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8.朋友の章_16
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西地区に着いたエラは相も変わらず、何の憂いも感じさせない笑顔で、道行く「とんがった若者」を見つけては、
「ねぇねぇ! 貴方はマフィアの方ですかぁ?」
(て、天然てぇ、恐ろしいのでございますですわぁ……)
さしものヴァイオレットも匙を投げると、
「女ぁ! テメェ、俺等に何か用か!」
当たりを引いたのか、一人の男が凄んだが、エラは通常運転いつも通り、
「いやぁ~~~、アジトがどこにあるのか聞こうと思ってぇ」
「てっ、テメェ! 自警団かぁ!?」
「いえいえ違います、よそ者です。でも、警察より先に自警団が気になるんて、やっぱり「仲良しさん」なんですねぇ」
ケラケラ笑うと、
「ッ!!」
男は大激怒。
今にも血管がキレそうな鬼顔で、
「ふ・ざ・け・や・が・ってぇ!」
周囲にたむろっていた、お仲間たちに向け、
「俺等をコケにする馬鹿が居やがるぞぉーーーーーーッ!」
大絶叫。
「馬鹿なんて酷いなぁ~」
笑っていると、
アチラの物陰、コチラの物陰、アッチの建物、コッチの建物からも、イカツイ顔した「とんがった若者」達が続々と姿を現し、
「あれぇ?」
流石にマズイと思い始めたエラ。後退り、
「こ、コレって……アレ……ですよねぇ……」
冷や汗を流し振り返ると、
「貴方は学習と言うモノをしませんですのぉ!」
呆れ顔のヴァイオレットは、
「に、」
「に?」
「逃げますですわよぉおぉぉぉーーーーーーーーー!」
エラを置き去りに、背を向け走り出した。
「ま、待ってくださぁあぁぁぁいぃ!」
必死の形相で後を追うエラと、
「「「「「「「「「「マテェヤゴルラァアァァァッァァァァァ!!!」」」」」」」」」」
キレ顔で二人を追いかけるマフィアの方々。
澄み切った青空の下―――
小鳥のさえずりを耳に、ビルの屋上で仰向けにゴロンと寝転がり、空を見上げるコーギー。頬を撫で流れて行く爽やかな風に目を細め、
(たまにはこう言う「静かな一人の時間」を過ごすのも、悪くないモノですねぇ)
一人時間を満喫していると、地上の方から、
「「「「「「「「「「待てやぁ! ゴルラァーーーーーーーーー!」」」」」」」」」」
穏やかな時間を打ち砕く、罵声、怒声、喚き声。
「はぁ~~~」
コーギーは長いため息を吐きつつ、のっそり起き上がり、
(やっぱり、そうなりましたかぁ)
呆れ顔して、天界から、そっと下界を覗き見た。
逃げるヴァイオレットとエラ、そして追い掛けるマフィアの方々の姿。
「あの人達は、何をやっているんですかねぇ……」
のっそり立ち上がると、足元に置いてあるミカン箱サイズの木箱のフタを外した。
中には出荷する果物の様に整然と並べられた、丸型の手投げ弾が。自警団本部の倉庫からかすめ取って来た物である。
おもむろに一個手に取り、安全ピンの丸型リングに中指を通すと、
「風向き、良ぉ~~~し! 距離、良ぉ~~~し! なんてねぇ♪」
クスリと小さく笑い、大きく振り被り、
「僕の投げる球は非常識ですよぉ! ご注意下さぁい!」
素早く腕を振り下ろした。
コーギーの手から離れると同時に安全ピンが抜け、手投げ弾は消えるが如きスピードで、定規で線を引く様に一直線。逃げるヴァイオレットとエラ、そして追い掛けるマフィア達のちょうど間ぐらいに停車していた廃車に突き刺さり、
ドバァアァァァアァァーーーーーーッ!
爆炎を上げた。
「「ひぃ!?」」
頭を抱えて走るヴァイオレットとエラ。
「あの人達、爆弾を投げてますよぉ!?」
「分かっていますわぁ! 黒焦げになりたくなかったら、必死にお走りなさいですわぁ!」
しかし身内の蛮行と勘違いしたマフィア達は、二人を追い駆けながら、
「ば、バカヤロォーーーッ! 誰だ爆弾投げやがったのはァ!」
「アブねぇだろォ!」
「仲間を誤爆する気かぁ!」
誰かも分からない仲間に激怒。
しかし犯人はコーギーであり、当然、爆発は二組の間に止む事無く炸裂。
「町中でハンドグレネードを使うなんて、何て非常識な連中なんですかぁ!」
「煽った貴方が言いますですかぁ!」
自覚のないエラに、ヴァイオレットがツッコミを入れた頃、屋上のコーギーは、
「そろそろ仕上げですかねぇ♪」
悪い顔してニヤリ。
予め全ての安全ピンに通してあった紐を一束にして、一気に引き抜くと、一瞬のうちに箱のフタを閉め、人知を超えた怪力で「手投げ弾入り木箱」を二組の間へ目掛けて軽々投げつけた。
ビルの屋上から空気を引き裂く轟音を立て、猛スピードで一直線に飛んだ木箱は二組の間の地面に激突。中の手投げ弾が連鎖爆発する様に、一斉に爆発し、
「「「「「「「「「「うわぁあぁぁぁっぁあぁぁ!」」」」」」」」」」
辺りは一瞬のうちに、火の海と化した。
「「「「「「「「「「クソォーーーーーーッ!」」」」」」」」」」
激しい炎の壁に行く手を阻まれ、悔しがるマフィア達と、
「自爆とは馬鹿な奴等ですねぇーーー!」
「ラッキーでございますですわぁーーー!」
炎の壁を背に、愉快そうに笑いながら逃走するエラとヴァイオレット。
その姿を、コーギーはビルの上から半笑いで見下ろし、
「まったく、世話が焼ける二人ですねぇ」
その場から立ち去った。
「ねぇねぇ! 貴方はマフィアの方ですかぁ?」
(て、天然てぇ、恐ろしいのでございますですわぁ……)
さしものヴァイオレットも匙を投げると、
「女ぁ! テメェ、俺等に何か用か!」
当たりを引いたのか、一人の男が凄んだが、エラは通常運転いつも通り、
「いやぁ~~~、アジトがどこにあるのか聞こうと思ってぇ」
「てっ、テメェ! 自警団かぁ!?」
「いえいえ違います、よそ者です。でも、警察より先に自警団が気になるんて、やっぱり「仲良しさん」なんですねぇ」
ケラケラ笑うと、
「ッ!!」
男は大激怒。
今にも血管がキレそうな鬼顔で、
「ふ・ざ・け・や・が・ってぇ!」
周囲にたむろっていた、お仲間たちに向け、
「俺等をコケにする馬鹿が居やがるぞぉーーーーーーッ!」
大絶叫。
「馬鹿なんて酷いなぁ~」
笑っていると、
アチラの物陰、コチラの物陰、アッチの建物、コッチの建物からも、イカツイ顔した「とんがった若者」達が続々と姿を現し、
「あれぇ?」
流石にマズイと思い始めたエラ。後退り、
「こ、コレって……アレ……ですよねぇ……」
冷や汗を流し振り返ると、
「貴方は学習と言うモノをしませんですのぉ!」
呆れ顔のヴァイオレットは、
「に、」
「に?」
「逃げますですわよぉおぉぉぉーーーーーーーーー!」
エラを置き去りに、背を向け走り出した。
「ま、待ってくださぁあぁぁぁいぃ!」
必死の形相で後を追うエラと、
「「「「「「「「「「マテェヤゴルラァアァァァッァァァァァ!!!」」」」」」」」」」
キレ顔で二人を追いかけるマフィアの方々。
澄み切った青空の下―――
