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9.黎明の章_25
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一同の注目が集まる中、
「俺は、ジェイソン……父さんとの格闘戦で一度も勝ったことが無い」
述懐に、場は大きな嘆息で満たされ、
「かぁ! 何かと思えば、それはテメェが弱かったからだろうぅがぁ」
「ヤマトぉ……申し訳ございませんですが、引き合いとするにはいささかぁ……」
「スティーラーとして目覚める前の話じゃダメにニャ」
しかしヤマトは食い下がり、
「かも知れない! でもそこに何かヒントがある気がするんだぁ!」
懸命に訴えると、
「ちょっと良いかね」
長らく黙して聞いていた艦長が手を上げ、
「ジェイソンは、その強さの秘密について何か言ってなかったかね?」
「い、いえ。「教えねぇよ」って、さも自慢げに」
「フッ、ヤツらしい……」
笑みを浮かべると、ヤマト達を見回し、
「君達は、『気』と言うモノを知っているかねぇ?」
するとジャックは嘲るように「フン」と鼻先で一笑いし、
「オッサン、オカルトかぁ? んな話なら余所でしてくれや」
呆れ顔をして見せたが、艦長は意に介した様子も見せず、
「ならばジャック君、ひとつ私と、武器を使わない格闘術による一本勝負をしみないかねぇ?」
「か、艦長!?」
驚愕するソフィア。
スティーラーを相手に「生身の人間」が挑戦状を叩きつけたのだから、話を聞いた百人中百人がソフィアと同じ反応になると思われる。
あまりにも唐突で、無謀と思える申し込みに、不愉快そうに立ち上がるジャック。
「おい、オッサン……まさか俺がスティーラーの下位だからって、舐めてんじゃねぇだろうな……?」
威圧感たっぷり。この場で飛び掛かりそうな気迫である。
しかし動じる様子も見せない艦長に、マリアは確信めいたモノを感じ取り、
「良いではありませんか、ジャック。それとも何ですのぉ? 負けるのが怖いんですのぉ?」
口元を袖で隠しつつ、小馬鹿にした目を向けると、
「上等だ、コラァ!」
ジャックは更にいきり立った。
(単純で助かりますわぁ)
十二分に煽れた事に、内心ニヤニヤが止まらないマリアと、
(良い仕事をしてくれました、ミスマリア)
心の中で感謝する艦長。
「俺は、ジェイソン……父さんとの格闘戦で一度も勝ったことが無い」
述懐に、場は大きな嘆息で満たされ、
「かぁ! 何かと思えば、それはテメェが弱かったからだろうぅがぁ」
「ヤマトぉ……申し訳ございませんですが、引き合いとするにはいささかぁ……」
「スティーラーとして目覚める前の話じゃダメにニャ」
しかしヤマトは食い下がり、
「かも知れない! でもそこに何かヒントがある気がするんだぁ!」
懸命に訴えると、
「ちょっと良いかね」
長らく黙して聞いていた艦長が手を上げ、
「ジェイソンは、その強さの秘密について何か言ってなかったかね?」
「い、いえ。「教えねぇよ」って、さも自慢げに」
「フッ、ヤツらしい……」
笑みを浮かべると、ヤマト達を見回し、
「君達は、『気』と言うモノを知っているかねぇ?」
するとジャックは嘲るように「フン」と鼻先で一笑いし、
「オッサン、オカルトかぁ? んな話なら余所でしてくれや」
呆れ顔をして見せたが、艦長は意に介した様子も見せず、
「ならばジャック君、ひとつ私と、武器を使わない格闘術による一本勝負をしみないかねぇ?」
「か、艦長!?」
驚愕するソフィア。
スティーラーを相手に「生身の人間」が挑戦状を叩きつけたのだから、話を聞いた百人中百人がソフィアと同じ反応になると思われる。
あまりにも唐突で、無謀と思える申し込みに、不愉快そうに立ち上がるジャック。
「おい、オッサン……まさか俺がスティーラーの下位だからって、舐めてんじゃねぇだろうな……?」
威圧感たっぷり。この場で飛び掛かりそうな気迫である。
しかし動じる様子も見せない艦長に、マリアは確信めいたモノを感じ取り、
「良いではありませんか、ジャック。それとも何ですのぉ? 負けるのが怖いんですのぉ?」
口元を袖で隠しつつ、小馬鹿にした目を向けると、
「上等だ、コラァ!」
ジャックは更にいきり立った。
(単純で助かりますわぁ)
十二分に煽れた事に、内心ニヤニヤが止まらないマリアと、
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心の中で感謝する艦長。
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