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15_宿縁の章_20
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我先に「お零れにあずかろう」と言う人間同士の浅ましい諍いを尻目に、因縁の戦いを続ける四人。
「先程までの威勢はどうしたでござるぅ! 拙者は未だ得物すら手にしていないでござるよぉ!」
「黙れ、クソがァ!」
第一ラウンドの再現の様に、防戦一方に陥るジャック。
あとの戦いをヤマトとジゼに託す事で捨て身になり、攻撃に集中した事が功を奏して戦いにおける自身の長所を生かせ、活路を見い出したかに見えたが、それもひと時の余地。
実力の片鱗を僅かばかり披露したナアクスカムアを前に、
(ムカつくがマジで強ぇ)
元の木阿弥に逆戻り。
一方のマリアも攻撃の手こそ止めずに済んでいるものの、攻撃は全て扇子で弾き返され、
「クッ!」
悔し気な表情を見せると、未だ余裕を見せるワイスカムアは変わらぬ妖艶な笑みも以って攻撃を弾き返しながら、
「流石は手加え(改造手術)を受けただけありんすなぁ。(スティーラー)三位を倒す為に造られんした妹と違い、手応えがありんすぇ♪」
「お褒めの言葉として受け取っておきますわ! ですが!」
「?」
「姉とは常に妹の手本の如く、斯くあるべき! 胸にある心もちは改造を受ける前も変わりませんでしたわ!」
止まぬ連突きを繰り出しながら凛然と言い放つマリアに、ワイスカムアはフッと小さく笑い、攻撃を受けるリズムを少し変え、
「!」
マリアがほんの一瞬戸惑った間隙を突いて手の届く距離まで迫ると、
「しなやかに揺れる「たわわな乳」とは違い、相も変らぬお堅い頭でありんすなぁ」
扇子の先で胸の先端を軽くヒト撫で。
敏感な部分を期せずして刺激されたマリアは、
「きゅ!」
思わず可愛らしい声を上げ、咄嗟に両腕で胸を覆い隠すと、
「隙が無くば、男の子(おのこ)は逃げんしょ」
淫靡な笑みを浮かべるワイスカムアを、
「むぅむぅむぅ!」
恥ずかしそうに顔を赤らめながら睨み、
「とても大きなお世話ですわ!」
するとマリア達の背後に控えていたローブの一人が、オンナ二人のじゃれ合いを思わず凝視。もう一人のローブに尻をつねられ、痛みからジャンプした。
「愉快な同志でありんすなぁ」
扇子で口元を隠し、クスクス笑うワイスカムアと、
「…………」
仲間の醜態に、少し気恥ずかしそうな顔をするマリア。
ジャックも乱れ飛ぶ拳を鎌で受け止めつつ、
「真剣勝負の最中に、ふざけたコントをしてんじゃねぇ!」
遠距離から思わずツッコミ。
ナアクスカムアが赤い両目をギラリと光らせ、
「貴様もでござるゥ!」
風を纏った拳を握り込み、
「しまっ、」
「集中しろと言った筈でござる!」
再び溜を作った重い一撃を放つと、
「また掛かったのはテメェの方だァ!」
ジャックはひらりと身をかわし、
「!」
「(いつまでも)下に見てやがるから浅知恵に引っ掛かる!」
大振りの空振りとなった体に隙が出来ると、いつの間にロードしていたのか、雪原の大地のいたる所から薄紫色したレーザー光線が飛び出し、ナアクスカムアを四方八方から囲む様に襲い掛かった。
オーストラリアでの戦いで使用された兵器である。
「クッ!」
逃げ場無く、スポットライトを浴びたかのような光に包まれるナアクスカムア。
「先程までの威勢はどうしたでござるぅ! 拙者は未だ得物すら手にしていないでござるよぉ!」
「黙れ、クソがァ!」
第一ラウンドの再現の様に、防戦一方に陥るジャック。
あとの戦いをヤマトとジゼに託す事で捨て身になり、攻撃に集中した事が功を奏して戦いにおける自身の長所を生かせ、活路を見い出したかに見えたが、それもひと時の余地。
実力の片鱗を僅かばかり披露したナアクスカムアを前に、
(ムカつくがマジで強ぇ)
元の木阿弥に逆戻り。
一方のマリアも攻撃の手こそ止めずに済んでいるものの、攻撃は全て扇子で弾き返され、
「クッ!」
悔し気な表情を見せると、未だ余裕を見せるワイスカムアは変わらぬ妖艶な笑みも以って攻撃を弾き返しながら、
「流石は手加え(改造手術)を受けただけありんすなぁ。(スティーラー)三位を倒す為に造られんした妹と違い、手応えがありんすぇ♪」
「お褒めの言葉として受け取っておきますわ! ですが!」
「?」
「姉とは常に妹の手本の如く、斯くあるべき! 胸にある心もちは改造を受ける前も変わりませんでしたわ!」
止まぬ連突きを繰り出しながら凛然と言い放つマリアに、ワイスカムアはフッと小さく笑い、攻撃を受けるリズムを少し変え、
「!」
マリアがほんの一瞬戸惑った間隙を突いて手の届く距離まで迫ると、
「しなやかに揺れる「たわわな乳」とは違い、相も変らぬお堅い頭でありんすなぁ」
扇子の先で胸の先端を軽くヒト撫で。
敏感な部分を期せずして刺激されたマリアは、
「きゅ!」
思わず可愛らしい声を上げ、咄嗟に両腕で胸を覆い隠すと、
「隙が無くば、男の子(おのこ)は逃げんしょ」
淫靡な笑みを浮かべるワイスカムアを、
「むぅむぅむぅ!」
恥ずかしそうに顔を赤らめながら睨み、
「とても大きなお世話ですわ!」
するとマリア達の背後に控えていたローブの一人が、オンナ二人のじゃれ合いを思わず凝視。もう一人のローブに尻をつねられ、痛みからジャンプした。
「愉快な同志でありんすなぁ」
扇子で口元を隠し、クスクス笑うワイスカムアと、
「…………」
仲間の醜態に、少し気恥ずかしそうな顔をするマリア。
ジャックも乱れ飛ぶ拳を鎌で受け止めつつ、
「真剣勝負の最中に、ふざけたコントをしてんじゃねぇ!」
遠距離から思わずツッコミ。
ナアクスカムアが赤い両目をギラリと光らせ、
「貴様もでござるゥ!」
風を纏った拳を握り込み、
「しまっ、」
「集中しろと言った筈でござる!」
再び溜を作った重い一撃を放つと、
「また掛かったのはテメェの方だァ!」
ジャックはひらりと身をかわし、
「!」
「(いつまでも)下に見てやがるから浅知恵に引っ掛かる!」
大振りの空振りとなった体に隙が出来ると、いつの間にロードしていたのか、雪原の大地のいたる所から薄紫色したレーザー光線が飛び出し、ナアクスカムアを四方八方から囲む様に襲い掛かった。
オーストラリアでの戦いで使用された兵器である。
「クッ!」
逃げ場無く、スポットライトを浴びたかのような光に包まれるナアクスカムア。
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