猫舌ということ。

結愛

文字の大きさ
上 下
141 / 183
特別な日

第141話

しおりを挟む
いつも通り、朝妹に起こされ、朝ご飯を家族と食べる。妹と父を見送る。
お昼ご飯を食べずに12時前に家を出る。
音楽と共に駅につく。ホームで電車を待っているとツンツンと肩をつつかれる。振り返る。
マスクを下ろし、変顔をする森本さんがいた。
「ふっ…ふはははは」
笑いながらイヤホンを外す。
「おはようございます」
「おはようございます。って急に変顔で一瞬ビビりましたよ」
マスクを戻す森本さん。
「眠いかなぁ~と思って目覚まし代わりに」
「いや、眠いのもっさんでしょ」
あくびをしているのか、マスクが縦に大きくなり
目を瞑り、開けたら大きくキリッっとした目に涙が溜まっていた。
「正解」
少し仲良くなり森本さんを「もっさん」と呼ぶようになっていた。
「まあ、眠いっちゃ眠いですけど」
「何時起きですか」
「7時くらい?」
「はっや!なんで!?」
「いや、妹に起こされて朝ご飯家族で食べるんで」
「毎日!?」
「まあ、ほぼ毎日?」
「マジか。妹さん何歳っすか?」
「17?かな?」
「ピチピチの高校生だ」
「キラキラの1年生みたいに言わないで」
「たしかに」
森本さんが笑う。電車が来て2人で乗る。
他愛もない話をして盛り上がりながら、あっという間に大学の最寄り駅に着いた。
「コンビニ行く人ー」
「はーい」
「じゃ、行きましょう」
「うい」
「もっさんって講義中なんか食べんの好きですよね」
「人を食いしん坊みたいに言わないでください」
「すいませんすいません。でもよく食べてるじゃないですか」
「まあ、たしかに」
「しかもスイーツ系」
「いや、ラーメンとか食べてたらヤバいでしょ」
「それはたしかに」
2人で笑う。コンビニに行って買い物をして大学の正門から中に入る。
「今日はミニシュークリームですか」
「ですね。お供はミルクティー」
「優雅にティータイムを講義中に」
「だって講義中暇なんですもん」
「講義中暇という大暴言」
「たしかに」
2人で笑う。
「もっさんは講義中ゲームはしないんですね」
「しますよー」
「サティスフィー?」
「いえ、サティスフィーはサキちゃんと恋ちゃんと話せないので
スマホでパズルゲームとかしてますね」
「あ、そうなんですね」
「私集中しちゃうタイプなんですよねぇ~。まあゲームによりますけど」
「スプラタウンとかは」
「あぁ~集中しますね」
「鹿島もそうですね。今は違いますけど、前講義中にスプラタウンやってたときは
無言でカチャカチャやってました。笑顔で」
「そうなんですよ!鹿島さんゲームするとき、めっちゃ楽しそうなんですよ!」
なぜか森本さんのテンションが上がる。
「おぉ。テンション高くなった」
「あ、すいません」
「全然全然。楽しそうだなって」
「まあ、鹿島さん見てるとこっちも楽しくなりますね」
「おぉ~、鹿島喜びますよ」
そんな話をしていると講義室前着き、開け放たれた後ろの出入り口から中に入る。
「あ、サキちゃんと恋ちゃんいた」
「お、匠いた」
「珍しい」
「それそのまんまもっさんに返ってきますよ」
「たしかに」
音成と妃馬さんに挨拶して、森本さんと別れ、匠の元へ向かう。
「うっす」
「うっす」
「後ろ失礼ー」
「あいあい」
匠がイスをひいてくれて、後ろのテーブルとイスの間を通る。テーブルにバッグを置き、座る。
「もうそろ夏休みやでー」
「なぜに関西弁。まあ、たしかにな」
スマホのホームボタンを押す。最近全然気にしていなかった日付を見る。7月16日。
その下に妃馬さんからの通知。

