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７．岐路の章_６

　ヤマトの口車に、うまく乗せらている感は否めなかったが、
（チッ、わぁ～たよぉ）
　渋々な風に承諾。
　ジゼとマリアは喜び、怒りの矛を収めたが、
（ただし！）
　ジャックは付け加える様に、
（オメェ等……後で後悔しても知らねぇからな……）
「「「？」」」
　意味不明な一言に、ヤマト達が不思議そうな顔をしていると、ジャックが無作為的に藪の中ならザッと勢い良く立ち上がり、トレーラーに向かって歩き出し、
「おう、カス共ぉ！　チンケな人さらいで儲かってんのかぁ？」
（うわぁ、馬鹿ジャック！）
　藪に身を潜めながら、慌てて散開するヤマト、ジゼ、マリア。
　制服に統一感が無く、ゲリラ兵と思われる兵士達は、突然の異分子の登場にいきり立ち、
「んだぁテメェは！」
「女どもでも救いに来たのかァ！　正義の味方さんよぉ！」
「カッコつけてんじゃねぇぞォ！」
　物陰からもワラワラと出て来て、一斉に銃口をジャックに向けた。
　一触即発の銃撃戦の気配の下、檻の中で、怯えた表情で中央に固まり抱き合う女性達。
　するとジャックは、いきり立つゲリラ兵達を前にため息を一つ吐き、
「ガラじゃねぇのは分かってんだけどよぉ、連れが、世間知らずのお人好し共でよぉ」
「ごちゃごちゃウルセェ、三下ァ！　死にてぇのか！」
　ゲリラ兵の売り言葉に、ジャックの怒りのこめかみがピクリと反応。
「あぁ？　テメェ、今なんつったぁ？」
　三白眼をギラリと光らせた。
「「「「「「「「「「！」」」」」」」」」」
　その眼光に、一瞬怯むゲリラ兵達。
　しかし手にする武器と、仲間の数による圧倒的優位性から、
「て、テメェの事だ、ボケがァ！」
　発砲しようとすると、
　バァギャーン！
　突如、鉄檻の一部が音を立てて切り裂かれ、
「今ですわ！　皆様お逃げになってですわァ！」
　マリアが声を上げた。
「なんだ！」
「仲間が居やがったのかぁ！」
　ゲリラ兵達が慌てて振り返ると、ジゼとヤマトが森の中から飛び出し、トレーラーを銃撃から護る様に仁王立ち。
　するとジャックは狂気の笑みを浮かべ、
「俺からよそ見たぁ余裕だなぁ、このカス共がァーーーーーーッ！」
　獣の様に襲い掛かった。
「ヒィ！」
　暴言を吐いたゲリラ兵は慌てて自動小銃を発砲するも、ジャックは人間離れした速度で銃弾を交わし、
「死ねヤァ！」
　悪魔の様な笑みを浮かべて兵士に迫る。
「ジャァーーークッ！　殺すなよォ！」
　慌てて叫ぶヤマトに、ジャックは舌打ち、
「ケェ！　甘ちゃんがぁ！」
　自動小銃を素手で殴り壊し、胸倉を掴み上げ、紙屑でも投げる様に軽々と放り投げた。
「ば、バケモノあぁあぁぁっぁああぁぁ！」
　ゲリラ兵達は必至の形相でジャックに発砲。
　もはや逃げる女性や、ヤマト達を気にする余裕も無かった。
　降り注ぐ銃弾の雨あられを、青きフィールドで防ぐジャック。不愉快そうに眉間にシワを寄せ、
「同じ人間を売り物にしてるテメェ等の方が、よほどの『バケモノ』だろうがァーーーッ！」
　雄叫びに、
「こ、こんな奴に勝てる筈がねぇ！」
　ゲリラ兵達は手持ちの武器を一斉に放り投げ、
「にぃ、逃げろぉおぉっぉぉぉっぉぉ！」
　その場から一目散に逃げ出して行った。
「ケッ！　カス共がァ！」
　ゲリラ兵達の背に向け、吐き捨てるジャック。