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第四十五話 予選結果発表
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「誰も見つからないな」
「会場は広いから仕方ないのである……。お、向こういるのはアリサではないか?」
レイチェルが指差した方向には確かにアリサがいた。アリサのすぐ横にはシルヴィアとエリーもいる。どうやら他のみんなは先に集まっていたらしい。
「お~い! アリサー! シルヴィアー! エリー!」
俺はみんなの名前を呼びながら彼女たちの元へ走っていく。
「あなた……誰?」
アリサはきょとんとして言った。他の二人も同様に不思議そうな顔をして俺のことを見ている。
「俺だよ! 俺! 見てわからないのか? ……あ、分からないよな。レイチェル、説明してやってくれ」
「はぁ……、はぁ……。ユー子よ、私をおいて先に行くでない!」
レイチェルは息を切らせてこちらに走ってきた。
「……レイチェルの……お友達?」
シルヴィアが俺とレイチェルの顔を交互に見つめながら言う。
「ふむ。お友達というかだな、家族のようなものである」
「こら、レイチェル。紛らわしいことを言うな。俺はユートだよ、レイチェルにヴルトゥームの幻覚で女の子の姿にしてもらったんだ。……そのほうが対戦相手を探しやすかったもんでな」
「ふーん、それならよかったわ。てっきりあんたが女装趣味に目覚めたのかと思ったわよ」
アリサの言葉に俺はドキッとしてしまう。どんな見た目になってるか自分ではわからないので女装といえるのかはともかく、女の子アイドルとしてチヤホヤしてもらうのはちょっと楽しいと思っていたりしていた。
「ま、まあこれは純粋に戦略的なものなので、この予選会が終わるまではこのままの格好で行くからよろしくな。……とそんなことよりもだな、プレートをどんだけ集められたのか確認しないと」
見るとアリサは胸に三枚のプレートをつけている。エリーのほうはというと一枚のプレートをつけているだけだ。俺が十三枚でシルヴィアが一枚、レイチェルが0枚だから合計で十八枚か。
「五人で十八枚か。……こりゃちょっと厳しいかもな」
「何を言ってますの? よくごらんになってくださいな」
エリーは突然自分の服をめくり上げて、彼女のたわわな胸を包んでいる下着を露出する。
「――ば、馬鹿! いくらお前が変態だからって時と場所を考えろよ!」
「あら、時と場所を選べばいいんですの? ……冗談ですの、そんな目で見ないでほしいですわ」
エリーはめくりあげた服をパタパタとなびかせる。すると、パタパタするたびにプレートが一枚、また一枚と、どんどん落ちて出てきた。
「わたくしが集めたプレートの数は全部で二十一枚ですの。もともと持っていた分と合わせると二十二枚ですわ。わたくしがどうやら一番みたいですわね! オーホッホッホッホッ」
エリーは手を頬に添えて高笑いをしている。俺が一番だと思ってたのにこりゃ意外だな……でもありがたい。
「エリーがそんな怪力だったとは知らなかったぜ。でもこれなら予選通過にかなりの期待が持てるな!」
「ちょっと、怪力とは失礼ですわね。わたくしは対戦相手の動きをメドゥーサで止めただけですの。楽勝でしたわ」
あ、そっか。メドゥーサってタイマンならかなり恐ろしい能力だったな。
「よし! 後は結果を待つだけだな」
俺は自分自身で納得するように頷いた。みんなで集めたプレートは全部で三十九枚。十分勝負になる枚数だろう。
――――――――――――――――――――
その後教会の係員が集計しに現れて、俺たちチームのプレートの枚数を記録していった。そして運命の結果発表だ。
「は~い! お待ちかねの結果発表の時間よ! 一位から順に発表していくわね」
緊張するな。正直周りの状況を見ている余裕はなかったので俺たちの他の強豪チームがどれだけ荒稼ぎしたかはわからない。
「緊張してるようですわね? こういうのは泣いても笑っても結果は変わらないのですから、どーんと構えるべきですわ」
「……そうだな。やれるだけやったし、どーんと構えるぜ」
覚悟は決めた。俺は高鳴る胸を押さえながら発表を待った。
発表者のローザは順位が書かれているであろう紙を係りのものから受け取ると、一瞬顔を引きつらせた。……もしかして俺たちのチームが予選落ちだったりしたのか? 不安になるな。
その後思い切り息を吸ってから拡声器の口に顔を近づけ、怒声のように順位を読み始めた。
「それでは第一位! 『ユートとその下僕たち』! ……これは私信なんだけど、あとでユート君教会裏にいらっしゃい」
げっ……、確かそのギルド名って、ローザが登録に便宜上必要とかいってたから俺が適当に書いたやつじゃないか。
「ユート? 下僕ってどういうことかしら?」
