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4.偽りの新天地の章-1
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どれ程の時間が経過したであろうか、外光の射さない船底では時間の経過など分かる筈もなく、出された食事の回数から三日ほど経ったと思われた頃、突如前触れもなく部屋の扉が開き、二人は銃を手にした複数の兵士に目隠しされたうえ、両手を縛られ、手綱を引かれ営倉から連れ出された。
何も見えない深淵の世界を歩くヤマトとジゼ。
ジゼは孤独の不安に駆られ、
「ヤマト……いる?」
「いるよ。ジゼは大丈夫か?」
近いヤマトの声に、ホッとしたのも束の間、
「黙って歩け!」
聞き覚えの無い声に二人は罵倒され、更にしばし歩かされ、
「止まれ!」
命令口調に立ち止まらされると、目隠しと手綱をほどかれた。
「「!?」」
驚く二人。
眼の前にあったのは、閉ざされた船のハッチ。
(どう言う事だ……?)
考えを巡らせる間も、互いの無事を確認し合う間もなく、突然ハッチが開き始め、
「「くっ!」」
二人は差し込む強烈な光を手で遮った。
と、同時に二人の耳に飛び込む、沸き上がる様な大歓声。
「なっ、何なんだぁ……!?」
「何が始まるのぉ……!?」
長く仄暗い営倉にいた二人は目が明るさに慣れず、眩しさから目視出来なかったが、その声は数百、数千、もしくはそれ以上か。
次第に目が慣れて来た二人は、
「なっ!?」
「えぇ!?」
眼下に広がる信じ難い光景に、言葉を失った。
二人の足元から陸へと伸びるタラップの先には、国中の人が集まっているのではないかと思わせる程の大観衆が「ウエルカム ヤマト! ジゼ!」と、お世辞にも上手とは言い難い日本語カタカナ文字の横断幕と共に大きく手を振り、大歓声を張り上げていた。
群衆の後ろには煌びやかな「商業施設」が立ち並び、天にも突き刺さらんと伸びる「高層ビル群」まで。
まるで核戦争など夢であったのではないかと思わせる光景が広がっていたのである。
「「…………」」
圧倒され、しばし言葉を交わす事も忘れ、呆然と立ち尽くしていると、タラップ登り口に、無駄に黒光りする、いかにも高級そうなフォードアセダンが一台停車。
降りた運転手が後部扉を開け、頭を下げると、二人と同い年位に見える、青いドレスを身に纏った金髪ロングヘアの少女が降りて来た。
少女の可憐な立ち振る舞いから、「舞い降りた」と表現すべきか。
より一層高まる民衆の大歓声。
もはや判別不能の群集の叫びは、「女王陛下」と言っている様である。
少女はしっかりとした足取りでタラップを上がると、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている二人の前で立ち止まりニコリ。
いきなり両腕を広げ二人を抱きしめた。
歓声は地鳴りがする程の最高潮に。
驚く二人を尻目に、少女は微笑みながら二人の耳元に、
(わたくしと調子を合わせて下さいませ。悪い様には致しませんわ。国民の皆様には、戦争の混乱で生き別れ、行方不明になっていた親友と伝えてありますの)
濁りの無い優しい声に二人が頷くと、少女は民衆の方へ笑顔で振り返り、大きく手を振り応えつつ、
「参りましょう」
戸惑う二人の手を引きタラップを降り、車の後部座席に乗り込むなり窓を開け、走り始める車窓から笑顔で延々と手を振り続けた。
少女の笑顔の横顔に、
(どう思うヤマト……)
(悪党には見えないけど……しばらく様子を見よう……)
(そうね……)
町の中でも歓呼の騒ぎの熱量は港と変わらず、さながら優勝パレード状態。
やがて車は町を抜け、民家のまばらな郊外を走り、高台の上の衛兵付きの門をくぐり、木々に囲まれた一本道を数百メートル程進むと、洋城を思わせる白い館の前で停車し、
「さぁ、お二人とも着きましてよ」
微笑む少女が降車を促すと、運転手が計った様にドアを開け、頭を下げた。
二人は既に「まな板の上の鯉」。
今更ジタバタしても始まらず、頷き合うと車を降り、少女に従い洋館を奥へと進んだ。
何も見えない深淵の世界を歩くヤマトとジゼ。
ジゼは孤独の不安に駆られ、
「ヤマト……いる?」
「いるよ。ジゼは大丈夫か?」
近いヤマトの声に、ホッとしたのも束の間、
「黙って歩け!」
聞き覚えの無い声に二人は罵倒され、更にしばし歩かされ、
「止まれ!」
命令口調に立ち止まらされると、目隠しと手綱をほどかれた。
「「!?」」
驚く二人。
眼の前にあったのは、閉ざされた船のハッチ。
(どう言う事だ……?)
