猫舌ということ。

結愛

文字の大きさ
上 下
14 / 183
出会い

第14話

しおりを挟む
2人ともグラスが空になったので
鹿島のグラスを左手に、自分のグラスを右手にし席を立つ。
鹿島のグラスに手を伸ばそうとしたとき
「あ、ありがと」
と鹿島に言われたので
「ん」
と鼻から出た音なのか声なのかわからない返事をする。
自分のスマホで時間を確認するため
右手のグラスを一度ダイニングテーブルに置き、スマホを手に取る。
電源を入れロック画面に映し出された時間。18時9分。だいぶ時間が経った。
「もうそろ出るー?」
スマホをテーブルに置きグラスを持ち、冷蔵庫に向かいながら鹿島に問いかける。
「んー」
と鹿島の鳴き声の後、間があった。
おそらくスマホで時間を確認するんだろうと思った僕は
「6時10分」
たぶん10分になっているだろうと思い9分ではなく10分と言った。
「あぁー、まだいいんじゃない?」
「そうなん?でも鹿島6時半って言ってたじゃん」
「あぁ、あれね6時半に入れるってだけで
たぶん7時くらいに人集まるだろうから、はやめに行ってもあれだしさ」
聞きながら冷蔵庫を開ける。
「なるほどな?」
話が終わるのを待ってから
「オーラで良い?」
と尋ねる。
「うん。ありがと」
氷は溶け切っていなかったので自分のグラスに氷を1つだけ補充し
2つのグラスにオーラを注ぐ。
ソファーに戻り鹿島の前に氷無しのグラスを
自分の前に溶けかけた2つの氷と1つの新しい氷が浮いたグラスを置き
ソファーに腰を下ろす。鹿島の前にグラスを置いたとき
「ありがと」
と言われたのでまた
「ん」
と返した。
「そういえばご両親と妹ちゃんは?」
そう聞かれたとき背後のテーブルに置いてあるスマホが鳴いた。
僕はソファーから立ち上がりスマホのほうへ向かう。
「こんなに居て今さらすぎない?その質問?」
と少し笑いながら言う。
「ふと気になったもんで」
「父さんは仕事で妹は学校。母さんはぁ~…たぶん買い物」
そう言いながらスマホを持ち上げ電源をつけると母からのLIMEの通知があった。
「なにか買うものある?」
とのメッセージだった。僕は通知をタップし母とのトーク画面を開く。
「妹ちゃん学校なの?それにしては遅くない?もう6時よ?」
「部活だって」
「あぁ~なるほどね?納得納得」
そんなやり取りをしながら指を動かす。
「特にない。」
そう打とうとして手を止める。そして思考を巡らせる。

なにか頼んだほうが帰ってくるの遅くなるか。

そう思い

「飲んでくるからあれだけど帰ってプリン食べたいからプリンをお願いします」

と送信した。トークの一覧に戻りスマホの電源を落とす。
「やっぱり買い物行ってたわ」
そう言いスマホをテーブルに置いた瞬間またスマホが鳴る。
「予想的中~」
鹿島がテレビのリモコンで録画一覧を見ながらそう言う。
再度スマホを手に取り電源を入れると母からのLIMEの通知。
「スタンプを送信しました。」
の文字。
その通知をタップし再度母とのトーク画面に行き
「ありがと」
と打ち、予測変換のように文字の意味のスタンプが出るため
フクロウが「Thank you」と言っているスタンプを母に送り
トークの一覧の画面に戻り、電源を落とし再度テーブルにスマホを置く。
「あと30分もしないうちに母親帰ってくるからそれ飲んだら出よう」
そう言いながらソファーに戻ろうとし足を止める。
「ん、りょうかーい」
そう言う鹿島に
「ちょ、鹿島来て来て」
そう言い戸惑う鹿島を連れて玄関のほうへ行く。
玄関へ行く廊下を左側に曲がり、曲がってすぐにある階段を登り2階に向かう。
階段を登ると少し開けたスペースがあり
右側の壁にある扉の先には両親の部屋。
そのまま廊下を進み次に近い左側の扉の先には小さなベランダ。
そして次に右側に現れる扉の先は妹の部屋。
突き当たりの部屋が僕の部屋だ。
後ろでキョロキョロ見回している鹿島を連れて自分の部屋に入る。
「やっぱ怜ちゃんち豪邸よな?」
「まぁ狭いって言ったらいろんな人から石投げられるだろうね」
そう言いながら机の上のアクセサリーケースを手に取り鹿島に手渡す。
「そん中にピアスいくつか入ってるから鹿島チョイスで」
そう言いベッドに腰を下ろす。
「任せなさい!」
鹿島は誇らしげな顔をしながらベッドの前のローテーブルにアクセサリーケースを置き
カーペットの上に胡座をかく。
「どれどれ~」
鹿島が厳選する姿をベッドから少し見下ろす感じで眺める。
改めて自分の部屋を見回したり、鹿島の様子を見たりして2分もしないうちに
「これかな?」
と鹿島がローテーブルに2つのピアスと1つの指輪を置いた。
ピアスはシンプルなリングタイプのものに
星のチャームがぶら下がっているものだった。
僕は2つのピアスをベッドに座りながら、ローテーブルに手を伸ばし手に取り
鏡も見ずにその場で今着けているファーストピアスを取り
鹿島チョイスのピアスを着ける。ピアスを着けている最中に
「それは?」
と顎を使いローテーブルにピアスと共にアクセサリーケースから出された指輪を指す。
「これを小指に着けよう」
と右手の小指をピンと立てながら鹿島が言う。そんな鹿島の小指にも指輪がはめられていた。
「オレあんま指輪しないんよな」
「オレに任すって言ったじゃん」
「それピアスの話な?」
「まあまあまあまあ」
そう言いながら指輪をスッっとの僕のほうへスライドさせる。
そのスライドされた指輪を見ながらも手先の感覚に意識を持っていきピアスを着ける。
ピアス着け終え、ローテーブルの上の指輪を手に取るため前傾姿勢になる。
耳にピアスのチャームが揺れる感覚がある。普段指輪をしないため
あまり邪魔にならないよう利き手ではない左手の小指に指輪をはめる。
ベッドから立ち上がり
「よしっ!オーラ飲んで出よう」
「了解です」
そう言うと鹿島も立ち上がり2人で部屋を出る。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...