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大人の階梯

僕が起こした不祥事

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 おまわりさんは無言で僕が口にした言葉を一言一句間違わずに紙に記していた。メモを僕に見える角度で書いているのは、僕への配慮か、または煽りか。真実はどうであれ下手なことを言えばロクなことにはならなそうだ。

「もういいですか? 日も暮れてきたし家に帰りたいんですけど」

「ダメだ。それに君、今釈放したとこで家に帰らないだろう」

「チッ、めんどくさい......僕はアンタみたいな青春を忘れた抜け殻ジジイに本音を言いたくないんだよ! 失せろ!」

 机を叩き、声を荒らげた。だがその程度の威圧ではおまわりさんは動じなかった。

「ボクが君になんと言われようと構わない。真実を話してくれ。それだけでいいんだ」

「だから言いたくないって何度言えば____」

「失礼するわ」

 誰だ? こんな時に。

 声のした方を見ると既視感のある姿があった。

「白愛 涼の母、白愛 さとみです。少し、そこの彼とお話したいのですが......いいですか?」

「分かりました。ではボクは書記として相席させてもらいますね」

「じゃあ改めまして、ワタシは白愛 瞳。アナタのせいで人生がめちゃくちゃになった白愛 涼の母です」

「ちょっと待て! 涼の人生がめちゃくちゃになったってどういう意味だよ!?」

「気になるなら教えてあげるわ。涼の身に何が起こったかを」
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