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第九話 幻術士は空中庭園で本気を出す
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空に浮かぶ島の、更に上空にグリフォンを飛ばし、島全体を見下ろした。
「予想通り、町があったな」
「……綺麗な町。クロス、あそこに降りてもいい?」
碁盤の目のように整備された街並み。
リィルはその中心にある、庭園を指さした。
「俺もあそこが気になってたところだよ。早速行ってみよう」
色とりどりの花が咲き乱れる庭園に足を下ろすと、そこで遊んでいたエルフの子供たちが不思議そうに俺達を見ている。
「ねー、もしかして、あの人たち、しんにゅーしゃなんじゃない?」
「お耳がまるいねー、しんにゅーしゃだよ、きっと」
「そうだね、しんにゅーしゃだねー」
何やら不穏な事を言い出し、きゃっきゃと騒ぐ子供達。
刺激しないように、優しく声をかけてみる。
「ちょっといいかな、君たち。お兄さんは悪い人じゃないから、話を聞いてくれないか?」
それを聞いた子供たちは、「わー」とわめいてから、
「やっぱりしんにゅーしゃだ!」
「わるいひとは、じぶんでわるいって言わないんだよー!」
「おしおきけってーだね!」
「にげろー」
子供たちは散り散りに逃げていく。
「……何だったんだあの子達は」
何やら嫌な予感がする。
「一旦庭園からでるぞ、リィル」
「……うん」
侵入者だとかお仕置きだとか、まるで俺達を罪人みたいに扱う子供たちは異様過ぎる。
一刻も早くこの場から離れようと歩き出すと、
「止まれ、お前たち。目的は何だ」
後ろから急に、愛想の欠片もない声で話しかけられた。
振り向くと、精悍な面構えをしたエルフの男が、大きな袋を抱えて立っている。
さっきの子供たちが呼びつけたのだろうか?
「目的? 俺達は人形を探しに来ただけです」
「やはり人形が目的か。……エルタリア王国の手先だな?」
エルフの男は射貫くような目線で、俺達を睨みつけている。
念のため、ステータス鑑定をしておくか。
種族:ハーフエルフ
名前:ヒュンメル
性別:男
年齢:22歳
職業:人形師
レベル:10
HP:200
MP:250
攻撃:11
防御:35
魔力:280
敏捷:176
『イレギュラー』の【人形師】といえども、【幻術士】よりは大分強いんだよなぁ……。
リィルのステータスを見た時にわかっていたことだけど、ちょっとがっかりしてしまうぜ。
「ヒュンメルさん、誤解ですよ。俺はただの冒険者です」
「私の名前を……!? 出会って早々ステータスを確認するとは、戦闘の心得があるようだな。こちらも本気でかかる必要がありそうだ」
そう言って、ヒュンメルは袋の中身をぶちまけた。
中から出てきたのは、大量の人形だ。
――ワラワラ、ワラワラ
数十個の人形は、それぞれが意思を持っているかのように高速で走り出し、ほんの一呼吸程の間に俺達を取り囲んでしまった。
「手荒な真似をしようってわけかよ」
「抵抗はしないほうがいいぞ。これらは全部、極小戦闘人形だ。一つ一つがゴブリン並みの強さを持っている」
ミニパペット……酒場でエルフの爺さんが持ってたやつか。
「そいつは怖いな……大人しく捕まっておきますよ。――とでも言うと思ったか?」
――バチバチ、バチバチ
サイクロプスとエンシェント・ミニドラゴンを一気に召喚する。
そして、ミニパペットの群れを、一つ残らずぐしゃぐしゃに踏みつぶしてやった。
「――なっ!? あれだけの数を一瞬で!?」
ヒュンメルは明らかに動揺している。
「ヒュンメルさん、ミニパペットでは止められないみたいだぜ? 戦闘人形ってやつを出したほうがいいんじゃないですか?」
「くっ、やはり貴様、戦闘人形のことを知っているな……!?」
やべっ、調子に乗って余計な事を言ってしまったか。
「誤解しないでくださいよ? 俺達はカプリオの末裔の爺さんから話を聞いただけなんで」
「……カプリオ様の末裔だと? にわかには信じがたいな」
「そう言われても、本当の事だしなぁ」
どう釈明しようか悩んでいると、
――ガシャンガシャン
大きな音を立てて、巨大な人形が走ってきた。
その背丈は、人二人分程もある、
「おぅ、待たせたな! ヒュンメル! ……それにしてもなんだぁ、このモンスターの群れは」
驚いたことに、人形が喋った。
「カプリオ様、それはですね。侵入者……男の方が、モンスターを呼び出したようです」
「王都からの侵入者がモンスターを率いてるとは、恐ろしい時代になったもんだな。……ん、どうした侵入者よ、鳩が豆鉄砲を食ったような顔して?」
突っ込みどころがありすぎるのだが、何処から突っ込んだらいいのだろうか。
「あの、ヒュンメルさん? ……この人形がカプリオだっていうんですかね?」
「……貴様、本当に知らないのか?」
「もう、何が何だか。リィルもそうだよな?」
こくこくと頷くリィル。
「なんだなんだぁ、こいつらは王都からの侵入者じゃないってことか!? ヒュンメル、お前の早とちりなんじゃねぇの?」
「――私はただ、子供たちから報告を受けただけで」
「あのガキどもの言うことはあてになんねぇからな。ほら、お前ら、話を聞いてやるからうちまでこい」
喋る巨大人形が、ドスドスと歩き始めたので、それについていった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
※後書き
話にちょっと出た、リィルのステータスは以下の通りです。
種族:ヒューマン
名前:リィル
性別:女
年齢:13歳
職業:人形師
レベル:2
HP:100
