高の悪党だったね!実に愉快だった。面白い女だったよジョゼーファは!」
「面白い女?!…だめですよ。ララミー様。あいつはだめ!絶対だめ!あたし、ララミー様が他の女にいくら愛を囁こうとも、いくら抱いてもかまいません!でもジョゼーファだけはだめ!だめなの!」
マルルーチェは涙をポロポロと流しながら続ける。
「あたしあいつが怖いです…あいつ意味わかんない。誰か強い男の女でもないくせになんであんなに堂々としてられるの?あんなに沢山の人に見られてるのに品も作らずに胸を張れるのかがわかんない。あんなの女の子じゃないよ。ねぇララミー様、あたしの方があいつよりずっとずっと可愛いでしょ?そうでしょ?」
「そうだね。君の方がずっと愛らしい女の子だろうね」
「ねぇララミー様。あたしは皆が可愛いっていう女の子だよ。皆があたしにキスしたいって、皆があたしを抱きたがってる。でもあたしを抱けるのもキスできるのもララミー様だけなんだよ。あたしの全部を知ってるのはあなただけなの…」
マルルーチェは頬を赤く上気させララミーの頬にこすりつける。至近距離から二人は見つめ合う。
「ねぇこのまま何処かで2人っきりになりたいです。いっぱいいっぱいいつもよりずっとずっと激しく可愛がってほしいんです」
「だけど私には仕事があるんだ。戦争しないといけないんだよね」
「戦争なんかよりあたしの体の方がずっと愉しいでしょ?ララミー様いつも戦争の後はあたしをいっぱい抱きたがるくせに」
「それは断絶だ。男女の違いだね。戦争の後に女を抱くのは別の行為ではなく連続した行為だ。それに君は自分を騙してる」
「騙してなんかないよ。ララミー様あたしの体にいつも溺れてるもの」
「君も溺れてるんだよ、私の事にね。私も少し反省してるんだ。君はまだ処女だったのに、あんなところで初めて抱いてしまったのはよくなかった」
マルルーチェの艶やかな顔は一瞬にして冷たい能面のようなものになってしまう。
「その顔素敵だよマルルーチェ。認めたくないんだろう?本当は好きなんだろう?戦争で沢山の人間を死に追いやってきたばかりの私に君はいつも濡れてる。人でなし。残酷な女。気持ちいいんだろ?多くの人間の生き死にを決められる私に抱かれると、自分も強くなったように感じられる」
「そんなことない。ないです」
「じゃあ今すぐここで抱かれたいかね?それとも私が戦って帰ってきてから抱かれたい?どちらがいい?」
「あたしは…別にどちらでも…ララミー様がしたいようにしてくれれば」
「じゃあ、君も戦場に連れて行ってあげよう。そこで抱いてあげる」
「え?戦場?」
「ああ、戦場だよ。君と私が初めて出会ったあの城の時のような凄惨な戦場だ。これからジョゼーファと戦争するんだ」
「ジョゼーファと?あのジョゼーファと?!」
マルルーチェは目を厳しく細める。だけど同時に何処か甘いニュアンスを瞳には残していた。
「私は彼女を本気で殺しにいく。生き残れるかどうかはジョゼーファの天命次第だ。君は私の隣で見届けろ」
「…はぁい。見届けます。あの魔女が死ぬ無様なさまを必ず見届けます!」
ララミーとマルルーチェは額を重ねる。
「可愛いよマルルーチェ。愉しみだね」
「はい。きっと凄くすごく乱れちゃう。でもあたしのこと嫌いにならないでね、ララミー様」
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