猫舌ということ。

結愛

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動き

第43話

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その後を母がついて行く。
僕も一応妹を見送ったときと同じ位置で壁にもたれかかり父を見送った。
父が扉の向こうに消えたのを見終えて、僕が振り返りリビングに向かっていると背後から母が
「今日はー?」
と聞いてきた。恐らくは大学のことだろう。そう思い
「今日はえぇーとね。1時40分頃に出る」
そう言いながらイスに座り、マグカップに入った紅茶を飲む。
「じゃあお昼は食べてくのね?」
「うん。お願い」
「なにがいい?」
そう問われ少しの間考える。
「んん~…チャーハン」
「チャーハン?」
「うん」
「他は?なんかおかずとかはいらない?」
「うん。チャーハン味ついてるから特になにもいらない」
「あぁ、なるほど?」
そんなお昼ご飯話をした後、空になったマグカップを持ってキッチンへ行き
水で軽く濯いだ後、四ツ葉サイダーを氷なしで入れて
「寝てたら起こしてー」
と言って自室に戻ろうとする。
「目覚ましかけなさいよ」
「起こしてねー」
と母の提案を聞いてないが如く流して階段を登る。
「寝てた「ら」起こして」とまるでなにかをするけど
もしかしたら寝ちゃう「かも」だから、もし寝てたら起こしてという言い草だったが
僕の頭の中は「寝る」という文字でいっぱいだった。
自室のドアノブに手をかけ扉を開け、閉めて、ローテーブルにマグカップを置き
スマホをポケットから取り出し、充電ケーブルに差す。
ベッドへお腹のほうから倒れ込み、うつ伏せのまま寝ようと思ったが
結局ちゃんと布団を掛け、寝るまで何度も姿勢を変えていた。

自然と目が開いた。いつの間にか眠っていた。
「んん~…。ふぁあ~はん」
大あくびをかます。ケーブルに繋がれたスマホのホームボタンを押す。
時刻を見ると12時18分。「起こして」と頼んだが自主的に起きてしまった。
時刻の下を見ると通知がたくさんきていた。
僕は寝転んだまま扉の方に体を向け、スマホをいじる。
LIMEのトーク一覧の画面を見る。1番上に姫冬ちゃんからのLIME2件。
その下にLIMEスタンプからのLIMEが111件。その下に妃馬さんのLIME3件。
その下に俊くんからのLIME2件。その下に匠からのLIME3件。
その下にLIMEショッピングから68件。
公式から通知は基本無視していたので合計はとんでもない数の通知で
知り合いからの通知の多さが霞んでしまうが
知り合いからの通知が10件というのはめちゃくちゃ多かった。
1番上から順番に確認して返信していく。

「ありがとうございました!
私も楽しかったです!鹿島先輩主催のゲーム大会楽しみにしてます!
大学でもこれからよろしくお願いします!!」

その後に「よろしく!」のスタンプが送られていた。
文だけでも伝わるくらい姫冬ちゃんの元気の良さが滲み出ていた。
僕はそれに返信し、次に妃馬さんのメッセージを確認する。

「良かったです。楽しかったけど体は疲れていたらしく、ぐっすり寝ちゃいました」
「あ、そうでしたそうでした。早めに買いますね!」

その後猫が走っているスタンプが送られていた。
妃馬さんとゲームするのを楽しみにして返信をした。その後は俊くん。

「昨日はありがとうございました。
暑ノ井先輩や皆さんのお陰でとても楽しかったです。
大学でも仲良くしてください。」

俊くんも「よろしくお願いします」という
スーツを着た犬が頭を下げているスタンプを送ってきていた。
匠のメッセージは簡単に言うと匠が描いているマンガのジャンルだったりあらすじだった。
僕が聞いたからだったのを匠とのトークを見返して思い出した。
俗に言う「少年マンガ、アニメ」しか読んで見ておらず、マンガ、アニメには詳しくない僕は

