猫舌ということ。

結愛

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動き

第66話

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途中コンビニに寄り、ちょっとしたお菓子と飲み物を買った。
コンクリートのなだらかな階段を下り、井の蛙公園に入る。
休日の4時頃というだけあり、結構な人で賑わっていた。
木の周りを囲むように設置してあるベンチに座った。
「結構賑わってますね」
「そうですね」
僕はコンビニのビニール袋から
妃馬さんが買った心の紅茶ココティーのストレートティーを妃馬さんに渡す。
「ありがとうございます」
僕もビニール袋からココティーのレモンティーを取り出し、キャップを回す。
カリカリカリと未開封特有の手応えと音が
手に伝わる。隣の妃馬さんの手元からも
その音が聞こえた。2人でココティーを飲む。
「ふぅ~。レモンティーひさしぶりに飲んだかも」
まじまじとラベルを見る。黄色のラベルにストレートティーより黄色がかった中身。
鼻から抜けるレモンの香りと紅茶の苦味なのか
レモンの苦味なのか、後味がほんのり苦かった。
「私もレモンティーにすれば良かった」
と僕の手元をうらめしそうに見る妃馬さん。
「後であげますよ」
今飲ませてあげようとも考えたが
一口飲んで返されたときに平気な顔をして飲めるだろうかと思い
残り少しになったら全部あげようと一瞬で考えた。
「ありがとうございます」
と笑顔でもう一口ココティーのストレートティーを飲む妃馬さん。
「そういえばひさびさに来たなぁ~井の蛙公園」
ペットボトルをベンチの右側に置き、右脚を上に足を組みながら辺りを見渡す。
楽しそうに会話するカップルがいたり
男の子がお父さんに肩車してもらって楽しそうにはしゃいでいたり
恐らくムーンバックスの紙コップを持ち、楽しそうに談笑する女の子たちがいたりした。
その女の子たちを見て思い出した。
「あ!そういえばムーンバックスあるんでしたね!」
と妃馬さんのほうを向くと妃馬さんもはっっとした表情をし
「あ、忘れてた」
と言う。
「ムンバが良かったですか?」
「んん~…別にここでいいかな」
なんとなくほっっとする。
「妃馬さんムンバ好きそうだけど」
「またお嬢様イメージですか?」
と頬を膨らまし少しむくれた顔をして言う。
「あ、いえ。…はい。そうです。すいません」
体を妃馬さんの方向に向け頭を下げ謝罪する。
「まぁ嫌いではないですけど、1人で行くほどではないですね」
と腕を組み右拳を顎に当て言う妃馬さん。
「友達と付き合いで行く感じですか?」
「そうですね。まぁ大概注文がめんどくさいので
友達が頼んだ中で1番飲みたいものを「あ、同じのをお願いします」って頼みますね」
「あ、わかります!なんとかなんとかフラペチーノとか。
まだ抹茶フラペチーノくらいならわかりますけど
もう呪文のように長いメニューとかは全然」
「そうそう!友達が注文のときに10秒くらい商品名言ってて単純にスゲェってなりました」
「10秒は大袈裟でしょ」
「いやそんくらいありましたってぇ~」
2人笑い合った。笑い合っていると心も明るくなり
周りの景色も黄色のオーラに包まれたようにほんのり明るくなったように感じた。
僕はカシャカシャとコンビニのビニール袋に手を入れてお菓子を取り出す。
「良かったら食べますか」
と言い紙の箱を切り取り線に沿ってベリベリと開ける。
中に現れた銀色の包みを切れ目から破る。
「いいんですか?じゃあ」
と言い銀色の包みの中に人差し指と親指を入れ1つつまむ。
妃馬さんは指先でつまんだそのチョコ菓子をくるくると回転させながら見て
「怜夢さんはたけのこ派ですか?」
と聞いた後にパクンと口に入れる。
来た。コンビニで2つを見つけたときに予想はしていた定番の派閥争いの話。
