猫舌ということ。

結愛

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出会い

第29話

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「そんな鹿島先輩がオススメするRPGってなんですか?」
そう姫冬ちゃんが鹿島に問いかけた。
「ん~そうだなぁ~一緒にやるならファンタジアフィナーレXIVかな?」
「あぁ!それなら私も聞いたことあります!」
さすがファンタジアフィナーレ。シリーズをプレイしたことない人にも名前は浸透していた。
「ファンタジアフィナーレって本来はオフラインで
シリーズ通してのストーリーを楽しむゲームなんだけど
14だけは違ってオンラインで各々キャラを作って各々好きな職業に就いて敵と戦うのよ」
「へぇ~!キャラも自作できるんですか!?」
「そうそう!可愛いキャラ作ったり、カッコいいキャラ作ったり
性別だって自分と違う性別でもいいし、種族だって人間とかエルフとかいろいろあって!」
「へぇ~!楽しそう!」
「そうなの!でね!」
鹿島のゲーム演説が続く。その演説を半分おつまみ感覚で聞き、紅茶ハイを飲む。
すると俊くんがトイレから帰ってきた。
「お、おかえり」
と声をかけた。
「あ、ただいま?です」
と憎めない可愛らしい困り笑顔をする。僕と鹿島の背中に触れるか触れないか
後ろの席の人にも気を遣って自分の席に行く感覚が伝わってくる。
少し苦労して俊くんは自分の席に戻った。
「俊くんもやる!?」
戻ってきたばかりの俊くんに唐突に話を振る鹿島。
「え?なんですか?」
わかりやすく動揺する俊くん。またそこから鹿島のゲーム演説が再開した。
「ほんとゲーム好きなんですね」
妃馬さんが不意にそう言った。声の大きさからして、恐らく僕に言ったのだろうと思ったが
もし僕に言ってなかったら恥ずかしいのでチラッっと横目で妃馬さんのほうを見た。
するとアスピスサワーを1口飲んだあとの妃馬さんと目が合った。また心臓が大きく跳ねた。
「あ、あぁ、鹿島ですか」
自分の高鳴った鼓動を知らんふりするように妃馬さんに返事をする。
「はい。側から聞いてるだけでもゲーム愛に溢れてるのも伝わるし
プレゼンされてる側じゃないのにゲームしたくなってきます」
と妃馬さんが微笑みながら言う。
僕は妃馬さんのその言葉、表情に嘘偽りは微塵も感じなかった。
お世話でもなんでもなく、ただ鹿島の純粋なゲーム愛が人の心に届いた瞬間を見た。
そのスゴさに感動したのか、妃馬さんの心を動かした鹿島に嫉妬したのか
考えるよりも先に口が動いた。
「良かったら一緒にやりませんか?」
予想より大きい声に妃馬さんはもちろん自分でも驚いた。
「ビックリしたぁ~。なに?」
と鹿島も驚いたのかこちらを見る。鹿島に釣られて姫冬ちゃんも俊くんも僕のほうを見ていた。
「あ、いや、ごめん。ちょっと大きい声出ちゃっただけで
別に大したことじゃないから。ごめんごめん。驚かせて」
大きい声が出た恥ずかしさなのか、話を中断させてしまった申し訳なさなのか
驚かせてしまった申し訳なさなのか、なんの言い訳かわからないが
言い訳を言うように気持ち早口でそう言った。
「あ、そう?ならいいんだけど。んでね?」
と言い、姫冬ちゃんと俊くん相手に恐らくゲーム演説を再開する鹿島。
ほんの少しホッっとし、鼻で軽く深呼吸をする。視線が減ったところで妃馬さんのほうを見る。
先程の僕の声の大きさなのか、発した言葉の内容なのか
驚いて目を丸くしていた妃馬さんが僕と目が合った瞬間、クシャッっとした笑顔に変わった。
僕は少し恥ずかしい気持ちとなんで笑っているのかへの疑問の混ざったような表情をする。
するとその僕の表情から汲み取ってくれたのか
「いや、すいませんすいません。意外な発言にビックリした後に
怜夢さんがなんとなく怜夢さんぽくない慌てっぷりを見せてくれたからちょっとおかしくて」
と妃馬さんが言う。
「あ、えぇ~と。すいません?」
「いやいや全然全然!謝られることじゃないんですけどね?」
「え、だって僕の「ゲーム一緒にしませんか?」発言がイヤだったからとかじゃ?」
「嬉しかったですよ?」
間髪入れず妃馬さんはそう答えた。目を細め口角を上げ微笑む妃馬さん。
その表情、発言から実際僕の目には見えていないが
妃馬さんが本当にお妃様のような背後から淡い黄色のオーラが出ているような感じがした。
妃馬さんの方向から暖かさが流れてくるようなそんな感覚もした。

この人の魅力に引き込まれ始めている。

そう心のどこかでそう感じ始めていた。ただ反面、鹿島への
「「好き」ってそんな簡単じゃないから」という発言の手前
否定してる心の住民も一定数いた。
「え、えぇあ、なら良かったです」
2つに割れ、騒ぐ心の住民の動揺を悟られないよういつも通りにしようとしたつもりだったが
自分でもわかるくらい言葉の出出しに躓いた。妃馬さんは変わらず微笑んでいた。
しかしその微笑みが僕の動揺に気づき微笑んでいるのか、先程からの延長なのかわからず
心の住民はよりざわつき始めた。
「私としてくれるとしたら怜夢さんはなんのゲーム選んでくれますか?」
「んん~そうですねぇ~」
顎下を右手の人差し指と親指で支えるようにし摩り、考えている様子を見せる。
もちろん考えてもいたが、一方で心の中でざわつく住民を落ち着かせていた。
考えてる素振りのまま、バレないように鼻でゆっくりと深呼吸をする。
心のざわつきが少し落ち着く。
「まぁでも鹿島も言ってましたけど、ファンタジアフィナーレXIVですかね?
ここのみんなでできるし」
「へぇ~。でも私もゲーム詳しくないんですけど
RPGとかパーティーゲームって4人のイメージですけど」
と言い人数を数えるように5人を目で追う妃馬さん。
「あぁ、たしかに。その考えは合ってますよ。
基本的にRPGもパーティーゲームも4人制限です。
でもファンタジアフィナーレXIVは4人以上でできるんです。
たしか8人まで組めるんだったっけな?」
「へぇ~すごい。すごい?」
妃馬さんは自分の発言に自分で疑問を持ったようだった。
「たしかに普段からゲームしてなかったらすごいかわかりませんよね」
妃馬さんの自分で自分の発言に疑問を持つ様子がおかしくて、つい口元がニヤけた。
「なんですかー」
と少し口を尖らせる妃馬さん。
「いや、自分の発言に疑問持って左上見る妃馬さんの様子が…。ちょっとおもしろくて」
とニヤける口元を隠すように左手の拳で口元を隠す。
「ちょっと~笑わないでくださいよ~」
「すいませんすいません」
と言いつつもニヤつきが止まらず、口元から拳が外せない。
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