猫舌ということ。

結愛

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再会

第96話

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トーク一覧に戻ると「鹿島がグループ通話を始めました」と出る。
僕が入る。鹿島、森本さん、妃馬さん、音成さんがいた。
みんなのアイコンと名前が表示される。
「おいっすー」
「こんばんは~」
「こんばんは~」
「どうも~」
「こんばん~は~」
各々が挨拶する。
「音成さんとは初めまして~ですね。初めまして」
「あ、どうも。初めまして。音成です」
「妃馬さんおひさしぶりです~」
「おひさしぶりです~。って言っても大学で見かけてますけどね」
「あ、そうなんすね」
「だいたい怜夢さんと一緒にいるから」
「な~るほどなるほど」
「鹿島先輩おひさっす!」
「お?姫冬ちゃんかな?」
「あったりでーす!」
「おぉ!おひさー!」
「おひさっす!」
通話画面に姫冬ちゃんのアイコンはないが、姫冬ちゃんも会話の中にいた。
恐らく妃馬さんと一緒にいるので一緒に通話に参加しているのだろう。
「あれ匠ちゃんは?」
「音成さん匠は?」
あえて音成さんに振る。
「なんで私に振るのさ」
「いや仲良いかなぁ~って」
「いやいや。暑ノ井くんのほうが仲良いでしょ」
「それもそうか」
「音成さんと妃馬さんは?どーゆー?」
「私と恋ちゃんは大学で知り合った親友です」
「あぁ、オレと怜ちゃんみたいなもんか」
「ですね」
「てか、音成さんのフルネーム綺麗すぎない?」
「ありがとうございます。よく言われます」
「自分で言っていくスタイルぅ~!いいね」
「恋ちゃんのそーゆーとこ好きぃ~!」
「ありがとぉ~姫冬ちゃぁ~ん。あ、小野田くん。もう来るそうです」
という音成さんの言葉のすぐ後に匠のアイコンが入ってくる。
恐らく匠が自分で描いた白髪のオッドアイの女の子のアイコン。
「おぉー!匠ちゃんん~!」
「遅れました。すんません」
「あ、初めましてですよね。森本です」
「あ、どうも初めまして。小野田です。よろしくお願いします」
「お願いします」
「あ、私も初めましてですよね?根津妃馬です。よろしくお願いします」
「初めまして!根津姫冬です!」
「初めまして。小野田匠です。音成からいろいろ聞いてます。
あ、森本さんのことも話してました。根津さん…妃馬さん?はよく音成と一緒にいますよね?」
「あ、はい」
「じゃあ、何度かお見かけしました」
「あ、どうも。私も何度かお見かけしてます。綺麗な髪のね」
「あ、ありがとうございます。目立ちますからね」
「目立ちますね」
「私も見かけたことあります!女の子かと思ってました!」
「あ、そうなん~ですね。男っす」
「歳下で後輩なんだから全然タメ語でいいんですよ?」
「あ、うん…いきなりタメ語ってなんか抵抗あるんだよねぇ~」
「匠…わかるぞ?」
「だろ?」
「小野田さん金髪なんですか?」
森本さんが入ってくる。
「いえ、白髪です」
「あぁ、白!そりゃ目立ちますね」
「といったところで?盛り上がってるとこあれですけど
とりあえずゲーム内で話の続きしましょか?」
「ですね」
「はーい」
鹿島が全員を招待して、ゲーム内で同じ世界に集まった。
「おぉ~みんなこっちやでぇ~」
鹿島のキャラが手を振る。森本さんのキャラはなぜか踊っている。
僕の森本さんのキャラの近くで同じダンスをして待つ。
「あ、どうも」
「あ、どうも」
匠と妃馬さんの声が聞こえる。奥から3人のキャラが走ってやってきた。
1人はすぐにわかった。白い綺麗な長髪で恐らく悪魔族なのだろう。
耳は尖ったエルフ耳で頭からは角が生えていた。そんなに進めていないのだろう。
強そうではない装備をしている。匠だ。そしてもう2人。
1人はミニエルフ族で身長が小さいエルフで
そこそこ進んでいるらしく可愛くも強そうな装備をしている。
ということは必然的にミニエルフ族が音成さんだと思った。
