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青木 森

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7.岐路の章_46

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 姉に仄暗い鬼の形相を向けつつ、ヤマトには仄暗い表情の中に、口元の引きつった、相変わらず笑顔に見えない笑顔を向け、一言で形容するなら『般若のお面』。
(頑張って笑ってるつもりんだよなぁ……)
 気遣うヤマトが黙り込むと、察したナヤスは両手で顔を覆い、
「笑顔が怖くてずみぜぇん、ヤマトざまぁあぁぁぁあっぁあぁ!」
「だ、大丈夫! 大丈夫ぅ! 出来つつあったからぁ! な、なぁジゼぇ!」
(えぇ!? ここで私に振るぅ!?)
 当惑しつつ、
「う、うん! 出来つつあったよ!」
 笑ってお茶を濁すと、
「ガァルルルルルル……」
 顔を覆った指の隙間から、ライバル心(恋敵)丸出しの目でジゼを睨み、唸るナヤス。
(話が進まない)
 困惑顔のヤマト。
 見かねたマリアがため息交じり、
「元々は一つの大きな国だったんですわぁ」
 ジャックも続き、
「だがよぉ、アイツはあの通り、ナルシスなうえにシスコンで、馬鹿で融通の利かない、臣民第一主義者だからよ、当然反発も生む。特に侵略され、統合され、虐げられた生活を送る事になった新参の民はなぁ」
「ですわぁ。しかも皇族でありながら、唯一差別なく扱ってくれていたシャーロットを、無理矢理「妻にする」なんて言い始めたら、それは堪忍袋の緒も切れますわぁ」
「だからよ、コイツは『シスコンナルシス筋肉馬鹿兄貴』に反発する民と決起して、南側の大陸に新興国を興したのさ」
 ニヤリと笑うと、ナヤスはいつもと変わらぬ仄暗い表情で、
「お姉ちゃんとウッチ、そして支持してくれた皆さんを守る為には、そうするしかなかったんです」
「それにしても、他国を次々攻め落としたほどの国の侵攻を、よく防いだなぁ」
「そうだよねぇ」
 ヤマトとジゼが感嘆の声を漏らすと、マリアとジャックがフッと小さく笑い合い、
「惚れた弱みですわぁ」
「怪我させたくねぇ~から、本気で攻められなかったんだろぅよ」
「「なるほどぉ」」
 得心がいき、頷く二人。
 するとナヤスが、
「あぁ! また馬鹿姉は!」
 シャーロットの脇腹辺りに、小さな破れを見つけ、
「また何かを引っ掛けたんですねぇ」
「ん? ほんとだにゃ~」
「もっと注意なさい、馬鹿姉ぇ。怪我したら、どうするんです」
 仄暗い表情で苦言を呈す、ヤンデレ妹ナヤスと、
「にゃはははは、怒られたにゃ~」
 満面の笑顔で笑い飛ばす、何も考えていなそうな姉シャーロット。
 実の兄に、国と秤にまで掛けさせ、新参の民には国を興す決意までさせたほどの二人の魅力とは?
((うぅ~ん分からない……))
 答えを見い出す事が出来ない、ヤマトとジゼであった。

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