CLOUD(クラウド)

青木 森

文字の大きさ
上 下
169 / 535

5.愁嘆の大地の章-57

しおりを挟む
 良く言えば奔放、悪く言えば自己中な二人の、歯に衣着せぬ悪言は続き、
「なんもねぇ~こんなとこで、どうやって時間潰せってんだぁ~?」
 ため息交じりのダル顔するジャック。
 マリアはチラリと「タケダさん」を見てから、大きなため息を吐き、
「はぁ~~~わたくし、やっと「本物」が見られると思っていましたのにぃ……」
 露骨に残念顔。
 タケダさんは怒り心頭、
「し、失礼ですぞぉ! 陛下の温情がなければ、本来仇敵であるお前達など、この「聖地」に足を着ける事すら許されぬと言うモノをぉ!」
 駄々っ子パンチを繰り出すも、ニヤケ顔したジャックは三頭身の頭を片手で軽々押さえて空振りさせつつ、
「ハイハイそうですかぁ~」
 小馬鹿にした悪い顔。
 そんな一人と一羽に対し、
((((((((((大人げない……))))))))))
 ヤマト達が呆れ笑いで眺めていると、マリアがナクアに追い打ちを掛ける様に、
「折角ですから、オーロラくらいは見ておきたかったですわぁ……」
 皮肉交じりに呟くと、手塩にかけて作り上げた地下施設を小馬鹿にされたナクアは仕返しも含め、
「ココ、は基地。敵来る地上、に出入り口、必要ない! 作る意味、分からない!」
 プイッと横向き、容赦なくバッサリ。
 間に挟まれる形となったヤマトとジゼが、どっちもどっちな状況に、半ば呆れ笑いを浮かべていると、
「「『おーろら』って、なんだ?」」
 キョトン顔のマシュー、ルークに、
「「「「「「「「「「えぇ!?」」」」」」」」」」
 鳩が豆鉄砲を食ったような顔するヤマト達。
 二人は唖然とする一同を前に、驚かれた事を気にする風もなく、
「山の事じゃねぇ~のか? なぁルーク」
「何言ってんだマシュー、湖の事だろ?」
「ちげぇ~だろ、ルーク。南極ってのは年中冬でさみぃんだぞ、やっぱ山の事だろ!」
「そうか! 湖は氷っちまって、雪被って見えねぇよな! マシュー、珍しく冴えてんなぁ!」
「珍しくは余計だっつうのぉ!」
「「アハハハハハハハハハハ!」」
 ケラケラと笑い合う二人に、ジャックは深刻そうな顔して、
「オメェ等……マジで言ってんのかぁ……?」
 可哀想な者でも見る様な目。
 癇に障った二人は即ギレし、
「「んだとぉ!」」
 ジャックを睨むも、周囲の微妙な空気に気付き、
((? 俺ら、やっちまった……のかぁ?))
 バツが悪そうな顔を見合わせると、途端に恥ずかしさが込み上げ、
「お、俺らはよぅ、オメェ等と違って若者なんだよぉ! なぁ、ルーク!」
「お、おぉよ! 知らねぇ事が、まだまだ色々あんだよ!」
 しどろもどろの言い訳を始め、
「「なぁ、ヤマトォ! ジゼぇ!」」
 二人に同意を求めるも、
「「…………」」
 思わず眼を逸らすヤマトとジゼ。
「「!?」」
 二人の態度から一般常識である事を悟り、衝撃を受けた顔してフリーズ。絶句するマシューとルーク。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い

八神 凪
ファンタジー
   旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い  【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】  高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。    満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。  彼女も居ないごく普通の男である。  そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。  繁華街へ繰り出す陸。  まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。  陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。  まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。  魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。  次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。  「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。  困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。    元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。  なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。  『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』  そう言い放つと城から追い出そうとする姫。    そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。  残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。  「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」  陸はしがないただのサラリーマン。  しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。  今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――

左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!

