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親友の新しい1歩
第129話
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次のお店につき、スマホケース、主にフクロウのスマホケースを探すが
猫のスマホケースは容易に見つかる一方、フクロウのスマホケースはなかった。
お店を出て外を歩く。まだ外は明るかった。
「フクロウのスマホケースってないんですねぇ~」
「ないんですねぇ~」
「どうしましょうか」
「どうしましょうね」
少しの間無言でキョロキョロ周りを見渡しながら歩く。
「また井の蛙公園にでも行きます?」
正直案が何も出なかった。真新宿や甘谷に行くにしても時間がないし
帰る…にはまだ早いというか、もう少し話したかった。
「いいですね!またコンビニ寄ってから行きましょう!」
苦肉の策ではあったが妃馬さんは笑顔で同意してくれた。
それから2人でコンビニに寄り、飲み物とたけのこの林を買い、井の蛙公園へ移動する。
空は夕暮れ前のほんのりオレンジと青空が混じっているような色の空だった。
日曜ということもあってか人も賑わっていた。
幸いベンチが空いていたので2人でベンチに座る。
ビニール袋から妃馬さんの飲み物を取り出し、妃馬さんに手渡す。
「あ、ありがとうございます」
「妃馬さん紅茶好きですよね」
「それ怜夢さんが言います?」
「え?」
「初めて会ったときに紅茶好きって言ってたじゃないですか」
「あ」
思い出す。すぐに思い出てきた。
「言ってましたね」
「でしょ?」
僕はアスピスを取り出す。
「でも今日はココティー(心の紅茶の略称)じゃないんですね」
「あぁ、なんかあったかくなってくるとアスピス飲みたくなるんですよね」
「あぁ~。たしかにアスピスのCMって夏のイメージある」
「あぁ、言われてみればたしかに」
「あ、それでじゃなかったんですか?」
「いや、すげーなんとなくな話でした」
「なんですかそれ」
2人で笑う。
「あ、そうだ。今日恋ちゃん、小野田さんとデートだそうですよ」
そうだ。妃馬さんとのお出掛けを楽しんでいて、妃馬さんに言われる今の今まで忘れていた。
「あぁ、そうでしたね」
「やっぱり聞いてました?」
「はい。匠から日曜に音成と出掛けるって」
「この時間なにしてるんでしょうね」
「ニャンスタとかに上ってないですかね」
僕がスマホを取り出すと
「たしかに」
妃馬さんもスマホを取り出し、2人でスマホをいじる。
時刻は18時7分。スマホでニャンスタを開く。
僕はフォローしている人が少ないのですぐにお目当ての投稿に行き着いた。
「あ、あった。今…水族館にいるっぽいですね」
「え、どれですか?」
妃馬さんが僕のスマホを覗き込む。
揺れる髪に伴って、いい香りが僕の鼻に届く。心拍数が上がっていく。
「あ、ほんとだ。…くろだ水族館。あ、スカイタワーに行ってるんですね」
妃馬さんの言葉で思い出した会話があった。
「で話戻すけど、匠ちゃんどうすんの?告んの?」
「んん~まぁ告白~するんじゃない?」
「マジ!?」
「ただ迷うよねぇ~いつにするか」
「わかるわかる」
「早めに告白したいんだけど、シチュエーションどうしようかとかね」
「そうそう!」
「誕生日11月だし、夏祭りっていってもまあまあ先だし」
「5月ねぇ~…」
鹿島の顔がスマホの画面の光で照らされる。
「5月…イベント…イベント…。十三参り、潮干狩り、ゴールデンウィーク
メーデー、八十八夜、憲法記念日…。あ、全然ねぇわ」
「だしょー?だから、まぁ昼くらいから出掛けて
夜ご飯食べて、夜どっかで告白するとかな」
「遠出する?」
「いや、そこなんよ。東京ツリーに行くにしても意外と遠いじゃん」
「わかるわかる」
「東京スカイタワーにしても同じじゃん?」
「わかるわかる」
「あぁ、でもそのほうが特別感は出るか」
「あぁ、それはあるな」
「たしかにね」
すると匠の顔もスマホの画面の光で照らされる。
「んん~…と?…こうでこう…。あぁ~1時間くらいだ」
「匠ちゃん家から?」