アリサが今まで見たことのない笑顔を向けて俺に聞いてくる。普通に怒られるよりも恐ろしいんですけど。
「あ、あの名前はだな、本気でつけたわけじゃないんですよ? ……いつもギルド内でこきつかわれてるから、登録名の中でくらいは偉くなりたかったんです」
俺は観念して勢いよく土下座する。プライドもへったくれもないが、このままアリサの蹴りが飛んでくるよりはましだ。
「なんとも浅ましい名前の決め方であるな。それだったら『レイチェルとその弟子たち』のほうが何億倍もよいというのに……」
「わるかったって、この大会が終わったら登録名を変えてもらうようにローザに頼むから許してくれ……ください」
俺はもう一度土下座をしてみんなに謝る。下僕はやっぱり俺のほうだよな……。はぁ……。
「……第五位は『天使たちのお茶会』! 以上の五チームが予選通過よ、おめでとう! 次が最終予選だからがんばってね! 落ちちゃったチームは残念だったけど、また来年にも大会を開くからそのときまでに腕を磨いて待っててね!」
ギルド名でどたばたしているうちに予選通過の発表が終わってしまったな。といっても他のギルド名を全然知らないから聞いなくても問題ないのだけれど。
発表が終わると予選落ちしたチームの人たちは会場から出ていく人と、閲覧席に移動していくものにわかれて大きな二つの波ができた。『ユートとその下僕たち』の面々は、それぞれ必死に波に飲み込まれないように踏ん張っている。
それからしばらくすると波は収まり、会場には予選を通過したチームのみが残される。その中にはよく知っている顔がいた。
「アデルじゃないか? なんかお前とはいろんなところで会うな」
「……もしかしたら何処かで会ったことがあるのかな? 僕は人を覚えるのがあまり得意じゃなくてね、ごめんねお嬢さん」
アデルはユー子の姿をしているのが俺だということに気づいていないようだ。……説明しなければそりゃわからないよな。でも考えてみたら女の子に化けてるのがバレるのはちょっと恥ずかしいからここは白を切ろう。
「あ、ごめんなさい。知り合いと間違えて全然違う人に声かけちゃった! 私ったらドジっ子☆」
「……君はもしかして? いや、気のせいかな。知り合いと似た気配を感じたからその人の親戚かなと思ったけど、そんなわけないよね」
「え!? 私の家族はこの辺にはいないから、違うと思う……わよ。それじゃあお互い最終予選がんばろ~ね、バイバイ」
俺はそそくさとその場を離れた。とりあえずバレなくてよかった。アデルのやつ、変にするどいとこあるから気をつけないとな……。
「会場は広いから仕方ないのである……。お、向こういるのはアリサではないか?」
レイチェルが指差した方向には確かにアリサがいた。アリサのすぐ横にはシルヴィアとエリーもいる。どうやら他のみんなは先に集まっていたらしい。
「お~い! アリサー! シルヴィアー! エリー!」
俺はみんなの名前を呼びながら彼女たちの元へ走っていく。
「あなた……誰?」
アリサはきょとんとして言った。他の二人も同様に不思議そうな顔をして俺のことを見ている。
「俺だよ! 俺! 見てわからないのか? ……あ、分からないよな。レイチェル、説明してやってくれ」
「はぁ……、はぁ……。ユー子よ、私をおいて先に行くでない!」
レイチェルは息を切らせてこちらに走ってきた。
「……レイチェルの……お友達?」
シルヴィアが俺とレイチェルの顔を交互に見つめながら言う。
「ふむ。お友達というかだな、家族のようなものである」
「こら、レイチェル。紛らわしいことを言うな。俺はユートだよ、レイチェルにヴルトゥームの幻覚で女の子の姿にしてもらったんだ。……そのほうが対戦相手を探しやすかったもんでな」
「ふーん、それならよかったわ。てっきりあんたが女装趣味に目覚めたのかと思ったわよ」
アリサの言葉に俺はドキッとしてしまう。どんな見た目になってるか自分ではわからないので女装といえるのかはともかく、女の子アイドルとしてチヤホヤしてもらうのはちょっと楽しいと思っていたりしていた。
「ま、まあこれは純粋に戦略的なものなので、この予選会が終わるまではこのままの格好で行くからよろしくな。……とそんなことよりもだな、プレートをどんだけ集められたのか確認しないと」
見るとアリサは胸に三枚のプレートをつけている。エリーのほうはというと一枚のプレートをつけているだけだ。俺が十三枚でシルヴィアが一枚、レイチェルが0枚だから合計で十八枚か。
「五人で十八枚か。……こりゃちょっと厳しいかもな」
「何を言ってますの? よくごらんになってくださいな」
エリーは突然自分の服をめくり上げて、彼女のたわわな胸を包んでいる下着を露出する。
「――ば、馬鹿! いくらお前が変態だからって時と場所を考えろよ!」
「あら、時と場所を選べばいいんですの? ……冗談ですの、そんな目で見ないでほしいですわ」
