『インパルス』~宝くじで900億円当たったから、理想の国を作ることにした~

時雲仁

文字の大きさ
上 下
9 / 20

9話 仲間

しおりを挟む
 その後、今井さんから詳しい話を聞いた。

 ――

 今井さんが当時10歳で、小学校から帰ったら父親が青い顔をして電話の前に立っていた事。

 その後父親から母親が亡くなった事を聞いて、始め信じられずにいた事。

 帰国予定日を過ぎても母親が帰ってこない事が原因で、その日父親と喧嘩をし、家を出て公園で一人で泣いた事。

 いつの間にか泣き疲れて公園で寝ていて、家に帰ると父親の気配が無く、慌てて家中を探すと、荒らされた書斎と動かなくなった父親の身体を見つけた事。

 その後警察を始めとした人が調べに来たが結局、外国人の強盗に巻き込まれたという結論が出た事。

 それから暫くは自分の部屋にこもってネットをしていたが、ある掲示板の記事を見て一連の事件を改めて調べ始めた事。

 関連があるであろう企業と政治家の下調べをし、ほぼ間違いがない確信をした事。

 それからはひたすら”その時”の為に力をつけていた事。

 恐らくは、今まで誰にも話さず、自分の中に溜め込んでいたのだろう。

 せき止めていた堤防が決壊したかのように、次から次へと言葉が止まらなかった。

 これだけの話を聞いて、『はいそうですか、大変でしたね』なんて黙ってはいられない。

 考えをまとめた後で一息付くと、少し落ち着いて来た今井さんに声をかけた。

「俺も黒幕を探します」

 驚いた表情に一拍おいて、今井さんの顔が綻ぶ。

「君と出会ってから色々と調べさせてもらっていてね、君に仲間になって欲しかったんだ」

「”技術の今井”に比べると、僕が出来る事は殆どなさそうですけどね。少し分析が得意なのと、とことんやり切る位が取り柄ですよ」

「"分析"ね、君の卒論読んだよ」

「『卒論』ですか?」

 大学の時書いた卒論モノを言っているのだろうか。

「そう、あのデータ分析へのアプローチの仕方と、その応用は興味深いものがあった」

 俺が卒業論文で書いた内容は、はっきり言って論外。

 教授には『検証不能だ!』と、散々怒られた。

 ……俺の頭の中では検証したんだけど。

「評価して頂いて嬉しいです。でも、アレは異端も異端、そもそも検証や再現など出来ませんよ?」

 今井さんがニヤッとする。

 ……技術の今井の顔だ。

「正巳君、君の頭の中では再現されているんだろう?」

「一応自分が考えた事ですから」

「それで、論文アレの中身はアプローチこそ特殊であれ、機械によって再現可能なはずじゃないのかい?」

 確かに、俺も論文の中で機械学習によるシステムの構築の可能性(つまり、機械の自己学習による自己成長。一般的に人工知能と言われる)についても書いた。

 そのお陰で14万文字以上書くことになり、『文字が多すぎる』と教授に怒られる原因にもなった。

 確かに『論文は3万9千文字以内にしろ』とは言われてたのだ。
 それを3倍強もの長さになれば、怒られても仕方ないだろう。

 ……まあ過ぎた事は良いかな。

 何はともあれ、統計分析の応用として新しい側面でのアプローチとその有益性、得られる可能性について書いただけだ。

 実際に実現可能だとは思っていなかったし、再現できるとは思えない。

 キラキラとした瞳を向けて来る今井さんに、苦笑しながら答えた。

「確かに卒論では書きましたが、そもそもあんなシステム組める訳が――」

 いや、もしかして……
 一瞬、正巳の頭に『あり得ない』と思われる事が浮かんだ。

「確かに前例が無く、それでいて何世代も先の技術思考だったね。それに、最初の予測よりも一年以上時間がかかった……本当に設計が厄介だったよ」

「まさか――」
「つい、ひと月前に出来たんだ」

 いや、まさか……そんな事が有り得るのだろうか。
 今井さんの言葉に驚きながらも、そもそもの事が気になって来た。

「……と言うか、そもそもなんで俺の卒論の事を知ってるんですか?」

 所詮新卒。ペーペーで入って来た、一人ひとりの情報をそこまで丁寧に確認するだろうか。

「ああ、それはね、毎年新入社員の中で、仲間に出来そうな人を探していたんだ。勿論情報もその過程で確認していた。正巳君も知っている通り、この会社は伊達にデカいだけじゃない。正社員として入るのは極々一部の超優秀な人材ばかりだろ?」

