猫舌ということ。

結愛

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特別な日

第139話

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ホームで電車を待つ。スマホを取り出し、ホームボタンを押す。妃馬さんからの通知。

「まさか怜夢さんが私の誕生日を知ってくれていたとは驚きで…」

そのメッセージの後に猫が「嬉しい!」と跳ねているスタンプが送られていた。
メッセージは長いのか通知の欄に入り切っていなかった。
妃馬さんからの通知をタップし、トーク画面へ飛ぶ。

「まさか怜夢さんが私の誕生日を知ってくれていたとは驚きでした。
知ってくれてたことだけでも嬉しかったのにプレゼントまで。本当に嬉しいです!
ありがとうございます!」

そのメッセージの後に猫が「嬉しい!」と跳ねているスタンプが送られていた。
送られた時刻を見ると
そのメッセージは妃馬さんと別れてすぐに送られたものだった。

「改めて、お誕生日おめでとうございます。
プレゼント気に入っていただけるかわかりませんが買ってみました。
…誕生日僕より先ってことは姉さんになるのか?w」

その後にフクロウがただただ敬礼しているだけのスタンプを送った。
トーク一覧に戻ってスマホの電源を消す。真っ暗になった画面に自分の顔が写る。
口角が上がっていた。スマホをしまいながら、左手を握り
親指側で鼻から口をグニグニして誤魔化す。電車が風を引き連れてホームに入ってくる。
生暖かい風で髪は靡く。なぜか現実感を急に感じた。
電車に乗り、自分の家の最寄り駅で降り、家へ向かって歩く。
玄関の扉を開けると夜ご飯の香りが漂ってきた。
洗面所で手洗いうがいを済ませ、部屋に戻り着替え、洗濯物を洗濯籠に入れ、リビングに入る。
リビングで家族と夜ご飯を食べ、お皿をシンクに運ぶのを手伝い
その足でお風呂場へ行き、ボタンを押し、お風呂作りを開始する。
リビングへ戻り、妹が寛ぐソファーに僕も参加する。ポケットからスマホを取り出す。
ホームボタンを押す。妃馬さんからの通知に加え、姫冬ちゃんからもメッセージが来ていた。
さらに音成、妃馬さん、姫冬ちゃん、森本さん
鹿島、匠、僕の7人のグループLIMEの通知も複数あった。
姫冬ちゃんからの通知をタップし、メッセージを確認する。

「お姉ちゃんめっちゃ喜んでましたよ!!グッジョブです!( ´∀`)bグッ!」

喜んでくれたか。と安心と嬉しさが込み上げ、ニヤけそうになるが堪える。

「それは良かった!ま、姫冬ちゃんのお墨付きだしね!
それも姫冬ちゃんのお陰です。ありがとうございましたm(_ _)m」

送信ボタンをタップする。トーク一覧に戻り
ドキドキしながら今度は妃馬さんのトーク画面に入る。

「プレゼント!めちゃくちゃ可愛い!最高です!ありがとうございます!!
実は最近イヤリング気になってて
ピアス開けようかとも考えたんですけどやっぱり怖くてですね
今度イヤリング買いに行こうかなって思ってたんです!しかも猫!
なんか着けるのもったいないくらい可愛いです!本当にありがとうございます!」

そのメッセージの後に開けられた箱の中に輝いているイヤリングが写った写真が送られていた。
姫冬ちゃんのお墨付きとはいえ、これだけ喜んでもらえて嬉しくて、嬉しくて
どう堪えようとしても口角が上がってしまう。
「まーた妃馬さんか」
妹の声。声のほうに視線を向ける。そこには冷ややかな視線を僕に送る妹がいた。
「そうだよ?今日誕生日で楽しそうだなぁ~って思っただけ」
「あ、そうなんだ?お兄ちゃんなんかあげたの?」
自分でその話を切り出したが、よく考えれば話の流れ的に
「プレゼントあげたの?」という言葉が妹から出るのは必然だった。
「あ、お、おん。あげたよ?」
「え!?マジか!何あげたの?」
「まあ、それはいいじゃん別に」
妃馬さんへの返信を打ち込む。
「え、めっちゃ気になる。キモいのあげてないよね?」
「なんだよキモいのって」
「ネックレスとかリップ系とか」
「そこまでセンス悪くねぇよ。リップ系って口紅とか?」
「ルージュね」
「呼び方はどーでもいいわ」

