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マジック女子
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◻️1. Magic BAR K (夜)
アルバイトの山中美月は客の前でトランプマジックを披露していた。
美月 「お客さん。 あなたが選んだカードは、ハートの5ですね?」
客1 「残念! って言いたいけど・・・当たってます」
美月 「やったー」
客1 「悔しいな。 ていうか美月ちゃんはズゴイね!」
美月 「そんなことないですよ! 天童マスターにはかないませんもん!」
グラスを吹いているマスターが微笑む。
客1 「そのうち、マスターの腕、超えちゃうんじゃない?」
美月 「私なんてまだまだ! できないマジックいっぱいありますよ!」
客1 「えっ? そうなの?」
美月 「そうですよ!」
客1 「例えば?」
美月 「それ、聞いちゃいます?」
客1 「うん!」
美月 「スポーン曲げるマジックとかですね」
笑いながら、コップの水を飲む美月。
客1 「えっ? それできないの?」
美月 「できません! だって鉄ですよ! てーつ。 力づくじゃないと曲がらないですよ!」
客1 「以外だなー。 俺できるよ!」
美月 「嘘だー」
客1 「疑ってるでしょ?」
美月 「(頷く)」
客1 「よし、本気でやっちゃお! マスター、スプーン貸してよ!」
グラスを吹く手を止める天童マスター。
天童 「えっ? お客さん、そう言うて、うちのスプーン曲げすぎやからな!」
客1 「いいじゃん! 今度、たっぷり買ってくるからさ!」
天童 「また、そんなこと言うて、一個も買ってこうへんやん!」
客1 「そう言うと思いまして、今まで曲げてきた分のスプーンを買ってきました!」
100均のスプーンが 10本袋に入って渡される。
天童 「ありがたいけど、まだ足りひんぞ!」
客1 「嘘やろ?」
天童 「あと、30本な! 30本」
美月 「どれだけ曲げたの?」
客1 「とりあえず今回はこれで曲げます!」
買ってきた新品のスプーンでマジックを披露する客1。
机に叩いたりとマジシャンのように見せる仕草に食いつく美月。
美月 「仕掛けあるんでしょ?」
スプーンを奪い自分で確かめる
美月 「確かに・・・」
スプーンを返すと客1は、見るも簡単に、スプーンを曲げる。
美月 「ウソ! なんで?」
客1 「すごい?」
美月 「なんで、こんな普通のおじさんにできて、私ができないんだろう?」
客1 「普通のおじさんって・・・」
笑いをこらえるのに必死な天童。
美月 「絶対に、曲げて見せる!」
客1 「できたら、見せてよ!」
美月 「絶対に見せますよ! 1週間でやってみせます!」
客1 「また来るよ! マスター、お愛想!」
天童 「マジックバーなんだからさ、寿司屋みたに言わずに、チェックとか言えない?」
客1 「ハイハイ。」
天童 「55万円な!」
客1 「嘘つけ!」
天童 「5500円ね」
客1 「びっくりしたー」
天童 「次は、30本な!」
天童は客1とやり取りを終えると、美月の元にやって来る。
天童 「美月ちゃん、ユリ・ゲラーって知ってる?」
美月 「ユリゲラー? 知らないです。 何かの建物ですか?」
天童 「ちゃうよ! 人よ! 人」
美月 「知らないです」
天童 「時代やな。 知らんかー」
◻️2. 店の外 (夜)
店を出た客1。
見た目はサラリーマンの男性だが店の外に出るや否や辺りを確認し、
路地裏に入っていく。
路地裏に入り、誰もいないことを再度確認し、顔を揉み込む。
先ほどまで初老の男性だったのが一気に若返る。
男 「あの子のリアクション、アシスタントにしようかな」
そのまま路地を進む男性
◻️3. Magic BAR K・店内
携帯で動画を見せる天童。
動画には、外国人の男性が「マガレ」と頻りに連呼している動画が流される。
美月 「何これ?」
天童 「昔はこれが流行ってね。 ユリ・ゲラーっていう超能力者やねんけどね、
