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本編

6.攻め込まれた女

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 ソファの上で小さくうずくまって鉄壁の守りに入っていたと思ったのに、耳元で「ナツミ……それ誘ってんの? お尻突き出してるよ」と囁かれウヘエッ! と思わず身を緩めてしまった。ソッコー、アキちゃんの両手がお腹に潜り込む。しかも、うつ伏せ向きの為腹部あたりはTシャツの開口部ができていて、肌に直接触れられてしまった。
 グイグイ指先がわたしの腕の隙間と下乳付近を突き上げてくる。しくった。風呂上がりだからスポーツブラなんだよっ下乳を守るワイヤーがナッシングなんだよっ!
「ねっ! ねっ! 今、乳……胸は関係なくない? きっキスの話じゃなかったっけ?!」
「さっき言ったじゃん。我慢できないから先に進みそうだって。ベロチュウしてたら触りたくなる」
「でっでもっ! まだ彼女とはキスもしてないんでしょ? まっまだまだまーーだ先の話じゃないかなっ?」
「今週末、試合の後、こっちの試合も開催される」
 なに上手いこと言ってんだお前ほんとに中学生かっ?!
「そっ、それは、チューで……チューで終わ」
「終わる気がしない」

 ググッとアキちゃんの手に力が入り、わたしの聖域(乳三分の一)は侵略されてしまった。
 だっダメだっ!! 腕の筋肉がプルってるっ時間がないっ! 三分の一と言っても実質砦は中央にあるんだから二分の一まであとわずかっ!
「もっもうわかった!! もうっ! ダメな保護者でもいいっ! 許すっ! 彼女だろうが中学生だろうがなんでもいいからぶっつけ本番で試合に挑んでくださいっ! わたしはもうこれ以上協力できないよっ」

 背中の荷物、もとい被さるアキちゃんの体の重みが増した。はあ~~っとため息が漏れている。やめて、そこわたしの耳っ! 無駄に火照るからっ!

「……ナツミひどい……昔は優しかったのに……」
「こっ、この案件で優しさって罪しかないわっ」
「最初に言ったと思うんだけど、俺やるなら完璧に挑みたい。手練れだと思われたい、アイツらに」
 アイツらとは2エロのことか? 彼女もか?
 クッとアキちゃんの唇がわたしの耳たぶを小さくついばむ。
「ひゃっ!」
「……ナツミがさせてくんないんなら、俺、別の奴ひっつかまえてヤルけど、いいの?」
「…………」
 なんですと? こ、こやつはほんとにあのかわいらしかった花咲さんちの晶君なのか?

「ねえ……そのへん、俺の『保護者』としてどう?……悪いけど、俺とイイコトしたい奴って、けっこういるらしいぜ」

 ……どえらい大魔王だ。ゆいさん……どえらい大魔王を生み出したようですよ!
 いやまて! ゆいさんのせいにしちゃいかん、きっとわたしだ……わたしが原因だ。なぜだかダダ漏れだったわたしの彼氏遍歴がトラウマと化してるのでは。いたって普通のつもりなんだけど、実は何度か目撃されてる……。
 ふいに過去の映像がフラッシュバックされて、慌てて奥底に仕舞い込む。

 クイクイとアキちゃんの指先は下乳をつつきまくってる。ど、どうしようか……。
「あ、アキちゃん……彼女のことは、ちゃんと、好き?」
「……正直まだよくわかんない、猛烈にアタックされたし……かわいいし、いっかと思って」
 おいおいおい……まじか。

 わたしのフリーズぶりに気づいたのか慌てたように、「あでも、ちゃんとする。不誠実なことしない。たぶん、きっと好きになる、かわいいし」
 色々突っ込みたいことがあるよお姉ちゃんは……。
「あのさ、コレも不誠実なことじゃないのかな? 彼女かわいそうだと思わない?」
「ナツミが心配してる事はわかる。でも安心しろ」
「え?」
「アイツ、あ、俺の今の彼女は間違いなく手練れだ」
「……はいいいい?」
「かわいいからさ、俺の前にすでにたくさん男いたよ。たぶんもう処女じゃねえな」
「はいいいいいいい??」
 怖い、今時の中学生怖い。