「まぁ…うん。オレん家というか最寄り駅から」
「あぁ~。その前はどうすんの?」
「あぁ~…スカイタワー…周辺…。あぁ、スカイタワー周辺いろいろあるじゃん」
匠が画面を鹿島と僕に見せる。
「ほおほお。あぁいいね。ショッピングして
水族館行って、んで夜ご飯食べて…だね」
「よし。そうするか」
「え、マジで?」
「まぁうん。近いうちに話すよ」
「ひょー!なんかオレまでドキドキするわ」
「な。親友として落ち着かんわ」
匠邸でのお泊まり会での恋バナのとき
匠が音成のことを好きなのだ。とはっきりしたあのときの会話。
「あぁ~」
納得し、つい声だ出る。
「もしかして聞いてました?」
まあ、妃馬さんにはバレてもいいかと思い
「はい。スカイタワー周辺行くってのはだいぶ前に聞いてました」
と全貌は言わず、一部分を話した。
「ふーん。あ、すご。足元にクラゲいますよ」
と妃馬さんが僕のスマホを指指す。
「あ、ほんとだ。すげー。きれー」
「これ本物かなぁ~」
「ほんっ…ものじゃないですか?さすがに」
「まあ、そうでしょうね」
音成が投稿している写真には他にも
ペンギンの写真やペンギンの相関図のパネルの写真もあった。
「楽しそうですね」
「ですね。楽しそうでなによりです」
「ペンギンの相関図なんてあるんだ」
「ね。僕もそれ気になりました」
音成の投稿したペンギンの相関図の写真を拡大する。
「え、スゴ!親子関係はもちろん、片想いとか
え、浮気も書いてある!好きな食べ物とか恋愛遍歴も!スゴ」
「スタッフさん、めっちゃペンギン愛すごいんでしょうね」
「たしかに。私正直、顔、違いとかわかんないかも」
「わかります。申し訳ないけど結構な特徴がない限り見分けがつかない」
「でも愛があるから区別つくんでしょうね」
「スタッフさんだけじゃなくて常連さんとか
ペンギン好きの方からしたらよゆーなんでしょうね」
2人でペンギンの相関図の写真を拡大し、詳細に見ていく。
「へぇ~。この子陽キャらしいです。鹿島だな」
「海外からやってきた。この子はフィンちゃんですね」
「オタク傾向がある。この子は匠だな」
「音楽が鳴ると喜ぶ。この子は恋ちゃん」
「音成音楽が鳴ると喜ぶんですか?」
想像して笑ってしまう。
「いや、音楽好きって意味で」
「あぁなるほど。そーゆー意味」
「クールだけど優しい。この子は怜夢さんかな?」
ドキッっとする。忘れていたが、僕のスマホを一緒に見ているため距離が近く
「優しい」と褒められた上、妃馬さんと至近距離で目が合っている。妃馬さんは微笑んでいた。
「えぇっとぉ~…」
ペンギンの相関図の中に必死に探す。
「あ。周りのことによく気がつく、気遣い屋さんですって。これまんま妃馬さんですね」
「私そんな気遣い屋さんじゃないですけど」
「いや、自分ではそう思ってないだけですよ。
そんなこと言ったら僕だって優しいなんて思ったことないですよ?」
「それは嘘だー」
「なんでなんすか」
2人で笑う。こんな、なんでもない会話が楽しい。
「はい。妃馬さん。良かったら」
と買ったたけのこの林を開封し、妃馬さんに差し出す。
「あ、じゃあ、いただきます!」
「たけのこ派ということで」
僕も1つ取り、2人で食べる。たけのこの林のクッキーとチョコの一体感が口に広がる。
「そういえばあいつらどっち派なんだろ…」
思わず呟く。
「小野田さんと鹿島さん?」
「ですです。付き合い長いけど聞いたこと…たぶんん~…ないですね」
「そう言われると私もフィンちゃんと恋ちゃんがどっち派か知らないですね」
自分で言っといて思った。長いこと一緒にいても知らないこともあるんだな。と。
考えてみれば当たり前といえば当たり前なのだけど、カルチャーショックなるものを感じた。
「匠がトッキーよりポッポ派なのは知ってるけど」
「あ、そうなんですね。私もポッポ派です」
「でもあれそもそも派閥争いあるんすかね」
「たしかに。あるのかな?ちなみにー怜夢さんは?」
「んん~どっちかっていうとポッポかな?」
「なんでですか?」
「「最後までチョコたっぷり」がいいですよね」
「わかります!」
そんな会話をしているといつの間にか空が暗くなってきていたことに気づく。