武蔵野純平
ファンタジー
大手企業に勤める平凡なアラフォー会社員の米櫃亮二は、セクハラ上司に諫言し左遷されてしまう。左遷先の仕事は、移動販売スーパーの運転手だった。ある日、事故が起きてしまい米櫃亮二は、移動販売車ごと異世界に転生してしまう。転生すると亮二と移動販売車に不思議な力が与えられていた。亮二は転生先で出会った孤児たちを救おうと、貧乏孤児院を宿屋に改装し旅館経営を始める。

意味がわかるとえろい話

山本みんみ
ホラー
意味が分かれば下ネタに感じるかもしれない話です(意味深)

光のもとで1

葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。 小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。 自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。 そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。 初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする―― (全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます) 10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。

アンドロイドちゃんねる

kurobusi
SF
 文明が滅ぶよりはるか前。  ある一人の人物によって生み出された 金属とプラスチックそして人の願望から構築された存在。  アンドロイドさんの使命はただ一つ。  【マスターに寄り添い最大の利益をもたらすこと】  そんなアンドロイドさん達が互いの通信機能を用いてマスター由来の惚気話を取り留めなく話したり  未だにマスターが見つからない機体同士で愚痴を言い合ったり  機体の不調を相談し合ったりする そんなお話です  

ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼
ファンタジー
 酔っ払って寝て起きたらなんか手が小さい。びっくりしてベットから落ちて今の自分の情報と前の自分の記憶が一気に脳内を巡ってそのまま気絶した。  私は放置された16歳の少女リーシャに転生?してた。自分の状況を理解してすぐになぜか王様の命令で辺境にお嫁に行くことになったよ!    辺境はイケメンマッチョパラダイス!!だったので天国でした!  食べ物が美味しくない国だったので好き放題食べたい物作らせて貰える環境を与えられて幸せです。  もふもふ?に出会ったけどなんか違う!?  もふじゃない爺と契約!?とかなんだかなーな仲間もできるよ。  両親のこととかリーシャの真実が明るみに出たり、思わぬ方向に物事が進んだり?    いつかは立派な辺境伯夫人になりたいリーシャの日常のお話。    主人公が結婚するんでR指定は保険です。外見とかストーリー的に身長とか容姿について表現があるので不快になりそうでしたらそっと閉じてください。完全な性表現は書くの苦手なのでほぼ無いとは思いますが。  倫理観論理感の強い人には向かないと思われますので、そっ閉じしてください。    小さい見た目のお転婆さんとか書きたかっただけのお話。ふんわり設定なので軽ーく受け流してください。  描写とか適当シーンも多いので軽く読み流す物としてお楽しみください。  タイトルのついた分は少し台詞回しいじったり誤字脱字の訂正が済みました。  多少表現が変わった程度でストーリーに触る改稿はしてません。  カクヨム様にも載せてます。

『 LOVE YOU!』 最後は君を好きになる 

設樂理沙
ライト文芸
モデルをしている強引系イケメン男性に関わった3人の素敵な女性のお話 有海香 と亀卦川康之 新垣佳子と亀卦川康之 石川恭子と亀卦川康之 ・・・・・・・・・・ 3組のカップル ・有海香と神谷司 本編 ・新垣佳子小野寺尊 --スピンオフで ・石川恭子と垣本宏 --スピンオフで  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇  このお話は『神谷司』という男性をどうしても 幸せにしてあげたくて、書き始めました。  宜しくお願いします☆彡 設樂理沙 ☺ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・☆彡 ♡画像はILLUSTRATION STORE様有償画像  

余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~

藤森フクロウ
ファンタジー
 相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。  悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。  そこには土下座する幼女女神がいた。 『ごめんなさあああい!!!』  最初っからギャン泣きクライマックス。  社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。  真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……  そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?    ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!   第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。  ♦お知らせ♦  余りモノ異世界人の自由生活、コミックス1~3巻が発売中!  漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。  第四巻は11月18日に発送。店頭には2~3日後くらいには並ぶと思われます。  よかったらお手に取っていただければ幸いです。    書籍1~7巻発売中。イラストは万冬しま先生が担当してくださっています。  コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。  漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。  ※基本予約投稿が多いです。  たまに失敗してトチ狂ったことになっています。  原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。  現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。  

処理中です...