「そうなんですね。気に入って貰えたようでこっちも嬉しいです!
ピアス痛いですからねw」

打ち終え、送信ボタンをタップする。
「あげてないよね?」
「ルージュ?あげるやつとかいんの?」
「私の周りでは聞いたことないけど、世の中にはいるらしいよ?」
「へー」
「お兄ちゃんはないよね?」
「だからしてないって。
オレセンス良いかどうかはわからんけど、悪くはないと思ってるから」
「ふーん?ならいいけど」
その後、お風呂ができ、各々のタイミングでお風呂に入り、各々のタイミングで部屋に戻った。
ベッドに座り、通知のあった音成、妃馬さん、姫冬ちゃん、森本さん
鹿島、匠、僕の7人のグループLIMEのトーク画面を開く。

「妃馬さんお誕生日おめでとうございます!」
「鹿島さん!知ってたんですか!ありがとうございます!」
「いやぁ~怜ちゃんから聞きまして」

「あいつマジ」
半笑いで呟く。

「怜夢さんから」
「あ、これ言っちゃダメだったかな」
「暑ノ井先輩さすがっす!」
「妃馬さんお誕生日おめでとうございます」
「小野田さんも!ありがとうございます!」
「お姉ちゃんイケメンから祝われてる」
「姫冬ちゃんもイケメンから祝われたいんだー」
「そりゃそうでしょ!女子たるもの」
「じゃ、来年だね」
「姫冬ちゃん誕生日いつなの?」
「4月27です」
「マジか!会ってすぐだったんだ?」
「鹿島先輩と暑ノ井先輩はそうですね」
「たっくんとは会ってなかったの?」
「キャー!たっくん呼びぃ~!」
「ふぅ~!」
「姫冬ちゃん、鹿島さんもそろそろ慣れて?w」
「小野田先輩と最初に会ったのはLIME通話だね」
「あ、そうなんだ?」
「本人には会ったことあるけど話したことはない。イケメンすぎた」
「匠ちゃんスゲェな」
「鹿島先輩もイケメンですけどね」
「ありがとぉ~姫冬ちゃん」
「いーえー」

そこが最新だった。もう会話は一段落していたので
メッセージを送ることなく既読だけつけてトーク画面を後にした。
しばらくテレビを眺めて、ふとスマホのホームボタンを押す。
妃馬さんからのメッセージに加えて
鹿島、匠、僕、3人のグループLIMEでのメッセージが来ていた。
まずは妃馬さんからのメッセージを確認する。

「そうなんです。前怜夢さんと小野田さんと話したとき
痛いってのを聞いたから、より怖くてですね。でもほんと可愛いですこのデザイン!」

返信を打ち込む。

「あの棒のピアスの話したときですね。耳たぶですら痛いですからね。
猫のデザイン見た瞬間、あ、これなら妃馬さん喜んでくれるかな?って思いましたw」

送信ボタンをタップし、トーク一覧に戻り
今度は鹿島、匠、僕の3人のLIMEグループのトーク画面に入る。

「ゲームすんぞー」
「あーい」
「怜ちゃん誕生日プレゼントどうだったんだろ」
「そりゃ喜んでくれるでしょ」
「ま、そりゃそーだね!」
「だろ?」
「てかなんのゲームするん?」
「トップ オブ レジェンズのカジュアル回してもいいし
ワメブロ(ワールド メイド ブロックスの略称)の実況しても
まあ、実況なしで別ワールド作ってプライベート冒険もあり」
「プライベート冒険って言葉惹かれるね」
「男の子ぉ~」

「わかる」
と呟きながら会話に参戦する。

「プライベート冒険に1票ー」
「お!怜ちゃん来た」
「ワイもプライベート冒険したい」
「じゃ、プライベート冒険楽しみましょ」

ということで夜、実況を撮ることなく、プライベートで冒険して眠りについた。


「いってきまーす」
「はい。いってらっしゃい」
母の声を背に受け、玄関の扉を開く。
イヤホンをつけ、音楽アプリで音楽を聴きながら駅へと歩く。
1限などあったのかと思うほど当たり前のように1限をサボって3限へ向かう。