「あ、もう暗くなってきてる」
「ほんとだ。街灯もついてた」
「気づかなかった」
「もうだいぶ気温高いですもんね。夜でも」
「ですね。春くらいだと陽が落ちると、ちょっと肌寒かったりもしたけど」
「そうそう。最近春と秋が短いですよね」
「それ!ほんとそれ!」
「とにかく夏が鬼暑い」
「去年もすごかったですよね」
「ヤバかった。鹿島とプール行ったんですけど、プールも温水みたいでしたよ」
「わかりますわかります!ちゃんと冷たいんですけど、なんかね。なんていうか」
「わかりますその、なんて言ったらいいかわからない感じ」
たけのこの林を食べようとたけのこの林の箱に手を入れる。
探さないと見つからないくらい少なくなっていた。
2人でパクパク食べていたらあっという間に減っていた。1つ見つけて口へ運ぶ。
妃馬さんも手を箱に入れ、箱の中でたけのこの林を探し当て、口へ運んだ。
その様子を確認した後、僕はたけのこの林の箱を持ち上げ
左右に振ってみる。感覚的に残りは1つだと思った。
「妃馬さん。たぶん残り1つなんで、良かったらどうぞ」
「あ、もうですか。どおりで箱の中スカスカだと思った。私はいいので怜夢さんどうぞ」
「じゃあ、じゃんけんで勝ったほうということで」
「なるほど。それは平等ですね」
「じゃあ、いいっすか?」
「いいっすよー」
「さーいしょーは」
「「グー!じゃーんけーん」」
「「ぽんっ!」」
僕が出したのはグー。妃馬さんが出したのもグーだった。
「「あーいこーでー」」
「「しょ!」」
僕はまたグーを出した。妃馬さんもまたグーだった。
このまま何回もあいこが続いて、なんとなく照れ臭くなって。なんて考えていると
「「あーいこーでー」」
「「しょ!」」
僕はパーを出し、妃馬さんはチョキを出して呆気なく勝負が決した。
「やったー!」
「負けたかー」
妃馬さんが笑顔でたけのこの箱に手を入れる。
僕はアスピスの蓋を開けて、陽が沈む暗い空を眺めながらアスピスを飲む。
妃馬さんが隣で微かに笑っていた。
「怜夢さん怜夢さん」
名前を呼ばれて、ペットボトルの飲み口から口を外し
「はい?」
と妃馬さんの方を向く。妃馬さんがたけのこの林を1つ手にしてクスクス笑っていた。
「ん?」
「いや、これ」
と言って妃馬さんが手の角度を変える。すると1つに見えていたたけのこの林が2つになった。
「え!」
どうやら2つがくっついていたらしい。
「2つありました」
笑顔の妃馬さんがそう言う。
暗くなってきているというのに、なぜか妃馬さんが明るく見えた。そんな気がした。
「熱でくっついてたんですかね」
「ですかねぇー」
なぜか嬉しそうにそう言いながら、2つくっついたたけのこの林を引き離す。
「どうぞ」
僕の掌の上に優しく乗せてくれた。
「ありがとうございます」
口に放り込む。先程と変わらぬたけのこの林の味だった。
でも、気のせいなんだろうが、ほんの少し美味しく感じた。
「じゃ、そろそろ帰りますか」
「うぅ~ん…」
妃馬さんがなにやら悩んでいる。
「そ う で す ね」
と言って立ち上がる妃馬さん。ん?と思ったがそれは口にせず、僕も立ち上がる。
井の蛙公園を出て、駅に向かう。休日ではあるものの日曜日。次の日は平日。
それもあってか19時前となると駅に向かう人も多い。
駅の中も人でごった返していた。改札を抜け、ホームに入る。
「人多いですね」
「ですね。次にします?」
ホームに電車は着いていたが中はギュウギュウだった。
「そうですね。潰されそう」
「たしかに」
次の電車に乗ることにして、もう次の電車を待っている人の列に並ぶ。
電車が出て、次の電車が入ってくる。扉が開き、乗客が降りてくる。
列の前の人に続いて中に入る。扉のサイドに行く。
妃馬さんにはシートの端の壁に寄りかかってもらう。
痴漢なんてそんな頻繁にあることではないと思うが
満員電車で少し不安だったので妃馬さんをガードするように立つ。
どんどん人が入って来て背中に圧を感じる。
しかしその圧に負けないようにポールに捕まり、少し足を横と縦に開き耐える。
「大丈夫ですか?」
すぐ近くの妃馬さんが小声で言う。
「はい。大丈夫です。混みますね」
「明日からまた平日ですからね」
「大学生って楽ですね」
「ですね。講義の入れ方によっては平日でも休めますもんね」
「まあ、全然講義入ってんのに無視して休んでるやつもいますけどね」
「怜夢さんのことですか?」
妃馬さんが笑いながら言う。近くでの妃馬さんの笑顔は破壊力がすごかった。
近すぎて、早くなった鼓動を聞かれてしまっていないか、少し心配になった。
「いや、まあ僕もそうなんですけどね?鹿島と匠のことです」
「フィンちゃんも」
「匠よりレアキャラですよね」
「休日はふつーに遊びますけどね」
「大学生してんなぁ~」
「たしかに」
アナウンスが流れ、扉が閉まる。電車が動き、慣性の法則で後ろに蹌踉ける。
妃馬さんも蹌踉たようで、僕の胸に髪の毛があたる。
靡いた髪に伴って、良い香りが僕の鼻に届く。
心拍数が加速する。僕の家の最寄り駅を通り過ぎ、妃馬さんの降りる駅につき、降りる。
「結局いいスマホケースに巡り会えませんでしたねぇ~」
「ですねぇ~」
「次はどうしましょうか」
「真新宿か甘谷?」
「その2つだったらワンチャン1日で行けるかもですね」
「たしかに。すぐですもんね」
「でもあれか。行くとこが多いし、広いから時間かかるかもですね」
「あぁ~そっか」
「じゃあ」
次の日曜とかどうですか?と言おうとして止める。
もしかしたら匠からお泊まり会の話が出るかもしれなかったからだ。
「次は甘谷行きましょうか」
「いいですね!最近甘谷行ってないなぁ~」
「僕も行ってないです。変わったりしてるかな」
「どうでしょうね。友達のニャンスタ見る限りではそんな変わりなかったような」
「へぇ~。ニャンスタ友達全然いないからなぁ~」
「あ、そうだ。怜夢さんなんでフォロー少ないんですか?高校の頃友達たくさんいたって」
「音成から聞いたんすか?」
「ですね」
「まあ、簡単に言うと大学に入ってからニャンスタのアカウント作ったんで
一緒に始めた匠と鹿島と、あと芸能人とか
僕をフォローしてくれた高校のやつとかしかいないんです」
「あ、そうなんですね」
「だから正直高校のやつが今なにしてるかとか全然知らないんですよね」
「鹿島さんはフォロー多いですよね」
「多いですねぇ~。あいつは高校の頃からやってたらしいし
ゲームの動画とかあげてるから知らない人からも割とフォローされるらしいです」
「へぇ~すご」
「妃馬さんもフォローしてる人もフォロワーも多いですよね」
「まあ、私も高校生の頃からやってますし。でも大概「とりあえずフォロー」が多いですよ」
「とりあえずフォロー?」
「はい。クラスメイトとか他クラスの子とか
特に仲良いわけじゃないけど「とりあえず」フォローするみたいな」
「あぁ~なるほど?」
「LIMEとは違いますからね」
「たしかに。LIMEって連絡取るための手段って感じだから
仲良い人のを聞きたいって感じだけど、ニャンスタって近況見る感じだから
別にそんな仲良くなくても「とりあえず」って感じか」
「そうですそうです!ま、ぶっちゃけ興味なければ飛ばしますけどね」
「飛ばすんだ」
笑う。
「だって興味ないし」
「そりゃそうですね」
そんな話をしているといつの間にか、いつもの曲がり角につき、その曲がり角を曲がると
根津家の入っているマンションのエントランスが見える。エントランス前に着く。
「今日は残念でしたね」
「フクロウのがなくてね」
「ですね。猫のやつはたくさんあったけど」
「やっぱ怜夢さんといえばフクロウってイメージですし」
「前鹿島にも言われました」
思わず笑う。
「やっぱりそのネックレスの印象とあと指輪」
「あぁ」
と今はしていないが小指を見る。
「最近してないんですね」
「あぁ、あのときは鹿島にコーディネート?して貰ってたので」
「普段はあまり?」
「そうですね。アクセサリー系は…あんまり?」
「ピアスとネックレスくらい?」
「そうですね。大概は」
「そうなんですね」
少し間が空く。
「じゃ、また明日大学で」
「はい!また明日!あとLIMEで!」
「はい!またLIMEで次のスマホケース探しの旅の日程について話しましょう」
「はい!決めましょ」
「じゃ、また明日」
「はい!また明日!」
そう言って妃馬さんに手を振り、背を向け、駅へと歩き出す。
猫のスマホケースは容易に見つかる一方、フクロウのスマホケースはなかった。
お店を出て外を歩く。まだ外は明るかった。
「フクロウのスマホケースってないんですねぇ~」
「ないんですねぇ~」
「どうしましょうか」
「どうしましょうね」
少しの間無言でキョロキョロ周りを見渡しながら歩く。
「また井の蛙公園にでも行きます?」
正直案が何も出なかった。真新宿や甘谷に行くにしても時間がないし
帰る…にはまだ早いというか、もう少し話したかった。
「いいですね!またコンビニ寄ってから行きましょう!」
苦肉の策ではあったが妃馬さんは笑顔で同意してくれた。
それから2人でコンビニに寄り、飲み物とたけのこの林を買い、井の蛙公園へ移動する。
空は夕暮れ前のほんのりオレンジと青空が混じっているような色の空だった。
日曜ということもあってか人も賑わっていた。
幸いベンチが空いていたので2人でベンチに座る。
ビニール袋から妃馬さんの飲み物を取り出し、妃馬さんに手渡す。
「あ、ありがとうございます」
「妃馬さん紅茶好きですよね」
「それ怜夢さんが言います?」
「え?」
「初めて会ったときに紅茶好きって言ってたじゃないですか」
「あ」
思い出す。すぐに思い出てきた。
「言ってましたね」
「でしょ?」
僕はアスピスを取り出す。
「でも今日はココティー(心の紅茶の略称)じゃないんですね」
「あぁ、なんかあったかくなってくるとアスピス飲みたくなるんですよね」
「あぁ~。たしかにアスピスのCMって夏のイメージある」
「あぁ、言われてみればたしかに」
「あ、それでじゃなかったんですか?」
「いや、すげーなんとなくな話でした」
「なんですかそれ」
2人で笑う。
「あ、そうだ。今日恋ちゃん、小野田さんとデートだそうですよ」
そうだ。妃馬さんとのお出掛けを楽しんでいて、妃馬さんに言われる今の今まで忘れていた。
「あぁ、そうでしたね」
「やっぱり聞いてました?」
「はい。匠から日曜に音成と出掛けるって」
「この時間なにしてるんでしょうね」
「ニャンスタとかに上ってないですかね」
僕がスマホを取り出すと
「たしかに」
妃馬さんもスマホを取り出し、2人でスマホをいじる。
時刻は18時7分。スマホでニャンスタを開く。
僕はフォローしている人が少ないのですぐにお目当ての投稿に行き着いた。
「あ、あった。今…水族館にいるっぽいですね」
「え、どれですか?」
妃馬さんが僕のスマホを覗き込む。
揺れる髪に伴って、いい香りが僕の鼻に届く。心拍数が上がっていく。
「あ、ほんとだ。…くろだ水族館。あ、スカイタワーに行ってるんですね」
妃馬さんの言葉で思い出した会話があった。
「で話戻すけど、匠ちゃんどうすんの?告んの?」
「んん~まぁ告白~するんじゃない?」
「マジ!?」
「ただ迷うよねぇ~いつにするか」
「わかるわかる」
「早めに告白したいんだけど、シチュエーションどうしようかとかね」
「そうそう!」
「誕生日11月だし、夏祭りっていってもまあまあ先だし」
「5月ねぇ~…」
鹿島の顔がスマホの画面の光で照らされる。
「5月…イベント…イベント…。十三参り、潮干狩り、ゴールデンウィーク
メーデー、八十八夜、憲法記念日…。あ、全然ねぇわ」
「だしょー?だから、まぁ昼くらいから出掛けて
夜ご飯食べて、夜どっかで告白するとかな」
「遠出する?」
「いや、そこなんよ。東京ツリーに行くにしても意外と遠いじゃん」
「わかるわかる」
「東京スカイタワーにしても同じじゃん?」
「わかるわかる」
「あぁ、でもそのほうが特別感は出るか」
「あぁ、それはあるな」
「たしかにね」
すると匠の顔もスマホの画面の光で照らされる。
「んん~…と?…こうでこう…。あぁ~1時間くらいだ」
「匠ちゃん家から?」
「まぁ…うん。オレん家というか最寄り駅から」
「あぁ~。その前はどうすんの?」
「あぁ~…スカイタワー…周辺…。あぁ、スカイタワー周辺いろいろあるじゃん」
匠が画面を鹿島と僕に見せる。
「ほおほお。あぁいいね。ショッピングして
水族館行って、んで夜ご飯食べて…だね」
「よし。そうするか」
「え、マジで?」
「まぁうん。近いうちに話すよ」
「ひょー!なんかオレまでドキドキするわ」
「な。親友として落ち着かんわ」
匠邸でのお泊まり会での恋バナのとき
匠が音成のことを好きなのだ。とはっきりしたあのときの会話。
「あぁ~」
納得し、つい声だ出る。
「もしかして聞いてました?」
まあ、妃馬さんにはバレてもいいかと思い
「はい。スカイタワー周辺行くってのはだいぶ前に聞いてました」
と全貌は言わず、一部分を話した。
「ふーん。あ、すご。足元にクラゲいますよ」
と妃馬さんが僕のスマホを指指す。
「あ、ほんとだ。すげー。きれー」
「これ本物かなぁ~」
「ほんっ…ものじゃないですか?さすがに」
「まあ、そうでしょうね」
音成が投稿している写真には他にも
ペンギンの写真やペンギンの相関図のパネルの写真もあった。
「楽しそうですね」
「ですね。楽しそうでなによりです」
「ペンギンの相関図なんてあるんだ」
「ね。僕もそれ気になりました」
音成の投稿したペンギンの相関図の写真を拡大する。
「え、スゴ!親子関係はもちろん、片想いとか
え、浮気も書いてある!好きな食べ物とか恋愛遍歴も!スゴ」
「スタッフさん、めっちゃペンギン愛すごいんでしょうね」
「たしかに。私正直、顔、違いとかわかんないかも」
「わかります。申し訳ないけど結構な特徴がない限り見分けがつかない」
「でも愛があるから区別つくんでしょうね」
「スタッフさんだけじゃなくて常連さんとか
ペンギン好きの方からしたらよゆーなんでしょうね」
2人でペンギンの相関図の写真を拡大し、詳細に見ていく。
「へぇ~。この子陽キャらしいです。鹿島だな」
「海外からやってきた。この子はフィンちゃんですね」
「オタク傾向がある。この子は匠だな」
「音楽が鳴ると喜ぶ。この子は恋ちゃん」
「音成音楽が鳴ると喜ぶんですか?」
想像して笑ってしまう。
「いや、音楽好きって意味で」
「あぁなるほど。そーゆー意味」
「クールだけど優しい。この子は怜夢さんかな?」
ドキッっとする。忘れていたが、僕のスマホを一緒に見ているため距離が近く
「優しい」と褒められた上、妃馬さんと至近距離で目が合っている。妃馬さんは微笑んでいた。
「えぇっとぉ~…」
ペンギンの相関図の中に必死に探す。
「あ。周りのことによく気がつく、気遣い屋さんですって。これまんま妃馬さんですね」
「私そんな気遣い屋さんじゃないですけど」
「いや、自分ではそう思ってないだけですよ。
そんなこと言ったら僕だって優しいなんて思ったことないですよ?」
「それは嘘だー」
「なんでなんすか」
2人で笑う。こんな、なんでもない会話が楽しい。
「はい。妃馬さん。良かったら」
と買ったたけのこの林を開封し、妃馬さんに差し出す。
「あ、じゃあ、いただきます!」
「たけのこ派ということで」
僕も1つ取り、2人で食べる。たけのこの林のクッキーとチョコの一体感が口に広がる。
「そういえばあいつらどっち派なんだろ…」
思わず呟く。
「小野田さんと鹿島さん?」
「ですです。付き合い長いけど聞いたこと…たぶんん~…ないですね」
「そう言われると私もフィンちゃんと恋ちゃんがどっち派か知らないですね」
自分で言っといて思った。長いこと一緒にいても知らないこともあるんだな。と。
考えてみれば当たり前といえば当たり前なのだけど、カルチャーショックなるものを感じた。
「匠がトッキーよりポッポ派なのは知ってるけど」
「あ、そうなんですね。私もポッポ派です」
「でもあれそもそも派閥争いあるんすかね」
「たしかに。あるのかな?ちなみにー怜夢さんは?」
「んん~どっちかっていうとポッポかな?」
「なんでですか?」
「「最後までチョコたっぷり」がいいですよね」
「わかります!」
そんな会話をしているといつの間にか空が暗くなってきていたことに気づく。
「あ、もう暗くなってきてる」
「ほんとだ。街灯もついてた」
「気づかなかった」
「もうだいぶ気温高いですもんね。夜でも」
「ですね。春くらいだと陽が落ちると、ちょっと肌寒かったりもしたけど」
