CLOUD(クラウド)

１５_宿縁の章_２

　三人の「行き先」と「目的」に世界の注目が集まる中、三人が向かった先は、南アフリカの南西に位置する大都市「ケープタウン」であった。

『『『『『『『『『『やっぱりかぁあぁぁ』』』』』』』』』』
　
　一様に頭を抱える各国の作戦室。
　それもその筈、南アフリカ共和国の立法を担う都市であるケープタウンには国際空港があり、その行き先はアジア、中東、ヨーロッパと幅広く、目的地の可能性が「無限大に広がった」と言っても過言ではなかったからである。
　各国の苦悩をよそに、
「中々にして噂通り、豊かな町でありんすなぁ」
　妖艶な笑みを浮かべて町を眺めるアナクスとしっかり手を握り、
「とってもキレイなマチなおぅ」
　笑顔のファティマ。
　オランダの植民地であった時代や、イギリス領であった時代を経て現在に至るこの町には近代的なビル群に混じり、クラシカルなヨーロッパ風の建物が目立ち、中にはショッキングピンクやスカイブルーなどのパステルカラーに彩られた家々がある区画や、海辺にはお洒落なテラス席のあるスタイリッシュなカフェなど、未だ観光名所としても名を馳せていた。
　人種も白人や黒人、ヨーロッパ系白人とアフリカ系黒人の混血であるカラードやアジア人など多種多様で、諍いの絶えないアフリカ大陸内において比較的平和であり、ケープペンギンの一大生息地である事も含め、安息の地を求める人々の憧れのマト的町でもあった。
　オンナ心をくすぐる街並みに、ほんわかムードで町を眺めるアナクスとファティマ。
　すると背後から、
『まったりも結構でござるが、どうやって海を渡るか考えはあるでござるかぁ？』
「「…………」」
　急かす様な呆れ声に、一気に現実に引き戻される二人。
　和やかタイムを阻害されたアナクスは、妖艶な笑みに皮肉たっぷり振り返り、
「気早な「男の子（おのこ）」はオナゴに持てぬでありんすぇ」
　しかしアナスは「ハン」と鼻先で軽々笑い飛ばし、
「くだらん、不要な価値観でござるな」
　嘲笑うと「早く行くぞ」と言わんばかりに二人を追い抜いた。
　急き立てる背中に、ヤレヤレ顔をファティマに見せるアナクスと、そんな彼女に屈託ない笑顔を返すファティマ。