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8.朋友の章_8
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全て分かっていたかのような、作り笑顔で見つめるコーギーと、どう言う顔をすればよいか分からず、一先ず苦笑いを浮かべるヴァイオレット。そして余ほど意外であったのかビックリ顔でフリーズするエラ。
「チッ!」
メラニー婆ちゃんは不機嫌に舌打ち。
頭をボリボリ掻いて、ロッキングチェアにドカリと座り、
「バレちゃあ、しょうがないねぇ! てぇか坊や、アンタは薄々気付いていたんだろぅ!」
「まぁね」
コーギーは「当たり前」と言わんばかりのジェスチャーを見せ、
「あれだけ苦しがっていたのに未だに薬も飲まず、なのにケロッとしている。しかも家の中には、比較的新しい硝煙の臭い。怪しいと思わない方がどうかしてます」
「「…………」」
ぐうの音も出ないヴァイオレットとエラを前に、
「アッハッハッハッ! そうかいそうかい! アタシも焼きが回ったもんだねぇ!」
老婆は高笑いを上げると、
「分かったんなら、とっとと失せな!」
追い払う様な仕草を見せたが、
「そ、そうはいきませぇん!」
エラは気を取り直し、毅然と立ち、
「私は「新生ガーディアン」です! この国を守る者として、この事態を見逃す事は出来ませぇん!」
「嬢ちゃん、ガーディアンだったのかぁい!? と言うより、陛下が居なくなってお役御免のアンタが、いったい何しようってんだい? 点数稼ぎに、老い先短いアタシを捕まえるのかぁい?」
皮肉った笑みを浮かべると、
「違います!」
「?」
「この町の問題の根源を断ち、住み良い町に戻しまぁす!」
青年の主張を公言するエラに、メラニーは呆れ顔。
「この町の問題はマフィアだけじゃない。さっきの奴を見たろ? アイツは自警団の下っ端さぁ。マフィアと対立する自警団の奴等はボディーガード料と称して、あぁして金をせびりに来るのさ」
「関係ありませぇん!」
「この町の軍も、警察も、動きやしないんだよぉ?」
「私は、ガーディアンでぇす!」
頑として引き下がらないエラに、メラニーはため息交じり、
「はぁ~分かったよ。勝手におし」
「はい! 勝手にやらせてもらいますです!」
鼻息荒く、ガッツポーズを見せた。
「じゃあ、エラともここでお別れですねぇ。短い間でしたが楽しかったですよ」
なんの憂いも感じさコーギーが、あっさり部屋を出て行こうとすると、
「まっ、待って下ささぁあぁぁっぁいぃ!」
泣きつくエラ。
「え? えぇ~~~」
作り笑顔の中に、露骨な面倒臭さを滲ませるコーギー。
「何ですかぁ? 僕の知った事ではありませんよぉ」
構わず出て行こうとすると、
「イイではありませんかぁ!」
腕組みしたヴァイオレットが、口元に笑みを浮かべて仁王立ち。
コーギーは作り笑顔のまま、ため息を吐き、
「ヴァイオレット……本気ですかぁ?」
「だって、(現代人のメモ事など)興味深いではありませんかぁ」
「そぅですかぁ? (面倒臭そうだから)僕は手伝いませんからねぇ」
「構いませんですわぁ!」
何処から来る自信なのか、ヴァイオレットは髪をたなびかせて上品に笑い、
「エラ! あたくしが手伝って差し上げますですわ! 二人で悪党に、正義の鉄槌を振り下ろして差し上げましょうですわ!」
「あ、ありがとう、ヴァイオレット!」
固い握手を交わす、ヴァイオレットとエラを、
(そそっかしい二人が組んでの後始末は……また僕ですかねぇ……)
不安しかないコーギー。
すると、
ぐぉおぉぉぉおおぉっぉぉおっ!
何処からともなく、快音が鳴り響いた。
音の主に集まる視線。
エラである。
真っ赤な顔してお腹を押さえ、
「す、すみません……朝から何も食べていなかったものでぇ……」
恥ずかしそうにうつむくと、
「チッ! 仕方ないねぇ!」
メラニー婆ちゃんは立ち上がって部屋から出て行き、
「「「?」」」
すぐさま戻って来て、
「金は払いな!」
テーブルの上に、ドカンと鍋を置いた。
ほのかに漂う、甘いミルクと野菜の混じり合った香り。
鍋に入っていたのはホワイトシチューであった。
「「「…………」」」
いきなりの展開に、三人が戸惑っていると、
「なんだい、コレじゃ満足できないってのかい! まったく業突く張りな娘どもだねぇ!」
メラニー婆ちゃんは再び姿を消すと、
「追加料金だよ!」
今度はパンが数個入ったバスケットを持って戻って来て、再びテーブルの上にドンと置き、
「冷めちまうだろ! ささっと食いな!」
「「「…………」」」
三人が顔を見合わせ古びた木製イスに座ると、メラニー婆ちゃんは皿に盛り分け、
「さっさと受け取りな! グズは嫌いだよぉ!」
手渡し、三人は各々のやり方で食事に感謝を捧げると、スプーンを手に一口。
「「「!」」」
衝撃を受ける三人。
「美味しい……」
「美味しいですわぁ……」
「美味しいでぇす……」
感動を口にすると、不機嫌顔のメラニー婆ちゃんはロッキングチェアにドカリと座り、
「別に美味かぁないよ! 騙くらかして連れて来たカモ共を油断させる為に作った飯だ! そんなんで喜ぶなんて、貧相な食生活してるガキどもだねぇ!」
