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青木 森

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14_歪の章_43

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 ヤマトとジゼの成長は目覚ましく未だ伸びしろを見せ、ジャックとマリアもクローザー化、ガルシアのメンバーでさえ、ナクアとタケダさんの指示の下、アナスとアナクスの襲撃に備え余念がない。
 仲間たちが着実に前へ進む中、特殊な戦闘スタイルである事がアダとなり、「気を読む」新たな戦い方の習得は出来ず、弱体化する可能性の高いクローザー化も出来ない。かと言って大雑把な性格の彼女が、繊細な戦闘準備をしているガルシアクルー達の手伝いをする訳にもいかない。その事は本人が一番自覚していて、今のシャーロットに出来るのは、精神的に不安定な妹のナヤスに寄り添い、支えるだけ。
 言わば彼女だけ『現状維持』。
 満面の笑顔は、自身への歯がゆさの裏返しでもあった。
 前に進んで行く仲間たちを横目に、自身はその場で足踏みするしかない事が、どれほど辛い事か。
 しかしシャーロットは泣き言ひとつ言わず、
「ウチは後ろで、ガルシアのみんなの「盾」になるニャ! だからヤマト達は「剣」として、前で頑張って欲しいニャ!」
 屈託を感じさせない笑顔に、少し気持ちが楽になるヤマトとジゼ。
 笑顔に感謝しつつ、
「ナヤスは大丈夫なの?」
「おぉ!? なにゃジゼぇ? ライバルに塩を送るのニャ!?」
「敵対視しているのはナヤスだけで、私は別に敵視してないよぉ!」
 困惑笑いを見せると、冗談半分であったシャーロットもニカッと笑って見せ、
「コーギーとヴァイオレットの死に、今も負い目を感じているみたいにゃ」
「「…………」」
「でも、ウチがついてるから大丈夫ニャ!」
 二人の不安も、困惑も笑い飛ばし、
「ウチはルムちゃんのお姉ちゃんニャ!」
 するとヤマトは半分冗談のツッコミで、残りの半分は本気で心配し、
「今は部屋に一人で居るんだろ? 良いのかぁ?」
「問題ないニャ! 自傷する気も起きない縛り方をして来たからダイジョウブにゃ!」
「「へ?」」
 きょとん顔のヤマトとジゼ。
 その頃、部屋に一人残されたナヤスは、
「馬鹿姉ぇ、戻って来たらゼッタイ殺します」
 隷属的、SM的縛りで天井から吊るされ左右に揺れていた。
 しかしその表情は言葉とは裏腹に、何処か悦に入り、新たな境地を見い出した様な顔。

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