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第9話・前 俺に、異能力適性検査でFランクを取る素質はない!
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千葉と言えば様々なラノベの舞台となった一種の聖地である。だが千葉を舞台にしたラノベは所詮は房総半島の外に過ぎず、言ってしまうならば東京の植民地のような場所に過ぎない。俺がこよなく尊敬する腐った目でどう考えても選ぶ女を間違えている優しいイケメンさんもビッチ予備軍にしか見えない理不尽系ギャル実妹にやたらと優しいお兄ちゃんも、俺から見れば千葉王国を東京に売り払った売国奴の一種である。それに対して俺が今向かっているのは、まさに千葉オブ千葉と言ってもいい秘境なのだ!!
「へぇ…アクアラインの隣にリニアが走ってるなんてやるじゃん!まじ未来!」
原作主人公と遭遇するのが嫌だった俺は、原宿から川崎に向かってそこのネカフェで一泊した後、川崎-木更津を結ぶ東京アクアライン高速道路に併設された特急のリニアモーターカーに乗り込んだ。海の底に作られた透明なパイプの中を走るこのリニアモーターカーは窓から海底の美しい風景が見えるのだ。この世界は異能の力が認知されているので、科学力も現実よりはるかに進んでいる。こんなにすごい鉄道が走っているのに、我が故郷N県には未だに鉄道がない。一体この世界の日本のインフラはどうなっているんだろう?
「木更津ー木更津ー。次は終点の木更津セントラル駅です。御忘れ物の内容にお願いいたします。駅ゲートは房総府市民登録のある方と、行政特区外部からお越しになられた方で、入境審査ゲートが異なっております。案内板をよくご覧の上お進みください」
房総異能特区。正式には行政特区・房総府という。でも世間からは新しい都道府県の『府』としては認知されず、あくまでも特区と呼ばれ続けている。この世界には残念ながら千葉県は存在しない。かつては存在していたが、第三次世界大戦後、房総半島が更地となってしまい、そのまま跡地を異能者用の自治区として利用するために自治体としては廃止された。現在この房総異能特区は、世界各地から差別や迫害を逃れた異能者たちが住まう、一種の独立国家に等しい場所となった。もちろん日本政府だって馬鹿ではないので、異能特区相手には土地を租借するための様々な条件を課している。あくまでも認められた範囲での自治権のみを行使している状態だ。例えば房総府には国会議員選出の選挙区が割り当てられてないし、なのに住民には日本有事の際の徴兵が割り当てられている状態だ。変に現実的な設定が用意されている。さらにいうとこの世界の房総半島は本州から物理的に隔絶されている。利根川の水路と、旧国道51号に沿うように作られた巨大な壁によって本州との往来は阻まれているのだ。行き来できるのは一部の入境ゲートのみである。だけどそれでもこの特区には賑わいがあった。俺はリニアから降りて住民用ゲートの方を通って(IDカードはちゃんと機械を通ってくれた。マジで完璧な偽造が施してあるようだ)、木更津セントラル駅の外へ出た。
「うわ…すげぇ…100万ドルの夜景とか見れそう(小並感)」
俺の目に100mを超えるビルの群れが映った。東京でさえもこんなにたくさんの高層ビルはないだろう。きっとニューヨークとかだってこんなすごい摩天楼はないだろう。ここ木更津市が房総府の府都として指定されている。ここ房総異能特区は世界各地から魔術師超能力者呪術師陰陽師妖精妖怪エルフドワーフ猫耳犬耳狐耳吸血鬼超人魔人…長い!とりあえず思いつく限り何でもかんでもファンタジーな連中が集まってきているのだ。みんな母国から逃れてここに移民してきた。だからさっきから本当に色んな種族の人たちとすれ違っている。
「ふぇぇ…木更津がこんなに大都会になるなんて…まあリアル木更津に行ったことないんだけどね」
この世界の木更津は周辺人口合わせて、都市圏人口が2000万人を超える超超大都会である!東京よりもヤバいのだ。一応看板とか公用語は日本語なので、多少の親しみは持てるけど歩いている人たちは、みんなファンタジー。これもう異世界でいいんじゃないかな?ジャンルをハイファンタジーにしてもいいんじゃないかな?どうせ東京民から見たら、東京以外の土地の話なんてハイファンタジーでしょ?ちがう?さーせん。
「さて…俺の学校は…郊外の富来田ってところか?どうやっていくんだろう?はて?」
などと路線図の前でぶつぶつと言っていれば、俺の事をきっとまだ原作主人公と出会っていない原作ヒロインさんが優しく助けてくれるんじゃないかって期待しているんだけど。当然そう上手くはいかない。俺は結局たった一人でバスに乗って、房総府立大学付属富来田高校へと向かった。
「でか!しかもなんか建物がオシャレ!いいね!このSFっぽい感じ!!」
富来田高校は打ちっぱなしコンクリートの外見を持った超オシャレなまるでデザイナーズマンションみたいなデザインの建物だった。原作者『イゴスガンマ』は建物のデザインに無駄に拘りがあり、わざわざ知り合いの建築士に相談までして建物を書いているそうだ。ちなみにN県もなんか都市デザインは本当にいい。NTRにそれは必要ですか?ってレベルでかっこいい。ちなみに俺の実家も注文住宅なみのオシャレ物件でした。俺の部屋、描写はなかったけど、ロフトとか中二階とかあったんだぜ?かっけえやろ?女の子連れ込むには最高のおシャンティさ。なお連れ込まれる女はビッチだし、ファンタスティックビッチが俺の部屋に連れ込むのは間男たちである…。
「すみません!入学を希望します!!」
「入学を希望…?あっはいはい。入学の手続きね。というか今日が締め切りなんだけど…ギリギリだね?ウチは特区で一番の名門高校だから入学手続き開始その日のうちに全員手続きしちゃうんだけど…。君、変わってるね…」
事務のお姉さんは窓口のすりガラス越しに気だるげな声でそう言った。というかこの声…絶対に有名声優の声だ!!気だるげでエッチな甘さのあるボイスなのに、ビッチ臭さがまったくない!!!間違いない!『千葉王』の原作キャラクターだ!!
「あれ?君。房総特区の統一異能力適性調査試験を受けてないの?異能力のランクを持ってないんだ。変わってるなぁ…。普通願書提出の時に一緒に出すはずなんだけど…?」
すりガラス越しにだが、お姉さんが怪訝そうな声を出していた。これは多少の言い訳をしないといけないね。嘘をつくときのコツは多少の真実を混ぜることって、どっかで聞いたことがある。
「あはは、俺は外から来たんですよ!トラックに轢かれそうな野良犬を助けようとして轢かれそうになった時に異能の力に目覚めちゃって!ははは!」
こんな雑な理由で異能の力に目覚めたら世間のラノベ主人公は皆異能者になれるような気がする。なお俺はNTRによって脳が破壊されて目覚めたとかいう、なんか若干JRPGによく出てくる悲しい過去を背負ったラスボスみたいな背景だ。
「ふーん。そう…。野良犬を見捨てさえすれば、こんなところに来なくて済んだのに…可哀そうね…」
異能者の人生は難しい。超常の力には誰しもが憧れるが、同時に普通の人々から弾かれる呪いともなってしまう。原作キャラクターたちは皆異能の力に大なり小なり振り回されてきた者たちばかりだ。
「いいわ。テストしてあげる…私についてきて…」
