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番外編

姫始め

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 新しい年が明けて、昼間からダラダラとこたつに入り浸っている。
 我が家にお隣さんの花咲家を招いて雑煮をたらふく食べ、母親達はキッチンでワイワイ。わたしとアキちゃんはこたつにへばりついてテレビを垂れ流し。一見とてものどかな風景だ。

 こたつテーブルの上には今雑誌が広げられている。さっきからアキちゃんがせっせとページを捲っては指差して教えてくる。
 そこにはかっこいい男の子達がポーズを決めていて、いわゆる男性用ファッション誌。なんと、去年の秋ごろスカウトされたアキちゃんはモデルデビューしてしまったのだ。

 最初はまったく興味なさそうだったのに、お金に目がくらんで今はノリノリである。
「タツ兄にさあ、めっちゃ世話んなってるから少しでも早くお金返したかったんだよね。この無駄な見た目が役に立つ時がきたな!」
 と、ご機嫌に言ってたが、タツ兄とは彼の幼馴染の『3エロトリオ』とわたしが勝手に呼んでいるうちのひとりカズヤ君、の兄でありわたしの小学校中学校高校での同級生でもあった今井達也のことでもある。

 そしてアキちゃんの言う「世話になってる」というのは、もっぱら避妊具の大量購入のことで。よって、ソレの数が減ってきてアキちゃんが彼に追加注文するということは、わたしとアキちゃんのエッチ進行が、まるで彼に筒抜けということでもあり、わたしはしばらく同窓会には出れないと、常々涙をチョチョ切らせている。


「ねえ、ほら。これとかどう? かっこよくね? ナツミどの俺がタイプ? なあなあ」
 アキちゃんはご機嫌でさっきから何聞いているのだ。わたしは今それどころではないのに。

「この俺とかどう? ナツミの好きなのがあったら衣装さんに教えてもらって同じの着るから、それでデートしようぜ」

 わたしだってちゃんと雑誌見たい!
 今までのも見てきたけど、ほんと、黙ってたらかっこいいのだと改めて思ったんだもん。
 もはやわたしにとってアキちゃんは『歩いて喋る卑猥物』扱いなので、この喋らず静止画での良いとこ取りなモデル業は彼の天職なのかもしれないというぐらいハマッていると思う。

 わたしの会社の同僚であり親友でもある小百合ちゃん曰く「闇属性」を携えているらしいビジュアルのアキちゃんにふさわしい、クールで少し大人びた、ちょっと悪い風を匂わすコーディネートがドはまりしている。逆に言うと、爽やかコーデはまったく回ってきてはいない。


「うっ……」
「ナツミ大丈夫か? かーちゃん!」
 アキちゃんはキッチンに声かけた。「やっぱナツミ調子悪そうだぞ。参拝無理じゃね?」
「あら、ナツミちゃん大丈夫?」
 アキちゃんの母親であるゆいさんが横まで来て顔を覗き込む。「あら、顔真っ赤じゃない」
「もー夏美ったら、今朝までピンピンしてたのにどうしたの? 救急行く?」
 わたしの母親も上から覗き込む。体を丸めて小さく首を振るので精一杯だ。

「おばさん、かーちゃん、ふたりで行ってきなよ。俺がナツミ見とくから」
 アキちゃんはこたつの正面からしれっと言う。最初からそのつもりだったくせに!

 ゆいさんがおでこに手を当てて、
「そこまで熱はなさそうね……」と言うと、うちの母からも体温計を渡された。
「節々が痛いとかじゃないのね?」
「……うん……たぶん寝たら治るレベル……」
「そう……じゃあ、お留守番しとく?」
「うん……」
「じゃあ、悪いんだけど晶君、夏美まかせてもいい?」
「おっけー」

 我が母は、一番預けてはいけない危険人物に娘を差し出してしまった。



 ふたりの母親達は出掛ける身支度をするために、自分の部屋や隣の家に戻っていくと、途端にリビングが静かにテレビの音だけを響かせる。
 しかし、音は他からも出ている。

「うっ……ん……」
 わたしはこたつの上で両手を握りしめて耐えるが、それでもフルフルと震えがおきてしまう。
「ナツミ……そんなエッチな顔して……正月早々煽ってる?」
 わたしは必然的になるしかなかった潤んだ瞳で睨んだ。
「もう……と、とめてっ」
「なにを?」

 アキちゃんはすっとぼけて頬杖をついてもう片方に持つリモコンをいじった。途端に、ウイーーンと機械音がこたつの中から響く。
「やっ!!」
 こたつに伏せて、下からかけ上がってくる信号から必死に意識を反らす。


 この目の前の涼しい顔した男子高校生は、我が家に来た途端わたしの下着の中にオモチャを入れたのだ。

「バイト代で買っちゃった! っていっても買い方わかんないからタツ兄にお願いしてたんだけど、よかった新年に間に合って」

 とか! 今井君!! こんな危険な子に変なオモチャ与えるのやめて!! もう一生同窓会参加できないっ!!


