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14_歪の章_4
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手元から立ち昇る、食欲をそそるスパイシーな肉の香りに、
「良い香りでございますですわぁ~」
目を細めていると、
「美形なお兄ちゃんには、『クスクス』なぁ!」
「「くすくす?」」
キョトン顔のコーギーとヴァイオレット。
二人が見つめる前で、店員は少し深みのある平皿の中央に、半円形の黄色いサフランライスの様に見える小山を置くと周囲からトマトの様なスープを注ぎ入れ、小山を取り囲む様に、ゴロゴロと角切りにされた野菜と肉をスープの上に浮かべていった。
「……中央のライス……妙に粒が大きいですね……」
「ですわねぇ……」
不思議そうに眺める二人を、店員は「ニィヒヒヒヒ」と愉快そうに笑い、
「一先ず食ってみてくれよぉ」
「…………」
促されるまま、コーギーはスプーンでヒトすくい。
興味津々なヴァイオレットの見つめる前で、口の中に運び入れると、
「!?」
「ヒヒヒ。驚いたかい?」
「ど、どうしましたでございますですのぉ?」
「パスタです……」
「これがパスタですのぉ!?」
驚く二人を尻目に、店員は予想通りのリアクションに満足そうな笑みを浮かべ、
「世界最小って言われてるパスタなんだぜぇ」
「不思議な触感ですが……美味しいです」
ヴァイオレットもケバブサンドを一口食べ、
「本当でございますですわぁ~コチラもお世辞を抜きに、スパイスが効いて美味しいでございますですわぁ~」
「ニヒヒヒヒィ、ありがとよぉ!」
嬉しそうな店員の笑顔を横目に、コーギーはおもむろに園内を見回し、
「アジアや中東の町々を回って来ましたが……この町が一番豊ですね……」
言うまでも無く、町の情報を得る為の布石の一言ではあったが、反面、素直にそう思い呟く様に言うと、店員は料理の仕込みをしながら笑顔は絶やさず、
「商談で来たなら、お兄さんにも分かると思うけど、軍事産業を主軸にした交易で栄えてる町だからねぇ。返り討ちに遭うのが分かってるから、下手な手出しする輩も少ないのさぁ。っと言っても、少し前にゴタついたんだどねぇ」
「何かあったんですか?」
タイミングを逃さぬ様に、すかさず振り返り、
「昨日今日着いたばかりで、右も左も分からないですよぉ」
町の入り口の有り様を見たコーギーが「何かあった事」を推察できない筈もなかったが、あえて素知らぬフリをすると、
「町長が逮捕される騒ぎが起きたのさぁ」
「へぇ~何をしたんですか?」
すると店員は周囲を窺い、声を潜め、
「金になりそうな見た目をした「よそ者」を捕まえては、有り金奪った上で、人身売買の闇マーケットに売り飛ばしていたのさぁ」
「なんて非道でございますですのぉ! 捕まって当然でございますですわぁ!」
含むところなく憤慨するヴァイオレットの姿に、
「そんな噂は前々からあったんだけどさ、何て言うか……今回は「詫び」を入れる為に、あえて自ら捕まったのさ」
「詫び?」
「贖罪……でございますの?」
「いんんやぁ」
店員は呆れ笑いを浮かべ、
「仕方なくさ」
「「仕方なく?」」
店員は二人に事の顛末を語って聞かせた。
「良い香りでございますですわぁ~」
目を細めていると、
「美形なお兄ちゃんには、『クスクス』なぁ!」
「「くすくす?」」
キョトン顔のコーギーとヴァイオレット。
二人が見つめる前で、店員は少し深みのある平皿の中央に、半円形の黄色いサフランライスの様に見える小山を置くと周囲からトマトの様なスープを注ぎ入れ、小山を取り囲む様に、ゴロゴロと角切りにされた野菜と肉をスープの上に浮かべていった。
「……中央のライス……妙に粒が大きいですね……」
「ですわねぇ……」
不思議そうに眺める二人を、店員は「ニィヒヒヒヒ」と愉快そうに笑い、
「一先ず食ってみてくれよぉ」
「…………」
促されるまま、コーギーはスプーンでヒトすくい。
興味津々なヴァイオレットの見つめる前で、口の中に運び入れると、
「!?」
「ヒヒヒ。驚いたかい?」
「ど、どうしましたでございますですのぉ?」
「パスタです……」
「これがパスタですのぉ!?」
驚く二人を尻目に、店員は予想通りのリアクションに満足そうな笑みを浮かべ、
「世界最小って言われてるパスタなんだぜぇ」
「不思議な触感ですが……美味しいです」
ヴァイオレットもケバブサンドを一口食べ、
「本当でございますですわぁ~コチラもお世辞を抜きに、スパイスが効いて美味しいでございますですわぁ~」
「ニヒヒヒヒィ、ありがとよぉ!」
嬉しそうな店員の笑顔を横目に、コーギーはおもむろに園内を見回し、
「アジアや中東の町々を回って来ましたが……この町が一番豊ですね……」
言うまでも無く、町の情報を得る為の布石の一言ではあったが、反面、素直にそう思い呟く様に言うと、店員は料理の仕込みをしながら笑顔は絶やさず、
「商談で来たなら、お兄さんにも分かると思うけど、軍事産業を主軸にした交易で栄えてる町だからねぇ。返り討ちに遭うのが分かってるから、下手な手出しする輩も少ないのさぁ。っと言っても、少し前にゴタついたんだどねぇ」
「何かあったんですか?」
タイミングを逃さぬ様に、すかさず振り返り、
「昨日今日着いたばかりで、右も左も分からないですよぉ」
町の入り口の有り様を見たコーギーが「何かあった事」を推察できない筈もなかったが、あえて素知らぬフリをすると、
「町長が逮捕される騒ぎが起きたのさぁ」
「へぇ~何をしたんですか?」
すると店員は周囲を窺い、声を潜め、
「金になりそうな見た目をした「よそ者」を捕まえては、有り金奪った上で、人身売買の闇マーケットに売り飛ばしていたのさぁ」
「なんて非道でございますですのぉ! 捕まって当然でございますですわぁ!」
含むところなく憤慨するヴァイオレットの姿に、
「そんな噂は前々からあったんだけどさ、何て言うか……今回は「詫び」を入れる為に、あえて自ら捕まったのさ」
「詫び?」
「贖罪……でございますの?」
「いんんやぁ」
店員は呆れ笑いを浮かべ、
「仕方なくさ」
「「仕方なく?」」
店員は二人に事の顛末を語って聞かせた。
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