「今日行きますか?」

という妃馬さんのメッセージに

「行きますよー」

と返信し、電車に乗る。

「今日は大学の後フィンちゃんと恋ちゃんと遊びに行くんです」

という妃馬さんのメッセージに今日は送りはなしか。と思いながらも

「そうなんですね。楽しんでくださいね。お?ということは…」

とメッセージを送り、乗り換えの電車に乗る。大学の最寄り駅で降り、改札を通る。
いつも通りコンビニに向かおうとするとコンビニのほうから音成と森本さんがこちらに来た。
「おぉ」
音成が気づく。音成の声で森本さんもこちらを向き
「あ、暑ノ井さんだ」
と気づいた。イヤホンを外し
「おはようございます」
と挨拶する。
「おはようございます」
「おはー」
「んじゃ、大学でな」
「ん。すぐそこだけどね」
「だな」
2人に手を振って別れる。イヤホンを付け直し
コンビニでココティー(心の紅茶の略称)のストレートティーを買って、コンビニを出る。
正門から大学敷地内に入り、道を進み、講義室に入る。
音成と森本さんに手を振り、会釈をする。鹿島を見つけ、近寄る。
「おっす」
鹿島が顔を上げ
「おっす!」
笑顔で返してくれる。
「残念だったな」
鹿島の座るイスの後ろを通る。鹿島もなるべく通り易いようイスをひいてくれる。
「おっ、さんきゅ」
「なにが残念?」
「今日森本さんたちこの後遊ぶらしいぞ」
「あぁ、知ってる知ってる」
「なーんだ」
バッグをテーブルの上に置き、ポケットからスマホを取り出しテーブルの上に置いて
バッグからサティスフィーを取り出し、イスに座る。
「なーんだって」
「え!?マジ!?ってビビって残念がると思ってた」
「森もっさんから聞いてたからね。知らなかったら、残念がってたかもね」
「今はなにしてん?あのぉ~あれか。前言ってたロボゲーか」
「そそ。ディラマイね。これストーリーのボリュームすごいんよ」
「今どの辺?って聞いてもわからんけど」
「そうね。ストーリー全体的に見ると7割ってとこかな?」
「おぉ。大詰め」
「そんな感じ」
スマホを手に取り、ホームボタンを押す。妃馬さんからの通知。

「フィンちゃんも来ますよ」
「おはようございます」

今「おはよう」?と思い、ふと音成と森本さんのほうを見る。
するとそこに妃馬さんが加わっており、3人で楽しそうに話していた。
前の扉から講師の方が入ってきて、講義が始まる。

