413 / 535
13_流転の章_33
しおりを挟む
しかし激しい怒りをぶつけあう二人と相反する様に、
「「…………」」
クローザーの二人はピクリとも動かなかった。
「な、何をしているのですかァ!」
激昂するロイド。
「さっさとご主人様の言う事を聞かないか! このポンコツ共がァ!」
胸倉をつかもうとした途端、
バキッ!
「はべひぃ!」
動かなかったクローザーの一人に殴り飛ばされ、
(仲間割れ……ですか?)
ムスカムアが警戒を続ける中、ロイドは頬を抑えて起き上がり、
「ご主人様を殴るとは何事ですか!」
うろたえ交じりの怒りを以って、殴ったクローザーを見上げると、
「触るでない、この下郎」
「!」
「妾はヌシを主と思うた事などありんせ」
両手でフードを外し、淡々とした口調で見下ろしたのは、ボリュームのある「長い黒髪」と宝石の様な「赤い瞳」を持ち、口元に妖艶な笑みを浮かべる美しい女性であった。
「ば、馬鹿なぁ……勝手に動いて話すとは……」
よほどの想定外であったのか、ロイドは腰を抜かした様にへたり込み女性を見上げると、もう一人のクローザーもフードを外しながら、
「最強を目指す我らが、貴様如き下賤の投じたナノマシンで操れたと本気で思うてか!」
女性と同じ「黒髪」と「赤い瞳」を持った男が、凛然とした顔を露わにした。
「む、村や町を襲撃した時には従順に命令を、」
驚愕した表情で見上げるロイド。二人が見せる見下した様な笑みから、
「!」
彼は悟った。
「だ、騙していたのですか……」
「騙していたとは、人聞きが悪いでありんすなぁ」
「左様。目覚めたばかりの拙者どもは、今の時代の現状把握に努めていただけの事でござる」
「初めから……だとぉ……」
淡々と語る二人に、激しい落ち込みを見せるロイド。心血を注いで開発した「クローザーを操るナノマシン」が、全く用を成していなかった事実を突きつけられ、一人の研究者としてのプライドがズタズタ。
「「…………」」
クローザーの二人はピクリとも動かなかった。
「な、何をしているのですかァ!」
激昂するロイド。
「さっさとご主人様の言う事を聞かないか! このポンコツ共がァ!」
胸倉をつかもうとした途端、
バキッ!
「はべひぃ!」
動かなかったクローザーの一人に殴り飛ばされ、
(仲間割れ……ですか?)
ムスカムアが警戒を続ける中、ロイドは頬を抑えて起き上がり、
「ご主人様を殴るとは何事ですか!」
うろたえ交じりの怒りを以って、殴ったクローザーを見上げると、
「触るでない、この下郎」
「!」
「妾はヌシを主と思うた事などありんせ」
両手でフードを外し、淡々とした口調で見下ろしたのは、ボリュームのある「長い黒髪」と宝石の様な「赤い瞳」を持ち、口元に妖艶な笑みを浮かべる美しい女性であった。
「ば、馬鹿なぁ……勝手に動いて話すとは……」
よほどの想定外であったのか、ロイドは腰を抜かした様にへたり込み女性を見上げると、もう一人のクローザーもフードを外しながら、
「最強を目指す我らが、貴様如き下賤の投じたナノマシンで操れたと本気で思うてか!」
女性と同じ「黒髪」と「赤い瞳」を持った男が、凛然とした顔を露わにした。
「む、村や町を襲撃した時には従順に命令を、」
驚愕した表情で見上げるロイド。二人が見せる見下した様な笑みから、
「!」
彼は悟った。
「だ、騙していたのですか……」
「騙していたとは、人聞きが悪いでありんすなぁ」
「左様。目覚めたばかりの拙者どもは、今の時代の現状把握に努めていただけの事でござる」
「初めから……だとぉ……」
淡々と語る二人に、激しい落ち込みを見せるロイド。心血を注いで開発した「クローザーを操るナノマシン」が、全く用を成していなかった事実を突きつけられ、一人の研究者としてのプライドがズタズタ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
冤罪をかけて申し訳ないって……謝罪で済む問題だと思ってます?
水垣するめ
恋愛
それは何の変哲もない日だった。
学園に登校した私は、朝一番、教室で待ち構えていた婚約者であるデイビット・ハミルトン王子に開口一番罵声を浴びせられた。
「シエスタ・フォード! この性悪女め! よくもノコノコと登校してきたな!」
「え……?」
いきなり罵声を浴びせられたシエスタは困惑する。
「な、何をおっしゃっているのですか……? 私が何かしましたか?」
尋常ではない様子のデイビットにシエスタは恐る恐る質問するが、それが逆にデイビットの逆鱗に触れたようで、罵声はより苛烈になった。
「とぼけるなこの犯罪者! お前はイザベルを虐めていただろう!」
デイビットは身に覚えのない冤罪をシエスタへとかける。
「虐め……!? 私はそんなことしていません!」
「ではイザベルを見てもそんなことが言えるか!」
おずおずと前に出てきたイザベルの様子を見て、シエスタはギョッとした。
イザベルには顔に大きなあざがあったからだ。
誰かに殴られたかのような大きな青いあざが目にある。
イザベルはデイビットの側に小走りで駆け寄り、イザベルを指差した。
「この人です! 昨日私を殴ってきたのはこの人です!」
冤罪だった。
しかしシエスタの訴えは聞き届けてもらえない。
シエスタは理解した。
イザベルに冤罪を着せられたのだと……。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる