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8.朋友の章_19
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同時刻―――
不機嫌顔して、町を歩くアントン。
(どいつもこいつも、俺を馬鹿にしやがってぇ!)
「クソッ!」
道に転がる空き缶を蹴飛ばし、蹴飛ばした缶が座っていた野犬に直撃。
「ガァルゥルゥルルルゥ!」
野犬は激怒。しかもリーダー犬だったらしく、子分の犬たちまで、怒りの形相で立ち上がり、アントンを睨み、唸り声を上げ、今にも飛び掛かって来そうな気配に、
(や、やべぇ……)
アントンは少しずつ後退り、
「ヒィ!」
背を向け脱兎の如く走り出すと、
「「「「「「「「「「ガァウァアァァ!」」」」」」」」」」
野犬たちも怒れる牙をむき出しに、一斉に追い駆け出した。
必死に逃げるアントン。
「全部、あのババァのせいだぁあぁぁああぁぁぁぁ!」
逆ギレの矛先を定め、
(俺様をコケにした事を後悔させてやるぅうぅぅぅっぅぅぅ!)
狂気じみた涙目の笑みを浮かべた。
夜半過ぎ、メラニー婆ちゃんの家―――
メラニーやコーギー達は既に眠りに就いているのか、部屋の灯りは消えている。
相変わらず騒がしい町は眠る事を知らず、遠くから発砲音と、形ばかりのパトカーのサイレン音が聞こえる中、夜闇に乗じてアントンが姿を現した。
野犬たちに噛まれたのか、腕に包帯を巻いている。
ニヤケ顔で家の裏手に回ると、ガソリンの入った瓶とライターを懐から出し、
(ケッケッケッ)
ロクでもない笑みを浮かべて屈み込み、ライターに火を灯すと、
「こうも古典的だと、(怒りより)むしろ笑いが込み上げて来ますですね」
「ひぃ!?」
声に横を向くと、そこには呆れ笑いのエラの顔。
「まったくですわぁ」
「ひひぃ!?」
更なる声に反対側を向くと、呆れるヴァイオレットの顔。
「本当、絵に描いた様な下っ端根性です」
「ひひひぃ!?」
頭上から降る、追い打ち声を見上げると、いつも通りの作り笑顔で窓から見下ろす、コーギーの顔が。
そして仕上げとばかり、後頭部にゴリッと固い何かが当てられ、
「ほひぃ!」
恐る恐る振り返ると、そこには銃口を向け、仁王立ちするメラニー婆ちゃんの姿。
「脳天吹き飛ばして、新しいのと入れ替えてやろうかねぇ!」
「あわぁあわぁあわぁあわぁあわぁあわぁ」
先程までの強気は何処へやら。死神にでも出遭ったかのような顔してガタガタ震え、見上げるアントンに、メラニー婆ちゃんはキレ顔で、
「あわぁあわぁウルサイんだよォ! アンタの顔もイイ加減見飽きたしねぇ!」
「ひぃヤメェ!」
言いかけた命乞いも待たず、容赦なく引き金を引いた。
ガチリッ!
銃弾の収まる薬室を叩く、撃鉄の音。
しかし銃弾は発射されず、
「おやぁ? アタシとした事が、弾を入れ忘れてたみたいだねぇ~」
とぼけ顔をコーギー達と見合わせ、アントンを見下ろすと、
「「「「…………」」」」
口から泡を吹き、白目をむいて気を失っていた。
「情けない男だねぇ~。アタシが愛したアノ人だったら、頭を撃たれたって気を失いもしなかったけどねぇ」
「いやいや普通に死にますよ」
思わずツッコミを入れるコーギーと、苦笑いのヴァイオレットとエラ。
不機嫌顔して、町を歩くアントン。
(どいつもこいつも、俺を馬鹿にしやがってぇ!)
「クソッ!」
道に転がる空き缶を蹴飛ばし、蹴飛ばした缶が座っていた野犬に直撃。
「ガァルゥルゥルルルゥ!」
野犬は激怒。しかもリーダー犬だったらしく、子分の犬たちまで、怒りの形相で立ち上がり、アントンを睨み、唸り声を上げ、今にも飛び掛かって来そうな気配に、
(や、やべぇ……)
アントンは少しずつ後退り、
「ヒィ!」
背を向け脱兎の如く走り出すと、
「「「「「「「「「「ガァウァアァァ!」」」」」」」」」」
野犬たちも怒れる牙をむき出しに、一斉に追い駆け出した。
必死に逃げるアントン。
「全部、あのババァのせいだぁあぁぁああぁぁぁぁ!」
逆ギレの矛先を定め、
(俺様をコケにした事を後悔させてやるぅうぅぅぅっぅぅぅ!)
狂気じみた涙目の笑みを浮かべた。
夜半過ぎ、メラニー婆ちゃんの家―――
メラニーやコーギー達は既に眠りに就いているのか、部屋の灯りは消えている。
相変わらず騒がしい町は眠る事を知らず、遠くから発砲音と、形ばかりのパトカーのサイレン音が聞こえる中、夜闇に乗じてアントンが姿を現した。
野犬たちに噛まれたのか、腕に包帯を巻いている。
ニヤケ顔で家の裏手に回ると、ガソリンの入った瓶とライターを懐から出し、
(ケッケッケッ)
ロクでもない笑みを浮かべて屈み込み、ライターに火を灯すと、
「こうも古典的だと、(怒りより)むしろ笑いが込み上げて来ますですね」
「ひぃ!?」
声に横を向くと、そこには呆れ笑いのエラの顔。
「まったくですわぁ」
「ひひぃ!?」
更なる声に反対側を向くと、呆れるヴァイオレットの顔。
「本当、絵に描いた様な下っ端根性です」
「ひひひぃ!?」
頭上から降る、追い打ち声を見上げると、いつも通りの作り笑顔で窓から見下ろす、コーギーの顔が。
そして仕上げとばかり、後頭部にゴリッと固い何かが当てられ、
「ほひぃ!」
恐る恐る振り返ると、そこには銃口を向け、仁王立ちするメラニー婆ちゃんの姿。
「脳天吹き飛ばして、新しいのと入れ替えてやろうかねぇ!」
「あわぁあわぁあわぁあわぁあわぁあわぁ」
先程までの強気は何処へやら。死神にでも出遭ったかのような顔してガタガタ震え、見上げるアントンに、メラニー婆ちゃんはキレ顔で、
「あわぁあわぁウルサイんだよォ! アンタの顔もイイ加減見飽きたしねぇ!」
「ひぃヤメェ!」
言いかけた命乞いも待たず、容赦なく引き金を引いた。
ガチリッ!
銃弾の収まる薬室を叩く、撃鉄の音。
しかし銃弾は発射されず、
「おやぁ? アタシとした事が、弾を入れ忘れてたみたいだねぇ~」
とぼけ顔をコーギー達と見合わせ、アントンを見下ろすと、
「「「「…………」」」」
口から泡を吹き、白目をむいて気を失っていた。
「情けない男だねぇ~。アタシが愛したアノ人だったら、頭を撃たれたって気を失いもしなかったけどねぇ」
「いやいや普通に死にますよ」
思わずツッコミを入れるコーギーと、苦笑いのヴァイオレットとエラ。
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