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第七十話 モーニングピクニック
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ミルドレッドからサモンランドのチケットを貰った翌日。
朝日がようやく昇り始めた時間帯にギルドの面々がロビーに集合している。その中にはさやかの姿もあった。
「お、さやかも来てくれるのか?」
「元の世界に戻った時、弟に異世界での思い出話をしてあげたら喜ぶんじゃないかってアリサに言われたの。確かにそれもそうだと思ったので一緒に行かせてもらうわ」
「そうか、何はともあれ嬉しいよ」
やはりアリサに任せて正解だった。
俺はうんうんと頷きアリサに笑顔を向けた。
それを見たアリサはギョッとした顔を見せる。
「あんたいつにもまして気持ち悪いわね。……なんか悪い物でも食べた?」
「アリサの毒舌はいつも通り絶好調だな! 今日もツンデレを期待してるぜ!」
「……はぁ? まあいいわ、みんな揃ったことだし早くサモンランドに向かいましょう」
アリサは肩から斜めに下げているバックをキュッと体の後ろに回して颯爽と玄関のドアを開いて家を出て行った。
「ふふっ。アリサは昨日の夜ずっとサモンランドのパンフレットを眺めていたのよ。よっぽど楽しみなんでしょうね」
アリサが出て行く背中を見ながら、珍しくさやかが笑顔を見せて言った。
「それじゃ、俺たちもアリサに続くぞ! 出発だ!」
こうしてギルドメンバー七人全員でサモンランドに向かったのだった。
――――――――――――――――――――
「もうすでに待ってる人がいるのね」
サモンランドに到着してすぐに、アリサが驚いたような目をして言った。
現在の時刻は朝七時。
サモンランドの開園時間は朝の九時。
それにも関わらず人がたくさんいるのには訳がある。
開演前にフェニックスに乗るための優先パスチケットを配布しているからだ。
「運が良かったですね。あなたたちで最後ですよ」
係員のお兄さんがそう言って俺たちにチケットを配る。
「ふぅ……。かなり朝早くに出たつもりだったんだけどギリギリとは危なかったぜ。恐るべしフェニックス人気」
俺は安堵するとともにチケットに書かれた文字を読んだ。
そこには『フェニックス』という字と十四時という時刻が書かれている。
「えっと、十四時に乗り場に行けばいいってことか?」
「そうですの。せっかくとれたんですもの、くれぐれも遅れないように気をつけることですわね」
エリーが間髪入れずに答えてくれた。さすがサモンランドマニア。
「それではサモンランドをお楽しみください」
チケットを配布した係員は笑顔でそう言うと一礼して去って行った。
「チケットを貰えたはいいモノの開園時間まで暇になっちまったな。……それにしても腹が減った」
朝から何も食べずにここまで来たので、ぐぅっとお腹がなってしまった。
「ふふっ、こんなこともあろうかとピクニックセットを用意してきたのよ。ローザさんとシルヴィアちゃんによる特性スペシャルモーニングセットよ!」
いつのまにか用意したのか、ローザはレジャーシートを地面に広げてその上に弁当箱を並べた。
「ナイス! さすがローザ、気が利くな! ……ってシルヴィアも作ったのか!?」
「頑張って作ったのよね、シルヴィアちゃん?」
ローザがシルヴィアに笑顔を向けると、シルヴィアは恥ずかしそうにこくりと頷いた。
シルヴィアが料理できるなんて初耳だな。
「……がんばって……作った」
シルヴィアはそう言って弁当箱のふたをぱかっと開ける。
中にはタマゴやレタス、チーズ、ハム、トマトなどが挟まれた三角形のサンドウィッチと鶏の唐揚げが入っている。
「おいしそうじゃないか! どれどれ、ありがたくいただこうか!」
俺は早速レタスとハムが挟まれているサンドウィッチをほうばった。
「シャキシャキで旨い! ちなみにシルヴィアはどれを作ったんだ?」
「……わたしは……サンドウィッチ……を切って……挟んで……飾り付け」
「へぇ、見栄えもバッチリだったしシルヴィアは料理のセンスあるのかもな」
俺がシルヴィアの頭を撫でると、シルヴィアは頬を赤く染めて嬉しそうに微笑んだ。
「ちょっと、ユート君! わたしにもナデナデして頂戴よ! 生地や唐揚げを作ったのは私なのよ」