美月ちゃんも、この人みたいに、念じてたらできるんじゃない?」
美月 「そんなんでできたら苦労しないんですけど!」
天童 「やってみなって!」
美月 「できなかったら? できなかったらマスター、何かあります?」
天童 「そうやなー、美月ちゃんに寸志あげるわ!」
美月 「ス・ン・シ?」
天童 「寸志も知らんのか? 寸志」
美月 「知りません!」
天童 「まあ、できたらのお楽しみってことで!」
美月 「できるわけないのに!」
店のスプーンを手に取る美月。
ユリ・ゲラーのごとく「マガレ」と連呼している。
美月 「マガレー、マガレー」
美月の一念をかけてスプーンに手をかけ、一気に曲げようとする
天童 「そんな簡単にでき」
美月 「できた!」
天童 「ウソ!」
喜びながら天童の下に駆け寄る美月。
美月 「できたよ! マスター、ほら!」
天童 「力づくでやったんちゃうやろうな!」
美月 「失礼な!」
曲げたスプーンを見せる美月。手に取る天道。
天童 「ホンマや!」
美月 「約束のスンシ!」
天童 「あげるけど、本当に曲げれるようになってるかわからんから、
目の前で見して!」
美月 「疑り深いんだから!」
店のスプーンを手に取り天童に実演する美月。
美月 「ここに、タネも仕掛けもない普通のスプーンがあります。確かめてみて下さい」
天童 「確かに」
美月 「よく見ててくださいね!」
皿の部分に手を当てて、マガレと唱えながら後ろに曲げる美月。
美月 「ほら! できたでしょ!」
天童 「できるようになってる・・・」
美月 「証拠、見せたからください! スンシ」
天童 「悔しいけど、寸志あげるよ」
美月 「やったー」
天童が財布を出して、五百円玉を美月に渡す。
美月 「やったー!」
天童 「その代わり、どんどんマジックを上達させて行ってください!」
美月 「はーい!」
◻️4. 4日後、Magic BAR K・店内
開店してすぐに来る常連の男性。
片手には、残りの弁償スプーンが入った袋を持っている。
男性 「はい、約束の残りね!」
天童 「おおきに!」
男性 「美月ちゃんは?」
天童 「まだ、出勤してません」
タイミングよく美月が出勤して来る。
男性 「美月ちゃん!」
美月 「あっ! スプーンまげのおじさん!」
男性 「スプーンまげできるようになった?」
美月 「エッヘン!」
腰に手を当てて威張る美月。間髪入れずにスプーンを渡す男性
男性 「はい、これ。 曲げてみて!」
美月 「イキナリですか?」
男性 「マジシャンは、どんな時でも出来ないとね!」
美月 「しょうがないなー。 行きますよ! マガレー、マガレー」
スプーンを曲げる美月。
男性 「すごいね! これなら、君のキャラとともに行けるよ!」
美月 「何が?」
男性 「ごめんね! マスター、実はね、俺、こういうものなんだ!」
顔を揉み込む。先ほどまで初老の男性が一気に若返り、正体を見せる。
美月・天童 「えー!」
男性 「自己紹介遅れました。 Mr.藤堂こと、権藤健介です。」
美月 「ホ、ホンモノ?」
権藤 「本物です。 驚かせてごめんなさい!」
美月 「まさか! 生で会えるなんて! 私、死ぬかも・・・」
天童 「何で、権藤さんがうちに?」
権藤 「実は、アシスタントを探していましてね」
天童 「で?」
権藤 「だから、いいリアクションといい、飲み込みの早さといい全てにおいて
私の理想とする美月さんをアシスタントにしたいと思っています」
美月 「本当ですか? 私、MR.権藤のファンなんです!」
天童 「そう言われても、うちの従業員をスカウトしに来るって面の皮が
厚いってもんじゃないよ!」
権藤 「わかってます! なので、これが私の気持ちです」
分厚くなった封筒を渡す権藤。受け取って中をみる天童。
天童 「これ、トランプやないか!」
権藤 「間違いましたこちらです」
権藤が封筒を受け取り、指パッチンを鳴らす。
天童は、再びその封筒を手にし、中を見る。
天童 「ヒャ、ヒャ、百万円・・・」
権藤 「足りませんか?」
天童 「そういう問題じゃない!」