「そうそう。最近春と秋が短いですよね」
「それ!ほんとそれ!」
「とにかく夏が鬼暑い」
「去年もすごかったですよね」
「ヤバかった。鹿島とプール行ったんですけど、プールも温水みたいでしたよ」
「わかりますわかります!ちゃんと冷たいんですけど、なんかね。なんていうか」
「わかりますその、なんて言ったらいいかわからない感じ」
たけのこの林を食べようとたけのこの林の箱に手を入れる。
探さないと見つからないくらい少なくなっていた。
2人でパクパク食べていたらあっという間に減っていた。1つ見つけて口へ運ぶ。
妃馬さんも手を箱に入れ、箱の中でたけのこの林を探し当て、口へ運んだ。
その様子を確認した後、僕はたけのこの林の箱を持ち上げ
左右に振ってみる。感覚的に残りは1つだと思った。
「妃馬さん。たぶん残り1つなんで、良かったらどうぞ」
「あ、もうですか。どおりで箱の中スカスカだと思った。私はいいので怜夢さんどうぞ」
「じゃあ、じゃんけんで勝ったほうということで」
「なるほど。それは平等ですね」
「じゃあ、いいっすか?」
「いいっすよー」
「さーいしょーは」
「「グー!じゃーんけーん」」
「「ぽんっ!」」
僕が出したのはグー。妃馬さんが出したのもグーだった。
「「あーいこーでー」」
「「しょ!」」
僕はまたグーを出した。妃馬さんもまたグーだった。
このまま何回もあいこが続いて、なんとなく照れ臭くなって。なんて考えていると
「「あーいこーでー」」
「「しょ!」」
僕はパーを出し、妃馬さんはチョキを出して呆気なく勝負が決した。
「やったー!」
「負けたかー」
妃馬さんが笑顔でたけのこの箱に手を入れる。
僕はアスピスの蓋を開けて、陽が沈む暗い空を眺めながらアスピスを飲む。
妃馬さんが隣で微かに笑っていた。
「怜夢さん怜夢さん」
名前を呼ばれて、ペットボトルの飲み口から口を外し
「はい?」
と妃馬さんの方を向く。妃馬さんがたけのこの林を1つ手にしてクスクス笑っていた。
「ん?」
「いや、これ」
と言って妃馬さんが手の角度を変える。すると1つに見えていたたけのこの林が2つになった。
「え!」
どうやら2つがくっついていたらしい。
「2つありました」
笑顔の妃馬さんがそう言う。
暗くなってきているというのに、なぜか妃馬さんが明るく見えた。そんな気がした。
「熱でくっついてたんですかね」
「ですかねぇー」
なぜか嬉しそうにそう言いながら、2つくっついたたけのこの林を引き離す。
「どうぞ」
僕の掌の上に優しく乗せてくれた。
「ありがとうございます」
口に放り込む。先程と変わらぬたけのこの林の味だった。
でも、気のせいなんだろうが、ほんの少し美味しく感じた。
「じゃ、そろそろ帰りますか」
「うぅ~ん…」
妃馬さんがなにやら悩んでいる。
「そ う で す ね」
と言って立ち上がる妃馬さん。ん?と思ったがそれは口にせず、僕も立ち上がる。
井の蛙公園を出て、駅に向かう。休日ではあるものの日曜日。次の日は平日。
それもあってか19時前となると駅に向かう人も多い。
駅の中も人でごった返していた。改札を抜け、ホームに入る。
「人多いですね」
「ですね。次にします?」
ホームに電車は着いていたが中はギュウギュウだった。
「そうですね。潰されそう」
「たしかに」
次の電車に乗ることにして、もう次の電車を待っている人の列に並ぶ。
電車が出て、次の電車が入ってくる。扉が開き、乗客が降りてくる。
列の前の人に続いて中に入る。扉のサイドに行く。
妃馬さんにはシートの端の壁に寄りかかってもらう。
痴漢なんてそんな頻繁にあることではないと思うが
満員電車で少し不安だったので妃馬さんをガードするように立つ。
どんどん人が入って来て背中に圧を感じる。
しかしその圧に負けないようにポールに捕まり、少し足を横と縦に開き耐える。
「大丈夫ですか?」
すぐ近くの妃馬さんが小声で言う。
「はい。大丈夫です。混みますね」
「明日からまた平日ですからね」
「大学生って楽ですね」
「ですね。講義の入れ方によっては平日でも休めますもんね」
「まあ、全然講義入ってんのに無視して休んでるやつもいますけどね」