そしてもう1人のキャラ。猫耳が特徴的なニャーマンという種族で
少し栗毛色のミドルヘアーでそこまで強そうな装備をしていなかった。
猫耳のニャーマンという種族+髪色に髪型+
「まだあまり進んでいない=装備はまだ強くない」という点を踏まえて
十中八九妃馬さんだと思った。
「これが匠ちゃんでしょ?」
鹿島のキャラが角の生えた白髪のキャラを指指す。
「そだよー。あ、森本さん。どうも」
と言って踊る森本さんのキャラにお辞儀をする匠のキャラ。
「あ、これはこれはどうも」
森本さんのキャラもダンスを止め、匠のキャラにお辞儀をする。
「どっちが妃馬さんでどっちが音成さん?」
鹿島が聞く。するとミニエルフのキャラがその場でぴょんぴょん跳ねながら手を挙げる。
「これが音成です。よろしくです」
音成さんのキャラがお辞儀をする。
「あ、どもども。鹿島です」
鹿島のキャラが音成さんのキャラにお辞儀をする。
「こっちが私です。根津です。根津妃馬です」
妃馬さんが匠にお辞儀をするか
匠が妃馬さんにお辞儀をするかと思ったがしなかった。
「流れ的に匠ちゃんにお辞儀すると思ってた」
僕の代弁をするように鹿島が言う。
「あ、さっき会ったときにお辞儀してもらったので、そのときにお辞儀しました」
「あぁ~なるほど?」
なるほど。鹿島は声に出し、僕は声には出さず納得する。
「てかさっき話に出たけど、匠ちゃん、ゲーム内でも白髪なのね」
「そそ。カッコいいよねやっぱ」
匠のキャラがその場で一回転する。
「これで装備がカッコよきゃ決まってるんだけどなぁ~」
「それな。でもこれ今装備できる中ではカッコいいほうだと思ってる。
森本さんの装備、めっちゃカッコいいっすね」
「あ、ありがとうございます。小野田さん悪魔族なんですね?
悪魔族カッコいいですよね。最初迷いました」
「おぉ。僕は天使族か悪魔族で迷ったんですけど
白髪で天使族って…なんか王道だなって思って
あえて白い角の生えた天使みたいな悪魔を目指しました」
「あぁ~、いい!いい設定!私も天使か悪魔かエルフで迷って、私もそれ思ったんです!
金髪で天使はありきたりだろって。でいろいろ考えてごちゃーってなって
結局エルフにしてました」
「金髪エルフも王道っちゃ王道っすけどね」
「たしかに」
匠と森本さんが笑う。仲良くなれそう。そう思った。
「妃馬さんはなんだっけ。なんでしたっけその種族」
妃馬さんに聞く。
「私はニャーマンっていう化け猫の血が入ったキャラにしました」
「あぁ!ニャーマンニャーマン。そうでした」
「怜夢さんのは?鳥?」
「あ、はい。そのまんまですね。鳥人です」
「あぁ!フクロウ好きだから」
「いや、まぁ。今となってはフクロウ好きになったから鳥人で良かったと思ってるんですけど
このゲーム始めたときは全然フクロウ興味なくて
ただ「空が飛べる」っていう特性に惹かれただけです」
「あぁ~」
「怜ちゃんいつからこのゲームしてんの?」
「あぁ~どんくらいだっけ?」
「んん~。中3?高1?」
「そんくらいだっけ?」
「音成と1回やったよね?」
「あぁ、うん。あれは高1か2だったから」
「じゃあ、高1くらいじゃない?」
「オレもそんくらいからやってたんにぃ~誘ってよぉ~」
「そんときは「鹿島」という存在すら知らなかったからな」
「存在してるかも怪しかった」
「しとるわ!」
恐らく全員が笑った。なんだか仲良くやっていける気がした。
「妃馬さんどこまでいきました?」
鹿島が聞く。
「えぇ~と。1人でやらないといけないとこは全部やった、はず?」
「はい。とりあえずマルチで進められるとこまでは進めてもらいました」
「おぉ!てことはストーリー上の特定のモンスター倒して
依頼者に報告して。って感じっすかね?」
「はい。今はお店の荷物を運ぶ時に襲われて盗まれた宝石を取り戻してほしいとか」
「ほうほう。とりあえず進めてみますか?ちなみにみんな何レベ?
オレは69レベで森本さんは67でしょ?で、怜ちゃんが30」
「オレは28」
匠が答える。
「私は32」