 思わず脱力してしまった。
 しまった、と思った時にはすでに遅し。スルリとアキちゃんの手のひらが下から這わされてがっつり全面を、なま乳を奪われた。

「……やわらけえ……」
 モミモミモミモミ。
 ううう不覚っ! しかしわたしはもう腕の力が奪われている。長いこと力入れすぎて筋肉プルッてる。

 さらに後ろから耳たぶを舌でツツツと這わされて「はんっ!」と漏れてしまう。チュッとリップ音を立てて耳たぶを甘噛みされ、ヤワヤワと胸揉まれ、完全なる敗北者となったわたしはただ声が漏れないように食い縛る。

「……ナツミ……気持ちいい?」
「……ううっ……」
「そっか、気持ちよくないか」
 そう言って全体を揉みながら人差し指の腹で先端を擦る。
「きゃっ!」
 クニクニとその人差し指で先を押したり倒したり、まるで手練れな中学生は集中的に狙いを定めたまま、時々耳たぶを舌の先で滑らせる。

「……あっ……硬くなってきた……面白いね」
 ちっとも面白くないわっ!
「ふっ……ううう……」
「声、出せばいいのに」
 出せるかバカッ!! あのウブウブに逃げ帰ってたアキちゃんカムバックッ!!

 人差し指と中指で先端を挟まれ擦り潰され、もはやわたしは息も絶え絶えだ。
「はああああ! もーーやだよーー」
「そんなにいいの?」
 お前の耳はどうなってんの? やだっつってんのにっ!

 今度は親指と中指で摘みあげながら人差し指で先端を擦る。
 ちょっっ……まじでっまじでアキちゃん未体験者? 信じられないんだけどっ!

「あーーーーんもっ!!……」
 やばいっ、今思わず「気持ちいい」と叫びそうになったではないかっ!
 ずっとひっきりなしに身体中に電気が駆け巡ってる。
「アキちゃんっ! ねっ! もうっやだよっ!」
「……ナツミって感じやすいのな。なんか、敏感すぎて俺心配になってきたんだけど」
 なぜお前が心配する! 心配するならこの今の状態を気に病んでやめてくれないかっ!

 はあっと熱い溜息が耳元にかかり、グッと強く覆い被さってくる。
 そこでわたしは気づいてしまった。明らかにわたしの下着が濡れている。ひんやりした感触に、冷や汗をかく。なぜなら、そのひんやりした感触に気づいたのは、アキちゃんのきっと中心の、硬い塊がソコにあてがわれたからだ。

「安心して、おっぱい触りたいだけだから」
「へっ?」
「あと10分だけ好きに触らせて。そしたら今日の授業は終わるから……」
 ……これ、授業だったの? え? どっちが先生?
 どっどっちにしろあと10分耐えれば……耐えれるのかすら不安だけど、とにかく今日の授業が終わるならがんばるしかない、色々。

 ちょっと安心したところで、きゅうううっと摘ままれ耳をベロンと舐めあげられる。
「うぎゃっ!!」
 ふっ不意討ち反対っ!!
「今、安心しただろ。言っとくけど明日の最終日も授業あるからな。ちゃんと帰ってこいよ」


 結局わたしが解放されたのは二度の延長の後の30分後、好奇心旺盛な少年が10分で終わる訳がなかったと、時計の秒針を睨みながらひたすら耐えたのだ。

 そして翌日、疲労困憊のまま職場に向かうと、同僚の小百合ちゃんに「どうしたの? なんか、艶々してない?」と言われた。
 逆だろ逆!! わたしもう干からびそうなくらい精魂つきてんのにっ!
「ねえ! 今日家に帰りたくなーい! 小百合ちゃん今晩飲みにいこーよーっ!」と誘うそばからわたしのスマホが鳴りチェックすると、
「ゲッ!」

『今日ちゃんと家帰ってこないと、目の前のラブレター持ってきた女子喰うぞ』
 との、おどろおどろしい一文が。

「……なっちゃん……顔色悪くなったよ大丈夫? 今日は飲みに出ず真っ直ぐ帰ったら?」
 とのまさかの同僚からの追撃にあう。


 ドナドナを呟きながら自分のデスクに向かうのだった……。

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