MP:151
攻撃:1
防御:24
魔力:172
敏捷:95
【スキル】
『人形操作』:人形を操作する
「予想通り、町があったな」
「……綺麗な町。クロス、あそこに降りてもいい?」
碁盤の目のように整備された街並み。
リィルはその中心にある、庭園を指さした。
「俺もあそこが気になってたところだよ。早速行ってみよう」
色とりどりの花が咲き乱れる庭園に足を下ろすと、そこで遊んでいたエルフの子供たちが不思議そうに俺達を見ている。
「ねー、もしかして、あの人たち、しんにゅーしゃなんじゃない?」
「お耳がまるいねー、しんにゅーしゃだよ、きっと」
「そうだね、しんにゅーしゃだねー」
何やら不穏な事を言い出し、きゃっきゃと騒ぐ子供達。
刺激しないように、優しく声をかけてみる。
「ちょっといいかな、君たち。お兄さんは悪い人じゃないから、話を聞いてくれないか?」
それを聞いた子供たちは、「わー」とわめいてから、
「やっぱりしんにゅーしゃだ!」
「わるいひとは、じぶんでわるいって言わないんだよー!」
「おしおきけってーだね!」
「にげろー」
子供たちは散り散りに逃げていく。
「……何だったんだあの子達は」
何やら嫌な予感がする。
「一旦庭園からでるぞ、リィル」
「……うん」
侵入者だとかお仕置きだとか、まるで俺達を罪人みたいに扱う子供たちは異様過ぎる。
一刻も早くこの場から離れようと歩き出すと、
「止まれ、お前たち。目的は何だ」
後ろから急に、愛想の欠片もない声で話しかけられた。
振り向くと、精悍な面構えをしたエルフの男が、大きな袋を抱えて立っている。
さっきの子供たちが呼びつけたのだろうか?
「目的? 俺達は人形を探しに来ただけです」
「やはり人形が目的か。……エルタリア王国の手先だな?」
エルフの男は射貫くような目線で、俺達を睨みつけている。
念のため、ステータス鑑定をしておくか。
種族:ハーフエルフ
名前:ヒュンメル
性別:男
年齢:22歳
職業:人形師
レベル:10
HP:200
MP:250
攻撃:11
防御:35
魔力:280
敏捷:176
『イレギュラー』の【人形師】といえども、【幻術士】よりは大分強いんだよなぁ……。
リィルのステータスを見た時にわかっていたことだけど、ちょっとがっかりしてしまうぜ。
「ヒュンメルさん、誤解ですよ。俺はただの冒険者です」
「私の名前を……!? 出会って早々ステータスを確認するとは、戦闘の心得があるようだな。こちらも本気でかかる必要がありそうだ」
そう言って、ヒュンメルは袋の中身をぶちまけた。
中から出てきたのは、大量の人形だ。
――ワラワラ、ワラワラ
数十個の人形は、それぞれが意思を持っているかのように高速で走り出し、ほんの一呼吸程の間に俺達を取り囲んでしまった。
「手荒な真似をしようってわけかよ」
「抵抗はしないほうがいいぞ。これらは全部、極小戦闘人形だ。一つ一つがゴブリン並みの強さを持っている」
ミニパペット……酒場でエルフの爺さんが持ってたやつか。
「そいつは怖いな……大人しく捕まっておきますよ。――とでも言うと思ったか?」
――バチバチ、バチバチ
サイクロプスとエンシェント・ミニドラゴンを一気に召喚する。
そして、ミニパペットの群れを、一つ残らずぐしゃぐしゃに踏みつぶしてやった。
「――なっ!? あれだけの数を一瞬で!?」
ヒュンメルは明らかに動揺している。
「ヒュンメルさん、ミニパペットでは止められないみたいだぜ? 戦闘人形ってやつを出したほうがいいんじゃないですか?」
「くっ、やはり貴様、戦闘人形のことを知っているな……!?」
やべっ、調子に乗って余計な事を言ってしまったか。
「誤解しないでくださいよ? 俺達はカプリオの末裔の爺さんから話を聞いただけなんで」
「……カプリオ様の末裔だと? にわかには信じがたいな」
「そう言われても、本当の事だしなぁ」
どう釈明しようか悩んでいると、
――ガシャンガシャン
大きな音を立てて、巨大な人形が走ってきた。
その背丈は、人二人分程もある、
「おぅ、待たせたな! ヒュンメル! ……それにしてもなんだぁ、このモンスターの群れは」
驚いたことに、人形が喋った。
「カプリオ様、それはですね。侵入者……男の方が、モンスターを呼び出したようです」
「王都からの侵入者がモンスターを率いてるとは、恐ろしい時代になったもんだな。……ん、どうした侵入者よ、鳩が豆鉄砲を食ったような顔して?」
突っ込みどころがありすぎるのだが、何処から突っ込んだらいいのだろうか。
「あの、ヒュンメルさん? ……この人形がカプリオだっていうんですかね?」
「……貴様、本当に知らないのか?」
「もう、何が何だか。リィルもそうだよな?」
こくこくと頷くリィル。
「なんだなんだぁ、こいつらは王都からの侵入者じゃないってことか!? ヒュンメル、お前の早とちりなんじゃねぇの?」
「――私はただ、子供たちから報告を受けただけで」
「あのガキどもの言うことはあてになんねぇからな。ほら、お前ら、話を聞いてやるからうちまでこい」
喋る巨大人形が、ドスドスと歩き始めたので、それについていった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
※後書き
話にちょっと出た、リィルのステータスは以下の通りです。
種族:ヒューマン
名前:リィル
性別:女
年齢:13歳
職業:人形師
レベル:2
HP:100
MP:151
攻撃:1
防御:24
魔力:172
敏捷:95
【スキル】
『人形操作』:人形を操作する
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