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青木 森

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15_宿縁の章_26

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 一つ一つは小さい、ナノマシンが引き起こした静電気をより集めて発生させた、超電力の大暴走。
 時間にしてほんの数秒後、無色から戻った「色ある世界」に一人立つナアクスカムア。
「…………」
 空間や大地のいたる所で小規模な放電が残る中で仁王立ち。
(動けぬでござる……)
 ナノマシンのパワーの全てを放電攻撃に使ってしまい、今やコーギーのナノマシンの浸食に抗う術が無く、指先一つ動かす事が出来ず石像と変わらぬ姿と化していたが、辛うじて動く眼球を上下左右に慌ただしく動かして周囲を窺い、
(然るに……)
 一人だけの存在に勝ちを確信すると、
(やった……やったでござる……)
 沸々と湧き上がる喜びから、
「フハ……フゥハハハハハハハハァ! 拙者がこの世で最強でぇ、!」
 勝ち名のりを上げようとした瞬間、
 トォスッ!
 胸筋を突き破り飛び出る「青き刃」の切っ先に、
「ござぁ……?」
 自身の身に何が起きたのか、即には理解出来ない。
 唯一動く眼球で、自身の胸から飛び出る切っ先を凝視。
「拙者が背後から刺されているでござるとぉおぉぉお!?」
 今更の様に状況を理解したナアクスカムは尋常ではない驚きをした。背を斬られるは、未熟であり、弱者であり、戦人(いくさびと)にとって最も恥ずべき姿であるから。
 動かぬ首の代わりに、必死に眼球を背後へ向けると、
「のッ!?」
 そこには、地中からナアクスカムの背中に「青き剣」を突き刺すヤマトの姿が。
「きっ、貴様ァーーーーーー!」
 戦人としての恥よりも、初めて知る死への恐怖。
(拙者が此処で終わるでござるとぉ!?)
 身動きする事も叶わず、背中から剣で貫かれたまま、
「ワイスカムアァアァ!」
 眼球のみを四方八方へ慌ただしく動かし、
「生きておるのであろぅがァ!」
 ワイスカムアの姿を探し、
「早よぅに拙者を、拙者を救うでござるゥ! 拙者は斯様な場所で命を落とすべき漢ではないでござぁるぅぅぅぅう!」
 半狂乱の声を上げると、
 ザッザザザザァアァァ!
 離れた地面の下から、うつ伏せていたワイスカムアが立ち上がり、
「おぉ~! やはり無事であったかぁ我が盟友よぉ!」
 歓喜の声を上げるナアクスカムアであったが、当代きっての盟友(ワイスカムア)は、あからさまに無視する様に、抱きかかえていたファティマを穏やかな表情で立たせ、
「ケガは無きにありんすかぇ?」
 服に付いた土埃を優しく叩き落とし、
「ナイなおぅ」
 ファティマの笑顔に、
「それは良きにありんしたぁ♪」
 笑みを返した。
「なっ!?」
 死を目前にした自身を置き去りに、和やかな空気を見せる二人にナアクスカムは逆上し、
「何をしているでござるかァ! 坊などどうでも良いであろぅ! 早く拙者を助けるでごるゥ!」
 するとワイスカムアの纏う気配が瞬時に変質。
(殺気!)
 肌がヒリ付き、咄嗟に飛び退くヤマト。
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