封筒を投げる天童。
天童 「そういうことではなくて、美月を奪って行くことが許せないわけ。
もっとちゃんとしたやり方があるだろ!」
権藤 「おっしゃる通りです。 少し試してみました。 すみません」
天童 「どういうこと?」
権藤 「一週間、私に美月さんを貸して貰えませんか?」
天童 「どうする気?」
権藤 「アシスタントになってもらいます。 ただし、1ヶ月だけです。
1ヶ月すぎたらアシスタントの契約は無効。
またマスターのところに戻ってもらいます。
もちろん、お店の宣伝もさせてもらいます」
天童 「だったら、約束してくれ! 美月をもっと一流のマジシャンにして
返してくれ。 それが頼みだ。 金も宣伝もいらん!」
権藤 「約束させていただきます。」
美月 「マスター・・・」
権藤 「ありがとうございます。」
天童 「美月ちゃん、しっかりと技を盗んで、一流のマジシャンになってこい!」
美月 「わかりました!」
権藤 「では、明日迎えに行きます」
天童 「権藤さん、美月に変なことしたら、許さんからな!」
権藤 「滅相もない! 私には妻も子もいますから!」
天童 「そうなの?」
権藤 「えぇ・・・」
美月 「えー、ショック!」
◻️5. 1ヶ月後
店に入って来る美月。
美月 「マスター! 戻ってきたよ!」
天童 「おかえり! どうだった?アシスタントしての1ヶ月は」
美月 「聞いてくださいよ!」
天童 「どうした!」
美月 「それが!」
美月から、1ヶ月の話を聞く天童。
天童 「えっ? スプーン曲げできなくなった?」
美月 「そうなんです!」
天童 「それ以外は出来るのにか?」
美月 「そうなんです! ロープも、コインも、人体切断マジックもできるのに!」
天童 「なんか、さらっとすごいことができるようになったな」
美月 「だから、もう一度、ここで修行します!」
天童 「そ、そうか・・・ まあ頑張って!」
また、1ヶ月前の賑やかさが戻ってきた気がした天童であった。
美月 「スプーンあります?」
天童 「はい」
スプーンを手に取り
美月 「マガレー、マガレー」
<了>
アルバイトの山中美月は客の前でトランプマジックを披露していた。
美月 「お客さん。 あなたが選んだカードは、ハートの5ですね?」
客1 「残念! って言いたいけど・・・当たってます」
美月 「やったー」
客1 「悔しいな。 ていうか美月ちゃんはズゴイね!」
美月 「そんなことないですよ! 天童マスターにはかないませんもん!」
グラスを吹いているマスターが微笑む。
客1 「そのうち、マスターの腕、超えちゃうんじゃない?」
美月 「私なんてまだまだ! できないマジックいっぱいありますよ!」
客1 「えっ? そうなの?」
美月 「そうですよ!」
客1 「例えば?」
美月 「それ、聞いちゃいます?」
客1 「うん!」
美月 「スポーン曲げるマジックとかですね」
笑いながら、コップの水を飲む美月。
客1 「えっ? それできないの?」
美月 「できません! だって鉄ですよ! てーつ。 力づくじゃないと曲がらないですよ!」
客1 「以外だなー。 俺できるよ!」
美月 「嘘だー」
客1 「疑ってるでしょ?」
美月 「(頷く)」
客1 「よし、本気でやっちゃお! マスター、スプーン貸してよ!」
グラスを吹く手を止める天童マスター。
天童 「えっ? お客さん、そう言うて、うちのスプーン曲げすぎやからな!」
客1 「いいじゃん! 今度、たっぷり買ってくるからさ!」
天童 「また、そんなこと言うて、一個も買ってこうへんやん!」
客1 「そう言うと思いまして、今まで曲げてきた分のスプーンを買ってきました!」
100均のスプーンが 10本袋に入って渡される。
天童 「ありがたいけど、まだ足りひんぞ!」
客1 「嘘やろ?」
天童 「あと、30本な! 30本」
美月 「どれだけ曲げたの?」
客1 「とりあえず今回はこれで曲げます!」
買ってきた新品のスプーンでマジックを披露する客1。
机に叩いたりとマジシャンのように見せる仕草に食いつく美月。
