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14_歪の章_33
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砂漠の丘を、しっかりとした足取りで降りるコーギーとヴァイオレット。
月夜に映え立つ、和装のアナクスとアナスを平静に見据え、
「何故ココに……等と無粋な事を言うつもりは毛頭ありません」
(人を使い、動向を監視されていたようですね……)
「あたくし達の前に、貴方がたが立ちはだかった。それが答えの全てでございますですわ」
(動きを察知され、先回りされたと言う事でございますですわね……)
腹を括った表情を見せると、
「まぁ、そう言う事でござるよ」
アナスは笑みを浮かべ、
「因みに問うでござるが、オヌシ等は誰のクローザーでござる?」
するとコーギーは小さく頷き、
「僕の名前はルムス(ドクゼリ)。破壊の王アナムクアのクローザァー」
静かに身構えると、
「わたくしの名はナムクス(トリカブト)。二面の死神ママムナムクア姉様のクローザーでございますですわ!」
身構える二人に、
「三位と……」
ヴァイオレットを見つめていたアナスはコーギーに視線を移し、
「あの粗忽者、ワーストのクローザーでござるかぁ」
見下した半笑い。
挑発の意味合いを含んでの笑いではあったが、コーギーはいつもと変わらぬ作り笑顔を崩す事も無く、
「兄さんは粗忽者ではありません。生き方が不器用なだけです」
「フッ。兄弟揃ってブラコンとはな」
「序列順位を意識して下に見ていると、兄さんにも足元をすくわれますよ。今の僕たちは強いですから」
眉の端がピクリと動く、アナス(ジギタリス)。
その様子に、アナクス(イチイ)は「コッコッコ」と愉快そうに笑い、
「挑発したつもりが、され返されるとは、ヌシよぉ一本取られたでありんすなぁ」
コーギーとヴァイオレットを見据え、
「妾の名前は、」
名乗ろうとしたが、コーギーが遮る様に、
「虚無神ワイスカムア(スティーラー序列二位)と、絶望神ナアクスカムア(スティーラー序列一位)ですよね」
「「!」」
少々驚いた表情を見せるアナクスとアナス、元い、ワイスカムアとナアクスカムア。
自身の意識が消去される前に体を奪い、意識を上書き保存していた二人は、そもそも元の体の持ち主であるクローザー名(アナクスとアナス)を知らなかった。故に後々の戦いをも見据え、適当な偽名でこの場をやり過ごせば良いと高を括っていたのだが、思いもよらず的を射られ、
「ハッハッハ! すまぬ、すまぬ、侮り過ぎでござったわぁ!」
「ほんに浅知恵でありんしたなぁ!」
噴き出す様に笑い、変わらぬ表情のコーギーを見据え、
「気付いていたなら話が早いでござるぅ。して、理由は問わぬでござるかぁ? スティーラーの人格が、何故クローザーに宿っているかを」
しかしコーギーは気負う事も、恐れた様子も見せず、
「興味ありませんね」
たった一言。
すると口数の少なさを補足する様に、
「中身が誰であろうと、関係ありません事でございますですわ。あたくし達クローザー三位以下のみに課せられた別名「暴走したクローザー一位と二位は破壊する事」に、変わりませんでございますですわ。しかも貴方がたは、クローザーにとりまして本来の排除対象の「暴走スティーラー」でもある」
ヴァイオレットも言い放ち、
「「来なさい!」」
二人は赤き光に包まれ、各々クラウドから武器をロードした。
コーギーは赤々と輝く三又の槍を両手で構え、ヴァイオレットは以前にロードした物より小型の、バズーカ砲の様な武器を両手に持ち構えると、
「問答無用と言う訳でござるかぁ」
ニヤリと笑うアナスことナアクスカムア。
「それもまた結構でござる!」
笑顔満面、全身を赤々と輝かせ、肩に担いでいた鞘から剣を抜き出し身構え、
「漢は漢同士、戦いの中において「剣」で語り合おうではござらぬかぁ!」
地を蹴り、コーギーに猛突進。
「やれやれ、暑苦しいでありんすなぁ」
呆れ顔のアナクスことワイスカムアは、揺らめく赤き輝きに全身を包まれ、
「来るでありんすぅ」
透かしや飾りがふんだんに施された二柄の扇を両手にロード。パッと開くと妖艶な笑みを浮かべた口元を隠し、
「オナゴはオナゴ同士、言葉は不要でありんしょう」
「そうでございますですわね」
笑みを向け合うと、距離を詰めようと迫るワイスカムアに対し、武器の特性上から距離を取ろうと後退するヴァイオレット。