小鳥のさえずりを耳に、ビルの屋上で仰向けにゴロンと寝転がり、空を見上げるコーギー。頬を撫で流れて行く爽やかな風に目を細め、
(たまにはこう言う「静かな一人の時間」を過ごすのも、悪くないモノですねぇ)
一人時間を満喫していると、地上の方から、
「「「「「「「「「「待てやぁ! ゴルラァーーーーーーーーー!」」」」」」」」」」
穏やかな時間を打ち砕く、罵声、怒声、喚き声。
「はぁ~~~」
コーギーは長いため息を吐きつつ、のっそり起き上がり、
(やっぱり、そうなりましたかぁ)
呆れ顔して、天界から、そっと下界を覗き見た。
逃げるヴァイオレットとエラ、そして追い掛けるマフィアの方々の姿。
「あの人達は、何をやっているんですかねぇ……」
のっそり立ち上がると、足元に置いてあるミカン箱サイズの木箱のフタを外した。
中には出荷する果物の様に整然と並べられた、丸型の手投げ弾が。自警団本部の倉庫からかすめ取って来た物である。
おもむろに一個手に取り、安全ピンの丸型リングに中指を通すと、
「風向き、良ぉ~~~し! 距離、良ぉ~~~し! なんてねぇ♪」
クスリと小さく笑い、大きく振り被り、
「僕の投げる球は非常識ですよぉ! ご注意下さぁい!」
素早く腕を振り下ろした。
コーギーの手から離れると同時に安全ピンが抜け、手投げ弾は消えるが如きスピードで、定規で線を引く様に一直線。逃げるヴァイオレットとエラ、そして追い掛けるマフィア達のちょうど間ぐらいに停車していた廃車に突き刺さり、
ドバァアァァァアァァーーーーーーッ!
爆炎を上げた。
「「ひぃ!?」」
頭を抱えて走るヴァイオレットとエラ。
「あの人達、爆弾を投げてますよぉ!?」
「分かっていますわぁ! 黒焦げになりたくなかったら、必死にお走りなさいですわぁ!」
しかし身内の蛮行と勘違いしたマフィア達は、二人を追い駆けながら、
「ば、バカヤロォーーーッ! 誰だ爆弾投げやがったのはァ!」
「アブねぇだろォ!」
「仲間を誤爆する気かぁ!」
誰かも分からない仲間に激怒。
しかし犯人はコーギーであり、当然、爆発は二組の間に止む事無く炸裂。
「町中でハンドグレネードを使うなんて、何て非常識な連中なんですかぁ!」
「煽った貴方が言いますですかぁ!」
自覚のないエラに、ヴァイオレットがツッコミを入れた頃、屋上のコーギーは、
「そろそろ仕上げですかねぇ♪」
悪い顔してニヤリ。
予め全ての安全ピンに通してあった紐を一束にして、一気に引き抜くと、一瞬のうちに箱のフタを閉め、人知を超えた怪力で「手投げ弾入り木箱」を二組の間へ目掛けて軽々投げつけた。
ビルの屋上から空気を引き裂く轟音を立て、猛スピードで一直線に飛んだ木箱は二組の間の地面に激突。中の手投げ弾が連鎖爆発する様に、一斉に爆発し、
「「「「「「「「「「うわぁあぁぁぁっぁあぁぁ!」」」」」」」」」」
辺りは一瞬のうちに、火の海と化した。
「「「「「「「「「「クソォーーーーーーッ!」」」」」」」」」」
激しい炎の壁に行く手を阻まれ、悔しがるマフィア達と、
「自爆とは馬鹿な奴等ですねぇーーー!」
「ラッキーでございますですわぁーーー!」
炎の壁を背に、愉快そうに笑いながら逃走するエラとヴァイオレット。
その姿を、コーギーはビルの上から半笑いで見下ろし、
「まったく、世話が焼ける二人ですねぇ」
その場から立ち去った。
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