たけのこの林派対きのこの森派。
「んー…どっちも好きですけどねぇ~」
一旦お茶を濁し僕も1つ口に運ぶ。
「ちなみに私もどっちも好きです」
お茶を濁され返した。
「まぁでも「ぜぇぇっったい」選ばないとダメって言われたらたけのこですかね」
「なんでですか?」
僕のほうを見ずに大きな池のほうを眺めながら
たけのこの林をもう1つ食べ、僕にその理由を聞く。
恐らく妃馬さんはたけのこの森派なのだろうと思い
あぁやってしまったなと思いながら重くなった口を開く。
「んん~…。食べやすさかな?きのこの森ってこう…なんていうかな」
両手を使ってきのこのシルエットを描きながら説明を続ける。
「こんな感じで…あぁ!傘か!傘?傘で合ってんのかな。
この部分がチョコで下の柄の部分?がクッキーで明確にわかれてるじゃないですか。
きのこ派の人はそれが良い!チョコとクッキーを一緒にも食べれるし
別々でも食べれるから「1粒で2度おいしい」って。
でも僕は口に入れたときの元々一体感があったほうが好きなので、だからたけのこ派か…な?」
と恐る恐る言うと
「わかります!」
思いがけない大きい声に少し心臓がキュッっとなる。
「おぉ、え?え?」
大きい声に驚いたのと共に「わかります」という発言にも驚いた。
「私も全くおんなじ理由です!」
「妃馬さんきのこ派じゃないんですね」
「え、はい。たけのこ派です。
まぁ「ぜぇぇっったいに」選ばないといけなければの話ですけど」
きっと「ぜぇぇったい」の部分は僕のマネをしたのだろう。
笑顔で僕のマネをする妃馬さんがとても可愛かった。
「いやなんか僕がたけのこの話をしてるとき、あっちのほう見てツーンってしてたから」
「え?そんな風見えました!?すいません」
「あ、いえいえ全然謝ることは全然ないんですけど」
「怜夢さんが「どっちも好きです」って言ったところから
「絶対選ぶなら」「たけのこ」が私と同じすぎて嬉しくなっちゃって
それを隠そうとしてたんです」
理由を聞いた瞬間、辺りでシャボン玉が弾けたような気がした。
井の蛙公園の池の光の反射が強くなった気も
公園に生えた新緑たちがより生き生きした気もした。
「まぁ最後風船みたいに弾けましたけどね」
照れ隠しのように妃馬さんの「わかります!」をいじる。
「あ…息入れすぎてパチンて弾けちゃいました」
妃馬さんも照れ隠しのように笑う。
「だいぶあったかくなってきましたね」
話題を変える。
「そうですねぇ~今が1番好きだけど、1番難しい季節でもありますよね」
首を縦に振り頷きながら
「わかります。わかります」
なぜか2度言った。
「結構寒い日もあれば、汗かく日もあるんですよねぇ」
「すんごくわかります」
「怜夢さん好きな季節はいつですか?」
「これまた難しい質問ですねぇ~…。まぁベタに春秋ですかね」
「あ、また同じだ」
なぜかまた照れ臭くなる。そこから少しだけ季節の話をして服装の話に切り替わった。
「いやぁ~、案外公園で話すのも悪くないですね」
「はい。これからもどっか行くとき公園挟んでもいいですね」
「良いですね」
平静を装っていたが、妃馬さんの「これからも」の言葉に
心の中で思いっ切りガッツポーズをしていた。
その隠れながらガッツポーズという状況で
中学生のときに匠と授業中ゲームをして
そのガッツポーズが先生に見つかったことを思い出し
つい思い出し笑いをしてしまった。
妃馬さんの視線を感じ妃馬さんのほうを見るとたけのこの林を口に運びながら
「?」という顔をしていた。
「あっ、すいません」
と笑った口元を隠す。
「あ、いえ。どうかしました?」
「思い出し笑いを」
その後匠との中学生の頃のその話をして2人で笑った。
「あ」
と言いスマホを取り出し、いそいそと操作する妃馬さん。
その様子を見て僕もスマホを触る。
ただ特にすることもないし
改めてなんのアプリが入ってるかじっくり見るかと思い電源を入れると
鹿島からのLIMEの通知があった。

