猫舌ということ。

結愛

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暑さの終わり

第174話

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「いやぁ~!ヤバい!アガるな!」
「わかる!最高!」
「なっさん次なにいっちゃう!?」
「なにいっちゃおうか!?」
音成と鹿島がめちゃくちゃテンション上がっていた。
次なにを乗るか、どこへ行くかを決めず歩き始める。
「あの1回ヒュンッ!って落ちるとこいいよね」
「わかる!」
「もっさんはいつ振りのランドですか?」
「いつだっけなぁ~」
前では森本さんんと匠の会話がなされる。
「いつだっけ?」
と森本さんが振り返り、妃馬に聞く。
「あぁ~…高校の卒業でみんなで行って以来じゃない?」
「お、じゃあこの制服で行ったのか」
「違う違う。あの時は私服。他の子たちは制服で行ったって子もいたらしいけど」
「そうだっけか。暑ノ井さんたちは?」
「オレたちはー…行ったことないな」
「ないね」
「え。ないんすか」
「いや、個人…というか、はありますよ?」
「うん。怜夢と行ったことはない。もちろん京弥とも」
「ないんだ?」
妃馬が隣で静かに驚いている。
「うん。オレもたしか中…学。かな?高校かわかんないけど
クラスのメンバーと行ったのが最後かな。小さい頃は妹と連れてってもらったけど」
「小野田さんと中学から一緒で1回もないんだ?」
「ないね。うん。なかった」
そんな話をしていると先行する音成と鹿島が止まってこちらを振り返る。
ニヤニヤ、ニマニマ顔で
「「ジャーン!フォレスト&レイク クルーズ!」」
音成と鹿島が声を合わせて言う。
「乗るってことね?」
「「もち!」」
ということで列に並んだ。シルフィーランドはシルフィーシーと比べて
比較的親子でも楽しめるものが多い。
その中でもこの「フォレスト&レイク クルーズ」は子どもに人気が高いのだろう。
先程よりも長い時間並んだ。そしていざ乗船。そういえば連続で船だ。と思いながら座る。
子どもに人気と言ったが僕たちの船には子どもは0だった。
「皆様、フォレスト&レイクへ冒険に出る準備はできているでしょうかぁ~?」
「いえーい!」
「できてるぅ~!」
音成と鹿島が恥ずかしいくらい
でもこれほど童心に戻れるという少し羨ましいくらいテンションが高い。
「お!元気の良いメンバーがいて心強いです!
それではこのメンバーでフォレスト&レイクへ冒険に出たいと思いまぁ~す。
先程入ってきた情報によりますと、ゴリラが1匹逃げ出したとか逃げ出していないとか。
お隣を見て、もしバナナを食べていたら逃げ出したゴリラですので係員にお知らせください!」
話題のユーモアたっぷりの船長さんにみんな笑う。エンジン音なのがブルブルと音がする。
「冒険には危険が…いっぱいです。なにが起こるかわかりません!
そんなとき私たちを守ってくれるのがこれ」
と言って船の屋根の先端に振る下がっている像や猿、ライオンのお守りを触る。
「このお守りがいざというときは私を守ってくれることでしょう!
それではしゅっぱぁ~つ!」
ギギッっとレバーを下げる音、そしてまたエンジン音なのか、ブルブルという音がする。
まずはモルフォ蝶という世界最大級の蝶々。
あつまれせいぶつの森ではもっと青く綺麗な気がしたが…。
なんて思っているとワニが鳥を狙って水面から鼻を出している場面に遭遇し
お次はなんと象。アフリカ象なのか、牙が立派だ。なんて思っていると、また左側に象。
パオォーンというのがプグオォーンというのか
実際にはあまり聞いたことのない象の鳴き声を聞けた。
するとドラム缶や木箱が置いてある人がいた形跡が見受けられる。
しかしそこにいたのはゴリラ。子どもゴリラに関しては拳銃で遊んでいた。
どうやらゴリラに占領されたようだ。そこへそれで来たと思われるジープも横転していた。
そこを通り過ぎるとまたゴリラが木の枝を持ってこちらにちょっかいを出そうとしていた。
キリン、ヌー、シマウマが出てきて、大自然、サバンナのようだった。
奥には鹿?もいて作り物には見えないクオリティーだった。
