猫舌ということ。

結愛

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出会い

第38話

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受付までの道を戻りながら
「オレの分もお願いね?」
と鹿島に言う。
「あぁ!もちろん!んで余った分はまたあとで渡すわ」
「わかった」
そんな会話をしエレベーターを降り、受付に戻ってきた。
受付には入るときにやり取りした店員さんが立っていた。
「すいません。まだ2時間経ってないんですが、もう終電近いんで、お会計いいですか?」
そう少し申し訳なさそうに言うと
「はい。もちろんです」
そう言うとタブレットを操作し
「2時間料金で5名様で7500円になります」
僕は前のお店で鹿島の分まで払っていたため
財布を出さずただ辺りを見回したり、みんなの行動を見たりしていた。
「えぇと…はい。ちょうどですね」
そして少し間があり
「こちらレシートになります」
そう言ってレシートを差し出した店員さんの手が誰に渡したらいいか迷っていた。
「あ、ありがとうございます」
と言って受け取ったのは鹿島だった。
「ありがとうございます」
と言う店員さんに軽く頭を下げて
カラオケ店と外用のエレベーターの間を仕切る透明の扉を開き、エレベーター前の広場に出る。
今まで騒がしかったのに透明の扉を開き、外に出て扉を閉めたら
今まで聞こえていた曲のボリュームが小さくなった。
エレベーターのボタンを押し、エレベーターを待っているとものの数秒で来た。
エレベーターに乗り込み1階のボタンを押し、扉が閉まると
さっきまで小さいボリュームで聞こえていた曲がもう聞こえなくなった。
扉が開きビルの外に出る。少し冷たい微風が袖を捲りYシャツから出た腕に当たる。
しかし少しアルコールで体がぽっぽしているのでなんだかんだ心地良い風だった。
春の空気の香りを嗅ぎながら駅への道のりを5人で他愛もない話をしながら進む。
来たときに鹿島と真似をしていたタコの置物があった雑貨屋さんはもう閉まっていた。
もう0時を過ぎているため閉まっていて当たり前だった。駅に到着したのは0時21分だった。
改札機の上の天井から吊り下げられている電光掲示板には
通過の文字の下に0時26分に電車が来るとの文字が流れていた。
「あ、じゃあオレはこっちの線だから!」
と言い手を振り鹿島とはそこで別れた。鹿島以外の4人は同じ電車で
エスカレーターを上がり、交通系電子マネーでそれぞれ改札を通った。
姫冬ちゃんと俊くんが前、僕と妃馬さんが後ろでホームに2列になって電車を待っていた。
「最寄り駅から家は近いんですか?」
右隣の妃馬さんに尋ねる。
「ん~近い…。近いのかな~?歩いて10分から15分くらいですかね?」
そう答える妃馬さんに
「んん~たしかに難しいところですね」
そう少し笑って応える。そして続けて
「姫冬ちゃんは実家住みですか?」
そう聞くと
「はい。私も姫冬も実家住みです」
妃馬さんと姫冬ちゃん、2人の電車が同じというだけでは確信が持てなかったが
薄々思っていた考えが的中した。少し悩んだ。
そんなやり取りをし、僕が少し悩んでいるとホームにアナウンスが響く。
そろそろホームに電車が入ってくるらしい。
終電が近いからだろうか?ホームにはそこまで人は多くはなかった。
「黄色い線の内側までお下がりください」
そんなアナウンスを認識して間もなく
引き込まれそうな、逆に押されそうな風を引き連れ、電車がホームに入り
だんだん速度が落ち、止まった。これまた終電が近いからだろうか?
電車内から降りてくる人たちも少なかった。
僕たちは電車内に入り、閉まっている扉のほうのシートに座った。
手すりのある端に座る姫冬ちゃん。その隣に姫冬ちゃんのお姉さんの妃馬さん。
その隣に俊くん。そして僕という順番だ。
終点というだけあり、発車まである程度の時間を要した。その間みんなスマホをいじっていた。
「扉が閉まります。ご注意ください」
このアナウンスが流れ、ゆっくりと電車が動き出した。
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