「怜夢さんのことですか?」
妃馬さんが笑いながら言う。近くでの妃馬さんの笑顔は破壊力がすごかった。
近すぎて、早くなった鼓動を聞かれてしまっていないか、少し心配になった。
「いや、まあ僕もそうなんですけどね?鹿島と匠のことです」
「フィンちゃんも」
「匠よりレアキャラですよね」
「休日はふつーに遊びますけどね」
「大学生してんなぁ~」
「たしかに」
アナウンスが流れ、扉が閉まる。電車が動き、慣性の法則で後ろに蹌踉ける。
妃馬さんも蹌踉たようで、僕の胸に髪の毛があたる。
靡いた髪に伴って、良い香りが僕の鼻に届く。
心拍数が加速する。僕の家の最寄り駅を通り過ぎ、妃馬さんの降りる駅につき、降りる。
「結局いいスマホケースに巡り会えませんでしたねぇ~」
「ですねぇ~」
「次はどうしましょうか」
「真新宿か甘谷?」
「その2つだったらワンチャン1日で行けるかもですね」
「たしかに。すぐですもんね」
「でもあれか。行くとこが多いし、広いから時間かかるかもですね」
「あぁ~そっか」
「じゃあ」
次の日曜とかどうですか?と言おうとして止める。
もしかしたら匠からお泊まり会の話が出るかもしれなかったからだ。
「次は甘谷行きましょうか」
「いいですね!最近甘谷行ってないなぁ~」
「僕も行ってないです。変わったりしてるかな」
「どうでしょうね。友達のニャンスタ見る限りではそんな変わりなかったような」
「へぇ~。ニャンスタ友達全然いないからなぁ~」
「あ、そうだ。怜夢さんなんでフォロー少ないんですか?高校の頃友達たくさんいたって」
「音成から聞いたんすか?」
「ですね」
「まあ、簡単に言うと大学に入ってからニャンスタのアカウント作ったんで
一緒に始めた匠と鹿島と、あと芸能人とか
僕をフォローしてくれた高校のやつとかしかいないんです」
「あ、そうなんですね」
「だから正直高校のやつが今なにしてるかとか全然知らないんですよね」
「鹿島さんはフォロー多いですよね」
「多いですねぇ~。あいつは高校の頃からやってたらしいし
ゲームの動画とかあげてるから知らない人からも割とフォローされるらしいです」
「へぇ~すご」
「妃馬さんもフォローしてる人もフォロワーも多いですよね」
「まあ、私も高校生の頃からやってますし。でも大概「とりあえずフォロー」が多いですよ」
「とりあえずフォロー?」
「はい。クラスメイトとか他クラスの子とか
特に仲良いわけじゃないけど「とりあえず」フォローするみたいな」
「あぁ~なるほど?」
「LIMEとは違いますからね」
「たしかに。LIMEって連絡取るための手段って感じだから
仲良い人のを聞きたいって感じだけど、ニャンスタって近況見る感じだから
別にそんな仲良くなくても「とりあえず」って感じか」
「そうですそうです!ま、ぶっちゃけ興味なければ飛ばしますけどね」
「飛ばすんだ」
笑う。
「だって興味ないし」
「そりゃそうですね」
そんな話をしているといつの間にか、いつもの曲がり角につき、その曲がり角を曲がると
根津家の入っているマンションのエントランスが見える。エントランス前に着く。
「今日は残念でしたね」
「フクロウのがなくてね」
「ですね。猫のやつはたくさんあったけど」
「やっぱ怜夢さんといえばフクロウってイメージですし」
「前鹿島にも言われました」
思わず笑う。
「やっぱりそのネックレスの印象とあと指輪」
「あぁ」
と今はしていないが小指を見る。
「最近してないんですね」
「あぁ、あのときは鹿島にコーディネート?して貰ってたので」
「普段はあまり?」
「そうですね。アクセサリー系は…あんまり?」
「ピアスとネックレスくらい?」
「そうですね。大概は」
「そうなんですね」
少し間が空く。
「じゃ、また明日大学で」
「はい!また明日!あとLIMEで!」
「はい!またLIMEで次のスマホケース探しの旅の日程について話しましょう」
「はい!決めましょ」
「じゃ、また明日」
「はい!また明日!」
そう言って妃馬さんに手を振り、背を向け、駅へと歩き出す。
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