そう言って、窓口横のドアからお姉さんが出てきた。短いタイトスカートに黒味の濃いパンスト、そして胸元がぱっつぱっつんのシャツ。その上に白衣を纏っている。そして足は茶色の便所サンダル。今どき逆に見ないよね?このサンダル…。
「保険医のコンセプシオン・アルヴァレス…めんどくさいけど、いまここで異能力の統一適性試験をしてランクを出してあげる。めんどくさいけど…すごくめんどくさいけど…」
赤紫色のつよいマルーン色の長くて少しウェーブした髪に、暗めの青い瞳の気だるげな表情の美女が俺の目の前にいた。左目の下の泣きほくろがとってもセクシーでかわいい。…いいね!こういう気だるげな色気のある女教師!俺の担任だった清楚系ビッチ椛ちゃんはこの人の雰囲気を見習ってほしいよ!!ちなみに房総特区では外国名の人とか普通にいる。というか房総特区の住民の半分以上は外国から来た人かその二世三世だ。
「はい!よろしくお願いします!!!」
入試での異能力試験と特区が住民を対象に行っている能力適性テストは別枠になっている。いわゆる異能学園でいうところの能力のランクはこの世界では統一適性試験の結果を指す。統一適性試験の能力判定基準は国際機関の偉い学者さんたちが研究結果をもとにカンファレンスで随時決めている。なので測定器の測定範囲外の数値の魔力なので、表示が桁落ちしてしまい、本当はSランクの実力なのにFランクです。みたいなことは基本的には起こりえない。逆にシビアだなぁ。
「…大きな声出さないで…眠気が吹っ飛んじゃうでしょ…はぁ…だるい…」
お眠キャラなアルヴァレス先生は、よく異能学園モノに出てくる女科学者キャラだぞ!!主人公の担任教師のヘビースモーカーのサバサバ系黒髪教師となんかちょっと百合百合してる感じだ!当然原作主人公といずれはフラグが立っちゃうんだぞ!
「へへ。すみません。俺の力を試せるって思ったらなんか気合入っちゃって!」
「…君変わってるね。外の人って…皆そんな感じなの?」
「男なら異能の力に目覚めたら、Fランクで周りに蔑まれながら成り上がりざまぁを目指すもんですよ!」
「そう?君ポジティブだね…。みんな適性試験は受けたがらないんだけどなぁ…。自分の異能の限界が見えちゃうから、楽しくないって思うはずなんだけど…。私も自分の力の形は見たくなかった…。知ればそれに縛られるから…」
何処となく沈んだ声でアルヴァレス先生はそう言った。この人もあれです。巧美たん並みに重い設定があります。この人は自称ハーフエルフで、長い髪の下には少しだけ尖った耳がある。それを少しコンプレックスにしている。だけどそれ以上にくそ重い出生の秘密が当然のようにある。正直それに関わるとヤバそうなんで今は放置しておこうと思う。でも絶対最初はそんな設定なかったはずなんだよね。多分ただのハーフエルフ設定があっただけ、だけどたまたま主人公と会話したイベント時の台詞と反応と表情がすごく可愛かったもんだから、読者アンケート伸びちゃってテコ入れという長期漫画独特の大人の事情があったんだと思われ。まあファンは皆『あれもこれも伏線だったのか!?イゴスガンマ先生sugeeeeee!!』とかよいしょしてる。…いいかげん現実見ようぜ?
「でも俺は自分の限界はちゃんと知っておきたいですね。じゃないと何処に壁があるかわからないじゃないですか。壁がどこにあってどれくらい高いかわかればきっと超えられる。俺はそう思うんですよ」
そう、自分の限界はちゃんと知っておくべき!例えばどんなに頑張ってもヒロインは必ずNTRされるとかな!!間男たちのちんちんは俺のよりも大きいとかな!!壁を知っていれば、それを回避できる!俺は実際ビッチ共の作る人生の壁は超えられないと判断して、N県から逃げてきました!!