次に音成さんが答え
「私は15レベです」
妃馬さんが答える。
「レベル差ありますね~。ちなみにジョブは?オレはタンク。剣士ですね」
「私は魔道士です」
「僕は忍者ですね」
「オレは吟遊詩人。弓使いですね」
「私は白魔道士ですです」
「私は占星術師です」
見事にバラバラだった。
「おぉ!被りなし!しかもヒーラー2人!」
「結構バランス良いパーティーですね」
「ですね!最高のパーティーかも!」
「いやレベル差よ」
「たしかに」
「たしかに」
匠の一言でみんな笑った。
「じゃ、とりあえずパーティー組んでっと」
鹿島が6人でパーティーを組んだ。
「とりあえず妃馬さんのクエストを進めつつ
話しながら、たまにアホ強い敵やってみます?」
「いいですねぇ~」
「まぁいんじゃない?」
「オッケー」
「オケです」
「よろしくお願いします」
鹿島と森本さんはレベルが高過ぎて、雑魚モンスターはワンパンで倒せるので
鹿島はタンクの仕事、敵の攻撃を自分に集中させ
森本さんはみんなに魔法を付与し続けていた。
「ヤバ!全然減らない!」
妃馬さんが苦戦する。ヒーラーなのでそんなに攻撃力が高くないからだろう。
「あ、めっちゃ減った」
音成さんもヒーラーだがレベルが高いため、雑魚モンスターの体力バー3分の1ほど減らした。
「恋ちゃんスゴ!」
シュドドン。匠のキャラが弓の範囲攻撃をする。
雑魚モンスター3体の体力バー5分の1ほど減った。
「いいねぇ~匠」
と言いながら僕も忍者の技「分身」をする。
「怜夢さん3人!」
「忍者なもんで」
鹿島は敵を挑発し続ける。そして森本さんは妃馬さんに魔法をかける。
妃馬さんのキャラを赤いオーラが包む。
「フィンちゃんなにこれ」
「攻撃力増し増し魔法。攻撃してごらん?」
妃馬さんのターンが回ってきて妃馬さんは攻撃を繰り出す。
「おぉ!おぉ?さっきよりは減ったか」
「攻撃力1,5倍の魔法だからそんなにかな?」
「攻撃力が高ければ高いほど恩恵スゴいんだけどね」
「ですね。これ鹿島さんにかけたらスゴいかも」
「まぁ~。でもオレタンクですからね。どっちかっていうと防御魔法のほうが助かります」
「たしかにですね」
高レベル2人が盛り上がっている。その後も同じことを繰り返し、モンスターを倒した。
そして依頼者に報告しに街に戻る。
「あ、そうだ。月火水ならいけるよ」
急に匠が放り込んでくる。
「ん?」
と鹿島はなんのことだかわからなかったらしいが一瞬で
「あぁ!お泊まり会ね!」
と思いつく。
「そうそう」
「鹿島さんたちお泊まり会するんですか?」
森本さんが食いつく。
「そうなんですよ!匠ちゃん家が豪邸で豪邸で!」
「やめて」
「ほんとのことだろ」
「そうなんですか?」
「あぁ~…。まぁ広いですね」
森本さんと匠が絡む。
「写真とかないんですか?」
「あぁ!圧倒されすぎて写真撮んの忘れた!」
「匠今部屋?」
「部屋だね」
「部屋の写真撮ってグループに載せればいいじゃん」
「やだよ。汚ねぇし」
「全然汚くなかったよな?」
「全然?オレの部屋のほうが狭いアンド汚いだし」
「僕も~…」
とコントローラーを置き、スマホでカメラロールを開き、数々の写真をスクロールし、探す。
「ないっ…す…ねぇ~」
スマホの電源を切り、コントローラーに持ち変える。
「あ!じゃあ今度泊まったときにテレビ電話で見せますよ」
「おい。家主の許可取れ」
「っつっても別にいいんでしょ?」
「まぁ…ね?」
「楽しみにしてます」
「私も楽しみにしてますね」
クエスト報告を終えたのか、妃馬さんも参戦してきた。
「あ、てか音成さん知ってんじゃない?オレらと6年同じ学校だったんだから」
「うん。まぁ知ってるっちゃ知ってるよ?」
「豪邸だった?」
「いや、まぁ、あれが家ならヤバいよ」
「どゆこと?」
「いや、敷地広いし、建物デカいし、学校では割と有名だったよ」
「まぁ有名だろうな」
「どうする?2泊3日いっちゃう?」
「2泊3日!?マジ?まぁオレはいいけど、匠ん家的には大丈夫なん?」
「うちはへーき。だと思う」