「朝苦手なんですね。私も得意ではないですけどw」
「フィンちゃんと一緒だったんですね」

通知をタップし、返信を打ち込みながら匠と話す。
「あとどんくらい?1週間くらいで夏休み?」
「わからん。7月終わり頃だよな」
「でしょ」
「でも去年8月でも大学行ってた気がするけど」
「マジ?」
「講義によるんじゃないかな。テストだってあるし」
「マジ大学生になってテストとかほんと無理だわ」
「それなー」
「夏休み今年はプール行くかー」
「音成と?」
「あぁ、それもあるな」
「あぁ、オレらとって話か」
「せや」
妃馬さんへの返信を打ち終える。

「元々はそんな苦手じゃなかったはずなんですけど
大学サボって鹿島と夜ゲームしてるうちに、いつの間にか夜型になってましたw
妃馬さんもどちらかと言えば夜型って前言ってましたね」
「はい。駅で一緒になりまして」

送信ボタンをタップする。
スマホをテーブルの上に置き、バッグからサティスフィーを取り出す。
「プールねぇ~」
「去年京弥と行ったんでしょ?」
「そうそう」
「オレ水着あるかな」
「買いに行く?」
「だなー。可愛いデザインのあればいいな」
「今日この後見に行く?もう7月になれば水着売ってんじゃね?」
「ありだな」
手元でサティスフィーであつまれせいぶつの森の日記を行っていると
前の出入り口から講師の方が入ってきた。別になんてことない「いつも」だったが
なぜか、鹿島来ないのか。と思って後ろの出入り口に視線をやる。
しかし鹿島の姿はなく、女子数人が入ってきただけだった。
諦めて視線を手元のサティスフィーにやろうとしたそのとき
入ってきた女子の後ろに鹿島の姿が現れた。
なぜか、なぜだか嬉しかった。鹿島と目が合う。
鹿島が「おっ!」っていう表情になり、講義室に入ってくる。
「あ、君。扉閉めてくれるかな?」
講師の方が鹿島に言う。
「あ、はい。…っす~」
鹿島が体を反転させ、後ろの扉を閉める。
そして音成、妃馬さん、森本さんに挨拶して近づいてくる。
「え?ヤバない?ヤバない?」
匠と僕はイスをひく。
「さんくす~。失礼しやすっと」
そう言いながら後ろを通り、僕の左隣に1席空けて座る。
「なにヤバいって」
とぼけて聞いてみたが、きっと僕が鹿島を見つけて嬉しく思ったことと同じだと思っていた。
「え、だってさ、今日初めて6人揃ったんだよ?」
「おぉ。たしかに」
匠は本当に気づいていないようだった。
「あぁ、なるほど」
僕は気づいていた。
「え、え、今日この後6人で遊び行っちゃう?」
「えぇ、それでは時間になったので講義を始めます」
講師の方が講義の始まりを告げたので
ボリュームを小さく、そして必要最低限で喋ることにした。
「いい案だけど、向こう3人この後予定あるかもだぞ?」
「グループLIMEで聞いてみりゃええやん」
「匠ちゃんそれ、オレ思ってた」
「「うぇい」」
会話はそこで終了し、匠と僕は引き継ぎサティスフィーを
鹿島はバッグからサティスフィーをテーブルの上に出したが、まずはスマホをいじっていた。
あつまれせいぶつの森の日記をし終え、一段落がついたのでサティスフィーの電源を切り
太ももの上に置いた状態でテーブルの上のスマホを手に取り、ホームボタンを押す。
すると通知が複数来ていた。話していた通り、音成、妃馬さん、姫冬ちゃん、森本さん
鹿島、匠、僕の7人のグループLIMEの通知だった。
通知をタップし、トーク画面に飛び、読む。

「みなさん今日この後暇ですかー?」
「暇です」
「お暇」
「暇ですよ?」
「おぉ!じゃあ今日この後どっか遊び行きません?せっかく6人揃ったんで」
「たしかに」
「なるほど!いいですね」
「よかざんしょ」
「うっしゃー!どこ行きましょ!」
「大吉祥寺」
「フィンちゃん好きねぇ~」
「じゃ、大吉祥寺で!」
ロナンが「楽しみ」と言っているスタンプ。
ゲーマーの男の子が丸がついて「発売日」と書かれたカレンダーを見て
「楽しみ!」と言っているスタンプ。
猫が「楽しみ!」と跳ねているスタンプ。
エルフ耳のスーツ姿の男の子が「楽しみ!」と言っているスタンプ。
宇宙人が「楽シミ」と言っているスタンプ。
「あれ?怜ちゃん?
この流れスタンプ流れよ?って思って隣見たら夢中でゲームしてたわ。ゲーマーめ」

誰が言ってんだよ

そう思いながら読み進める。
「たしかに。どんだけゲーム好きなんすか」
また

誰が言ってんだよ

と思う。

「フィンちゃんが言う?w」
「それいうなら鹿島さんもじゃない?」
「たしかにw」
「それな」

そこが最新だったので流れは終わっていたものの
一応フクロウが「楽しみ!」と言っているスタンプを送った。

「遅っw」
「流れ終わったのにw」
「ねwなっさんねw」
「ねwしまくんねw」
「仲良くなってるw」
「妃馬さんも呼んでいいですよ?」
「しまくん?」
「おぉ!呼んでくれた!」
「呼ばせたの間違いだろ」
「しまさんかな」
「無理に呼ばないでいいですよ」
「くんはあれなのでしまさんで」
「全然嬉しいっすよ!」

そんな変にテンションの高い鹿島とみんなのやり取りが続いた。
サティスフィーでスプラタウンをやりながら試合が終わったらLIMEを開く。
それを繰り返していると
「ではぁ~、えぇ~少し早いですが今回はここで終わりとします。お疲れ様でした」
講義室内が騒めき始める。隣の鹿島の雰囲気も騒めいてる気がした。
「終わったよ!」
「知ってるよ」
「バボのカスタム終わらん」
「え、匠も買ったん?」
「うん。前京弥から初めてディラマイの話聞いたときnyAmaZon(ニャマゾン)で買ってた」
「あ、あのときマジで買ってたんだ?」
「うん。プレミアムエディションを」
「出たー鹿島と同じ」
「そうそう。匠ちゃんとその話したんよ。フィギュア出来よくね?って」
「マジで出来よかった。あのフィギュアとコードが付いてあの値段は割と破格よな」
「それな!」
「ほお~?今度匠ん家行ったときフィギュア見よ」
「おいでおいで。自慢してあげるから」
「うぜーな」
3人で笑う。
「んじゃ、そろそろ行きますか?」
「おう!」
「うい」
ワクワクしているけど、どこか緊張しているのか、鼓動が高鳴り、心拍数が上がっている。
後ろの出入り口に近づく。音成がこちらに気づいて手を振ってくれる。
「おっすーなっさん」
「おっすーしまくん」
「森もっさんも妃馬さんもおっす」
「おっすー」
「しまさんおっす」
「聞いた!?怜ちゃん匠ちゃん!聞いた?」
「聞きました聞きました。もっさん妃馬さんどうも」
「暑ノ井さんどうも。小野田さんもどうも」
「怜夢さんどうも。小野田さんもどうも」
「もっさん妃馬さん、どうもです」
「じゃ、行きますか!」
「うぇーい」
「行きましょ」
6人で講義室を出た。校舎を出て正門までを歩く。初めて6人で歩く。新鮮な光景だった。
「いやー。揃いましたね!」
「テンション高いな」
「ね」
「初めて6人揃ったんだよ?」
「まあね」
「たしかにね」
「大吉祥寺でなにしようか」
「とりあえず行こう。流れで決まるっしょ」
「だな」
新鮮な6人でなんでもない話をしながら駅へ行き、電車に乗って大吉祥寺で降りる。
ワクデイジーのある通りのほうの出口から出る。ワクデイジー行く?という話も出たが
後でいいんじゃね?ということでワクデイジーを通り過ぎる。靴屋さんを左に曲がる。
そしてロストに吸い込まれるように入る。そして下りのエスカレーターに乗って地下へ下る。
6人でクレーンゲームを回る。
「あ。無くなってるわ」
「ん?」
「後輩が悪魔の景品」
「マジか」
「取っといてよかったね」
「マジでよかったわ」
「イチャつくな」
「えへへ」
「えへへ」
「特に欲しいもんないなぁ~」
「じゃあ森もっさん、アリカー(アリオカートの略称)やりましょうよ」
「お。いいっすよ?」
「じゃあ前哨戦として」
鹿島が僕たちのほうに視線を送る。
「オレ?」
「オレ?」
「いや、組み合わせはなんでもいいけど。妃馬さん対匠ちゃんでも」
「じゃあ、まあオレと匠でやる?」
「いいけど?」
6人でぞろぞろとアリオカートのゲームの周りに集まる。匠と僕がシートに座る。硬い。
コインを入れて、ハンドルを握る。画面の説明通り動き、匠との対戦レースが始まる。
雲に乗ったキャラクターが出てきて、カウントダウンが始まる。3、2、1…
ロケットスタートをするため、2に入ったか入らないかくらいでアクセルを踏んでいた。
爆発した。出遅れた。
「え?めっちゃやり辛い。待って。あ、待って待って待って!曲がれん曲がれんって」
匠が隣で騒いでいる。出遅れたが僕もコース通り走る。
しかし、コントローラーではなくハンドルで、しかもアクセルもブレーキも足元。
たしかにやり辛い。コントローラーでやるアリオカートではドリフトもお手のものだったが
曲がるのも一苦労だった。
「え、待って。マジムズイ」
「こんなヘアピン無理だって!」
「はや!マジ?コンピューター強っ!」
「減速して曲がるしかない」
「は?こんなヘアピン無理無理無理」
文句を言い続け、ゴールした。結果は匠は3位。僕は5位だった。
「お疲れっすー」
「実況動画見てるみたいだったわ」
「わかります」
「ガチムズイぞ」
「な。これ全然無理」
「わかるわかる」
「じゃ、2人もいっとこうか」
「え?」
「え?」
森本さんが音成と妃馬さんの肩に手を回す。
「いや私たちは」
「ねぇ?」

