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青木 森

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14_歪の章_9

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 町の少女達や女性達が稽古に加わる様になって数日―――
 新たな女性の参加者は増えたものの、これと言った事件も起きず、日々は過ぎていた。
 変化をあえて挙げるとするならば、ファティマが参加女性達から『先輩』と呼ばれるようになった事くらいであろうか。
「「…………」」
 先日と違う場所の物陰から、密かに様子を窺うコーギーとヴァイオレット。
 監視場所を固定せず、日によって変えているのは、アナクスに存在を認識させない為の配慮からである。
 しかし同様の理由で町の人達との接触を極力控える中では思う様に情報は集まらず、悪戯に時間ばかりが過ぎ、そんなある日、ヴァイオレットがおもむろに、
「あたくし達も参加致しましょう、でございますですわ」
「えぇ!?」
 ギョッとするコーギー。
 その驚き顔に、
「い、致し方ないではありませんかぁ。これではいつまで経っても、埒が明きませんでございますですわ」
「だ……大丈夫……なんですかぁ……?」
 不安気な顔を、ヴァイオレットは鼻先で「ふふん」と一笑いし、
「あたくしは序列第三位の「マリア御姉様のクローザー」でございますですわ。油断さえしなければ、上位の一人くらいに易々と足元をすくわれたりしませんで、ございますでわ!」
「いえ、そうではなく」
「?」
「毎回トラブルを引き起こすヴァイオレットが参加して、町の人達が大丈夫なのかと」
「な!? それはどう言う意味で、」
 心外そうに憤慨しかけるも、
(!)
 脳裏をよぎるのは、自らを発端としたトラブルの数々。
「…………」
 その事実に、自身が「トラブル発生源」である事に関しては、無為に否定できず、
「い、言っておきますですが、確かに、あたくしがモメ事を起こしている感は否めませんではございますですが、」
 と、一部は認めつつ、
「そのモメ事を大きくしていたのは「コーギー」でございますですわよぉ!」
「のぉ!? そんな事は……」
 否定しようとしたが、思い返してみればその通り。
「「…………」」
 互いに過去の行き過ぎを反省し、しばし無言で見つめ合う二人は、
「自重しましょう……」
「そうで、ございますですわねぇ……」
 この後、「商談が終わり帰国するまで」と言う体で、稽古に参加する事にした。

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