「――へっ!? 頭を撫でられたいって年でもないだろうに……」
「……ユート君? そんなこと言ってるとそのサンドウィッチがあなたの最後の食事になるわよ?」
「どういう意味だよ!? ってローザ!? そのフォークどうするつもりだよ!?」
ローザは肉食獣のような鋭い目つきをしてフォークを両手に持って俺に向けている。
「決まってるじゃない、ユート君に突き刺すのよ!!」
「わっ!? ちょっと待て、本気かよ!? ……あ、あははっ、ローザの作った生地は世界一だな~♪」
俺が慌ててローザを褒めるとそれで納得したのかローザは頷いた。
「うん、わかればよろしい。サンドウィッチがなくなる前に早く食べちゃいなさい」
見ると弁当箱の中身はもう半分くらいなくなってしまっていた。
「あれ!? ちょっとなくなるの早すぎない? 俺まだ一齧りしかしてないのに」
「ユーホガアフォンヘルカラヒヘナイノヘアゥ」
レイチェルがハムスターのように両頬を膨らませて食べ物を詰め込んでいる。
なおかつ両手にもサンドウィッチを持ってまだまだ食べようという構えだ。
こいつが犯人か。それにしても凄い食い意地だな。
「あのな、食べ物は飲み込んでから喋ろうな」
するとレイチェルはごくっと口の中のものを飲み込んで再び喋り始めた。
「ユートが遊んでるからいけないのである! このサンドウィッチは絶品なのである!」
「……わかったよ、俺も今からは食べるのに専念するよ! レイチェル、どっちが多く食えるか競争だ!」
「望むところである!」
俺とレイチェルが目線を合わせ火花を散らしていると、アリサが焦った様子で止めにはいる。
「ちょっとそこのおこちゃま二人! 他の人の分も考えなさいよね!」
「なっ!? 俺がおこちゃまだって?」
「わたしもユートと一緒にされるのは心外である!」
「はいはい喧嘩しないの、仲良く食べましょうね」
ローザがまるで幼稚園の先生のような口調で言った。
「うっ……。少し悪ノリしすぎたか。……ごめんなさい」
「はい、ユート君謝れるなんてお利口さんですねー! ナデナデしてあげますよー」
最初に頭を撫でて欲しいと言ったのはローザのほうなのに、何故か最後にはローザから幼児プレイで俺が頭を撫でられるという辱めを受けることになってしまった。
朝日がようやく昇り始めた時間帯にギルドの面々がロビーに集合している。その中にはさやかの姿もあった。
「お、さやかも来てくれるのか?」
「元の世界に戻った時、弟に異世界での思い出話をしてあげたら喜ぶんじゃないかってアリサに言われたの。確かにそれもそうだと思ったので一緒に行かせてもらうわ」
「そうか、何はともあれ嬉しいよ」
やはりアリサに任せて正解だった。
俺はうんうんと頷きアリサに笑顔を向けた。
それを見たアリサはギョッとした顔を見せる。
「あんたいつにもまして気持ち悪いわね。……なんか悪い物でも食べた?」
「アリサの毒舌はいつも通り絶好調だな! 今日もツンデレを期待してるぜ!」
「……はぁ? まあいいわ、みんな揃ったことだし早くサモンランドに向かいましょう」
アリサは肩から斜めに下げているバックをキュッと体の後ろに回して颯爽と玄関のドアを開いて家を出て行った。
「ふふっ。アリサは昨日の夜ずっとサモンランドのパンフレットを眺めていたのよ。よっぽど楽しみなんでしょうね」
アリサが出て行く背中を見ながら、珍しくさやかが笑顔を見せて言った。
「それじゃ、俺たちもアリサに続くぞ! 出発だ!」
こうしてギルドメンバー七人全員でサモンランドに向かったのだった。
――――――――――――――――――――
「もうすでに待ってる人がいるのね」
サモンランドに到着してすぐに、アリサが驚いたような目をして言った。
現在の時刻は朝七時。
サモンランドの開園時間は朝の九時。
それにも関わらず人がたくさんいるのには訳がある。
開演前にフェニックスに乗るための優先パスチケットを配布しているからだ。
「運が良かったですね。あなたたちで最後ですよ」
係員のお兄さんがそう言って俺たちにチケットを配る。
「ふぅ……。かなり朝早くに出たつもりだったんだけどギリギリとは危なかったぜ。恐るべしフェニックス人気」
俺は安堵するとともにチケットに書かれた文字を読んだ。
そこには『フェニックス』という字と十四時という時刻が書かれている。