「あぁ無理無理!」
「待って待ってぶつかるぶつかるー!」
結局2人もレースをした。
「お疲れっすぅ~」
「全然無理なんだけどぉ~」
「家でやるアリカー(アリオカートの略称)じゃない~」
「わかりますわかります」
「じゃ、お2人さん見してくださいよ」
「なんかこんだけムズそうだと…ね?」
「わかります。私もこないだひさしぶりにやっただけだからなぁ~」
最初の自信が少し失われた2人がシートに座る。コインを入れる。画面が変わる。
操作を重ね、スタート画面になる。雲に乗ったキャラクターがカウントダウンを始める。
3、2、1、GO!2人ともやはりさすがでロケットスタートを決めた。
「うぅ~やっぱちょっと古い感じの音がいいねぇ~」
「わかりますわかります。このハテナボックスのランダム音とか」
「わかりますわかります。あぁ、でもやっぱこの挙動慣れないな」
「わかります。ドリフトのタイミングが遅れる」
「そうそう。もっとイン攻めたいんだけど」
「早すぎるとダートいきますもんね」
「それ」
さすがは2人。会話をしながら上手く走っている。
「にしても鹿島さん抜けませんねぇ~」
「おぉ?煽りますねぇ?」
現在森本さんが1位、鹿島が2位だ。
「いやこないだはせってたのに今日は独走だなぁ~と」
「じゃあそのアイテムさっさと使ってもらっていいっすか」
「えー。じゃあ後ろに」
「うおっ!あっぶな」
「ふはははは」
「もっさん楽しそうっすね」
「ですね。活き活きしてる」
結局森本さんが1位で鹿島が2位でゴールした。
「くっそー!1回抜かしたのに!」
「あれは負の連鎖でしたね。
鹿島さんに甲羅投げられてバナナ後ろに投げてブロックしたものの
コンピューターに投げられた甲羅が2連ヒットしましたから」
「なんであそこから巻き返せるんすか」
「慣れですかね?」
ドヤ顔の森本さんに悔しそうだけど楽しそうな鹿島。
「くそぉ!プリパニ(プリント カンパニーの略称)撮るぞ!」
「いいですよー。勝利記念だ」
「ぐっ…」
6人でぞろぞろとプリントカンパニーのあるところに移動する。
「あ、え、ここ男だけだとダメなんだ?」
「女性専用」と書かれた貼り紙があった。
「そうだよー」
「私も知らなかった」
森本さんについていってベールをくぐり、撮影ブースに入る。
「うわ明るっ。こんな明るかった?」
財布を取り出し、小銭部分のジッパーを開ける。
「わかる。オレもひさしぶりに入ったとき目やられるかと思った」
「なにそれ」
鹿島が笑う。
「わかる。私も眩しっ!ってなった」
「私はそんなだなぁ~。ゆーて撮影は慣れてたから」
「フィンちゃんと恋ちゃんとは何回か撮ってるもんね」
全員が100円を掌に載せていた。しかしコイン投入口には「500円」と書かれていた。
みんなで顔を見合わせる。
「じゃあ、森もっさんは見事1位ということで我々が出しましょうか」
「お。いいんすか」
ということで森本さん以外の5人がコイン投入口に100円を入れていく。
プリパニ(プリント カンパニーの略称)以外では聞いたことがないであろう電子音が鳴る。
女性の声でガイドが流れ
音成、妃馬さん、森本さんが画面の前に行って、いろいろ話しながら画面を操作している。
鹿島、匠、僕の3人は後ろの壁のほうに行って
「なんか緊張する」
「わかる」
「一生の記念やで!」
「なんで関西弁?」
3人で話す。緊張緩和のために深呼吸をする。
「怜ちゃんなんで緊張してんの?」
「いやプリパニ(プリント カンパニーの略称)撮んのひさしぶりだから」
「あ、それで?」
「いや、オレはわかる。恋と撮ったとき、ひさしぶりすぎてちょっと緊張した」
鹿島と顔を見合わせる。
「ん?2人で?」
「なっさんと2人で?」
「え、あ、はい」
鹿島と詰めようとしたが
「撮影を始めるよー!」
と女性の声がしたので
「後で詳しくな」
「な」
と今は諦めた。
「まずは指ハートから!行くよー?」
女性の声でポーズの指示がある。みんなまずはその指示に従い指ハートを作る。
「次は隣の人とハートを作ってみよー」
そう言われ戸惑ったが妃馬さんは森本さんと音成は匠と。必然的に僕は鹿島とになる。
鹿島が右手で片割れのハートを僕のほうへ寄せる。嫌々僕も左手で片割れのハートを作る。
「嫌そうな顔」
