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7.岐路の章_12
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数分後―――
ヤマト達は道から外れた森の中に車を止め、車を通りからの目隠し代わりに座って、たき火を囲んでいた。
煙が空に上がり、ゲリラや軍に居場所を教える様な、本来好ましいとは言えない行為であったが、向こうから来てくれた方が尋問するのに楽と思っている彼等にとっては、さして重要な話ではなかった。
むしろ幼いアリアナの体を冷やさず、ゆっくり休ませる事の方が重要であった。
アリアナが、ジゼの膝を枕に静かな寝息を立てていると、ジャックは車に残されていたカバンをゴソゴソ。
「「「?」」」
「飯にしようぜぇ」
軍用レーションの缶詰を取り出して見せた。
しかし、浮かない顔のヤマト達。
「あぁ? なんだ食わねぇのかぁ?」
するとジゼは、アリアナの寝顔を見つめ、
「幼いアリアナちゃんがいるから、もう少し体に良さそうな物の方が、良いんじゃないかと思って」
ヤマトとマリアも頷くと、
「ケェ」
ジャックは呆れ顔してソッポを向き、
「こんな時に、こんなとこでよぉ、何を食わせられるってんだぁ? 食えるだけマシってもんだろが。過保護かよォ! コイツ(レーション)には必要な栄養が入ってんだ。ガキなんざ腹が減ってれば何でも食うし、コイツで十分だろうがぁ」
((何言ってる(の・ますの )!))
小声で即ギレする女子二人は
(子供の食事は食育って言うくらい、大事なんだよ!)
(ですわですわ! 子供の成長にとって、勉学と同じくらい大事な事なんですわよ!)
「な!?」
(そもそもジャックは子供の前で言葉使いが悪いよ!)
(まったくですわ! 貴方の言動はアリアナの情操教育上、不適切と言わざるを得ませんですわぁ!)
「う、ウッセェ! 口のきき方なんざ、関係ねぇだろ!」
((なん(だってぇ・ですってぇ)!))
大騒ぎに発展しそうな気配に、
「アリアナが起きちまうぞぉ」
ヤレヤレ顔のヤマトが間に割って入り、
「ジャックも、女子に口で勝とうなんて最初から無理だってぇ」
圧倒的不利である自覚はあったのか、ジャックはしばし黙ると、
「ケッ、分ぁ~ったよ!」
矛を収め、
「んじゃヤマト、男二人、連れションでもしながら、食うモンを取りに来ますかねぇ」
「あははは」
ヤマトは笑いながら頷き、
「魚を獲りに」(ヤマト)
「肉を狩りに」(ジャック)
同時に言い合った二人は、
「「…………」」
しばし無言で睨み合い。
ジャックは呆れ顔して首を横に振り、
「何言ってんだヤマトぉ、栄養になる物つったら「肉」だろうがぁ」
「いやいや「魚」だろう? 魚には頭を良くする成分が含まれてるんだ。子供に食べさすなら、絶対に魚の方が良いに決まってる」
「はぁ? オメェは何も分かってねぇな。ガキの体を作るのに必要なのは肉だろが、肉! んなだからオメェは弱くてヒョロっちぃんだよ!」
「はぁ!? ジャックの方が、ガリガリのヒョロだろ!」
「んだとぉ!?」
「あぁ!?」
角を突き合わせていると、業を煮やした女子二人が、
「「とっとと行けぇーーー!」」
男子二人の尻を蹴り上げた。
ヤマト達は道から外れた森の中に車を止め、車を通りからの目隠し代わりに座って、たき火を囲んでいた。
煙が空に上がり、ゲリラや軍に居場所を教える様な、本来好ましいとは言えない行為であったが、向こうから来てくれた方が尋問するのに楽と思っている彼等にとっては、さして重要な話ではなかった。
むしろ幼いアリアナの体を冷やさず、ゆっくり休ませる事の方が重要であった。
アリアナが、ジゼの膝を枕に静かな寝息を立てていると、ジャックは車に残されていたカバンをゴソゴソ。
「「「?」」」
「飯にしようぜぇ」
軍用レーションの缶詰を取り出して見せた。
しかし、浮かない顔のヤマト達。
「あぁ? なんだ食わねぇのかぁ?」
するとジゼは、アリアナの寝顔を見つめ、
「幼いアリアナちゃんがいるから、もう少し体に良さそうな物の方が、良いんじゃないかと思って」
ヤマトとマリアも頷くと、
「ケェ」
ジャックは呆れ顔してソッポを向き、
「こんな時に、こんなとこでよぉ、何を食わせられるってんだぁ? 食えるだけマシってもんだろが。過保護かよォ! コイツ(レーション)には必要な栄養が入ってんだ。ガキなんざ腹が減ってれば何でも食うし、コイツで十分だろうがぁ」
((何言ってる(の・ますの )!))
小声で即ギレする女子二人は
(子供の食事は食育って言うくらい、大事なんだよ!)
(ですわですわ! 子供の成長にとって、勉学と同じくらい大事な事なんですわよ!)
「な!?」
(そもそもジャックは子供の前で言葉使いが悪いよ!)
(まったくですわ! 貴方の言動はアリアナの情操教育上、不適切と言わざるを得ませんですわぁ!)
「う、ウッセェ! 口のきき方なんざ、関係ねぇだろ!」
((なん(だってぇ・ですってぇ)!))
大騒ぎに発展しそうな気配に、
「アリアナが起きちまうぞぉ」
ヤレヤレ顔のヤマトが間に割って入り、
「ジャックも、女子に口で勝とうなんて最初から無理だってぇ」
圧倒的不利である自覚はあったのか、ジャックはしばし黙ると、
「ケッ、分ぁ~ったよ!」
矛を収め、
「んじゃヤマト、男二人、連れションでもしながら、食うモンを取りに来ますかねぇ」
「あははは」
ヤマトは笑いながら頷き、
「魚を獲りに」(ヤマト)
「肉を狩りに」(ジャック)
同時に言い合った二人は、
「「…………」」
しばし無言で睨み合い。
ジャックは呆れ顔して首を横に振り、
「何言ってんだヤマトぉ、栄養になる物つったら「肉」だろうがぁ」
「いやいや「魚」だろう? 魚には頭を良くする成分が含まれてるんだ。子供に食べさすなら、絶対に魚の方が良いに決まってる」
「はぁ? オメェは何も分かってねぇな。ガキの体を作るのに必要なのは肉だろが、肉! んなだからオメェは弱くてヒョロっちぃんだよ!」
「はぁ!? ジャックの方が、ガリガリのヒョロだろ!」
「んだとぉ!?」
「あぁ!?」
角を突き合わせていると、業を煮やした女子二人が、
「「とっとと行けぇーーー!」」
男子二人の尻を蹴り上げた。
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