「ねえ、ナツミ……今どうなってんの? ぐちょぐちょ?」
「うっ……うう……」
「取りたくても取れないね? まだおばさんいるしね……。でも自分で取っちゃダメだからね」
「ばっ……ばかぁ。アキちゃんなんて……し、しらないっ」
「もうちょっと我慢して。そしたらそんなこと言えなくなるくらい気持ちよくしてあげるからね」

 ……だ、ダメだ……。ほんとにアキちゃん……末恐ろしいをすでに通り越してるんですけどっ。

 さっきから手元のリモコンをいじりまくって強弱をつけまくっている。わたしの敏感な所でずっとソレはブルブル震えて刺激を与え続ける。
「あっ……あっ……もっ」
「ダメだよナツミ、こんなのでイッちゃあ。俺以外で気持ちよくなったらペナルティな」

 お前が仕込んだんだろがーっ!

 とにかくペナルティやらが怖くて必死に意識を下から反らす。年末の残業の忙しさを思い出せっ。

 母親の部屋のドアが開いて思わずビクリと肩が揺れる。
「夏美、ゆっくり寝てなさいよ。じゃあ晶君、ごめんねよろしくね」
「はーい、いってらっしゃい」
 ユルユルと優雅に手を振るアキちゃんを対面からジッと睨んでやる。



 玄関のドアが閉まり施錠音が鳴ると、わたしはすぐにこたつから立ち上がった。しかし、自分の部屋に飛び込む前に敵に捕まってしまう。
 腰を後ろからがっちり腕でホールドされたまま、リビングの壁に押し付けられた。
「今、部屋に逃げて自分で取ろうとしたでしょ」
 耳朶を唇で軽く咥えたまま囁く悪魔。「ほんと悪い子。リビングで、みんながいつ帰ってくるかわからない中、アソコ丸出しで俺に弄られて喜ぶナツミを見たいのにぃ」
 スウェットの上から股を手で強く押さえつけられグリグリとオモチャの振動がダイレクトに伝わる。
「ああっ! もっ……ムリっ……とってアキちゃんっ」
「うーん……どうしよっかなあ。オモチャなんかでイかせたくないし、でもせっかくこの為に働いて買ったからもうちょっと使いたいし……悩むな」

 悩むなーーっ!!
 てかこんなモノの為にモデルしとんのかいっ!! あんな澄ました顔してそんなことばっか考えてんのかーーっ!!

「もっもう、いっちゃう!! うーーっ!!」
 身体が硬直しはじめ快楽の稲妻に備えると、突如ガバリとスウェットと下着が一気に引き下ろされた。

「あっ!」
 急に外気に触れた股はビショビショの為ヒヤリとして、それすら刺激となり軽く痙攣を起こす。

「ううっ」
 もはや半泣きで壁に顔を埋める。
「……遅かった……イッてしまったナツミが……」
 そう言いながらお尻を両手で鷲掴み広げる。「エロかった……ここすんげえヒクついてた」
「もっ喋るなーっ!」
「わかったわかった、喋るぐらいなら早くしろってことね」

 そんなこと一言も言ってないと、訴える間にベロリと大きな動作で股を舐められる。
「きゃあっ!!」
「びちょだよここ、ほら綺麗にしてあげるからもっと尻突き出して」
「いっいやっ」
「……ベロベロ舐めて綺麗にしてもどんどん溢れちゃって欲張りなナツミのナカに突っ込むっていうのがしたかったんだけど、ダメなの?」
「もっ、ほんといちいち変なこと言うなーっ」
「俺もうさっきからこたつの中で育ちきって痛いんだけど、挿れちゃおっかなあ。もうナカ蕩けてるし」
 指を入れられグルリと襞を指腹で撫でられ、コポリと新たに蜜が溢れる。
「んはっ……はぁはぁ」
「ほら、ナツミ……どうする? 挿れていい?」
「……」
「挿れたいな~俺ずっと我慢してたのにな~」
 アキちゃんは一瞬で自分のモノを取り出して、グリグリと押し付けてくる。「せっかくふたりで甘~いクリスマス過ごせるのかと思ったのにさ~仕事だ忙しいださあ~」

 ……根に持っているようだ。

「俺だって大変なんだぜ? ウヨウヨ沸いてくる女蹴散らしてクリスマス空けとくの。誰も信じてくれねーんだから。彼女いるっつってんのに」
 肉棒の先で蜜穴を軽く擦るように出入りさせる。ゾクゾクと鳥肌立つように快感が駆け巡る。
「ふぁっ」
 思わず壁に爪を立てたくなり慌ててグーにする。
「ねえナツミ……欲しい? 欲しいひとー」

 はーい!……て、手あげるかっ!