「…君、ほんとに変わってるね…。この特区でそんなこと言える人はいないと思うんだけどね…ちょっと気になるかな?……君、名前は?」
おい…俺はたった今書類だしたよね?名前の欄見てないのかよ…。そうとう適当に仕事してたなこの女。原作でたまに担任教師が事務受付とかやってたけど、確かあれって教師たちに経費削減で押し付けてるバイトらしいんだよね。手当は出るけど、きっとやる気がないんだな…いとあわれ。
「ネトラ…じゃなかった涅杜㸚遠です!リオンでいいですよ!」
「そう…よろしくリオン…」
アルヴァレス先生は微かに微笑んでくれた。そして俺は先生の白衣越しの形がいいお尻を見つめながら、その後ろをついていったのだ。
「へぇ…アクアラインの隣にリニアが走ってるなんてやるじゃん!まじ未来!」
原作主人公と遭遇するのが嫌だった俺は、原宿から川崎に向かってそこのネカフェで一泊した後、川崎-木更津を結ぶ東京アクアライン高速道路に併設された特急のリニアモーターカーに乗り込んだ。海の底に作られた透明なパイプの中を走るこのリニアモーターカーは窓から海底の美しい風景が見えるのだ。この世界は異能の力が認知されているので、科学力も現実よりはるかに進んでいる。こんなにすごい鉄道が走っているのに、我が故郷N県には未だに鉄道がない。一体この世界の日本のインフラはどうなっているんだろう?
「木更津ー木更津ー。次は終点の木更津セントラル駅です。御忘れ物の内容にお願いいたします。駅ゲートは房総府市民登録のある方と、行政特区外部からお越しになられた方で、入境審査ゲートが異なっております。案内板をよくご覧の上お進みください」
房総異能特区。正式には行政特区・房総府という。でも世間からは新しい都道府県の『府』としては認知されず、あくまでも特区と呼ばれ続けている。この世界には残念ながら千葉県は存在しない。かつては存在していたが、第三次世界大戦後、房総半島が更地となってしまい、そのまま跡地を異能者用の自治区として利用するために自治体としては廃止された。現在この房総異能特区は、世界各地から差別や迫害を逃れた異能者たちが住まう、一種の独立国家に等しい場所となった。もちろん日本政府だって馬鹿ではないので、異能特区相手には土地を租借するための様々な条件を課している。あくまでも認められた範囲での自治権のみを行使している状態だ。例えば房総府には国会議員選出の選挙区が割り当てられてないし、なのに住民には日本有事の際の徴兵が割り当てられている状態だ。変に現実的な設定が用意されている。さらにいうとこの世界の房総半島は本州から物理的に隔絶されている。利根川の水路と、旧国道51号に沿うように作られた巨大な壁によって本州との往来は阻まれているのだ。行き来できるのは一部の入境ゲートのみである。だけどそれでもこの特区には賑わいがあった。俺はリニアから降りて住民用ゲートの方を通って(IDカードはちゃんと機械を通ってくれた。マジで完璧な偽造が施してあるようだ)、木更津セントラル駅の外へ出た。
「うわ…すげぇ…100万ドルの夜景とか見れそう(小並感)」
俺の目に100mを超えるビルの群れが映った。東京でさえもこんなにたくさんの高層ビルはないだろう。きっとニューヨークとかだってこんなすごい摩天楼はないだろう。ここ木更津市が房総府の府都として指定されている。ここ房総異能特区は世界各地から魔術師超能力者呪術師陰陽師妖精妖怪エルフドワーフ猫耳犬耳狐耳吸血鬼超人魔人…長い!とりあえず思いつく限り何でもかんでもファンタジーな連中が集まってきているのだ。みんな母国から逃れてここに移民してきた。だからさっきから本当に色んな種族の人たちとすれ違っている。
「ふぇぇ…木更津がこんなに大都会になるなんて…まあリアル木更津に行ったことないんだけどね」
この世界の木更津は周辺人口合わせて、都市圏人口が2000万人を超える超超大都会である!東京よりもヤバいのだ。一応看板とか公用語は日本語なので、多少の親しみは持てるけど歩いている人たちは、みんなファンタジー。これもう異世界でいいんじゃないかな?ジャンルをハイファンタジーにしてもいいんじゃないかな?どうせ東京民から見たら、東京以外の土地の話なんてハイファンタジーでしょ?ちがう?さーせん。
「さて…俺の学校は…郊外の富来田ってところか?どうやっていくんだろう?はて?」
