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14_歪の章_41
しおりを挟む 数日後、南極基地の鍛錬所――
剣や銃を手に、目をつぶって相対峙するヤマトとジゼ。
「「…………」」
身動き一つせず、しばし直立不動で対峙していたが、無意味に息まで止めていたのか、
「「ぶはぁあぁぁ!」」
辺りの空気を食らいつくす様に息を吸い込み、
「ダメだぁああぁぁぁぁ!」
「集中出来ないよぉおぉぉ!」
困惑顔で頭を抱えた。
二人の集中力を削いでいたのは、不在のジャックとマリア。二人はナヤスから衝撃の事実を告げられてから数日、鍛錬所に一度も顔を見せていなかったのである。
それどころか施設内でも姿を見かけず、当初は「弟と妹を失ったショックを受けているだろうから」と、そっとして置く事にした二人ではあったが、一日や二日ならまだしも、三日、四日経っても何の音沙汰も無いと流石に気に掛かり、気配を読み取る稽古にも身が入らないのであった。
「ねぇヤマトぉ、部屋に行ってみるぅ?」
「いやぁでも、死人みたいな顔して出て来られたら、なんて声を掛けたら良いんだぁ?」
「そうだけど、でも流石に……」
ジゼが不安気な顔をすると、ヤマトはしばし黙考し、
「とりあえず行ってみるか!」
「!」
「言葉に詰まっても、それはそれで俺たちの「今の気持ち」の正直な表れだしな」
腹を括った、スッキリした顔をするとジゼも笑顔で大きく頷き、
「ウン!」
二人は鍛錬所を後にしようとした。
扉を開けると、
「「!」」
入ってこようとしていたシャーロットと偶然鉢合わせ、
「二人してドコに行くニャ?」
「ジャックとマリアの所だよぉ」
「ナヤスの話だと、アナスとアナクスはアフリカのスティーラーとクローザーも倒して、南下を続けてるんだろぅ?」
「そうにゃ」
「次の狙いは南極のナクアだって言う見立ては間違ってないと思うし、その為にしてる稽古は一日休めば体を取り返すのに三日、二日以上サボれば倍の時間が掛かるって言うから、尻を叩きに行こうと思ってな」
笑って見せると、
「ヤマトも中々のツンデレにゃ」
「!」
見透かされていた事に、言葉に詰まるヤマト。その姿をジゼが笑っていると、
「心配の必要はないニャ」
「「え?」」
「二人は数日、精密検査を受けてただけニャ」
「どっか悪くしたのか!?」
「スティーラーの体でも、そう言う事ってあるのぉ!?」
迫る二人からシャーロットはピョンと距離を取ると、いつもと変わらぬ満面の笑顔で振り返り、
「手術の為のデータ収集ニャ!」
「「!」」
ギョッとするヤマトとジゼ。
「ま、まさか……クローザーへの転換手術じゃ……!?」
「いつから知ってたの!? 何で止めなかったのぉ!」
ジゼが詰め寄り両肩を掴んで激しく前後に揺さぶり、揺さぶられるシャーロットが目を回す中、
(あの馬鹿!)
ヤマトが鍛錬所から掛け出ようとすると、
『相変わらず、ウルセェなぁ』
ダルそうな顔したジャックが鍛錬所に姿を現した。
「「ジャックぅ!」」
慌てて駆け寄るヤマトとジゼ。
剣や銃を手に、目をつぶって相対峙するヤマトとジゼ。
「「…………」」
身動き一つせず、しばし直立不動で対峙していたが、無意味に息まで止めていたのか、
「「ぶはぁあぁぁ!」」
辺りの空気を食らいつくす様に息を吸い込み、
「ダメだぁああぁぁぁぁ!」
「集中出来ないよぉおぉぉ!」
困惑顔で頭を抱えた。
二人の集中力を削いでいたのは、不在のジャックとマリア。二人はナヤスから衝撃の事実を告げられてから数日、鍛錬所に一度も顔を見せていなかったのである。
それどころか施設内でも姿を見かけず、当初は「弟と妹を失ったショックを受けているだろうから」と、そっとして置く事にした二人ではあったが、一日や二日ならまだしも、三日、四日経っても何の音沙汰も無いと流石に気に掛かり、気配を読み取る稽古にも身が入らないのであった。
「ねぇヤマトぉ、部屋に行ってみるぅ?」
「いやぁでも、死人みたいな顔して出て来られたら、なんて声を掛けたら良いんだぁ?」
「そうだけど、でも流石に……」
ジゼが不安気な顔をすると、ヤマトはしばし黙考し、
「とりあえず行ってみるか!」
「!」
「言葉に詰まっても、それはそれで俺たちの「今の気持ち」の正直な表れだしな」
腹を括った、スッキリした顔をするとジゼも笑顔で大きく頷き、
「ウン!」
二人は鍛錬所を後にしようとした。
扉を開けると、
「「!」」
入ってこようとしていたシャーロットと偶然鉢合わせ、
「二人してドコに行くニャ?」
「ジャックとマリアの所だよぉ」
「ナヤスの話だと、アナスとアナクスはアフリカのスティーラーとクローザーも倒して、南下を続けてるんだろぅ?」
「そうにゃ」
「次の狙いは南極のナクアだって言う見立ては間違ってないと思うし、その為にしてる稽古は一日休めば体を取り返すのに三日、二日以上サボれば倍の時間が掛かるって言うから、尻を叩きに行こうと思ってな」
笑って見せると、
「ヤマトも中々のツンデレにゃ」
「!」
見透かされていた事に、言葉に詰まるヤマト。その姿をジゼが笑っていると、
「心配の必要はないニャ」
「「え?」」
「二人は数日、精密検査を受けてただけニャ」
「どっか悪くしたのか!?」
「スティーラーの体でも、そう言う事ってあるのぉ!?」
迫る二人からシャーロットはピョンと距離を取ると、いつもと変わらぬ満面の笑顔で振り返り、
「手術の為のデータ収集ニャ!」
「「!」」
ギョッとするヤマトとジゼ。
「ま、まさか……クローザーへの転換手術じゃ……!?」
「いつから知ってたの!? 何で止めなかったのぉ!」
ジゼが詰め寄り両肩を掴んで激しく前後に揺さぶり、揺さぶられるシャーロットが目を回す中、
(あの馬鹿!)
ヤマトが鍛錬所から掛け出ようとすると、
『相変わらず、ウルセェなぁ』
ダルそうな顔したジャックが鍛錬所に姿を現した。
「「ジャックぅ!」」
慌てて駆け寄るヤマトとジゼ。
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