皮肉りつつも、そこはかとなく嬉しそうなメラニー婆ちゃんに、ヴァイオレット達はクスリと小さく笑い合った。
「チッ!」
メラニー婆ちゃんは不機嫌に舌打ち。
頭をボリボリ掻いて、ロッキングチェアにドカリと座り、
「バレちゃあ、しょうがないねぇ! てぇか坊や、アンタは薄々気付いていたんだろぅ!」
「まぁね」
コーギーは「当たり前」と言わんばかりのジェスチャーを見せ、
「あれだけ苦しがっていたのに未だに薬も飲まず、なのにケロッとしている。しかも家の中には、比較的新しい硝煙の臭い。怪しいと思わない方がどうかしてます」
「「…………」」
ぐうの音も出ないヴァイオレットとエラを前に、
「アッハッハッハッ! そうかいそうかい! アタシも焼きが回ったもんだねぇ!」
老婆は高笑いを上げると、
「分かったんなら、とっとと失せな!」
追い払う様な仕草を見せたが、
「そ、そうはいきませぇん!」
エラは気を取り直し、毅然と立ち、
「私は「新生ガーディアン」です! この国を守る者として、この事態を見逃す事は出来ませぇん!」
「嬢ちゃん、ガーディアンだったのかぁい!? と言うより、陛下が居なくなってお役御免のアンタが、いったい何しようってんだい? 点数稼ぎに、老い先短いアタシを捕まえるのかぁい?」
皮肉った笑みを浮かべると、
「違います!」
「?」
「この町の問題の根源を断ち、住み良い町に戻しまぁす!」
青年の主張を公言するエラに、メラニーは呆れ顔。
「この町の問題はマフィアだけじゃない。さっきの奴を見たろ? アイツは自警団の下っ端さぁ。マフィアと対立する自警団の奴等はボディーガード料と称して、あぁして金をせびりに来るのさ」
「関係ありませぇん!」
「この町の軍も、警察も、動きやしないんだよぉ?」
「私は、ガーディアンでぇす!」
頑として引き下がらないエラに、メラニーはため息交じり、
「はぁ~分かったよ。勝手におし」
「はい! 勝手にやらせてもらいますです!」
鼻息荒く、ガッツポーズを見せた。
「じゃあ、エラともここでお別れですねぇ。短い間でしたが楽しかったですよ」
なんの憂いも感じさコーギーが、あっさり部屋を出て行こうとすると、
「まっ、待って下ささぁあぁぁっぁいぃ!」
泣きつくエラ。
「え? えぇ~~~」
作り笑顔の中に、露骨な面倒臭さを滲ませるコーギー。
「何ですかぁ? 僕の知った事ではありませんよぉ」
構わず出て行こうとすると、
「イイではありませんかぁ!」
腕組みしたヴァイオレットが、口元に笑みを浮かべて仁王立ち。
コーギーは作り笑顔のまま、ため息を吐き、
「ヴァイオレット……本気ですかぁ?」
「だって、(現代人のメモ事など)興味深いではありませんかぁ」
「そぅですかぁ? (面倒臭そうだから)僕は手伝いませんからねぇ」
「構いませんですわぁ!」
何処から来る自信なのか、ヴァイオレットは髪をたなびかせて上品に笑い、
「エラ! あたくしが手伝って差し上げますですわ! 二人で悪党に、正義の鉄槌を振り下ろして差し上げましょうですわ!」
「あ、ありがとう、ヴァイオレット!」
固い握手を交わす、ヴァイオレットとエラを、
(そそっかしい二人が組んでの後始末は……また僕ですかねぇ……)
不安しかないコーギー。
すると、
ぐぉおぉぉぉおおぉっぉぉおっ!
何処からともなく、快音が鳴り響いた。
音の主に集まる視線。
エラである。
真っ赤な顔してお腹を押さえ、
「す、すみません……朝から何も食べていなかったものでぇ……」
恥ずかしそうにうつむくと、
「チッ! 仕方ないねぇ!」
メラニー婆ちゃんは立ち上がって部屋から出て行き、
「「「?」」」
すぐさま戻って来て、
「金は払いな!」
テーブルの上に、ドカンと鍋を置いた。
ほのかに漂う、甘いミルクと野菜の混じり合った香り。
鍋に入っていたのはホワイトシチューであった。
「「「…………」」」
いきなりの展開に、三人が戸惑っていると、
「なんだい、コレじゃ満足できないってのかい! まったく業突く張りな娘どもだねぇ!」
メラニー婆ちゃんは再び姿を消すと、
「追加料金だよ!」
今度はパンが数個入ったバスケットを持って戻って来て、再びテーブルの上にドンと置き、
「冷めちまうだろ! ささっと食いな!」
「「「…………」」」
三人が顔を見合わせ古びた木製イスに座ると、メラニー婆ちゃんは皿に盛り分け、
「さっさと受け取りな! グズは嫌いだよぉ!」
手渡し、三人は各々のやり方で食事に感謝を捧げると、スプーンを手に一口。
「「「!」」」
衝撃を受ける三人。
「美味しい……」
「美味しいですわぁ……」
「美味しいでぇす……」
感動を口にすると、不機嫌顔のメラニー婆ちゃんはロッキングチェアにドカリと座り、
「別に美味かぁないよ! 騙くらかして連れて来たカモ共を油断させる為に作った飯だ! そんなんで喜ぶなんて、貧相な食生活してるガキどもだねぇ!」
皮肉りつつも、そこはかとなく嬉しそうなメラニー婆ちゃんに、ヴァイオレット達はクスリと小さく笑い合った。
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