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蒼星

青春延長

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「聡君!? どこに行くの!?」

「知らない! でも、あそこで走れなかったら僕は二度と涼に....会えない気がしたから......!」

 まだ日は落ちていない。それつまり目が使えるということ!

 しかし、僕の足には既に限界を迎えていた。
 普段の運動不足がここに来て体に堪える。ついに僕は、足を、止めてしまった........。

「詳しい事は後で聞くからひとまず乗りなさい」

 結局、子供が大人に勝つのは無理だったんだな......。

 交番に着くと僕とおまわりさんだけがパトカーを降りた。

 僕は用意されていた椅子に腰掛け、おまわりさんと面と向かっての対談が始まった。

「まず聞きたいのは何故、搬送途中の白愛さんを誘拐した理由だ」

「........」

「沈黙、か......まぁ、君ぐらいの年頃の子達はドラマとか小説に影響を受けて突拍子もなく無意味な行動をするのは理解出来るが......君は過去に白愛さんと接点があったんだよね?」

「良ければその事について詳しく聞かせてくれないか」

「____涼との出会いはカルテ記載の時だった」

 聴取中はだんまりを貫き通すつもり......だった。
 おまわりさんから涼の事を聞かれた瞬間、僕の意思とは関係無しに口が動いた。

「カルテ記載をすること自体は初めてじゃなかった。沢井さんという方に頼まれて僕は涼の病室を訪れた」

「涼はとても美しかった。僕の十七年の人生で見たきたものの中で一番と呼べるほどに」

「この時には既に僕は、涼に一目惚れをしていた」

「おまわりさんもご存知の通り、涼は先天性白内障という持病のせいで目が見えない。沢井さんにその事を聞かされていなかった僕は涼に言ってしまったんだ、目を開かないんですかって」

「カルテ記載が終わった後、もちろん僕は抗議しました。何故、そんな大事なことを事前に言ってくれないのかと。でも沢井さんは用事があるという馬鹿でも分かる嘘をついてしらばっくれました」

「この日から僕は、が嫌いになりました」
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