おっ、やることできた

と少し鹿島に感謝しながら、鹿島とのトーク画面を開く。

「デートどお?ww」

ウザい。すぐに感謝を取り下げ、ウザメッセージに返信する。

「デートじゃないので」

送信ボタンをタップする。トークの一覧に戻ったところで
「パスタ屋さんでの会話覚えてます?」
と妃馬さんの声が届く。スマホの電源を切りポケットにしまいながら
「んん~どの話ですか?」
「私の幼馴染の話です」
「はい。覚えてますよ。森本デルフィンさんですよね」
「その話のときに、本人に聞くって言ったことも覚えてます?」
「はい。覚えてますよ」
と言った後すぐに本人から返信が来たのだと感じた。
「本人からオッケー出ました」
と右手の人差し指と親指を合わせ、オッケーマークを作る。
その何気ない仕草に思い出したように鼓動が高鳴る。
「でもなんで急に?」
そう聞くと妃馬さんが右手を下げ
「怜夢さんと小野田さんの話を聞いて思い出したんです」
納得した。
「なるほどなるほど」
頷き妃馬さんの次の言葉を待つ。
「あの時怜夢さん「聞いたことある」って言ってましたよね?」
「あぁ、まだ引っかかってますね」
「森野ドルフィンって名前は?」
その名前で思い出した。
「あ!あぁ!あぁ!あの朝のめざめのテレビのイマカラガールに出てた子」
自分で言いながら
「もしかして」と思いながらも「いやそんなこない」という思いもあり
心拍数が早く、鼓動が高鳴っていく。
妃馬さんがグッっと僕のほうに近づき、妃馬さんの顔が僕に近づく。
妃馬さんは右手で自分の口の右側にあて、僕の右耳に小声で耳打ちする。
「そうです。その森野ドルフィンが私の幼馴染の森本デルフィンです」
妃馬さんの顔がこんなにも近く耳元で囁かれたというのに
なぜか妃馬さんのその言葉に不思議と心臓が落ち着いた。
「そうだったんですね。スゴい」
と言ったと同時に「本人に聞いてみますね」という妃馬さんの言葉が思い返される。
「でも「本人に聞く」っていうのは?」
疑問をそのままぶつけてみた。
「そのことなんですけど」
言おうか言わまいか迷っている様子だった。
「あ、別にあの無理して言わなくても。ね?」
「あ、違うんです。周りに人がいるから」
「あぁ」
僕のその一言を最後に少しの間沈黙が僕らを包む。
人々が砂の上を歩くザッザッっという音。人々の話し声。
スワンボートが波を立てる水音。そよ風が木々の葉を揺らすざわめき。
それらすべてを切り裂くように
「良かったら」
右側から聞こえた妃馬さんの声。妃馬さんのほうに視線を向ける。
「良かったら私の家来ませんか」
意を決したような真剣だけど不安そうな表情。
僕の視線は妃馬さんにフォーカスが合い、背景がボヤけて見える気がした。
水面に反射する光はついさっきより輝いて
周りの音や人々の声は遠く、ボヤけて聞こえる気がした。
「え、あ、はい」
反射的に返事が溢れた。
反射的に出た答えだったがよく考えても断るという選択肢はなかった。
「じゃ、じゃあ行きましょうか」
緊張しているのか、少し堅い表情に話し方もぎこちない。
その妃馬さんの様子につい笑ってしまった。
「な、なんですか」
まだぎこちない妃馬さんに
「いや、ロボットみたいだなって」
「ロボットって」
「すいません。でもいつも通りでいてほしいです」
「いつも通り…。でもやっぱり緊張します。男の人呼ぶの初めてだし」
突風が吹いたような気がした。まだ妃馬さんと会って数日。
話した時間ならたった数時間だろう。
当たり前だが妃馬さんのことはわかっているはずない。
だけどなぜか「男の人呼ぶのが初めて」という言葉にカルチャーショックなるものを受けた。
「え、あ、そ、そうなんですね。なら緊張して当然か」
わかりやすく動揺する。すると今度は妃馬さんが笑った。
「動揺しすぎですよ」
その笑顔に心拍数は早くなり鼓動は高鳴るが、なぜか安心するという矛盾が生じた。
「やっぱり笑顔がいいな」
僕も自然と笑顔になる。妃馬さんがスッっと立ち上がり
「じゃ、じゃあちょっと電話してきますので」
と言い小走りで池のほうへ向かう。
妃馬さんはGジャンからスマホを取り出し、少し画面を操作すると右耳にあてる。
電話相手が出たのか頭が少し動き、体も少し動き話し始める。