エリーはめくりあげた服をパタパタとなびかせる。すると、パタパタするたびにプレートが一枚、また一枚と、どんどん落ちて出てきた。
「わたくしが集めたプレートの数は全部で二十一枚ですの。もともと持っていた分と合わせると二十二枚ですわ。わたくしがどうやら一番みたいですわね! オーホッホッホッホッ」
エリーは手を頬に添えて高笑いをしている。俺が一番だと思ってたのにこりゃ意外だな……でもありがたい。
「エリーがそんな怪力だったとは知らなかったぜ。でもこれなら予選通過にかなりの期待が持てるな!」
「ちょっと、怪力とは失礼ですわね。わたくしは対戦相手の動きをメドゥーサで止めただけですの。楽勝でしたわ」
あ、そっか。メドゥーサってタイマンならかなり恐ろしい能力だったな。
「よし! 後は結果を待つだけだな」
俺は自分自身で納得するように頷いた。みんなで集めたプレートは全部で三十九枚。十分勝負になる枚数だろう。
――――――――――――――――――――
その後教会の係員が集計しに現れて、俺たちチームのプレートの枚数を記録していった。そして運命の結果発表だ。
「は~い! お待ちかねの結果発表の時間よ! 一位から順に発表していくわね」
緊張するな。正直周りの状況を見ている余裕はなかったので俺たちの他の強豪チームがどれだけ荒稼ぎしたかはわからない。
「緊張してるようですわね? こういうのは泣いても笑っても結果は変わらないのですから、どーんと構えるべきですわ」
「……そうだな。やれるだけやったし、どーんと構えるぜ」
覚悟は決めた。俺は高鳴る胸を押さえながら発表を待った。
発表者のローザは順位が書かれているであろう紙を係りのものから受け取ると、一瞬顔を引きつらせた。……もしかして俺たちのチームが予選落ちだったりしたのか? 不安になるな。
その後思い切り息を吸ってから拡声器の口に顔を近づけ、怒声のように順位を読み始めた。
「それでは第一位! 『ユートとその下僕たち』! ……これは私信なんだけど、あとでユート君教会裏にいらっしゃい」
げっ……、確かそのギルド名って、ローザが登録に便宜上必要とかいってたから俺が適当に書いたやつじゃないか。
「ユート? 下僕ってどういうことかしら?」
アリサが今まで見たことのない笑顔を向けて俺に聞いてくる。普通に怒られるよりも恐ろしいんですけど。
「あ、あの名前はだな、本気でつけたわけじゃないんですよ? ……いつもギルド内でこきつかわれてるから、登録名の中でくらいは偉くなりたかったんです」
俺は観念して勢いよく土下座する。プライドもへったくれもないが、このままアリサの蹴りが飛んでくるよりはましだ。
「なんとも浅ましい名前の決め方であるな。それだったら『レイチェルとその弟子たち』のほうが何億倍もよいというのに……」
「わるかったって、この大会が終わったら登録名を変えてもらうようにローザに頼むから許してくれ……ください」
俺はもう一度土下座をしてみんなに謝る。下僕はやっぱり俺のほうだよな……。はぁ……。
「……第五位は『天使たちのお茶会』! 以上の五チームが予選通過よ、おめでとう! 次が最終予選だからがんばってね! 落ちちゃったチームは残念だったけど、また来年にも大会を開くからそのときまでに腕を磨いて待っててね!」
ギルド名でどたばたしているうちに予選通過の発表が終わってしまったな。といっても他のギルド名を全然知らないから聞いなくても問題ないのだけれど。
発表が終わると予選落ちしたチームの人たちは会場から出ていく人と、閲覧席に移動していくものにわかれて大きな二つの波ができた。『ユートとその下僕たち』の面々は、それぞれ必死に波に飲み込まれないように踏ん張っている。
それからしばらくすると波は収まり、会場には予選を通過したチームのみが残される。その中にはよく知っている顔がいた。
「アデルじゃないか? なんかお前とはいろんなところで会うな」
「……もしかしたら何処かで会ったことがあるのかな? 僕は人を覚えるのがあまり得意じゃなくてね、ごめんねお嬢さん」
アデルはユー子の姿をしているのが俺だということに気づいていないようだ。……説明しなければそりゃわからないよな。でも考えてみたら女の子に化けてるのがバレるのはちょっと恥ずかしいからここは白を切ろう。
「あ、ごめんなさい。知り合いと間違えて全然違う人に声かけちゃった! 私ったらドジっ子☆」
「……君はもしかして? いや、気のせいかな。知り合いと似た気配を感じたからその人の親戚かなと思ったけど、そんなわけないよね」
「え!? 私の家族はこの辺にはいないから、違うと思う……わよ。それじゃあお互い最終予選がんばろ~ね、バイバイ」
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