「大学前で会いましたw」
「おはようございますってそーゆーことですかw急になにかと思いましたw」

送信ボタンをタップする。その後講義が終わるまで
サティスフィーであつまれせいぶつの森で日課を行ったり
鹿島とスプラタウンで共闘したり、合間合間で妃馬さんに返信したりしていた。
「えぇ~…っと、少し早いですが
今回はキリが良いのでここで終わりにしたいと思います。お疲れ様でした」
講義室内がざわつき始め、講義室を出ていく生徒たちが目立つ。
「ほおほお。おもしろいわぁ~マジで」
「オレも買おうかな」
「買ってなかったっけ?」
「それ匠ね」
「そっかそっか」
「んじゃ、帰るぞ」
「Hey yo」
荷物をまとめ出入り口の後ろ扉に近づく。
妃馬さんと目が合う。ニコッっと笑顔に変わる。ドキッっとする。
「おっすー」
「音成おっすー」
「なっさんおっすー」
「なっさん?」
「音成さんって呼ぶのもあれだなって思って
「おとなし」で「なしさん」って呼ぼうかなとも考えたけど
「なしさん」はあれかってことで「なっさん」にしました」
「初めて呼ばれたわ」
「ダメ?」
「全然いいけど」
「なっさん!」
「うい」
「じゃあ私もしまくんうっす」
「しまくんね。高校んとき呼ばれてました」
鹿島が笑顔でそう言う。
「森もっさんもうっす」
「うっす」
「森本さんちっす」
「暑ノ井さんちっす」
「妃馬さんもどもっす」
「どもっす」
鹿島に挨拶を終えた後、僕と目が合う。
妃馬さんの顔が笑顔に変わる。言葉なしでも挨拶が伝わる。僕もそれに応える。
「じゃ、行きますか」
5人で講義室を出る。正門までの道を5人で歩く。
妃馬さんと出会い、音成と再会?し、森本さんと出会って、まあまあの日を経ているが
未だ6人揃うことがなく、どこか歯痒い。
「森もっさんも来てんのに今日は匠ちゃんがおらんのだもんなぁ~」
僕の心を覗いたのかと少し驚く。
「たしかに。鹿島さんいるときは小野田さんいなくて
小野田さんいたときは鹿島さんいなかったな」
森本さんが腕を組み頷く。
「逆もだけどね?森もっさんおらんときはこっちも3人いたりしたから」
「揃わんねぇ~」
「揃わんねぇ~」
「たしかに揃いませんね」
「たしかに」
音成もうんうん頷いている。
「今ふと思ったんだけどさ」
音成が僕に向かって言う。
「はい。なんすか」
「暑ノ井くんってアダ名ないよね」
「唐突だな」
「いや、さっきしまくんにさ、なっさんって呼ばれて
あぁ私中高となっしーって呼ばれてたなって思い出してさ」
「なっしーか。その手があったか」
鹿島が感心している。
「んで私もしまくんにしまくんって付けたじゃん?
その一連を考えてたら暑ノ井くんってアダ名ないなって。アダ名あった?」
音成に言われ、思い出す。
「…んん~…。いや、ないかもな」
「ずっと暑ノ井くんか暑ノ井だよね」
「だね。…うん。暑ノ井ー!って呼ばれることが多かったな」
「サキちゃんは?サキちゃん?」
「なにその質問」
妃馬さんが笑う。栗色の髪を耳にかける。
三日月型のシルバーのイヤリングに太陽光が反射しキラリと光る。
三日月の上に乗った猫ごと、ゆりかごのように揺れる。