そんな妃馬さんの背中を見る。
僕はまだ5個くらい残っているたけのこの林をコンビニのビニール袋に入れる。
数少ないたけのこの林が箱の中で動く感覚が手に伝わる。
僕は半分ほど残っているレモンティーのキャップを開け、飲み口に口をつける。
誰と話してるのか、手間取っているのか身振り手振りに加え、足も少し動いていた。
新緑の香り、土の香りに続いてレモンの香りが鼻から抜ける。
レモン畑に来たようだ。景色と妃馬さんの背中を眺めてレモンティーを飲んでいると
いつの間にかペットボトルが軽くなっていた。次の一口を飲む前に量を確認する。
あと3口程度で空になってしまいそうな量だった。
僕は妃馬さんとの会話を思い出し、キャップを閉める。
僕の右側にペットボトルを置き
引き続き景色と妃馬さんの背中を見ているとスマホを耳から離し
Gジャンのポケットにしまい、こちらに小走りで向かってくる。
「すいません。お待たせしました」
「いえいえ。大丈夫でした?」
「あ、はい。妹に電話してて」
「あ、そうなんですね。…あ、これ」
と言ってペットボトルを妃馬さんに渡す。
「あと少しなのでそのまま全部飲んじゃってください」
「あ、ありがとうございます」
妃馬さんは立ったままペットボトルのキャップを外し、中身の少ないレモンティーを飲む。
「あぁ、美味しい!ひさしぶりに飲んだ」
そう言った後、すぐに残りを飲み干した。
「少し苦味もあるんですね。気づかなかった」
「香りが苦いというか、後味のほんの一瞬苦味ありますよね」
「そうそう!…ん?ストレートティーも苦味あったかな」
そう言ってレモンティーのペットボトルと入れ替えに
ストレートティーのペットボトルを持ち、キャップを外し一口飲む妃馬さん。
「あっ…ちょっとあるかも」
「えぇ~そうなんですか」
「ほんのちょっぴり」
そう言ってキャップの開いたままのペットボトルを差し出す。
僕は受け取るべきなのかわからず、妃馬さんの顔を見る。すると
「一口飲んでみます?」と言わんばかりの顔をしていた。その表情に押され
「あ、いいんですか?」
と言いながら受け取っていた。口をつけるのはどうかと思い
飲み口を浮かせて開けた口に注ごうと思ったが、それはそれで
「口をつけたくない」と思っていると思われそうで、失礼だと思い
どっちの道の先にも光が見えず、どちらの道に進もうか悩んだ。
ただペットボトルを持ったまま長時間悩むのも失礼だと感じた僕は考えるのをやめ
ペットボトルに口をつけ、ストレートティーを口に入れた。
味の感想を言うため、ちゃんと味わわないとと思い、一口を大切に飲み込んだ。
「ありがとうございます」
ペットボトルを妃馬さんに返す。
妃馬さんはなにも言わず、ペットボトルを受け取り、僕の感想を待っているようだった。
「んん~なんか途中に苦味を…感じた?
味なのか香りなのかわからないですけど、ほんとふわっっと撫でるくらいに感じました」
そう言うと妃馬さんの顔に照明があたったように
パアッっと明るくなったような気がするくらい表情がパアッっと変わり
「わかります!すっごくわかります!撫でる感じ!」
その様子を見て僕も笑顔になる。
「ほんとどことなく苦さありますよね。全体的には甘いのに」
「このほんの少しの苦さのお陰で、より甘味が際立つのかも」
「あぁ、なるほど。企業さん努力してんなぁ~」
なぜか上から目線で当たり前のことを改めて実感していた。
「じゃ、そろそろ行きましょうか」
やはり家に行くという話になるとまだ少し緊張気味な妃馬さんが切り出す。
「あ、はい」
そう言い荷物を持って立ち上がる。ふと妃馬さんを見て
「あ、良かったら入れてください」
とコンビニのビニール袋を広げる。
姫冬ちゃんのプレゼントのために買った服が入っている紙袋。
そして妃馬さんの今日持ってきたバッグは
お財布や最低限のものが入るくらいの小さな肩掛けのポシェットだったため
ペットボトルを手に持ったままだった。
「あ、ありがとうございます。じゃあ」
と言いペットボトルを入れる妃馬さん。
ほんの少し重くなったビニール袋を右手に持ち歩き出す。
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