「うっ……もうっ! またくるっ!」
「え?……ナツミ……エッチ」
 言うやいなや前触れもなく一気に貫かれ、予期せぬタイミングでうたれた拍子にビクビクと盛大に絶頂を迎えてしまった。
「!!……ぁあーーっ!!」
「……うっ……すげえ……」

 暫くお互い動きもせずに壁にへばりついたまま、おさまるのを待つと、アキちゃんの手が怪しい動きを始める。
「はぁ、ナツミんナカきもちいー……ほら、まだ俺の搾り取ろうとしてる……」
 左手が敏感な芽を捏ねはじめ、余韻でビクビクと痙攣が起きる。
「ああっ!」
「俺が動かなくても気持ちいいってどゆこと? ほんとナツミはエッチだなあ」
「ち、ちがうっ……」
 右手がトレーナーの中へ潜り込みあっさりブラを押し上げていきなり先端を摘まみ捏ねる。
「ほら、わかる? 今も締め付けたよ?……たまんない」
「ふぇ~ん」

 堪えきれずに泣けてくる。年下のくせに鬼すぎるこの卑猥物、どうしたらいいの。

「泣くほど気持ちいいの?」
 思わずガクッと頭が落ちる。

 両手で大事なところをピンポイントで弄られたまま、ゆるゆるとアキちゃんの腰が動きはじめて、ジュッポンジュッポンといやらしい音が響く。
「年末出来なかった分、取り戻そうな。ええーと、23日から数えてー」
「んはっ……あっあっ」
 ピストンの動きが速まってゴリゴリとナカを擦りつけていく。
「1日控えめに3回とするでしょ?」
 ぐちゅぐちゅじゅぽじゅぽ。
「はっはっはぁっんっ!」
「え? 9日も間あいてんじゃん! ほら、ナツミ、9×3だよっ、ほら何回するっ?」
「やっ! い、いくっ……」
「だーめ、ほらかけ算して、答えてからイこうねっ」
 じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ。
「あああっ……む、むりっ……あっあっ……」
「小学生に笑われるぞっ」
「そっち、じゃ、ないっ! あ!!」
 押し込まれたまま大きくグラインドされ、再び絶頂に引きづりこまれる。
 打ち上げられた魚のように跳ねる身体を放置すると、崩れおちそうになった所をグッとアキちゃんに支えられて、ゆっくり床に腰をおろす、が刺さったままである。

 今では180センチを越えるアキちゃんの背丈のせいで、完全に覆われてしまう身体。捕らわれたように閉じ込められている。
「ナツミ答えられなかったのに、イッちゃったね。だから今のはノーカウントね」
「はぁはぁはぁ」
「27回だよ。かーちゃん達が帰ってくるまでいけるかな?」

 無理だろっ!!

 アキちゃんは器用に自分の足の指で、わたしの足首にもたついているスウェットと下着を抜き取ると、仰向けに押し倒して即座にのし掛かる。
「さすがに時間足んないからさ、ゴム無しだと5回分、てのどう?」
「なっ!」
 ぐちゅりと硬度を保ったままのモノが入り込む。
「まずは、2回ゴムん中で出してっ」
 じゅぽじゅぽじゅぽ。
「やっやっ! ま、またいっ……はぁぁぁぁ!」
「っき、きもちいいっ……ちょっとナツミ、緩めてっ」
「と、とまってっ!」
「それはムリ」
「うううっ!!」
「くっ……で、残り5回っゴム無し、どう?」
 じゅじゅじゅじゅ。
「やあっ!! き、きもちいいよっ! あ、アキちゃんっ! や、やめてっ!」
「だめだっ! くっ」
 ガバリと覆い被さられ、ナカが自分のとアキちゃんのモノで激しく痙攣をぶつけ合う。
「んはぅ! あっあっあっ」
「はーーーーっ」

 暫く動けず放心状態で床に伸びきる。
 しかし敵は容赦ない。
 ムクリと起き上がると、ゆっくりと引き抜き、なにやらゴソゴソとしている。
 そしてまた覆い被さる。
 とてつもなく淫靡に微笑まれた。
「じゃあ、挿れるね」

 まるで今からするのが初めてな風に言いやがりましたけどこの子っ!
「ちょっと、久々過ぎて盛っちゃったから、今度はじっくりナツミを気持ちよくしてあげるね」
 そう言って胸に吸い付いてくる。

 ちょっと待て。過去形じゃなくて現在進行形で盛ってる最中なんですよこれ。しかもこれ以上じっくりいたぶられるとかどんな地獄?!



 わたしはこうやって恐ろしい新年を迎えたのであった。


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みんなの感想(1件)

kano
2020.08.17 kano

初めまして。
このお話を楽しく読ませていただきました。ハッピーエンドでよかった〜
番外編も終わり残念です。また、続編を書いていただけたら嬉しいです。
お体に気をつけて作品をお作りください。

犬野花子
2020.08.17 犬野花子

ありがとうございます♪
ほんとに、一時はどーなるかとヒヤヒヤさせてしまいました(笑)
アキちゃんはアレでもアレなりに一途なので、お互いの気持ちを知ってからはもう迷うことなくナツミにまっしぐらで延々イチャコラしてることでしょう♪

解除

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