 確かにウチの会社は、社員数こそ500人、関連事業社で20万人はいる。しかし、そのほとんどはパートナーと言われる準社員で、正社員は国内で300人いないだろう。

 そんな優秀な新卒は当然”普通”であるはずがない。

 何となく予想はしているが、聞いてみる。

「……それで、他に仲間は見つかりました?」

 微妙な表情をしている。

「……どいつも、こいつも、強欲でいて権力志向が強すぎる」

 優秀なだけあって、ほとんど全員がトップを目指して競い合っている。自分の立場を良くする為なら、どんな事でもするだろう。

 それを良く知っている今井さんは、『仲間として背中を任せるには少々危険過ぎる』と判断したのだろう。

 過去の偉人で、『厄介なのは外敵ではない。内側に居て足を引っ張る者の存在だ』と言った人がいるくらいだ。それこそ、下手に仲間を作るくらいなら、作らない方が良いだろう。

「みんな真面目ですから……」

 俺は今更誰かと競う気はない。

 なぜなら、以前調べて『競う事で得られる結果が寂しいモノである』と知っているから。

 全てを掛けて欲しいものを手に入れても、心が満たされなかった結果、寂しい結末を迎えた人が多い。これが歴史上で『競って来た者達』の結末なのだ。

「真面目か、そういう面では正巳君の先輩なんかは”真面目”過ぎだな」
「そう言えば、先輩は仲間に誘わなかったんですか?」

 先輩は、特に権力に対する執着も、誰かと競うようなイメージもない。

 敢えて言うなら、自分と競っているイメージだろうか……確かに真面目だ。

「ああ、何度か誘おうかなとも思ったんだが。その、天気がな……」

「天気?」

「いや、気温がな……」

 これは――あれだ、単に誘うに値する人が居なかったのではなく、今井さんに理由がありそうだ。

「人見知りですか……」
「いやいや、そんな事は……ない、ぞ……」

 モジモジとしながら、視線をあちらこちらへ彷徨わせている今井さんを見て、『はい、アウトー!』と言いそうになった。

 口元を抑えながら、落ち着いてきたところで今井さんに言った。

「……それで、先輩に声を掛けますか?」
「正巳君よろしく!」

 ――即答だった。

 俺の仕事らしい。

「まあ良いです、明日先輩に声かけておきます」
「おお、ありがとう!流石だ、まさみが押すだけある」

 ……俺?

「僕ですか?」
「あ、いや、正巳君では無くて、まさみ。いや、MASAMIかな」

 そう言いながら、今井さんが壁の一部を操作する。

 操作した部分の壁がせり出して来て、反転した。

 ……映画みたい。

「パソコン?」

 反転した部分が液晶パネルに、その下にキーボードが付いている。

「ああ、MASAMIだ」

「すいません、その名前どうにかなりませんか?」

 自分の名前が毎回呼ばれるのは耐えられない。

「でも、君の分析と云うか、考え方をトレースした様な物だから……分かった、分かった、睨むなって。君が名前を付けたらいい。言わば君と僕の子供なんだ、君にも命名権がある」

 子供って……確かに今井さんは女性で、30代で僕ッ子だけど学生と言っても通じる程若々しくて……ってそうじゃない。

「命名権はともかく、こいつが今井さんの言っていた、完成した分析システムですか?」

 今井さんの話だと、つい最近完成したはずだけど……

『Yes.デす。わtくしは、MASAMUです』

 ハウリングするような音と共に、壁の液晶パネルに文字がふわふわと浮かび、人の形をつくっていく。

 えっと、人と云うか線と点の化け物……

「まさむ?というか、どうやって音出して……それに人工知能?」

 色々と聞きたい。

「あ、まだ言語学習は終えて無かったかな。社内の情報分析を優先させてたから……」

『MAZUMI……でsu。音hあ液晶を振動さzeることでだ自ています』

 まずみって……孤児院時代に調理担当だった時のあだ名……

 それよりも、液晶の表面を振動させて音を出す。確かに可能だが……

「……高性能ですね、マム」

「マムか、いいね。今日からマムだ!」

『yes.マム!』

「ぶふぉっ……っと、分析結果は出たかな?」

 ……今井さんが吹き出しそうになってる。

 確かに、イエス、マム!はナイケド……

『……表示』

 単語が少なくなった……怒った?

 いやいや、AIだし……ないよな……

「これは……正巳君。ごめん、明日また夕方頃来て貰えるかな?」

 マムが画面いっぱいに表示したのは、日本語や英語、その他初めて見る言語を含んだ、多言語の集合だった。恐らく、結果は正確に出力されているのだろうが、これじゃあ文字化けだ。

「……確かにこれじゃあ読めませんね」

「分析を急がせていたのが仇となったな。処理速度を改善させて、最優先で言語学習をさせておく。明日の夕方頃には済んでいるだろう」

「分かりました。よろしくお願いします」

 手を差し出す。

「あ、ああ。仲間だな!」

 いや、明日よろしくって意味だったんだけど…

 まあ、良いか。手を握りながらすんごく、嬉しそうにしているし。

 ……そろそろ離して欲しい、手が痛い。

「あ、あと、マム……と云うか、俺の論文には確かに人工知能の必要思考と概要を書いていたと思いますが、どうやって……?」

 そもそも、俺の要求する人工知能の前提をクリアする事が難しい。いや、出来るとは思えない。もし、開発しようとすれば国家予算規模の費用がかかるはずだ……やっと手を放してくれた。

「あ、僕は元々人工知能の技術者だったんだ!最初は友達が欲しくて……」

 胸を張って答えたかと思ったら、弄りにくい事を出してくる。

「ま、まあ、信用できる仲間は多い方が良いですしね」

 仲間は多い方が良い、の部分で負い目を感じたのかしょぼんとしている。

 不味いと思って、言葉を続ける。

「……あ、いや、慎重に越した事は無いという意味で……」

「信用……仲間?」

 あ、そっちに食い付くのか。

「はい、ともかく今日は帰りますね。明日先輩と一緒に来ます」

 これ以上いると、何だか禄でもない展開になりそうなので、とっととお暇する事にする。

「うん!マムもパワーアップさせておくね!」

 背中で聞いた”パワーアップ”という言葉に若干の不安を覚えながら、技術部を後にする。

 時計を見ると、深夜の4時を回ろうとしていた。

 体がだるいわけだ。

「こりゃ明日は昼からだな……」

 俺の会社は、自分の仕事さえこなしていれば、勤務時間は自由だ。だから、夕方頃に出勤しても問題ない。

 急ぎの案件は全てこなしたので、何なら明日は休みにしてもいいくらいだ。

 まあ、今井さんに先輩を連れて行くって話しているし、明日は出勤するが。

 頭の中であれこれ考えていたが、家に着いたので寝る事にした。

 風呂には朝入れば良いだろう。

 布団を敷いて、上に倒れる。

 先輩の笑顔と今井さんの素顔を思い出しながら、”何か”が始まる予感に浮遊感を覚えるが、直ぐにぼんやりとした思考の中に沈んでいった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

銀河戦国記ノヴァルナ 第1章:天駆ける風雲児

潮崎 晶
SF
数多の星大名が覇権を目指し、群雄割拠する混迷のシグシーマ銀河系。 その中で、宙域国家オ・ワーリに生まれたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、何を思い、何を掴み取る事が出来るのか。 日本の戦国時代をベースにした、架空の銀河が舞台の、宇宙艦隊やら、人型機動兵器やらの宇宙戦記SF、いわゆるスペースオペラです。 主人公は織田信長をモデルにし、その生涯を独自設定でアレンジして、オリジナルストーリーを加えてみました。 史実では男性だったキャラが女性になってたり、世代も改変してたり、そのうえ理系知識が苦手な筆者の書いた適当な作品ですので、歴史的・科学的に真面目なご指摘は勘弁いただいて(笑)、軽い気持ちで読んでやって下さい。 大事なのは勢いとノリ!あと読者さんの脳内補完!(笑) ※本作品は他サイト様にても公開させて頂いております。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

【本格ハードSF】人類は孤独ではなかった――タイタン探査が明らかにした新たな知性との邂逅

シャーロット
SF
土星の謎めいた衛星タイタン。その氷と液体メタンに覆われた湖の底で、独自の知性体「エリディアン」が進化を遂げていた。透き通った体を持つ彼らは、精緻な振動を通じてコミュニケーションを取り、環境を形作ることで「共鳴」という文化を育んできた。しかし、その平穏な世界に、人類の探査機が到着したことで大きな転機が訪れる。 探査機が発するリズミカルな振動はエリディアンたちの関心を引き、慎重なやり取りが始まる。これが、異なる文明同士の架け橋となる最初の一歩だった。「エンデュランスII号」の探査チームはエリディアンの振動信号を解読し、応答を送り返すことで対話を試みる。エリディアンたちは興味を抱きつつも警戒を続けながら、人類との画期的な知識交換を進める。 その後、人類は振動を光のパターンに変換できる「光の道具」をエリディアンに提供する。この装置は、彼らのコミュニケーション方法を再定義し、文化の可能性を飛躍的に拡大させるものだった。エリディアンたちはこの道具を受け入れ、新たな形でネットワークを調和させながら、光と振動の新しい次元を発見していく。 エリディアンがこうした革新を適応し、統合していく中で、人類はその変化を見守り、知識の共有がもたらす可能性の大きさに驚嘆する。同時に、彼らが自然現象を調和させる能力、たとえばタイタン地震を振動によって抑える力は、人類の理解を超えた生物学的・文化的な深みを示している。 この「ファーストコンタクト」の物語は、共存や進化、そして異なる知性体がもたらす無限の可能性を探るものだ。光と振動の共鳴が、2つの文明が未知へ挑む新たな時代の幕開けを象徴し、互いの好奇心と尊敬、希望に満ちた未来を切り開いていく。 -- プロモーション用の動画を作成しました。 オリジナルの画像をオリジナルの音楽で紹介しています。 https://www.youtube.com/watch?v=G_FW_nUXZiQ

改造空母機動艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。  そして、昭和一六年一二月。  日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。  「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。

「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)

あおっち
SF
  脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。  その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。  その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。  そして紛争の火種は地球へ。  その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。  近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。  第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。  ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。  第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。  ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

処理中です...