絶望的に順風満帆な異世界生活なんだけれども、誰か助けて（死んだ目）

6.こんなチートいらない

「ふぁ？」


　なんだろう、女神様からかな。

　俺の思考を読んだ女神様の伝言が書かれているのだろうか。

　そう予測してみる。


「むふ～ん、ふっふ！」


　残念でしたね女神様。努力してできないことなど人間にはないのだ。

　空を飛ぶために飛行機をつくり。生きるために効率的に食料を生産し。楽しむためにゲームをつくり。死にたくないから医学が充実する。

　だから言葉にするなら「何々、負け惜しみですか女神様？」という気持ちというわけで。


「……ふぎゃ？！」


　ある内容の書かれた画面をみて、思わず背筋がひんやりとしたのを自覚した。

　この気持ちを言葉にするなら恐怖だった。どうやら自殺禁止はそうとう厄介な代物らしいぞと。


(『神呪：自殺禁止』の効果により、『スキル：免疫力向上LV1』を獲得しました)


　身体がほのかな白い光に包まれる。と同時に、身体に活力がわいてくる。母親とアイシャと呼ばれた女性がゴクリと喉を鳴らしたことに気づくが、そんなことはどうでもよかった。


　まってくれ、まってくれ、本当に。

　そんなチート望んでいない。

　考えるだけでスキルゲットとか、テンプレチート主人公だ！

　……じゃねぇんだよ本当に。


「お、奥様……」


「……女神様の祝福でしたっけ、アイシャ？」


　というよりLV1ってことは、LV2もあるよな。

　まさか考えただけで、スキルが成長したりするのか？


　おそるおそる、免疫力減少の手段について考察する。

　暴飲暴食と偏った食事。睡眠不足やストレス。過剰な運動。身体を冷やす。

　つまり身体にわるいことをすれば免疫力が減少して、病気にかかり“死ねる”。


「だ、だだだ旦那様に報告をしないといけませんっ」


「そ、そうよね！　どうしましょう、大変なことに……！」


　それから何十分かがんばってみたが、ポップ画面は出てこなかった。

　ひとまず安心である。