砂岩でできたような穴蔵にライオンの群れが。その中央にはぐったりとしたシマウマが。
夢の国とはいえ「自然」というものをしっかりと表現している。
その後先程ゴリラに場所を占領されたと思われる人が
サイやハイエナに襲われそうになり、木に必死に掴まっていた。
密林を進むと大きな口を開ける大きなワニが2匹。
ザーっという滝の音が聞こえ、滝が見えたと思ったのと同時に
右斜め前に恐らくマングローブの木に絡みつく大蛇が目に入った。
体長は2メートル以上はあるだろうか。今は安心して見ていられるが
こんな大蛇じゃなかったとしても森で蛇に出会ったら、パニックになるだろうなと思った。
その想像の中で鹿島は
「あ、蛇だ。なんかリアル「フォレスト&レイク クルーズ」みたいだな」
と蛇を指指して呑気に笑っていた。滝を避けて曲がると先住民族の盾のようなもの
そしてその先住民族が作ったような「注意!」みたいな看板もあった。
その先へ進むとそこには水の中に潜む数多くのカバが。
あの看板は「注意!カバの縄張り」というものだったのだろう。
思い出せばカバに襲われている人の絵が描かれていた気がする。
大きな口を開けるカバを過ぎると恐らく先住民族のボードが。
かと思ったらすぐに先住民族の住処が現れ
家の中では先住民族が打楽器を叩きながら陽気に踊っていた。
「入ってくるな!」とか、槍や弓矢を構えてくるタイプの先住民族ではないようだ。
槍や弓矢を構えてくるタイプの先住民族を目の前にしても
「マジリアル「フォレスト&レイク クルーズ」じゃん」
と指を指して笑いを堪えている顔をしている鹿島が想像できた。
温厚なタイプの先住民族かと思い、安心していると
草葉の陰から盾と槍を構えている奇妙な仮面を被った先住民族の姿があった。
「あ、すいませんすいません。帰るんで」
鹿島は両手を胸のところまで挙げて降参ポーズを取っていた。
先程マングローブの木に絡みつく大蛇がいたところの滝の裏を通る。
すると現れたのは綺麗に四角に切り出された石。それを積まれて作った台座。
その上にこれまた石で作られた柱。その上には飾り彫がなされている梁のような横長の石が。
その奥にはいで掘られた大きな人の顔もあった。どうやら朽ち果てた神殿のようだ。
船はその神殿のトンネルへ入る。中は真っ暗…ではなく、ところどころにライトが付いていた。
しかしライトは小さく暗いのには変わりない。
その暗闇に神秘的な光が現れ、それはよく見ると象。
かと思ったらその光が、すばしっこい蝶々のように移動する。
すると壁に壁画のような模様を映し出す。
そんな神秘的な不思議なトンネルを抜けると象がお出迎えしてくれた。
そこは象の溜まり場のようで滝に打たれている象、鼻から水を噴き出している象もいた。
どこからともなくトランペットの音が聞こえてきて
いよいよフィナーレに近いのだろうと思った。水に浸かるヌー。
最後は仔象と共にふくよかな先住民族が見送ってくれた。
「さてぇ~、たまに不思議、驚きいっぱいの
フォレスト&レイクへの冒険はいかがでしたかぁ~?また冒険に出たいよぉ~!って方」
「はぁ~い!」
「はぁ~い!」
音成と鹿島は楽しそうに声をあげて手も挙げる。僕たちは声は出さなかったが手は挙げた。
「おぉ~。嬉しいですぅ~。さて、文明社会に帰ってまいりましたぁ~」
文明社会へ帰ってきた。船が船着場へ着き、降りる。文明社会とはいうものの夢の国。
現実の文明社会を感じることはなかった。
お次は森本さんが好きだというキャラクターのアトラクションへ。
喋るオウムに囲まれて、カーニバルが始まる。
オウムが歌っているところにその森本さんが好きなキャラクターが現れる。
手にはウクレレ、服はアロハシャツ。
このキャラクターのアニメを見たことはないがハワイと関係あるのは明らかだった。
そのキャラクターとオウムがウクレレのメロディーをベースに歌い出す。
え、もう終わるの?と思ってしまうほど
そのキャラクターが出てくるのはショーの後半だったようだ。
そのキャラクターが沈んで消えていきショーは終了。
アトラクションというよりは「ショー」だった。
外に出ると相変わらずいい天気で陽射しが眩しかった。
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