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14_歪の章_54
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数時間後――
治療室のベッドの上でカッと両目を見開き、システムを再起動させるジャック。
傍らにナクアが立ち、
「システム、に異常なし。ナヤス、も」
いつもと変わらぬ感情を読み取り辛い物言いに、ある意味安心感を覚え、
「だろぅな」
(あれだけ人をおちょくる元気がありゃぁな)
半笑いで起き上がろうとすると、
「!?」
腕枕状態で、すやすやと寝息を立てるアリアナの姿が。
「…………」
起き上がるに起き上がれず、
「オイ、感情無し……コレは、いったいどう言う事だ……」
「?」
(「ん?」じゃねぇよ!)
声を潜めつつ怒鳴ると、
「アリアナ、が「身も心も捧げた」、の図」
(とんでもねぇこと言ってんじゃねぇ! 通報もんだろぅが!)
そこへ、
「なにやら賑やかですわねぇ♪ 目覚めましたのぉ~?」
上機嫌のマリアが登場し、
「「!」」
おののくジャックと目が合い血の雨が降るかと思いきや、マリアは平静に「ふふふ」と笑い、
「すっかり懐かれてるわねぇ」
余裕の笑み。
内心ほっとするジャック。
気持ちを新た、
「ガキに懐かれても嬉しかねぇよ」
皮肉った笑みを浮かべ、
「それでぇ結果はどうよ」
途中退場した間に行われたマリアとヤマト、ジゼとの二連戦の結果を問うと、
「二人とも瞬殺でしたわぁ」
淡々と語る笑顔に、
「そうかよ……」
喜んでいる様にも、残念そうに思っている様にも見える、複雑な表情。
すると、
「「今は」ですわぁ♪」
「「今は」……か」
含んだ物言いに、小さく笑い、
「伸びしろの片鱗でも見せやがったのかぁ?」
「そんなトコロですわ。楽に追い越したつもりが、油断しているとスグに追い抜かれそうな……」
「のぉ割には嬉しそうだな」
「そんな事ありませんわ♪ ただ……」
「ただ?」
「二人を倒せる可能性の一つも見せていただけませんと……やり切れませんわぁ」
(何の為に、女を捨ててまで機械体になったのか……)
「何か言ったか?」
「いいえ」
マリアは薄い笑みを浮かべ、
「ですから二人を更に鍛える為にも……」
アリアナに腕枕状態で横たわるジャックの耳元に顔を寄せ、
『幼女と戯れている場合ではありませんのよ』
「!」
囁く声には、殺意の色すら滲んでいた。
おののくジャックを尻目に、いつも通りの笑顔に戻ったマリアは耳元から離れ、
「ナクア」
「?」
「ジャックがアリアナちゃんに「いけない事」をしたら、女に改造して下さいなぁ」
「バ!」
怒鳴ろうとするジャックに、マリアは「静かに」とジェスチャー。
(アリアナちゃんが起きてしまいますわぁ)
悪癖である「からかい」の笑みを残し、治療室から出て行った。
(面白がりやがってぇ)
憤慨するジャック。
すると傍らに立っていたナクアが、
「改造、して、良い?」
キラキラ顔。
(真に受けてんじゃねぇ! 第一なんもしてねぇだろうがぁ!)
「する?」
(そう言う趣味はねぇ!)
「チッ」
小さく舌打ちして横向くナクア。
(ジャック、の体、で遊べると思っ、たのにィ)
「なんか言ったかぁ?」
怪訝な顔をすると、
「なんでも、ない」
ナクアは詰まらなそうなオーラを全身から垂れ流しながら、部屋から出て行った。
「……ったくウチの女どもは」
呆れをこぼしつつ、寝息を立てたままのアリアナの寝顔を見つめ、
「オレぁ、いつまでこうしてねぇといけねぇんだぁ?」
困惑顔で天井を見上げるジャックであった。
治療室のベッドの上でカッと両目を見開き、システムを再起動させるジャック。
傍らにナクアが立ち、
「システム、に異常なし。ナヤス、も」
いつもと変わらぬ感情を読み取り辛い物言いに、ある意味安心感を覚え、
「だろぅな」
(あれだけ人をおちょくる元気がありゃぁな)
半笑いで起き上がろうとすると、
「!?」
腕枕状態で、すやすやと寝息を立てるアリアナの姿が。
「…………」
起き上がるに起き上がれず、
「オイ、感情無し……コレは、いったいどう言う事だ……」
「?」
(「ん?」じゃねぇよ!)
声を潜めつつ怒鳴ると、
「アリアナ、が「身も心も捧げた」、の図」
(とんでもねぇこと言ってんじゃねぇ! 通報もんだろぅが!)
そこへ、
「なにやら賑やかですわねぇ♪ 目覚めましたのぉ~?」
上機嫌のマリアが登場し、
「「!」」
おののくジャックと目が合い血の雨が降るかと思いきや、マリアは平静に「ふふふ」と笑い、
「すっかり懐かれてるわねぇ」
余裕の笑み。
内心ほっとするジャック。
気持ちを新た、
「ガキに懐かれても嬉しかねぇよ」
皮肉った笑みを浮かべ、
「それでぇ結果はどうよ」
途中退場した間に行われたマリアとヤマト、ジゼとの二連戦の結果を問うと、
「二人とも瞬殺でしたわぁ」
淡々と語る笑顔に、
「そうかよ……」
喜んでいる様にも、残念そうに思っている様にも見える、複雑な表情。
すると、
「「今は」ですわぁ♪」
「「今は」……か」
含んだ物言いに、小さく笑い、
「伸びしろの片鱗でも見せやがったのかぁ?」
「そんなトコロですわ。楽に追い越したつもりが、油断しているとスグに追い抜かれそうな……」
「のぉ割には嬉しそうだな」
「そんな事ありませんわ♪ ただ……」
「ただ?」
「二人を倒せる可能性の一つも見せていただけませんと……やり切れませんわぁ」
(何の為に、女を捨ててまで機械体になったのか……)
「何か言ったか?」
「いいえ」
マリアは薄い笑みを浮かべ、
「ですから二人を更に鍛える為にも……」
アリアナに腕枕状態で横たわるジャックの耳元に顔を寄せ、
『幼女と戯れている場合ではありませんのよ』
「!」
囁く声には、殺意の色すら滲んでいた。
おののくジャックを尻目に、いつも通りの笑顔に戻ったマリアは耳元から離れ、
「ナクア」
「?」
「ジャックがアリアナちゃんに「いけない事」をしたら、女に改造して下さいなぁ」
「バ!」
怒鳴ろうとするジャックに、マリアは「静かに」とジェスチャー。
(アリアナちゃんが起きてしまいますわぁ)
悪癖である「からかい」の笑みを残し、治療室から出て行った。
(面白がりやがってぇ)
憤慨するジャック。
すると傍らに立っていたナクアが、
「改造、して、良い?」
キラキラ顔。
(真に受けてんじゃねぇ! 第一なんもしてねぇだろうがぁ!)
「する?」
(そう言う趣味はねぇ!)
「チッ」
小さく舌打ちして横向くナクア。
(ジャック、の体、で遊べると思っ、たのにィ)
「なんか言ったかぁ?」
怪訝な顔をすると、
「なんでも、ない」
ナクアは詰まらなそうなオーラを全身から垂れ流しながら、部屋から出て行った。
「……ったくウチの女どもは」
呆れをこぼしつつ、寝息を立てたままのアリアナの寝顔を見つめ、
「オレぁ、いつまでこうしてねぇといけねぇんだぁ?」
困惑顔で天井を見上げるジャックであった。
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