開戦の口火を切った二人であったが、激しく刃を交え合うコーギーとナアクスカムアとは対照的に、その表情は、何処か寂し気に見えた。
月夜に映え立つ、和装のアナクスとアナスを平静に見据え、
「何故ココに……等と無粋な事を言うつもりは毛頭ありません」
(人を使い、動向を監視されていたようですね……)
「あたくし達の前に、貴方がたが立ちはだかった。それが答えの全てでございますですわ」
(動きを察知され、先回りされたと言う事でございますですわね……)
腹を括った表情を見せると、
「まぁ、そう言う事でござるよ」
アナスは笑みを浮かべ、
「因みに問うでござるが、オヌシ等は誰のクローザーでござる?」
するとコーギーは小さく頷き、
「僕の名前はルムス(ドクゼリ)。破壊の王アナムクアのクローザァー」
静かに身構えると、
「わたくしの名はナムクス(トリカブト)。二面の死神ママムナムクア姉様のクローザーでございますですわ!」
身構える二人に、
「三位と……」
ヴァイオレットを見つめていたアナスはコーギーに視線を移し、
「あの粗忽者、ワーストのクローザーでござるかぁ」
見下した半笑い。
挑発の意味合いを含んでの笑いではあったが、コーギーはいつもと変わらぬ作り笑顔を崩す事も無く、
「兄さんは粗忽者ではありません。生き方が不器用なだけです」
「フッ。兄弟揃ってブラコンとはな」
「序列順位を意識して下に見ていると、兄さんにも足元をすくわれますよ。今の僕たちは強いですから」
眉の端がピクリと動く、アナス(ジギタリス)。
その様子に、アナクス(イチイ)は「コッコッコ」と愉快そうに笑い、
「挑発したつもりが、され返されるとは、ヌシよぉ一本取られたでありんすなぁ」
コーギーとヴァイオレットを見据え、
「妾の名前は、」
名乗ろうとしたが、コーギーが遮る様に、
「虚無神ワイスカムア(スティーラー序列二位)と、絶望神ナアクスカムア(スティーラー序列一位)ですよね」
「「!」」
少々驚いた表情を見せるアナクスとアナス、元い、ワイスカムアとナアクスカムア。
自身の意識が消去される前に体を奪い、意識を上書き保存していた二人は、そもそも元の体の持ち主であるクローザー名(アナクスとアナス)を知らなかった。故に後々の戦いをも見据え、適当な偽名でこの場をやり過ごせば良いと高を括っていたのだが、思いもよらず的を射られ、
「ハッハッハ! すまぬ、すまぬ、侮り過ぎでござったわぁ!」
「ほんに浅知恵でありんしたなぁ!」
噴き出す様に笑い、変わらぬ表情のコーギーを見据え、
「気付いていたなら話が早いでござるぅ。して、理由は問わぬでござるかぁ? スティーラーの人格が、何故クローザーに宿っているかを」
しかしコーギーは気負う事も、恐れた様子も見せず、
「興味ありませんね」
たった一言。
すると口数の少なさを補足する様に、
「中身が誰であろうと、関係ありません事でございますですわ。あたくし達クローザー三位以下のみに課せられた別名「暴走したクローザー一位と二位は破壊する事」に、変わりませんでございますですわ。しかも貴方がたは、クローザーにとりまして本来の排除対象の「暴走スティーラー」でもある」
ヴァイオレットも言い放ち、
「「来なさい!」」
二人は赤き光に包まれ、各々クラウドから武器をロードした。
コーギーは赤々と輝く三又の槍を両手で構え、ヴァイオレットは以前にロードした物より小型の、バズーカ砲の様な武器を両手に持ち構えると、
「問答無用と言う訳でござるかぁ」
ニヤリと笑うアナスことナアクスカムア。
「それもまた結構でござる!」
笑顔満面、全身を赤々と輝かせ、肩に担いでいた鞘から剣を抜き出し身構え、
「漢は漢同士、戦いの中において「剣」で語り合おうではござらぬかぁ!」
地を蹴り、コーギーに猛突進。
「やれやれ、暑苦しいでありんすなぁ」
呆れ顔のアナクスことワイスカムアは、揺らめく赤き輝きに全身を包まれ、
「来るでありんすぅ」
透かしや飾りがふんだんに施された二柄の扇を両手にロード。パッと開くと妖艶な笑みを浮かべた口元を隠し、
「オナゴはオナゴ同士、言葉は不要でありんしょう」
「そうでございますですわね」
笑みを向け合うと、距離を詰めようと迫るワイスカムアに対し、武器の特性上から距離を取ろうと後退するヴァイオレット。
開戦の口火を切った二人であったが、激しく刃を交え合うコーギーとナアクスカムアとは対照的に、その表情は、何処か寂し気に見えた。
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