鹿島が笑う。2枚目もガイドの指示に従った。そこからはガイドに従わず
人差し指を立ててドヤ顔の森本さんをみんなで崇めるようなポーズや
なぜか音成と匠だけにして、2人だけで撮らせたり
女性陣だけで撮ったり、逆に男性陣だけで撮ったり
音成と匠を中心にして他4人で腕で作ったハートで囲んだり
いろんなポーズでプリパニ(プリント カンパニーの略称)を撮った。撮影ブースを出る。
音成、妃馬さん、森本さんは落書きブースへ入った。
「ひさしぶりにはしゃいだわ」
「楽しかったー」
「なんでオレら2人だけにされたん?」
「「さあ?」」
落書きブースから声が聞こえてくる。
「暑ノ井さんめっちゃ嫌そうな顔してる」
「ほんとだ」
「しまさんキス顔」
「1位にひれ伏せっと」
「幸せ者でーすっと」
落書きが終わり、印刷が始まる。すぐにカコンっと出てくる。
バーにあるような丸いテーブルの白いバージョンのところにハサミがあるのでそこに溜まる。
妃馬さんが6等分に切ってくれてみんなにくれた。1度全写真を見る。
「怜ちゃん目可愛くなってる」
「ほんとだ。冷徹魔人の怜夢が可愛い」
「冷徹魔人って」
「たしかにね」
「誰が冷徹魔人だよ」
「小野田さん女の子じゃないですか」
「じゃあ、この写真百合じゃないですか」
「たしかに」
「匠ちゃん髪白で光すぎね」
「鹿島は…ガキっぽいな」
「ガキって」
「せめて幼いって言ってくんない?」
「いや、わかります。鹿島さん小学生男子っぽい」
「え?可愛いってことですか?」
「違います」
6人でワイワイ盛り上がった。
その後、森本さんが可愛いと言っていたぬいぐるみをクレーンゲームで全員で協力して取って
せっかくならと全員分を取ったり、ゾンビを倒すシューティングゲームで
森本さんと鹿島が協力しているのを4人で観戦したりして
ゲームセンターを楽しみに楽しんでエスカレーターを上がり外に出た。
その後ロストの1階で男女代わる代わるでマッサージチェアに腰を下ろして笑ったり
女性陣は化粧水などを見ていたり、2階に行ってボードゲームを眺めたりした。
気づけばもうすぐ17時。ワクデイジーで少し話すことにした。注文を終え、地下へ行く。
幸い席は空いていて女性陣はソファー席、僕たちは独立型のイスに座った。
みんなそれぞれ注文したものが乗ったトレイをテーブルの上に乗せる。
「いやぁ~楽しかった楽しかった」
「わかります。ゲーセンも楽しかったしロストも楽しかった」
「ボードゲームいいですよね。オレも買おうかと思った」
妃馬さんと顔を見合わせる。
「なにそこ。アイコンタクトですかー?」
音成にバレた。
「いや?別にー?」
「なになに?」
「いや、特にこれと言った話ではないけど、まあ誰かが被るとあれだしな」
「あ、たしかにそうですね」
「被る?なんの話?」
「いや、前妃馬さんとロスト行ったとき
みんなでボードゲームやったら楽しそうですねって話してたんよ」
「あ、そうなの?」
「うん。で、怜夢さんと1つずつ買ったの」
「あ、そうなんですね」
「そうそう。オレが買ったのが「line」ってのあったでしょ?あれ買った」
「あれね!おもしろそうだった!」
「で私は「ドッグ&キャンディー」を買いました」
「あ、あれ私も気になってた」
「え、怜夢今持ってないん?」
「残念ながら持ってないな」
「やりたかったなぁ~」
「匠ちゃん家行ってやる?」
「は?」
「たっくん家?」
「小野田さん家?今から?」
「無理無理。今日両親帰ってくるから」
「まーそりゃそうだわなー」
「小野田さん家ってどんくらい広いんですか?」
「このワックくらい広い」
「それはない」
「このワックくらい広い」から「それはない」という流れだとは思ったが、よく考えてみると
「いや、割とガチで同じくらいじゃね?」
「うん。オレもノリで「こんくらい広いー」って言ったけど
ワンチャンここより広いかもな」
「いやマジでそれはない。ここより広いことはない」
「でも、同じくらいかも?ですか?」
「まあ…どうなんだろ…」
「悩むほど!?」
森本さんが驚く。
「いや、正直当たり前ですけどワックってテーブルとイスが多いじゃないですか」
「あぁ、なるほど」
「はい。家具が全然違うので比べるってなると…ちょい難しい」
「でも難しいってレベルではあるんですね」
「ですです。屋上もあるから、ワンチャンほんとにここより広いかも」