プレゼントして本当に良かった。

そう心から思うほど妃馬さんに似合っていた。
「私はそうだね。サキちゃんとギャルの子の一部は根津っちって言ってた」
「根津っち。整いそうな名前ですね」
鹿島が笑う。
「鹿島さんうまい」
そう言いながら森本さんも笑う。
「フィンちゃんは?」
「私?私はね、もっさんが多かったかな。あとルカちゃんって呼ばれた記憶もある」
「ルカちゃん?森本さんルカちゃん要素あります?」
するとなぜか鹿島が得意気な顔をして
「説明しよう!」
とポシェットモンスターの博士のように人差し指を立てる。
「なになに?なんか始まったわ」
「森本さんの名前、デルフィンとは」
「ドイツ語でイルカって意味なんだって」
音成が割って入る。
「ちょ、なっさん!いいとこ持ってかんでよ」
「ごめごめ」
音成が笑う。
「へぇ~。カッコよ」
「ありがとうございます」
「あぁ、イルカでルカね」
「そーゆーことです。ま、呼んでるのマジ少数でしたけど」
「高校の頃だよね。ルカちゃんは」
「そうそう。めっちゃ少数」
「もっさんが主流だったよね」
「サキちゃんは…根津っちも割といたよね」
「茉莉香(まりか)ちゃんだよね。最初に言い出したの」
「だぶんそう。茉莉香ね。懐かしい」
そこから妃馬さんと森本さんが懐かし話を始めたので
こっちは音成、鹿島、僕で話すことにした。
「2人はおんなじ高校なんだっけ?」
「中学も一緒」
「1回も同じクラスになったことないけど」
「怜ちゃんどんな感じだった?」
「そうねぇ~。暑ノ井くんは1軍のクールキャラ担当?」
「なんだそれ」
思わず笑う。
「あ、でもわかる」
鹿島が共感する。
「わかる?」
「うん。最初話しかけるまで、あんま喋らん人かと思ってた」
「そうか?」
「暑ノ井くんクールだよねって言われてたよ」
「マジ?」
「マジマジ。でも喋った子は案外ソフトだったって言ってた」
「クールとかソフトとか」
「しまくんは?どんな高校生だったの?」
「オレ?オレはねぇ~」
「ヤンキー」
「ちょっと怜ちゃん」
「え、ヤンキーだったの?相入れない種族」
「なっさん違うから。ヤンキーじゃないから」
「あ、そうなのね」
「ったく怜ちゃんが変なこと言うから」
「めんごめんご」
「オレはねぇ~至ってマジな高校生でちた!」
「「それはない」」
「おぉ、さすが中高同じ。息ピッタリ」
そんな話をしていると駅につく。
「オレ以外みんなそっちだもんなぁ」
「匠もだもんな」
「6人揃ったらしまくんの寂しさが加速するね」
「それなぁ~」
鹿島の乗る電車が来て、鹿島が乗り、僕たち4人で手を振る。
鹿島の乗った電車が出てすぐに僕たちが乗る電車が来て、乗り込む。
「3人でどこ行くんすか?」
「今日は大吉祥寺で遊びます」
思わず笑う。妃馬さんが「?」という顔で見る。
「なに笑ってんのさ」
音成が聞いてきたので
「いや、人のこと言えないけど大吉祥寺好きだなぁ~って」
すると妃馬さんが笑い
「たしかに人のこと言えなさそう」
と言う。
「こないだも3人で大吉祥寺行ったんでしょ?」
音成が僕に言う。
「あぁ、先週の話な?匠から聞いたん?」
「うん」
「あ、その日ってクレーンゲーム絶好調の日ですか?」
「あぁ、そうですね。…鹿島っすか」
「ですです。めっちゃ取ってクレーンゲームで暮らしていけるって言ってました」
「それその日も言ってました」
「全種類取ったらしいじゃん?」
「あぁ、あの…匠の好きなアニメのやつね」
「後輩が悪魔でしょ?」
「それ。てか3人で遊ぶときは大吉祥寺が多いん?」
「そうだね。大抵大吉祥寺だね」
「なんか理由あるんすか?」
「単に好きってのもありますし。別に真新宿とか甘谷が嫌いってわけじゃないですけど
大吉祥寺は落ち着いた雰囲気で好きです」
「なるほど。ちなみに「ありますし」の「し」のことも聞いていい感じですか?」
「あぁ、単に好きってのもありますし、真新宿とか甘谷だとフィンちゃんへのナンパが」
「ナンパ!?」
「あるね。たまにだけど」
「マジ!?ほんとにあるんだ?ナンパって」
「ね。私もビックリした。都市伝説だって思ってたもん」
「私もビックリしました」
「ですよね?え、どんな感じだったんすか?」
「2人組くらいの人が「あのぉ~ワック(ワクデイジーの略称)って
どこにあるかわかります?」から入ってきて「お礼になにか奢るので
良かったら一緒にどうですか?」って」
「うわぁ~スゴッ。勇気がスゴい」
「大概友達と待ち合わせなのでって言って逃げますね」
「フィンちゃん目立つもんねぇ~顔も髪も」
「ね。顔で目立つのになんで派手髪にしたんだか」
「え、そりゃ可愛いからよ。私がするとなおさら」
「まあね?」
「たしかにね?」
「2人とも否定して」
音成と妃馬さんが笑う。その2人を見て僕も笑う。
そんな話をしているとあっという間に大吉祥寺駅につく。4人で降りる。
「じゃ私たちはちょいと女子会をしてきます」
「はい。楽しんでください」
「暑ノ井くんまたねぇ~」
「音成またなぁ~」
「暑ノ井さんまた会えたらいいですね」
「いやいや、また会いましょ?」
「怜夢さん、じゃ、また明日&LIMEで」
「はい。また明日&LIMEで」
3人が手を振る。僕も振り返す。妃馬さんが振り返るときに耳元のイヤリングが光り、揺れる。
そのまま僕は改札を通り、ホームで電車を待つ。
イヤホンで音楽を聴き、鹿島からのLIMEに返信をする。

「怜ちゃんあの3人と遊びに行ってないでしょうね?」
「行ってねぇーよ。今しがた別れたとこや」

送信ボタンをタップする。最近使ったアプリの一覧を開き
意味がわかると怖い話のアプリをタップし、読もうとしたところで電車が来る。
電車に乗り、意味がわかると怖い話を読み、自分の家の最寄り駅で降りる。
家の扉を開き、玄関で靴を脱ぐ。洗面所で手洗いうがいを済ませ、自分の部屋に戻る。
部屋着に着替え、洗濯物を持って1階へ行く。洗面所の洗濯籠に洗濯物を入れる。
自分の部屋に戻り、なんともなしにテレビを眺めているといつの間にか眠っていた。
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