考えを巡らせる間も、互いの無事を確認し合う間もなく、突然ハッチが開き始め、
「「くっ!」」
二人は差し込む強烈な光を手で遮った。
と、同時に二人の耳に飛び込む、沸き上がる様な大歓声。
「なっ、何なんだぁ……!?」
「何が始まるのぉ……!?」
長く仄暗い営倉にいた二人は目が明るさに慣れず、眩しさから目視出来なかったが、その声は数百、数千、もしくはそれ以上か。
次第に目が慣れて来た二人は、
「なっ!?」
「えぇ!?」
眼下に広がる信じ難い光景に、言葉を失った。
二人の足元から陸へと伸びるタラップの先には、国中の人が集まっているのではないかと思わせる程の大観衆が「ウエルカム ヤマト! ジゼ!」と、お世辞にも上手とは言い難い日本語カタカナ文字の横断幕と共に大きく手を振り、大歓声を張り上げていた。
群衆の後ろには煌びやかな「商業施設」が立ち並び、天にも突き刺さらんと伸びる「高層ビル群」まで。
まるで核戦争など夢であったのではないかと思わせる光景が広がっていたのである。
「「…………」」
圧倒され、しばし言葉を交わす事も忘れ、呆然と立ち尽くしていると、タラップ登り口に、無駄に黒光りする、いかにも高級そうなフォードアセダンが一台停車。
降りた運転手が後部扉を開け、頭を下げると、二人と同い年位に見える、青いドレスを身に纏った金髪ロングヘアの少女が降りて来た。
少女の可憐な立ち振る舞いから、「舞い降りた」と表現すべきか。
より一層高まる民衆の大歓声。
もはや判別不能の群集の叫びは、「女王陛下」と言っている様である。
少女はしっかりとした足取りでタラップを上がると、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている二人の前で立ち止まりニコリ。
いきなり両腕を広げ二人を抱きしめた。
歓声は地鳴りがする程の最高潮に。
驚く二人を尻目に、少女は微笑みながら二人の耳元に、
(わたくしと調子を合わせて下さいませ。悪い様には致しませんわ。国民の皆様には、戦争の混乱で生き別れ、行方不明になっていた親友と伝えてありますの)
濁りの無い優しい声に二人が頷くと、少女は民衆の方へ笑顔で振り返り、大きく手を振り応えつつ、
「参りましょう」
戸惑う二人の手を引きタラップを降り、車の後部座席に乗り込むなり窓を開け、走り始める車窓から笑顔で延々と手を振り続けた。
少女の笑顔の横顔に、
(どう思うヤマト……)
(悪党には見えないけど……しばらく様子を見よう……)
(そうね……)
町の中でも歓呼の騒ぎの熱量は港と変わらず、さながら優勝パレード状態。
やがて車は町を抜け、民家のまばらな郊外を走り、高台の上の衛兵付きの門をくぐり、木々に囲まれた一本道を数百メートル程進むと、洋城を思わせる白い館の前で停車し、
「さぁ、お二人とも着きましてよ」
微笑む少女が降車を促すと、運転手が計った様にドアを開け、頭を下げた。
二人は既に「まな板の上の鯉」。
今更ジタバタしても始まらず、頷き合うと車を降り、少女に従い洋館を奥へと進んだ。
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