「だと思うって」
「いや、泊まりだとは言ってたけど
ワンチャン書類とか取りに帰ってくる可能性もあるから」
「あぁ~なるほど?」
「まぁこの日友達泊めていい?って聞けば、その日は帰ってこないんじゃないかなぁ~」
「じゃあ2泊3日で行こー!」
「オッケ。じゃ明日話すわ」
「うお~。決定すると楽しみ増すな」
「わかるわぁ~その感じ」
「じゃ、お部屋紹介楽しみにしてますので」
森本さんがそう言いながら、なぜか森本さんのキャラを踊らせる。
「楽しみにしててください」
鹿島がそう言いながら同じダンスをする。
なぜか僕もエモートからダンスを選び、同じ踊りをする。匠も音成さんも同じダンスをする。
「えっ。えっ。待って待ってどれどれ?」
「エモートのダンス1」
音成さんが教え、妃馬さんも同じダンスをする。
6人が同じダンスをしている。数秒無言でダンスを見た後
「なんだこれ」
という匠の一言に
「たしかに」
と6人で笑った。その後も雑魚モンスターを狩ったり
レース場でショコボレースにゲーム内マネー、ゴールドを賭け
大穴に賭けていた音成さんが見事勝ち、ゴールドの大金持ちになったり
みんなで楽しく遊びまくった。なんともなしにスマホの電源を入れる。
気づけば2時近くになっていた。
「いやぁ~まさか音成さんのショコボが
ラストのカーブで最下位から一気に捲ってくるとは」
「いやぁ~気分が良いな」
「音成さん。あからさまに上機嫌」
「レンちゃんもうゴールドに困らないね」
「私もレンちゃんに乗ればよかった~」
「音成~この弓奢って?」
「お金持ちの小野田くんに言われるとなんか嫌」
「「たしかに」」
音成さんと匠以外がハモり笑う。
「あ、もう2時だ。そろそろお開きにしましょうか」
鹿島にしては珍しく2時で解散するらしい。
「オッケーです」
「わかりました」
「ん」
「はーい」
「いやぁ~マ!ジ!で!楽しかったっすね!」
「楽しかったっす」
森本さんが応える。
「楽しかったです」
妃馬さんも楽しかったらしい。
「楽しかたー」
「オレも楽しかたー」
匠が音成さんの言い方を真似る。
「仲良くなれた感がスゴいよね」
「たしかに」
森本さんが反応してくれた。
「これからもこのメンバーでゲームしたり、遊んだりしたいですね!」
鹿島がブッ込む。しかし
「ですね!」
「次は全ゴールド大穴に賭ける」
「一文なし待ったなしだろ」
「次は小野田さんの自宅紹介ですよね?」
と案外みんなノリノリで安心した。
「マジかよ」
「小野田くん。それは私も期待してる」
「掃除せな」
「小野田さんの豪邸拝見させていただきます」
「みなさんくれぐれもハードルを上げ過ぎないように」
「みなさんハードル上げても軽く越えてきますのでご安心を」
「誰が言ーとんねん」
全員で笑う。
「あー。じゃ、とりあえず今日はこれで」
「はーい」
「わかりましたー」
「じゃ、お疲れ様です。また今度!」
「はい」
「また」
「おやすみなさい」
鹿島が「おやすみなさい」と言った後
各々全員が「おやすみなさい」を言って、通話グループから抜けた。
さっきまで賑やかだった部屋が一気に静かになる。
ファンタジア フィナーレの街のBGM、NPC、コンピューターが歩く足音が部屋に流れる。
コントローラーのホームボタンを長押しして
パス4(パスタイム スポット 4の略称)の電源を落とす。
しばらくデータを処理しているのか、パス4がモーター音を響かせる。
ローテーブルに手を伸ばし、テレビのリモコンの赤い丸い電源ボタンを押し
テレビの電源も切る。パス4のモーター音が止まり、部屋に静寂が訪れる。2時。
外を歩く人の足音も、話し声も自転車を漕ぐ音、走る音
車が走るアスファルトをタイヤが擦る音もなにも聞こえない。
自分が呼吸する音が聞こえる。ベッドに寝転がる。
布団のバファサッっという音が耳に入る。腰の辺りにあるスマホを手を伸ばし、取る。
顔の上に掲げ、ホームボタンを押す。グループLIMEの通知が目に入る。
通知をタップし、グループLIMEのトーク画面へ飛ぶ。