「描けたら読ませて」

と言う当たり障りのない返事の後に

「今度みんなでゲームせん?」

と聞いてみた。ケーブルに繋がれたままのスマホを枕元に置き、体を起こし
テレビに近づき、テレビ台の下に置いてあるパスタイム スポット 4の
コントローラーに手を伸ばしコントローラー中央部のホームボタンを押し、電源をつける。
コントローラーと本体を繋ぐケーブルを外す。
コントローラーを持った手の方角をローテーブルの方に変え
ローテーブルにコントローラーを置き、テレビのリモコンを手に取り
テレビの電源をつけ、入力切り替えでパスタイム スポット 4の画面に切り替える。
nyAmaZon(ニャマゾン)Prime を起動させ、百舌鳥さんの同席酒場を見る。
百舌鳥さんの同席酒場はもう全話2周はしているし、好きな回だけなら7回くらいは見ている。
そしてもう2回見ているそんなに好きでもない回を流しながら
テレビ台のパスタイム スポット 4が置いてある横に置いてある
パスタイム スポット 4のソフトたちを眺めた。
今度みんなでやろうと話に出た「ファンタジア フィナーレXIV」
匠と中学生のとき、授業中やって怒られたゴッドリーダーの続編。
続編というかゴッドリーダー全シリーズ。鹿島が大好きで
僕の大好きな実況者の寿司沢さんも大好きでシリーズをゲーム実況をしている
「獣が躍るシリーズ」のスタジオ、「獣が躍るスタジオ」から出た
日本が誇る人気アイドルグループの元メンバーの「季村桜」さんが主人公の
新シリーズ「Hatch」(ハッチ)シリーズ。
あとは個人的に好きなホラーの作品やミステリー作品のゲームが多くはないが並んでいる。

今度みんなでやるし、ひさしぶりに触っとくか

と思いファンタジア フィナーレXIVのソフトを手に取る。
パッケージの裏をひさしぶりに見てみた。買うときもほとんど見なかった裏側。
小学生や中学生のときはソフトを1本買うお金を持って、その1本を失敗したくないため
もしくは次に親に買ってもらう用におもしろいゲームを見つけるために
よく裏側を見て、吟味していた。その裏側。
ひさしぶりにしっかりとゲームのソフトのパッケージの裏側を見て読んだため
そんな昔のことを思い出し「子どもの頃良いなぁ~、懐かしいなぁ~」と思う反面
胸がキュッっとするような、心臓を掴まれるようなそんな感覚に陥った。
パカッっと開きディスクを見る。

そう言えばここに説明書とか入ってたよなぁ~

ディスクの反対側、なにもないケースの半透明の青色が全面のところを見てそう思い
また「子どもの頃良いなぁ~、懐かしいなぁ~」と思う反面
また胸がキュッっとするような、心臓を掴まれるようなそんな感覚に陥った。
僕はパスタイム スポット 4のディスク取り出しボタン。
もはやボタンなのかわからないタッチしてピッってなるところに触れ、ディスクを取り出す。
「Closed Hatch」が出てきた。
「獣が躍るスタジオ」の新シリーズ「Hatch」シリーズの最新作だ。
そう言えばクリアして、そのまま入れてたままにしていた。
僕は「Closed Hatch」のソフトのパッケージを開けディスクをしまい、元に戻した。
そしてファンタジア フィナーレXIVのディスクをパッケージから取り出し
パスタイム スポット 4に入れた。ディスクを読み込む音がし始める。
僕はコントローラーで、nyAmaZon(ニャマゾン)primeを終了し
読み込まれたファンタジア フィナーレXIVを起動した。
ひさしぶりすぎて僕も忘れていた。
とりあえず憩いの場の周りにいるNPC、いわゆるコンピューターと会話をしたり
カジノに行ってみたり、ポーズを決めて写真を撮ってみたり
敵とは闘わずにただただ世界観を楽しんでいた。するとコンコンとドアがノックされる。
「はぁーい」
と返事をするとカチャンとドアノブが動き、ドアが開き
「起きてんじゃん。すぐお昼できるよ」
「ん。今行くわ」
と言うと母はドアを閉め、リビングへ戻っていった。
時刻を見ると12時43分。1時少し前だった。
僕はパスタイム スポット 4の電源とテレビの電源を落とし
枕元のケーブルに繋がれたスマホをケーブルから外し、ポケットに入れ
ローテーブルに置いてあった、マグカップを手に取りリビングへ向かった。
マグカップには朝注いだ四ツ葉サイダーが残っており
階段までの廊下を歩きながら飲むと炭酸が少し弱くなっていた。
階段を下り、廊下を進み、廊下とリビングを繋ぐ扉を開け、リビングに入る。
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