などと路線図の前でぶつぶつと言っていれば、俺の事をきっとまだ原作主人公と出会っていない原作ヒロインさんが優しく助けてくれるんじゃないかって期待しているんだけど。当然そう上手くはいかない。俺は結局たった一人でバスに乗って、房総府立大学付属富来田高校へと向かった。
「でか!しかもなんか建物がオシャレ!いいね!このSFっぽい感じ!!」
富来田高校は打ちっぱなしコンクリートの外見を持った超オシャレなまるでデザイナーズマンションみたいなデザインの建物だった。原作者『イゴスガンマ』は建物のデザインに無駄に拘りがあり、わざわざ知り合いの建築士に相談までして建物を書いているそうだ。ちなみにN県もなんか都市デザインは本当にいい。NTRにそれは必要ですか?ってレベルでかっこいい。ちなみに俺の実家も注文住宅なみのオシャレ物件でした。俺の部屋、描写はなかったけど、ロフトとか中二階とかあったんだぜ?かっけえやろ?女の子連れ込むには最高のおシャンティさ。なお連れ込まれる女はビッチだし、ファンタスティックビッチが俺の部屋に連れ込むのは間男たちである…。
「すみません!入学を希望します!!」
「入学を希望…?あっはいはい。入学の手続きね。というか今日が締め切りなんだけど…ギリギリだね?ウチは特区で一番の名門高校だから入学手続き開始その日のうちに全員手続きしちゃうんだけど…。君、変わってるね…」
事務のお姉さんは窓口のすりガラス越しに気だるげな声でそう言った。というかこの声…絶対に有名声優の声だ!!気だるげでエッチな甘さのあるボイスなのに、ビッチ臭さがまったくない!!!間違いない!『千葉王』の原作キャラクターだ!!
「あれ?君。房総特区の統一異能力適性調査試験を受けてないの?異能力のランクを持ってないんだ。変わってるなぁ…。普通願書提出の時に一緒に出すはずなんだけど…?」
すりガラス越しにだが、お姉さんが怪訝そうな声を出していた。これは多少の言い訳をしないといけないね。嘘をつくときのコツは多少の真実を混ぜることって、どっかで聞いたことがある。
「あはは、俺は外から来たんですよ!トラックに轢かれそうな野良犬を助けようとして轢かれそうになった時に異能の力に目覚めちゃって!ははは!」
こんな雑な理由で異能の力に目覚めたら世間のラノベ主人公は皆異能者になれるような気がする。なお俺はNTRによって脳が破壊されて目覚めたとかいう、なんか若干JRPGによく出てくる悲しい過去を背負ったラスボスみたいな背景だ。
「ふーん。そう…。野良犬を見捨てさえすれば、こんなところに来なくて済んだのに…可哀そうね…」
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「いいわ。テストしてあげる…私についてきて…」
そう言って、窓口横のドアからお姉さんが出てきた。短いタイトスカートに黒味の濃いパンスト、そして胸元がぱっつぱっつんのシャツ。その上に白衣を纏っている。そして足は茶色の便所サンダル。今どき逆に見ないよね?このサンダル…。
「保険医のコンセプシオン・アルヴァレス…めんどくさいけど、いまここで異能力の統一適性試験をしてランクを出してあげる。めんどくさいけど…すごくめんどくさいけど…」
赤紫色のつよいマルーン色の長くて少しウェーブした髪に、暗めの青い瞳の気だるげな表情の美女が俺の目の前にいた。左目の下の泣きほくろがとってもセクシーでかわいい。…いいね!こういう気だるげな色気のある女教師!俺の担任だった清楚系ビッチ椛ちゃんはこの人の雰囲気を見習ってほしいよ!!ちなみに房総特区では外国名の人とか普通にいる。というか房総特区の住民の半分以上は外国から来た人かその二世三世だ。
「はい!よろしくお願いします!!!」
入試での異能力試験と特区が住民を対象に行っている能力適性テストは別枠になっている。いわゆる異能学園でいうところの能力のランクはこの世界では統一適性試験の結果を指す。統一適性試験の能力判定基準は国際機関の偉い学者さんたちが研究結果をもとにカンファレンスで随時決めている。なので測定器の測定範囲外の数値の魔力なので、表示が桁落ちしてしまい、本当はSランクの実力なのにFランクです。みたいなことは基本的には起こりえない。逆にシビアだなぁ。
「…大きな声出さないで…眠気が吹っ飛んじゃうでしょ…はぁ…だるい…」
お眠キャラなアルヴァレス先生は、よく異能学園モノに出てくる女科学者キャラだぞ!!主人公の担任教師のヘビースモーカーのサバサバ系黒髪教師となんかちょっと百合百合してる感じだ!当然原作主人公といずれはフラグが立っちゃうんだぞ!