「お疲れ様でした。ぜひまたお願いします」

妃馬さんの丁寧な文章。

「皆さんの会話聞いてるだけで楽しかったー!なんなら画面見てるだけで楽しかったー!」
「お疲れ様でしたー!ぜひぜひー!このメンツでやりましょうね!」
「いいですね。サキちゃんは個人的に鍛えておきます」
「その特訓私も加わるわー」
「私は見てるー」
「恋ちゃんも鍛えてあげるからね」
「アタヽ(д`ヽ彡ノ´д)ノフタ」
「お疲れ様したー。ぜひまた」

そこに僕も加わる。

「お疲れ様です。またこのメンツでやりましょ。その時には妃馬さんに抜かされてるかもw」
「ありえーる」
「え、じゃあオレもヤバいやん」
「じゃあ匠ちゃんと怜ちゃんはオレが鍛えてやるか」
「まぁ鹿島タンクだからオレと匠は脳死で攻撃してりゃいいから楽だな」
「だな」
「それ特訓か?」
「ww」
「ww」
「たしかに」
「じゃ、みなさんおやすみなさい!今度は匠ちゃん家のルームツアーで会いましょう」
「はーい。おやすみなさい」
「ありがとうございました。ぜひまた。おやすみなさい」
「おい。オレんちのルームツアー…。まぁいいか。おやすみなさーい」
「おやすーん」
「おやすみなさいー」
「おやすみなさーい!」

気づけば笑顔だった。トーク一覧に戻り、森本さん、音成さんに個人的に
「ありがとうございました」や「またお願いします」などの挨拶を送った。
そして妃馬さんとのトーク画面に入る。

「今日はありがとうございました。怜夢さんのキャラクター、とても怜夢さんぽかったですね。
小野田さんとは初めて話しましたけど、とても話しやすくて、やる前は緊張してたけど
みんな良い感じでめっちゃ楽しかったです。ありがとうございました」

今さらこんなかしこまった文章でつい笑いが溢れる。

「こちらこそありがとうございました。妃馬さんこそ猫好きで猫耳キャラ。
すぐ妃馬さんだってわかりましたよ。匠は一回話しちゃえばって感じなので
最初話しかけるハードルを越えればもうあとはよゆーですw
僕もめっちゃ楽しかったです。ありがとうございました。」
「って今さらこんな初めましての後に送るような文章w」

送信ボタンをタップする。送った文章がちゃんとトーク画面に反映されたことに
当たり前なことなのだが、なぜか一度ニヤつき、トーク一覧に戻る。
鹿島から個人的LIMEが来ていた。
「ん?」
鹿島とのトーク画面を開く。

「おい~。なんで森本さんには丁寧に挨拶してんのにオレにはないんだよぉ~おぉ~」

「なんだよっ」
くだらない内容につい笑い、つい言葉が漏れる。

「付き合い長いんだから今さらいいだろw
森本さんはほぼ初めましてなんだから、ちゃんと挨拶すんだよ」

送信ボタンをタップし、トーク一覧に戻る。
森本さん、音成さんから返信が来ており、2人に返信する。
トーク一覧に戻り、電源を消す。
「ふぅ~」
口から息を思い切り出しながら脱力する。両手を横に広げる。左はすぐ壁があり、カコンッ。
「いたっ」
と左手の手の甲の指の付け根の出っ張った骨が当たる。
右手はベッドからはみ出す。僕は右に寝返りをうち
枕元の充電ケーブルにスマホを挿し、また仰向けに戻る。天井が見える。
鼻から深呼吸をする。はっっと思い出したようにもう一度右に寝返りをうち
ローテーブルの上の自分の部屋の照明のリモコンに手を伸ばし
中央のONOFFのボタンを押す。ピッっという音を合図にゆっくりと暗くなっていく。
もう一度仰向けに戻る。暗くなった天井が見える。目を閉じる。鼻から深呼吸をする。
ついさっきのゲームのプレイ、会話などが思い出され
瞼の裏がスクリーンになったように映し出されたような気がした。
楽しかった。つい口元が緩みニヤける。
鼻から深呼吸をする。段々と眠気がにじり寄ってくるのがわかる。
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