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大人の階梯

君の瞳を奪った犯人は僕だった

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「さっき急いで朝に搬送予定だった病院に搬送したの。すると涼の持病は突然悪化。涼の目は充血し、涼本人はベットの上で激痛に悶えているわ。悶えてる時、涼はアナタの名前を呼んでいたの。『痛いよ助けてよ聡君!』って」

「ワタシがここに来たのは説教じゃないわ。蒼屋 聡、アナタの力を借りたくてきたの」

「ぼ、僕が......涼の力に........?」

「それはアナタ次第。ワタシの後ろを着いてきて、搬送先の病院に行くわよ」

 涼母の自家用車だと思われる黒の軽自動車に僕は乗った。
 窓を介して外を見ると既に陽は落ちていて風景が分からなくなっていた。

「着いたわよ。引き続き、ワタシの後ろをついてきて」

 目的地である病院について車外に出ると、黒い風が僕の全身に当たった。
 変な汗が出ている。足が前に進むのを本能的に拒んでいる......
 真実を知るのが怖くなっているんだ、僕は。でも涼はこれよりもっと怖い思いをしているんだ。

 院内に入ると鳥羽と名乗る医者が僕の手を掴むなり、走り出した。
 どこに連れてくんだ! と聞くと白愛さんの病室です! 白愛さんがアナタを所望しているんです! と言われた。

 心做しか、院内が暗く感じた。

「ここです! ここに白愛さんはいらっしゃいます!」

「涼!!!」

「うぅ....痛いよぉ..........」

 病室の扉を開けるとベット上で悲痛の声を零している涼の姿があった。
 僕はすぐさま涼の元に駆け寄って痛みが和らぐかもと思い、涼の手を握った。

「この手の感触.......もしかして、聡君?」

 僕は返事代わりに手を強く握った。

「アハハ......本当に来てくれたんだぁ....嬉しいなぁ」

 今にも尽きそうなか細い声で僕の登場を喜ぶ涼。
 僕はなんて馬鹿なことをしてんだ......涼の目になるとか言って、本物の目を失わせてどうするんだ!

「全部っ! 僕の........せいだ!」

 声帯を痙攣させながら途切れ途切れに言葉を紡いだ。
 あの時のように、どうしても受け入れないといけない現実が迫ると僕は喉を震わせてすぐに謝罪の意を相手に示そうとするんだ。
 すぐ楽になろうとするんだ、僕は。

「聡君以外の人達は一回ここから出てって欲しい。少し、聡君と話したいことがあるの」

「____っえ?」
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