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青木 森

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10.徳義の章_12

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 落ち込むエミリーに、ヴァイオレットは穏やかな笑みを浮かべ、
「エミリー、大丈夫でございますですかぁ?」
「ヴァイオレット……え、えぇ……大丈夫よぉ」
 上げた笑顔に、先日までの明るさ見られなかった。
(大丈夫な筈が、ありませんでございますですわよねぇ……)
 あえて笑顔を絶やさず微笑みかけていると、エラが何の気なし、
「それにしても凄いタイミングでしたよねぇ?」
「何が、でございますですか?」
「密猟団が一網打尽にされた話は聞きましたよね?」
「えぇ」
「そんなタイミングで共犯のニコラスさんがエミリーを襲撃して、しかも失敗したその日に暴行されて死んじゃうなんてぇ」
「!」
 ギギギギギギギギィーーーーーーッ!
 急ブレーキをかけるコーギー。
 前後に長いキャンピングカーが縮まるではと思えるほどの勢いで止め、リビングで転がるエラとエミリー、そして助手席で前後にバウンドするヴァイオレット。シートベルトのお陰でフロントガラスに頭を打ち付けずに済んだが、
「な、なななななな何をしますのコーギィーーーッ!」
 怒り心頭。後部の二人も、打ち付けた個所を擦りつつ起き上がり、
「な、何をするんですかぁ、コーギィー!」
「ちょっと、コーギー何ごとぉ!?」
 運転席に詰め寄ると、コーギーはハンドルをきつく握り、
「なんで……何で気付かなかったんでしょうかぁ……」
「「「?」」」
 打ち震える姿に三人が首を傾げると、コーギーがバッと振り返り、
「エラの言う通り「タイミング」と「都合」が良過ぎます!」
 作り笑顔の下の滲む驚愕に、三人もハッと何かに気付き、
「まさか「口封じ」……でございますですのぉ……?」
「ですがソレってまさか……」
「地元警察も関与してるって事よね?」
 小悪党たちの陰に潜む、大悪党の陰を感じる四人。
「でもそれが事実だとして、警察さえ動かせ動かせるほど相手をどうすれば……」
 エミリーが手詰まり感にさいなまれていると、
「そんな時こそ、私の出番でぇす!」
 エラが自信満々スマートフォンを取り出し、何処かへ電話。
 一拍置いて、
「ガーディアン本部ですかぁ? こちら潜入員ベスパ。隊長代行はいらっしゃるでしょうかぁ?」
(((ガーディアンほんぶぅ!?)))
 思わずビックリ顔の三人。
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