美月 「仕掛けあるんでしょ?」
スプーンを奪い自分で確かめる
美月 「確かに・・・」
スプーンを返すと客1は、見るも簡単に、スプーンを曲げる。
美月 「ウソ! なんで?」
客1 「すごい?」
美月 「なんで、こんな普通のおじさんにできて、私ができないんだろう?」
客1 「普通のおじさんって・・・」
笑いをこらえるのに必死な天童。
美月 「絶対に、曲げて見せる!」
客1 「できたら、見せてよ!」
美月 「絶対に見せますよ! 1週間でやってみせます!」
客1 「また来るよ! マスター、お愛想!」
天童 「マジックバーなんだからさ、寿司屋みたに言わずに、チェックとか言えない?」
客1 「ハイハイ。」
天童 「55万円な!」
客1 「嘘つけ!」
天童 「5500円ね」
客1 「びっくりしたー」
天童 「次は、30本な!」
天童は客1とやり取りを終えると、美月の元にやって来る。
天童 「美月ちゃん、ユリ・ゲラーって知ってる?」
美月 「ユリゲラー? 知らないです。 何かの建物ですか?」
天童 「ちゃうよ! 人よ! 人」
美月 「知らないです」
天童 「時代やな。 知らんかー」
◻️2. 店の外 (夜)
店を出た客1。
見た目はサラリーマンの男性だが店の外に出るや否や辺りを確認し、
路地裏に入っていく。
路地裏に入り、誰もいないことを再度確認し、顔を揉み込む。
先ほどまで初老の男性だったのが一気に若返る。
男 「あの子のリアクション、アシスタントにしようかな」
そのまま路地を進む男性
◻️3. Magic BAR K・店内
携帯で動画を見せる天童。
動画には、外国人の男性が「マガレ」と頻りに連呼している動画が流される。
美月 「何これ?」
天童 「昔はこれが流行ってね。 ユリ・ゲラーっていう超能力者やねんけどね、
美月ちゃんも、この人みたいに、念じてたらできるんじゃない?」
美月 「そんなんでできたら苦労しないんですけど!」
天童 「やってみなって!」
美月 「できなかったら? できなかったらマスター、何かあります?」
天童 「そうやなー、美月ちゃんに寸志あげるわ!」
美月 「ス・ン・シ?」
天童 「寸志も知らんのか? 寸志」
美月 「知りません!」
天童 「まあ、できたらのお楽しみってことで!」
美月 「できるわけないのに!」
店のスプーンを手に取る美月。
ユリ・ゲラーのごとく「マガレ」と連呼している。
美月 「マガレー、マガレー」
美月の一念をかけてスプーンに手をかけ、一気に曲げようとする
天童 「そんな簡単にでき」
美月 「できた!」
天童 「ウソ!」
喜びながら天童の下に駆け寄る美月。
美月 「できたよ! マスター、ほら!」
天童 「力づくでやったんちゃうやろうな!」
美月 「失礼な!」
曲げたスプーンを見せる美月。手に取る天道。
天童 「ホンマや!」
美月 「約束のスンシ!」
天童 「あげるけど、本当に曲げれるようになってるかわからんから、
目の前で見して!」
美月 「疑り深いんだから!」
店のスプーンを手に取り天童に実演する美月。
美月 「ここに、タネも仕掛けもない普通のスプーンがあります。確かめてみて下さい」
天童 「確かに」
美月 「よく見ててくださいね!」
皿の部分に手を当てて、マガレと唱えながら後ろに曲げる美月。
美月 「ほら! できたでしょ!」
天童 「できるようになってる・・・」
美月 「証拠、見せたからください! スンシ」
天童 「悔しいけど、寸志あげるよ」
美月 「やったー」
天童が財布を出して、五百円玉を美月に渡す。
美月 「やったー!」
天童 「その代わり、どんどんマジックを上達させて行ってください!」
美月 「はーい!」
◻️4. 4日後、Magic BAR K・店内
開店してすぐに来る常連の男性。
片手には、残りの弁償スプーンが入った袋を持っている。
男性 「はい、約束の残りね!」
天童 「おおきに!」
男性 「美月ちゃんは?」
天童 「まだ、出勤してません」
タイミングよく美月が出勤して来る。
男性 「美月ちゃん!」
美月 「あっ! スプーンまげのおじさん!」
男性 「スプーンまげできるようになった?」
美月 「エッヘン!」
腰に手を当てて威張る美月。間髪入れずにスプーンを渡す男性
男性 「はい、これ。 曲げてみて!」
美月 「イキナリですか?」
男性 「マジシャンは、どんな時でも出来ないとね!」
美月 「しょうがないなー。 行きますよ! マガレー、マガレー」
スプーンを曲げる美月。
男性 「すごいね! これなら、君のキャラとともに行けるよ!」
美月 「何が?」
男性 「ごめんね! マスター、実はね、俺、こういうものなんだ!」
顔を揉み込む。先ほどまで初老の男性が一気に若返り、正体を見せる。
美月・天童 「えー!」
男性 「自己紹介遅れました。 Mr.藤堂こと、権藤健介です。」
美月 「ホ、ホンモノ?」
権藤 「本物です。 驚かせてごめんなさい!」
美月 「まさか! 生で会えるなんて! 私、死ぬかも・・・」
天童 「何で、権藤さんがうちに?」
権藤 「実は、アシスタントを探していましてね」
天童 「で?」
権藤 「だから、いいリアクションといい、飲み込みの早さといい全てにおいて
私の理想とする美月さんをアシスタントにしたいと思っています」
美月 「本当ですか? 私、MR.権藤のファンなんです!」
天童 「そう言われても、うちの従業員をスカウトしに来るって面の皮が
厚いってもんじゃないよ!」
権藤 「わかってます! なので、これが私の気持ちです」
分厚くなった封筒を渡す権藤。受け取って中をみる天童。
天童 「これ、トランプやないか!」
権藤 「間違いましたこちらです」
権藤が封筒を受け取り、指パッチンを鳴らす。
天童は、再びその封筒を手にし、中を見る。
天童 「ヒャ、ヒャ、百万円・・・」
権藤 「足りませんか?」
天童 「そういう問題じゃない!」
封筒を投げる天童。
天童 「そういうことではなくて、美月を奪って行くことが許せないわけ。
もっとちゃんとしたやり方があるだろ!」
権藤 「おっしゃる通りです。 少し試してみました。 すみません」
天童 「どういうこと?」
権藤 「一週間、私に美月さんを貸して貰えませんか?」
天童 「どうする気?」
権藤 「アシスタントになってもらいます。 ただし、1ヶ月だけです。
1ヶ月すぎたらアシスタントの契約は無効。
またマスターのところに戻ってもらいます。
もちろん、お店の宣伝もさせてもらいます」
天童 「だったら、約束してくれ! 美月をもっと一流のマジシャンにして
返してくれ。 それが頼みだ。 金も宣伝もいらん!」
権藤 「約束させていただきます。」
美月 「マスター・・・」
権藤 「ありがとうございます。」
天童 「美月ちゃん、しっかりと技を盗んで、一流のマジシャンになってこい!」
美月 「わかりました!」
権藤 「では、明日迎えに行きます」
天童 「権藤さん、美月に変なことしたら、許さんからな!」
権藤 「滅相もない! 私には妻も子もいますから!」
天童 「そうなの?」
権藤 「えぇ・・・」
美月 「えー、ショック!」
◻️5. 1ヶ月後
店に入って来る美月。
美月 「マスター! 戻ってきたよ!」
天童 「おかえり! どうだった?アシスタントしての1ヶ月は」
美月 「聞いてくださいよ!」
天童 「どうした!」
美月 「それが!」
美月から、1ヶ月の話を聞く天童。
天童 「えっ? スプーン曲げできなくなった?」
美月 「そうなんです!」
天童 「それ以外は出来るのにか?」
美月 「そうなんです! ロープも、コインも、人体切断マジックもできるのに!」
天童 「なんか、さらっとすごいことができるようになったな」
美月 「だから、もう一度、ここで修行します!」
天童 「そ、そうか・・・ まあ頑張って!」
また、1ヶ月前の賑やかさが戻ってきた気がした天童であった。
美月 「スプーンあります?」
天童 「はい」
スプーンを手に取り
美月 「マガレー、マガレー」
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