「へへ。すみません。俺の力を試せるって思ったらなんか気合入っちゃって!」
「…君変わってるね。外の人って…皆そんな感じなの?」
「男なら異能の力に目覚めたら、Fランクで周りに蔑まれながら成り上がりざまぁを目指すもんですよ!」
「そう?君ポジティブだね…。みんな適性試験は受けたがらないんだけどなぁ…。自分の異能の限界が見えちゃうから、楽しくないって思うはずなんだけど…。私も自分の力の形は見たくなかった…。知ればそれに縛られるから…」
何処となく沈んだ声でアルヴァレス先生はそう言った。この人もあれです。巧美たん並みに重い設定があります。この人は自称ハーフエルフで、長い髪の下には少しだけ尖った耳がある。それを少しコンプレックスにしている。だけどそれ以上にくそ重い出生の秘密が当然のようにある。正直それに関わるとヤバそうなんで今は放置しておこうと思う。でも絶対最初はそんな設定なかったはずなんだよね。多分ただのハーフエルフ設定があっただけ、だけどたまたま主人公と会話したイベント時の台詞と反応と表情がすごく可愛かったもんだから、読者アンケート伸びちゃってテコ入れという長期漫画独特の大人の事情があったんだと思われ。まあファンは皆『あれもこれも伏線だったのか!?イゴスガンマ先生sugeeeeee!!』とかよいしょしてる。…いいかげん現実見ようぜ?
「でも俺は自分の限界はちゃんと知っておきたいですね。じゃないと何処に壁があるかわからないじゃないですか。壁がどこにあってどれくらい高いかわかればきっと超えられる。俺はそう思うんですよ」
そう、自分の限界はちゃんと知っておくべき!例えばどんなに頑張ってもヒロインは必ずNTRされるとかな!!間男たちのちんちんは俺のよりも大きいとかな!!壁を知っていれば、それを回避できる!俺は実際ビッチ共の作る人生の壁は超えられないと判断して、N県から逃げてきました!!
「…君、ほんとに変わってるね…。この特区でそんなこと言える人はいないと思うんだけどね…ちょっと気になるかな?……君、名前は?」
おい…俺はたった今書類だしたよね?名前の欄見てないのかよ…。そうとう適当に仕事してたなこの女。原作でたまに担任教師が事務受付とかやってたけど、確かあれって教師たちに経費削減で押し付けてるバイトらしいんだよね。手当は出るけど、きっとやる気がないんだな…いとあわれ。
「ネトラ…じゃなかった涅杜㸚遠です!リオンでいいですよ!」
「そう…よろしくリオン…」
アルヴァレス先生は微かに微笑んでくれた。そして俺は先生の白衣越しの形がいいお尻を見つめながら、その後ろをついていったのだ。
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