「だよね!屋上もあるし!」
「そっか。屋上入れてなかったな」
「じゃ、今度この6人で匠ちゃん家でパーティーでも」
「別にいいけど。あ、そっか3人とも最寄り駅近いんですもんね」
「ですです」
「小野田さんとこならワンチャン歩ける」
「マジで鹿島以外はワンチャン会ってたかもですね」
「ですね!あり得る」
「暑ノ井さんとは最寄り駅同じだし」
「そうそう!もう何回か会ってますもんね」
「暑ノ井さん話しかけんなオーラすごいけど」
自分の後ろ姿を想像する。そこに話しかけんなオーラを足してみる。
「いやいやいや。そんなオーラ出してないから」
「わかります。怜夢中高でもそんなんでしたから」
「私の友達も話しかけづらいって言ってたよ」
「マジ?」
「うん。でも話したら「優しかったー」って騒いでた」
「ほんとそんな感じです」
「怜夢さん見た目クール系ですもんね」
「そうそう」
鹿島が入ってこないなと思って鹿島のほうを見ると
ポテトを食べながらジトッっとした目でこちらを見ていた。
「鹿島いじけんなよ」
「楽しそーだなーと思ってー」
「別に今のオレの話には入ってこれたろ」
「たしかにね。京弥入るタイミング逃したろ」
「え?いや別に?そんなことはないけど?」
「鹿島さん、昨日あがった動画見ました?」
森本さんが微笑みながら鹿島に話を振る。
「え!あれっすか!?ワスベス」
「ですです。見ました?」
「見ましたよー!発売楽しみで楽しみで最初のトレーラー何回見たことか」
「わかりますわかります」
「ワスベス?」
鹿島に訊ねる。
「あ、知らん?前に話したと思うけど」
「覚えてないわ」
「ワスベス。The Worst to be the Best。略してワスベス」
「あぁ~、あ?あぁ」
「覚えてないね」
「ごめんごめん。ゲームタイトルってそこそこインパクトないとほぼ同じに感じる」
「わからんでもないけど」
「ワスベスってオンラインゲームなんですけど、底辺からテッペンを目指すってゲームで」
「なんか半永久的にできるゲームですよね」
「そうそう。発売した後も大型アップデートを重ねる予定だって
開発者の方がポツッターで言ってましたね」
「そうなんですよ!最下層から始まって、てっぺんを目指すコンセプトだから
登り詰めたと思ってもアプデでまた新しく上を作れば
半永久的にできるゲームになりますよね」
「めっ…ちゃわかります!コメントでも見ましたけど
大元の世界ですら遊び倒して、クリアってクリアの概念はないけど
てっぺんまで行くのですら時間相当かかりそうなのに
そこからまた大型アプデでてっぺんが最下層になってを繰り返したら…
考えるだけで恐ろしい…」
「めっちゃわかります!恐ろしい…けど顔はニヤけちゃうんですよね」
「それ!めっちゃそれです!ヨダレ出そうになる」
「飢えすぎですよ森もっさん」
鹿島が笑う。森本さんも笑う。さっきまでのいじけ鹿島はどこへやら。
ゲームの話となると饒舌に楽しそうに、活き活きする。
森本さんも鹿島と似たところがあるらしく2人で楽しそうに盛り上がっていた。
「オレもなんかボドゲ買おっかな~」
匠がポテトを口へ運びながら呟く。
「この後買いに行く?」
「もっかい行くの?悪くね?」
「いや、まあ~…オレはいいけどね?みんなが良ければの話になるけど」
「なにがいいかな」
「「え?って言うゲーム」とかは?」
「はいはい。オレの好きな実況者さんがやってた」
「面白いらしいよ?」
「誰情報だよ」
「妃馬さん」
「え?あ、そうなんすか」
「高校生の頃に休み時間やったことあるんですよ」
「おぉ、ボドゲ持ち込んでやるってなかなかヤンチャしてたんですね」
「私じゃないですよ?」
「でも加わってたんですよね?」
「まあ…それは」
「妃馬さん意外とヤンチャっぽいよ?」
「怜夢さん?」
「すいません」
4人で笑う。
「あ、今できるゲーム1つだけ知ってるよ?」
「え?ゲーム?なになに?」
「お前はゲーム狂かよ。ま、ダウンロードしないといけないけど」
「なに?」
「人狼」
「「なるほどね」」
そしてその場でみんな同じ人狼アプリをダウンロードして
6人で1試合だけしてみることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...