16 / 27
第十五話 『祖父』
しおりを挟む
「アルフー、どこに向かってるのー?」
「ん、ちょっとな」
「もー! いい加減教えてよー」
「わたしも気になります!」
今日は早朝から町を出発し、ある場所に向かっている。
「お、見えてきたな」
視界には一軒のぼろっちい小屋がある。
「えっ、ここが目的地なんですか?」
「そうだ。ここは先代魔王を倒した勇者の家だ。……俺の爺ちゃんの家でもある」
突然の告白に驚くエリザとミカ。
「えー!? アルフさんが勇者の孫ってことですか! 凄いじゃないですか! 何でもっと早く教えてくれなかったんですか!?」
「うちもびっくりだよー。アルフは只者じゃないとは思ってたけどさー」
二人には色眼鏡で見てほしくなかったので今まで言っていなかった。
しかし爺ちゃんに会わせるとなると言わないわけにもいかないだろう。
「それにしてもなんでそのお爺様の家に行くんですか?」
「それはな、お前たち二人の特訓の為だよ」
爺ちゃんは伝説の勇者であり、後進育成のプロでもある。
俺が以前、曲がりなりにも勇者をできていたのは爺ちゃんの指導があったからだ。
「爺ちゃーん! 居るか―!?」
小屋のドアをノックすると、ギィと扉が開いた。
「全く騒がしいのぅ……。むっ、お前はアルフじゃないか!? どうした、考えを変えて勇者をやる気にでもなったのか?」
「いや、俺は相変わらず杖職にしか興味ないよ。今日は爺ちゃんに頼みがあってきたんだ」
「頼み……じゃと?」
「この二人の育成をお願いしたいんだ」
エリザとミカの紹介をする。
魔王討伐が思ったよりもやっかいな仕事になりそうなので、念のため二人も鍛えておくことにしたのだ。
「ふむ、お主ら二人が勇者候補というわけか」
「えっ、そうなんですか!? わたしは特訓するとしか聞いてないんですけど」
「うちも勇者になるなんて聞いてないってのー」
二人は懐疑の目で俺を見つめてくる。
「いや、別に勇者になれっていうわけじゃないけどさ」
とりあえずエリザとミカのステータスを爺ちゃんに見せる。
「……なるほど、基礎能力を鍛えて欲しいということじゃな」
「そういうこと。あまりのんびりはしてられないんで、一週間のプランで頼むよ」
エリザはじーっとこちらを見ながら、
「HPが1なのはわたしの才能だから変えないでくださいね、頼みますよ!」
「そのこだわりはなんなんだよ……。まあいいや、他にも1のステータスいっぱいあるだろ? それを治してくれ」
「しかたないですね」
渋々ながら特訓を了解してくれたようだ。
「うちは何を鍛えればいいのー?」
「全部だよ!」
「うへー」
ミカに関してはまだレベルが低いので伸びしろがある。
そういう意味ではちょっと期待をしている。
「よし、早速特訓を始めるとするかの」
爺ちゃん家での一週間の合宿が始まった。
「ん、ちょっとな」
「もー! いい加減教えてよー」
「わたしも気になります!」
今日は早朝から町を出発し、ある場所に向かっている。
「お、見えてきたな」
視界には一軒のぼろっちい小屋がある。
「えっ、ここが目的地なんですか?」
「そうだ。ここは先代魔王を倒した勇者の家だ。……俺の爺ちゃんの家でもある」
突然の告白に驚くエリザとミカ。
「えー!? アルフさんが勇者の孫ってことですか! 凄いじゃないですか! 何でもっと早く教えてくれなかったんですか!?」
「うちもびっくりだよー。アルフは只者じゃないとは思ってたけどさー」
二人には色眼鏡で見てほしくなかったので今まで言っていなかった。
しかし爺ちゃんに会わせるとなると言わないわけにもいかないだろう。
「それにしてもなんでそのお爺様の家に行くんですか?」
「それはな、お前たち二人の特訓の為だよ」
爺ちゃんは伝説の勇者であり、後進育成のプロでもある。
俺が以前、曲がりなりにも勇者をできていたのは爺ちゃんの指導があったからだ。
「爺ちゃーん! 居るか―!?」
小屋のドアをノックすると、ギィと扉が開いた。
「全く騒がしいのぅ……。むっ、お前はアルフじゃないか!? どうした、考えを変えて勇者をやる気にでもなったのか?」
「いや、俺は相変わらず杖職にしか興味ないよ。今日は爺ちゃんに頼みがあってきたんだ」
「頼み……じゃと?」
「この二人の育成をお願いしたいんだ」
エリザとミカの紹介をする。
魔王討伐が思ったよりもやっかいな仕事になりそうなので、念のため二人も鍛えておくことにしたのだ。
「ふむ、お主ら二人が勇者候補というわけか」
「えっ、そうなんですか!? わたしは特訓するとしか聞いてないんですけど」
「うちも勇者になるなんて聞いてないってのー」
二人は懐疑の目で俺を見つめてくる。
「いや、別に勇者になれっていうわけじゃないけどさ」
とりあえずエリザとミカのステータスを爺ちゃんに見せる。
「……なるほど、基礎能力を鍛えて欲しいということじゃな」
「そういうこと。あまりのんびりはしてられないんで、一週間のプランで頼むよ」
エリザはじーっとこちらを見ながら、
「HPが1なのはわたしの才能だから変えないでくださいね、頼みますよ!」
「そのこだわりはなんなんだよ……。まあいいや、他にも1のステータスいっぱいあるだろ? それを治してくれ」
「しかたないですね」
渋々ながら特訓を了解してくれたようだ。
「うちは何を鍛えればいいのー?」
「全部だよ!」
「うへー」
ミカに関してはまだレベルが低いので伸びしろがある。
そういう意味ではちょっと期待をしている。
「よし、早速特訓を始めるとするかの」
爺ちゃん家での一週間の合宿が始まった。
0
お気に入りに追加
1,074
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
現代にモンスターが湧きましたが、予めレベル上げしていたので無双しますね。
えぬおー
ファンタジー
なんの取り柄もないおっさんが偶然拾ったネックレスのおかげで無双しちゃう
平 信之は、会社内で「MOBゆき」と陰口を言われるくらい取り柄もない窓際社員。人生はなんて面白くないのだろうと嘆いて帰路に着いている中、信之は異常な輝きを放つネックレスを拾う。そのネックレスは、経験値の間に行くことが出来る特殊なネックレスだった。
経験値の間に行けるようになった信之はどんどんレベルを上げ、無双し、知名度を上げていく。
もう、MOBゆきとは呼ばせないっ!!
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる