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９．黎明の章_１６

　自室に駆け込むナヤス。
　そこで待っていたのはルームメイトであり、姉である、いつもと変わらぬ満面の笑みを浮かべたシャーロットであった。
「検査はどうだったニャ！　クローザーの強さの秘密は分かったニャ！？　やっぱり『クローザー魂』みたいのがあったニャ♪」
　からかうように笑って見せると、必死に涙を堪えていたナヤスが、
「おねぇちゃーん！！」
　シャーロットの腹にしがみつき、泣き崩れた。
　むせび泣くナヤス。
しかしシャーロットは、あえて自分からは何も聞かず、
「辛い事があったニャ？　泣くとイイにゃ。泣くだけ泣いたらぁ、何か見つかるかも知れないにゃ」
　優しく頭を撫で、ナヤスの心に寄り添った。

　シャーロットの膝枕で、ひとしきり涙を流したナヤス。
　検査結果で判明した内容を伝え、赤く腫らした目で、
「ヤマト様と……結ばれたかったな……」
　虚空を見つめ呟くと、
「諦めるのにゃ？」
「え？　だって……ウッチの体は……」
　見上げるビックリ顔の妹に、シャーロットは変わらぬ笑顔で、
「えっちな事をしたかっただけにゃ？」
「！？」
　ナヤスは真っ赤な顔で慌てて飛び起き、
「ち、違う！　違わないけどぉ！　そ、それも出来たらイイなぁ、なんて思ったりはするけどぉ！　じゃなくてぇ！」
「ならぁ諦める必要はないニャ！」
「で、でもぉ……」
「当たる前から自分で砕けてたら意味ないニャ！」
「当たって砕けるのも……嫌だなぁ……」
　うつむくと、
「ウチもついてるニャ！」
「おねぇちゃん……」
　笑顔の姉に、落ち着きを取り戻した様な表情を見せるナヤスであったが、
「どう言う意味？」
「にゃ？」
　何も考えていなかったシャーロットであった。