「えっと、十四時に乗り場に行けばいいってことか?」
「そうですの。せっかくとれたんですもの、くれぐれも遅れないように気をつけることですわね」
エリーが間髪入れずに答えてくれた。さすがサモンランドマニア。
「それではサモンランドをお楽しみください」
チケットを配布した係員は笑顔でそう言うと一礼して去って行った。
「チケットを貰えたはいいモノの開園時間まで暇になっちまったな。……それにしても腹が減った」
朝から何も食べずにここまで来たので、ぐぅっとお腹がなってしまった。
「ふふっ、こんなこともあろうかとピクニックセットを用意してきたのよ。ローザさんとシルヴィアちゃんによる特性スペシャルモーニングセットよ!」
いつのまにか用意したのか、ローザはレジャーシートを地面に広げてその上に弁当箱を並べた。
「ナイス! さすがローザ、気が利くな! ……ってシルヴィアも作ったのか!?」
「頑張って作ったのよね、シルヴィアちゃん?」
ローザがシルヴィアに笑顔を向けると、シルヴィアは恥ずかしそうにこくりと頷いた。
シルヴィアが料理できるなんて初耳だな。
「……がんばって……作った」
シルヴィアはそう言って弁当箱のふたをぱかっと開ける。
中にはタマゴやレタス、チーズ、ハム、トマトなどが挟まれた三角形のサンドウィッチと鶏の唐揚げが入っている。
「おいしそうじゃないか! どれどれ、ありがたくいただこうか!」
俺は早速レタスとハムが挟まれているサンドウィッチをほうばった。
「シャキシャキで旨い! ちなみにシルヴィアはどれを作ったんだ?」
「……わたしは……サンドウィッチ……を切って……挟んで……飾り付け」
「へぇ、見栄えもバッチリだったしシルヴィアは料理のセンスあるのかもな」
俺がシルヴィアの頭を撫でると、シルヴィアは頬を赤く染めて嬉しそうに微笑んだ。
「ちょっと、ユート君! わたしにもナデナデして頂戴よ! 生地や唐揚げを作ったのは私なのよ」
「――へっ!? 頭を撫でられたいって年でもないだろうに……」
「……ユート君? そんなこと言ってるとそのサンドウィッチがあなたの最後の食事になるわよ?」
「どういう意味だよ!? ってローザ!? そのフォークどうするつもりだよ!?」
ローザは肉食獣のような鋭い目つきをしてフォークを両手に持って俺に向けている。
「決まってるじゃない、ユート君に突き刺すのよ!!」
「わっ!? ちょっと待て、本気かよ!? ……あ、あははっ、ローザの作った生地は世界一だな~♪」
俺が慌ててローザを褒めるとそれで納得したのかローザは頷いた。
「うん、わかればよろしい。サンドウィッチがなくなる前に早く食べちゃいなさい」
見ると弁当箱の中身はもう半分くらいなくなってしまっていた。
「あれ!? ちょっとなくなるの早すぎない? 俺まだ一齧りしかしてないのに」
「ユーホガアフォンヘルカラヒヘナイノヘアゥ」
レイチェルがハムスターのように両頬を膨らませて食べ物を詰め込んでいる。
なおかつ両手にもサンドウィッチを持ってまだまだ食べようという構えだ。
こいつが犯人か。それにしても凄い食い意地だな。
「あのな、食べ物は飲み込んでから喋ろうな」
するとレイチェルはごくっと口の中のものを飲み込んで再び喋り始めた。
「ユートが遊んでるからいけないのである! このサンドウィッチは絶品なのである!」
「……わかったよ、俺も今からは食べるのに専念するよ! レイチェル、どっちが多く食えるか競争だ!」
「望むところである!」
俺とレイチェルが目線を合わせ火花を散らしていると、アリサが焦った様子で止めにはいる。
「ちょっとそこのおこちゃま二人! 他の人の分も考えなさいよね!」
「なっ!? 俺がおこちゃまだって?」
「わたしもユートと一緒にされるのは心外である!」
「はいはい喧嘩しないの、仲良く食べましょうね」
ローザがまるで幼稚園の先生のような口調で言った。
「うっ……。少し悪ノリしすぎたか。……ごめんなさい」
「はい、ユート君謝れるなんてお利口さんですねー! ナデナデしてあげますよー」
最初に頭を撫でて欲しいと言ったのはローザのほうなのに、何故か最後にはローザから幼児プレイで俺が頭を撫でられるという辱めを受けることになってしまった。
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